いつもより長くなった上にセリフ多めです。許して。
あとここから結構オリジナル展開入ってきます。
第1種目を終えて予選を通過したのは上位42名。やはりと言うべきか、前評判通りに上位の大半をA組の生徒が占めている。*1
ギリギリ予選通過に甘んじた葉隠さんでさえ38位。【透明化】の個性でここまで来ているのだから凄いの一言に尽きるだろう。*2
「残念ながら予選落ちの人達も安心なさい!まだまだ見せ場は用意されてるわ!そして次からいよいよ本番よ!」
意気揚々とミッドナイトが告げた第2種目は騎馬戦。まさかの個人競技ではなく団体戦と来たか。
2~4人でのチームを組んで騎馬を作り、障害物競走の結果に従って各自にポイントが振り分けられる。
それ以外は普通の騎馬戦と同じ。頭に結ばれたハチマキを奪い合って点取り合戦を行う、上位の選手程狙われる下克上サバイバル。
「与えられるポイントは下から5Pずつ!42位は5P、41位は10P……と言った具合よ。そして!」
……何でだろう。すっげー嫌な予感がしてきた。
「1位に与えられるポイントは1000万!!!」
「加減しろよバカタレ!!?」
クイズ番組のヤケクソ最終問題じゃねえんだぞコノヤロウ!限度ってものを知らねえのか雄英は!知らねえか!校則も担任もアレだもんな!畜生!
ヤバいヤバいヤバい。何がヤバいって、爆豪か轟のどっちかだけならまだ何とかなるってのに、下手すりゃどっちも相手する羽目になる可能性が高いって事だよ。
爆豪と轟が同じチームにいるならまだマシなんだが、絶対あの二人は違うチームになる。勘弁してくれ。
チーム決めの交渉タイム、15分が始まった。
当たり前だけどやっぱり避けられるな。1000万Pなんて分かりやすいリスク、誰だって避けたいと思うだろう。このバカを除いて。
「私と組みましょう1位の方!!」
「えっ、嫌です」
「即答!?ですが嫌です!」
なんだコイツ。本当になんだコイツ。
基本女子と話す時は照れだの何だので目を合わせにくいんだが、コイツに限っては合わせにくいと言うか合わせたくないと言うか。肉食系女子ってこういうやつの事を言うんですか母ちゃん。
「……どうしてもって言うなら、
「おや?他にアテが?」
「お前と同じくヒーロー科じゃねえけど……なあ?心操」
おい目を逸らすな。気持ちはわかるけどこっち見ろやおい。確かにこのメカニック女子に関わりたくないのは理解できるけど、だからといって逃げるんじゃねえ。
「……また愉快な奴に目をつけられたな」
「褒め言葉ですか?褒め言葉ですね!ありがとうございます!」
「まあ、悪くはない。後もう1人欲しいんだがアテある?」
「無いよ。でも、どんな奴だ?」
手数は俺と心操がいればどうとでもなるから、守りを固められる奴が欲しい。もしくはより攻撃力を増す為に機動力のある奴か、搦手に出れる奴。
とはいえそれっぽい奴は既に誰かと組んでる。切島とそっくりさんは既にチームを組んでいるし、飯田も瀬呂もダメ、と。搦手個性は見た目じゃわからんし、どうしようか。
「……【洗脳】して連れてくるか?」
「多分やめた方がいい。競技中に洗脳が解けたら隙がデカすぎる」
「……ん」
「むむむ……私と1位の方で騎馬は如何でしょう?」
「俺の個性は俺しかワープ出来ねえんだわ」
「ん……」
そもそも今から声掛けても1000万Pに怖気付いて逃げられる可能性が高い。マジで俺が騎馬に回るしか無いか?
「んッ……!」
「……ん?誰だ?」
「ん……」
「B組の小大唯?ああ、よろしく……?」
「ん」
「え、マジで?いいの?」
「ん」
「サンキュ!助かるわー」
「待て待て待て。説明しろ。足りてねえよ言葉とか」
えー。今目の前で話してたじゃん。
要約すると『B組で組みたかったけど溢れそうな気配がしてたから、だったら比較的どこででも役割が持てる自分が別のところに行こうとしてた』って。
「……圧縮言語にも程がある」
「ん」*3
「アイツそんなことしてたのか。でもよくこっちに来てくれたな?」
「ん」*4
「……私達にはさっぱりわかりませんが?」
「そうか?分かりやすい部類だろ」
「ね」*5
何だその目は。謎言語で会話する宇宙人でも見たような顔しやがって。
で、小大唯さn「ん」*6……唯の個性は【サイズ】というもので、触れたものの大きさを変える事が出来るらしい。
……強くね?
