え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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舐めプ注意報

 

 

 

 

『ああ麗日……ウン、爆豪1回戦突破』

『ちゃんとやれよやるなら……私情すげぇな』

 

 奮闘虚しく、麗日さんは爆発さん太郎に敗北。もしかしてと思わなくもなかったが、そこはやはりストイックなエゴイスト。あれだけ優勢に立ちながら微塵も油断していなかった。

 視線を下に誘導してからの浮かせた瓦礫を落とす。単純だが至近距離での戦闘を強制されるルールなら気づかれにくいだろう。

 

『さあ気を取り直して!1回戦が一通り終わった!!小休憩を挟んだら早速次行くぞー!』

 

 2回戦……更に試合は激化するだろうな。特に爆豪と轟なんて大火力が2人とも残ってるんだ、どっちが来ても負けてやるつもりは無い。無い、けど──……

 

 

心操VS轟

間飛VS飯田

常闇VS小大

切島VS爆豪

 

 

 心操と唯の相手ヤバすぎだろ。

 

 中距離最強格の2人じゃねえか。どうなってんだこれ。他人の心配してる場合じゃ無いと言われればそれまでなんだが、友人の心配ぐらいさせろオラァン。

 

 どっちが苦戦するかと言われりゃ間違いなく唯の方がキツい。心操は個性でワンチャンあるが、唯の方は個性の使い所もわからん。どこで何に使うんだよ。

 

「間飛君!」

「うおっ!?って、飯田か……驚かすなよ」

 

 忘れた頃に雄英忍者*1しやがって。特にお前の声はデカくてよく通るんだからもう少し控えろ。

 ……いやそこまで反省しなくていいって。反復練習して声量感覚掴むとかしなくていいから。

 

 で、何よ?

 

「次の試合は君とだろう?だから声をかけたんだ」

「まあそりゃそうだが……話すことなんかあるか?」

「あるとも。何より……君は騎馬戦で発目さんと組んでいた。だから確認がしたくてな!」

「確認?」

 

 確認って言われても、アイツからサポートアイテムなんか借りてねえし、飯田のデータなんて貰ってないぞ。何を聞きたいんだよ。

 

「単刀直入に聞く……君もサポートアイテムの宣伝を手伝わされたりしていないか!?」

「するかよバーカ!?何を心配してんだマジメガネ!」

「そ、そうか……すまない、思っていたより精神的に来ていたのかもしれない」

 

 ……後で発目連れてきて土下座させるか。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

『さあ!さあ!!さあ!!!誰がこんな組み合わせを予想出来た!?』

 

『ヒーロー科に見事勝利し!!不敵な笑みでここに来た!!!普通科のダークホース!!心操人使!!!』

 

(バーサス)!!間飛、爆豪と並んで1年トップ3の一角!!轟焦凍!!!』

 

 

「……はは、想像以上に緊張する。アンタは?」

「…………」

「ま、そうだよな。1回戦の緑谷の顛末を知ってりゃ、不用意に口を開かねえよな」

 

 轟は応えない。何がトリガーになる個性なのか知らなくとも、無策で会話に乗ってやる理由もない。

 それに緑谷の一撃を見てなお怯まない男子だ。開始前に仕掛けるくらいの度胸があってもおかしくはない。

 

「……先に言っとくよ。俺はエンデヴァーでアンタをつつくつもりは無い」

「……?」

「俺は『ヴィラン』になりたいわけじゃない。俺がなりたいのは『ヒーロー』だ。ヒーローが誰かの嫌がる事をすると思うか?」

「───それ、は」

 

 しまった。思わず口から漏れた言葉に慌てて口を抑えるが、既に言葉は放たれてしまっている。心操の個性が来る……?

 

「開始前だぞ?何もしないよ」

「……悪ぃ」

「別にいいよ。どうせすぐ始まる。それにエンデ……いや、なんでもない」

 

 エンデヴァーと、クソ親父と何があったのか。突如零された言葉に疑問が湧くけれど、その直後に戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

『START!!』

 

 

 始まった。心操の言葉への疑問はひとまず置いておこう。どちらにせよ、こちらから仕掛けてしまえばいい。氷で閉ざしてしまえば会話も何も無い。

 轟の右足を起点に氷が勢いよく生み出される。自分のフィールドを広げるように冷気が舞台を蝕み、波の様相で心操へと迫る。

 

「──ッ!!やっぱ目の前で見るとスピードが段違いだな……!」

「避けたか……」

 

『轟の初手ブッパ!心操がまさかの回避成功だァ!?よく避けられたなマジで!』

 

 瀬呂の時とは違って横への範囲はさほど広くない。かといって容易く避けられるスピードでも間合いでも無いのに、個性に関係ない純粋な身体能力で避けられた。

 といっても、大きく横っ飛びした形のギリギリの回避。攻めに転じられるようなものでは無い。ターンは継続だ。

 

「チッ……!危なッ!?」

「ちょこまかと……!」

 

『HAHAHA!!心操のヤツ上手い具合に避けてやがるな!』

『1回戦のような広範囲じゃないのもあるだろうが、上手く避けてるな』

 

 開始から1分。攻撃のターンは常に轟の方にあるというのに、心操に攻撃が届いていない。全ての攻撃が既の所で避けられている。

 最初の横っ飛びのような回避、敢えて近づく素振りを見せて退避、すでに生み出された氷の塊を利用してのフェイント……ひたすらに避けられる。

 

「(緑谷や爆豪みてぇな攻撃力がねえからと出し惜しみするのは間違いだったか)クソっ……!」

「ハハッ、怖えな(ヒーロー科じゃない俺がいる事に警戒はしてるんだろうけど……格下に見てたのは事実だろ?)」

 

