本日2話投稿しています。前の話を読み飛ばした方は1つ前の話からどうぞ。
こういうストーリー進行の谷間の部分を書くのが少し苦手で、人によってはだいぶグダグダしてたり手抜きに見えているかもしれません。申し訳ない。
ちょっとグダる代わりにトーナメント部分は頑張って書きます。
第2種目の騎馬戦を終えた会場は未だ熱気が冷めやまぬまま、間飛チームの蹂躙を褒め称える。或いは1000万に手が届かずとも、最後まで暴れ回っていた爆豪や轟達への賞賛もあるだろう。
一方で生徒達は、プロヒーロー達は。誰の目も届かない場所で静かに火花を散らしていた。
「話って……何……?」
「俺、唯と心操から飯誘われてたんだけど」
「……それは悪ぃ。なるべく早く済ませる」
「よっ。久しぶりだね、お茶しよ!エンデヴァー!」
「オールマイト……」
光は強く、闇は根深い。個性社会の常識だ。
障害物競走と騎馬戦を経て、轟の疑問はますます深まっていた。
この場に緑谷と間飛の2人を呼び寄せたのは他でもなく、彼らに対しての疑問があったから。そして答え合わせをしておきたいと思ったからだ。
普段から熱を感じさせない立ち振る舞いをしている轟だが、今日この時はより一層冷たさを強く感じる。それこそ彼の
「……俺の父親が『エンデヴァー』だってことは知ってるよな」
「!!」
「……一応は」
雰囲気とは違ってゆっくりと語り聞かせる様に、轟が話を切り出した。
彼の父親はエンデヴァー。このヒーロー飽和社会において不動のNo.2の地位を築き上げた偉大な人物だ。
エンデヴァーと接する時間が長かったからこそ、彼にとっての『力』の基準はかなり高水準になっている。爆豪や八百万の個性さえ、彼にとっては『まあまあ凄い』に落ち着いてしまう。
他人の個性への評価のハードルがあまりにも高い彼が、この2人の個性を『とても強くて凄い個性』と評価しているのだ。
「……つまり、俺はお前たちに親父みたいな……“プロのトップクラスが鍛え上げた個性と同様の何か”を感じたって事だ」
「…………俺の個性は知ってるだろ。複数人掛りで鍛え上げられた個性だ、いくらエンデヴァーが凄かったとしてもおかしな話じゃねえだろ」
「お前はそうだな。なら、緑谷はどうだ?」
「っ……!」
二人共にオールマイトと同系統のパワーを持ちながら、間飛よりも目をかけられている緑谷。轟の疑問はそこにあった。
もしかしたら、オールマイトと何かしらの繋がりがあるのではないか?仮に繋がりがあるならばどんな繋がりがあるのか?
例えば血筋。オールマイトのネームバリューを鑑みれば、子供がいたとしても厳重に情報規制が行われるだろう。
例えば師弟。隠し子よりは有り得る。間飛より目が掛けられているのも、制御の不安定さを思えば当然のことではある。
「まあ、そこはどうでもいい……でもな、お前がNo.1ヒーローの何かを持ってるなら俺は……尚更お前には負けられねえ」
「……!」
「…………空気が読めなくて悪ぃが、もう俺関係無いよな?行っていいか?」
「分かってるなら口閉じよう?何で言っちゃうの?」
所変わってオールマイトとエンデヴァー。
階段の降り口でやや重苦しい空気が漂っている。
「君の息子さん、焦凍少年……力の半分も使わずに素晴らしい成績だね。教育がいいのかな?」
「……何が言いたい」
「いやぁマジで聞きたくてさ。次代を育てるハウツー?ってのを」
殺気の籠った視線を向けるエンデヴァーだが、オールマイトはオールマイトで真剣な眼差しを返している。何が目的なのか、とエンデヴァーは警戒心を強めた。
……だが悲しいかな。目の前の
元々ヒーロー活動1本で生きてきたオールマイト。今になって急に次世代の育成を始めたものだから、そういったノウハウが何も無いのである。
つまりは轟焦凍があまりにも優秀だった為、単純にどういう方針で育てたらあそこまで強くなったのかを知りたいだけなのだ。バカかな?