俺達の個性も互いに説明を終えた後、ひとまずメカニック女子の発目明さn「呼び捨てで構いませんとも!」……発目のアイテムがどんなものがあるか確認しないとな。
「……なあ発目。───って持ってる?」
「?ええ、持ってますよ?」
「じゃあいくつか唯に渡してくれ」
「……ん」*7
「心操は……」
「…………お前が味方で良かったと心底思ったよ」
◇
『さあ起きろイレイザー!15分経ったぜ!フィールドには11組の騎馬が出揃った!』
【間飛チーム】1000万135P
・間飛(騎手)
・発目明
・心操人使
・小大唯
【緑谷チーム】655P
・緑谷(騎手)
・麗日お茶子
・常闇踏陰
・尾白猿尾
【鱗チーム】210P
・鱗(騎手)
・宍戸獣郎太
・凡戸固次郎
・吹出漫我
『……へえ、面白いチームが出来たらしい』
『そんじゃあカウント行くぜ!!!3…2…1…!』
『START!!!』
響き渡るプレゼントマイクの合図と共にほぼ全ての騎馬が間飛達の騎馬へと群がった。およそ通常の騎馬戦ではそう有り得ない、開始と同時に1組の騎馬へと殺到する大量の騎馬にさしもの間飛でもやや引いていた。
「実質
「うはー……俺って人気者じゃん。滅茶苦茶押しかけて来るんだけど」
「残念だが目的はお前じゃなくて、お前の頭にかかってる奴だ」
「アタシってATMなのね……!とか言っとけばいいか?」
個性を構えながら殺到する騎馬を前に、間飛は平然といつも通りの飄々とした態度を崩すことなく待ち構えている。殺気立った同級生達に心操だけは顔を引き攣らせているけれど、それでも動く気配は無くて。
何かしらの迎撃があるとばかり思っていた騎馬達は肩透かしを食らった気分になりながらも、無抵抗ならそれはそれで構わないとばかりに手を伸ばし──
「あ?」
──空振った。
それどころか複数の騎馬が一気に殺到した事もあって、引くに引けなくなってしまっている。オマケに漁夫の利を狙う者が後ろから来ている事もあって、ますます動けなくなってきた。
この状況をどうにかしなければ、なんて思考を回そうとした時には「ビリッ」とマジックテープの音が聞こえていた。
「はァ!?」
「見てこれ。大量」
「ん」*8
「容赦ないな……」
まさか。慌ててハチマキがあるはずのところに手を伸ばすと、やや汗に濡れた己の額があるばかりで布の感触などどこにも無い。ヤラれた。
間飛達がした事は単純で、ギリギリまで他の騎馬を引き付けてワープで上に転移。見失って困惑した所をハチマキを強奪、後方騎馬の発目のクローショットでの離脱で終わりだ。
壁際から少しだけ後ろにスペースを作って待機していたのはそういう狙いがあっての事。単純ながらも即興のチームとしては及第点以上の評価が出来るだろう。
「落ち着け!むしろ防御を意識しなくて良くなった!」
「た、確かに!行くぞ!」
混乱中に少し距離を取られたが、それだけならば問題ない。再び追いついて攻撃を仕掛ければいいだけだ。今度こそ、と意気込んで間飛チームへ向かおうとする。
「唯」
「ん」
するともう1人の後方騎馬の小大がチラッとこちらを一瞥すると、片手で何かをこちらに放り投げて来た。もしやサポート科のアイテムかと、様子見の為に足を止めた。
ゴドン!!!