 轟の身体に霜が降りたのを見て心操は口角を上げた。

 心操の作戦はいくつかある。その全ての作戦の前提として『轟焦凍がこちらを格下と見て油断している』事が必須条件だった。

 

 瀬呂の時のような超広範囲氷結攻撃への対処法は無い。アレをされたらもう諦めるしかないのが心操の手札。

 1回戦では緑谷を硬直させた以外の事はしていない。自発的な攻撃力になりうる個性では無いことだけは割れている。

 

 だから賭けた。轟焦凍が心操人使という対戦相手を格下に見て、次の試合に温存するために攻撃を小出しにする可能性に賭けた。

 個性は身体機能の延長線でしかなく、何の消耗もなく連続使用出来るほど都合のいい代物じゃない。もし轟が消耗の事を考えていたのなら、心操人使に対して温存しても勝てると踏んだなら、まだやりようはある。

 

『なんか……アレだな?氷の威力落ちてねーか?』

『……体力、或いは別の何かを消耗したと見ていいだろうな。時間が経てば経つほど苦しくなるのは轟焦凍の方だ』

 

「ハァ……ハァ……ッ!(クソ、身体が冷えてきた……!)」

「ふぅ……ッ(そろそろ逃げ場が無くなってきたか)」

 

 理解できない。自分の個性が絶対では無いことは理解しているが、それでも普通科の男子生徒にここまで避けられ続ける理由がわからない。

 逃げ場は確実に減っているはずなのに、氷塊塗れの舞台の上を滑るように駆けるたった1人の人間を捉えられない。

 

「何故当たらねぇ……!」

「……どっかの誰かに比べりゃ、余っ程逃げやすいよ」

 

 心操が回避し続けられる理由?そんなもの、何度も言ってきただろう。間飛(あのバカ)と比べればほとんどの生徒は生ぬるい。

 

 轟の氷結攻撃は見切ろうと思えば見切れる。攻撃する方向に視線を向けてくるし、氷が来る前に微かに冷気が走る。ついでに弱っているからか、範囲も速度もだんだん落ちている。

 これが間飛ならそもそも視界に入れ続けることさえ難しい。背後にワープしてくんな。

 

「そろそろ頭も冷えただろ?真っ向勝負、しようぜ」

「ッ……!」

 

 緑谷との試合、心操の体術はそれなりに強かった。普段ならともかく、冷えて鈍った今の轟では近づかれてしまえば負ける可能性が高い。

 接近を拒むように再び氷結攻撃を放つが、接近自体がブラフだった心操には当たらない。

 

 既に舞台上の9割以上が氷で埋め尽くされており、氷の隙間から微かに舞台が見えるという状態。

 問題はその氷塊の全てが轟を中心として放たれた物であり、これまで武器だったはずの氷塊が今度は轟を閉じ込める檻のようになってしまっている。

 心操はその氷塊の上に立っており、上から轟を見下ろしていた。

 

「……格下だと思ってた普通科に見下されるのはどんな気分だ?」

「クソ……ッ!?」

 

 図星を突かれて零した悪態。それすらも心操の射程(判定)内だ。

 糸の切れた操り人形のように、轟の動きがピタリと止まった。悔しさか寒さからかの歯ぎしりも、氷に囲まれて震えていた手足も。何もかもが停止している。

 

「……ミッドナイト先生。このままだとコイツ凍死しますよ」

「…………ッ轟焦凍君!戦闘不能と見なします!」

 

 ドローンからの映像で轟の現状を確認しながら、ミッドナイトは非情な判定を下した。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「……マジ?アイツ轟に勝ちやがった」

 

 判定勝ちだろ、というクソ野郎もいるかもしれない。だが、勝ちは勝ちだ。あのバ火力の轟に一勝、もぎ取って来やがった。

 

 なんか回避力上がってんなーとは思ってたけど、まさか制限時間のほとんどを逃げ回るとは思わんかった。よく避けられたな。

 それに滑るわ平らじゃないわで走りにくいだろうに、よくもまあ氷の上をあんな速度で走れるな。すっ転ぶかもしれねえと少しは思わなかったのか?

 

「……最後、動きを止めたのは個性によるもの、だよね?」

「……ん、緑谷か。アレは間違いなく心操の個性だな」

 

 緑谷とアレコレ言いながら見ていたが、なるほどアイツの狙いがこれだったとは。

 

 轟の個性で生み出された氷を利用して轟を閉じ込めて、自分は上のポジションを押さえておく。こうなると先に冷気にやられるのは轟の方だ。

 今までほぼ使ってなかった左側の炎を使ってくる可能性も考えて、ギリギリまで様子を見て【洗脳】を使用。ここで【洗脳】に失敗したとしても、凍傷だのを考慮すると繰り上がるのは心操になる。

 

「……これアレだな。最悪無個性でも出来る作戦だな」

「……!確かに……そう、だね」

「やー、やっぱり鍛えるのって大事なんだな。放課後トレーニング様々だろ」

 

 友人の勇姿は見届けた事だし、俺も張り切って行くとしますかね。覚悟しとけやマジメガネ。俺と発目を同類扱いしたこと絶対許さんからな。

 

 

 

「そこなの……?」

「……お前は許せる?」

「無理かな(即答)」

「だろ?」

 

 

 

*1
不意打ちで声をかけて驚かす行為(※造語)





発目「失礼の気配を感知しました!間飛さんですね!」
間飛「キッショ。何で分かるんだよ」

心操「寒っ」
普通科A「温かいお茶あるぜ!」
普通科B「ジャージ沢山借りてきたからくるまっとけ!」
心操「……これ女子のも無いか?」
普通科B「皆快く貸してくれたぞ」
心操「……そうか」

エンデ「」
エンデ「ドウシテ…ドウシテ…」

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