そんな事情を全くもって知らないエンデヴァーからすれば、似たような個性の生徒に負けた我が子を皮肉っている様にしか聞こえなくて。ますます彼の苛立ちは募るばかりだ。何してんの。
「癪に障る……!これだけは覚えておけ。アレは……いずれ貴様をも超えるヒーローにする。そうするべく……つくった仔だ」
炎の奥で瞳をギラつかせながら、エンデヴァーは去っていく。その背中に不穏な空気を漂わせながら。
また轟と緑谷の元へ場面を戻そう。*1
何の因果かオールマイトとエンデヴァーの会話と同じ頃、2人の話もまた佳境に入っていた。
「わかるよな……?親父は俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げる事で欲求を満たそうとしているわけだ」
「そん、な……!」
「俺がお前に……間飛に突っかかるのは俺なりの反抗だ。クソ親父の個性なんざなくたって……いや」
「使わず1番になることで、奴を完全否定する」
ここに来て見せられたのは『熱』だ。それも切島や飯田のようなスポーツマンシップを思わせるようなものでは無い、復讐に取り憑かれた人間が見せる仄暗い粘りを感じる『熱』だ。
ドロドロと渦巻くドス黒くて強い意志は、並大抵の決意や覚悟で踏み込んでいいものでは無かった。迂闊に踏み込もうものならば、こちらの身をも滅ぼしかねない。
だからこそ、緑谷は踏み込むのだ。
「僕は……ずうっと助けられてきた。今僕がここに立って居られるのは、誰かに助けられて来たからだ……!」
「……」
「だからこそ負けられない。さっき受けた宣戦布告に改めて返す……僕も君に勝つ!」
背負う物があるから負けられない。それはこちらも同じなのだから。
◇
「……なあ唯」
「ん?」
「近くね?」
「んん?」*2
ひと足早くシリアスムードから抜け出した間飛はというと、先程の騎馬戦のチームメンバーと昼食を取っていた。
小大が組んでいたチームということもあってB組の何人かも一緒になってテーブルについており、いざ食事を……という所でやけに距離が近いことに気づいた。具体的には左隣の小大と間飛の間はもうほぼゼロに近い。
ついでに右隣も発目がワキワキしながら間飛の身体をまさぐってはああでもないこうでもない、と唸っている。なにしてんのコイツ。
まあ発目はさておき、小大の距離がこんなに近いのは何なのか。本人に尋ねてみても『そんな事ないと思うけど?』という答えしか帰ってこない。
「あー……間飛、だっけ?」
「おう。そっちは拳藤……であってるか?」
「うん。で、小大なんだけど……その子ね、滅茶苦茶他人との距離が近いんだ」
「え?デフォでこれなの?」
「ん」*3
「……唯の被害者多いだろこれ」
「よくご存知で」
「ん?」*4
哀れんだ拳藤から入った補足は何の救いにもならない情報だった。要は彼女にとってはこの距離がスタンダードなわけだ。
ついでに補足すると彼女の通っていた学校にはファンクラブまで存在していたほどで、会員の大半は被害者である。
小大唯はコミュニケーションにこそ難があるものの、その見た目は美少女と評するのが当然な風貌だ。オマケにアチコチが割と
「お前変なところで苦労させられてんな」
「……発目。心操のサポートアイテムの案思いついたからさ、身体測定してやってよ」
「む!わかりました!」
「変な八つ当たりやめろ!?」
うるせえお前も道連れじゃボケ。と発目をけしかける間飛。何やかんや物間以外は割とB組とも仲良くやれるのだ。和気藹々とした雰囲気でゆっくりと食事を取っていた。
「でも間飛くんも凄いノコ。小大ちゃんの個性を即興であんな使い方させるなんて」
「あれは思ったより上手くハマった。お陰で心操の手札をバラさなくて済んだしな」
「まだ何かあったの?」
「そうだなあ……あと2つか3つは手札があったな」
「oh......とんだjokerデスネー……」
騎馬戦の振り返りをしつつ話す間飛達。B組の男子も何名かいるのだが、率先して会話をしているのはほとんど女子達ばかり。
……遠くから血の涙を流しながら睨みつけるぶどう頭がいた事を報告しておこう。
◇
昼休憩が終わり、A組チアリーダー騒動なども起こったが。とうとう最終種目の準備が始まった。
「最終種目はトーナメント形式!一対一のガチバトルよ!」
「トーナメントか……!毎年テレビで見てた舞台に立てる……!」
「去年トーナメントだっけ?」
「形式は違ったりするけど例年サシでやってたはず」
【洗脳】によって不本意な勝ち上がりをした者はおらず、進行は順調に行われた。そしてクジを引き終えた選手達の組み合わせはこうなった。
【第1回戦】
緑谷VS心操
轟VS瀬呂
間飛VS上鳴
飯田VS発目
芦戸VS常闇
小大VS八百万
尾白VS切島
麗日VS爆豪
「心操って……間飛くんが組んでた人……?」
(意外と早そうだな……来いよ、緑谷。この手で倒してやる……!)
「麗日?」
「oh......」
「飯田って貴方ですか!?実はですね……!」
「む?君は……確か間飛くんと組んでいた……」
「……ん」*5
「へ?あ、よ、よろしくお願いしますわ!」
体育祭のメインイベントが始まる。
騎馬戦は全チーム書くと滅茶苦茶多くなったので、原作とは異なったチームだけ描写させていただきました。
カット多発は他に描写したい事が多いので、サクサク進行する為にしてます。何か嫌って人は諦めてください。ついでにここ好きしてください(強欲)
物間「なんで小大しかトーナメントに出てないんだい!?」
小大「ん(目立ちたかったから仕方ない)」
拳藤「むしろ正しい判断だったんじゃない?下手したら小大すら出なかった可能性もあったんだし」
小大「ね(B組全滅は避けられたから許して)」