「……はああああああ!!?」
「何ッだこれ!?」
落ちてきたのは
小大が個性を発動しながら投擲する事で、落ちてきた時には騎馬を閉じ込める程のサイズとなっている。そうして事実上の脱落を引き起こしている。
「あんなんアリかよ!?」
「ウソだろアレもうどうしようもねーじゃん!」
これを見た他の騎馬達は立ち止まらざるを得ない。迂闊に近づこうものならば勝負すらさせて貰えなくなるのだから、当たり前だ。
爆豪や轟達も同じ感想だ。自分達の中であのナットによる簡易牢獄を越える手段がない。仮にそれを避けられたとしても、騎手が間飛という絶望の布陣。少なくとも今すぐに仕掛けていい相手ではないと悟り、睨みながらも距離を取った。
「いやあ、
「ん」*9
「さっきみたいな奴は近くないと難しいけど、少し大きくして間飛に投げさせればそれで十分だしな」
「まさかの飛び道具ゲットで安心したよ……」
これが彼らの作戦だ。発目には悪いが、下手なアイテムよりも活躍している。今のところクローショットくらいしか活躍出来ていないが、本人的には満足らしい。
というか傍から見るととんだ重戦車もいい所である。
小大が大きくしたネジやらナットやらを間飛が投げるだけで、この場にいる騎馬のほとんどが壊滅しかねないという恐ろしさ。あの、なんでヒーロー側になるつもりなんですか?と言いたくなるほど。
それが面白くない人物も当然いる。
「小大!?なぁぁんでA組と組むどころか仲良くなってるんだい!?B組が大切ならソイツのハチマキをこっちに寄越すんだ!さァ!」
「……何あれ?」
「ん」*10
「…………何でだろうな、今の俺も理解できた気がする」
「奇遇ですね!私もです!」
B組全体での勝利を叫ぶ物間が悪態を吐くも、何だかんだで居心地のよいチームが大切な小大には大した優先度もなく。さらりと流されてしまっている。
ああ物間よ。ソイツらを睨むのはいいが、A組切っての『暴』と『力』が近づいて来ていることに気づいた方がいい。
「点寄越せや雑魚!」
「ギャアッ!?君本当にヒーロー志望なのかい!?」
言わんこっちゃない。通りすがりの爆弾ウニに轢き殺されてしまっているじゃないか。涙腺ブチ切れワカメも奔走しているぞ。
「ウソだろ……!?まさかあんな奴らにB組が駆逐されている……!?」
「あー……多分A組的には1000万取れなさそうってなって、狩りまくってるんでしょ」
「諦めてんじゃ無いよ拳藤ゥ!?」
「こっち見て物言え物間」
「……ナットしか無いぞ?」
「その中にいるよ」
あっ、物間の精神がへし折れた。
やがてタイムアップの笛が鳴り響き、結果発表に移る……が、大半のチームは顔が死んでいた。
というのも最後まで間飛、爆豪、轟の3チームが暴れ散らかしており、辛うじて食らいついていたと言えるのが緑谷チームと峰田チームぐらいだったからだ。他?他は全員ナットかダウンのどっちか。
スタートダッシュの勢いのまま勝ちきった間飛チーム、持ち前のタフネスと機動力で暴れ回った爆豪チーム、高水準の戦力で安定していた轟チーム、ギリギリ峰田達を上回った緑谷チームの合計16名が最終種目への挑戦権を得た。
「いえーい。1位通過1位通過〜」
「ん」*11
「フフフフフフ!まだまだアピールの機会はありますよ!」
「……まだ使わずに済んだ、か」
「…………次で今度こそ白黒つけてやらァ……ッ!!」
「アイツらとんでもねえ初見殺ししてきやがったな」
「俺達でもアレはヤバいって」
「私の酸じゃ時間かかるしね……」
「チッ(炎があれば行けたか……?いや、でも)」
「ヤオモモもアレ出来たんじゃね?」
「難しいですわね……時間も消費もかなり大きいですわ」
「近づかなければそこまで問題は無かったが……むう、どうすべきだったか」
「し、死ぬかと思った……!」
「うちの後ろに落ちてきてビックリしたァ……!」
「ああうん、アレは驚かされたよ……」
「……哀れな」
……とりあえず間飛達はナットの中に閉じ込められた人達に謝って来るべきだと思う。
騎馬戦まさかの半分以上カットです。許して。
多分この先主人公にヒロイン付けるなら小大か発目のどっちかになります。ごめんね。