前回の『頭エンデヴァー』に対する感想が多くて作者も笑ってしまいました。某鬼退治漫画の『頭無惨』に通ずる何かを感じますね()
因みになんですが『頭エンデヴァー』を聞いた周囲の方々は別にエンデヴァーの事を自分勝手なクソ野郎と思っていた訳ではなく、いきなり出てきたパワーワードにクスッと来ていただけだったりします。
……え?別にエンデヴァーさん自分勝手クソ野郎とか思われてないですよね……?
「よお心操。あの紅白饅頭ぶっ飛ばして来たぜー」
「……ああ、見てたよ」
眠そうな目を擦りながらも、ニヒルに笑いながら間飛を労う心操。中々に目つきの悪い彼だが、眠気で細まった目は怖い……と言うよりは妙な色気が出てしまっている。
轟の精神状態やら舐めプやらもあって勝てた身で言うのは憚られるが、心操からすれば『何人のこと舐めてくれてんだコノヤロウ』という感情もあった。そう思えば間飛の一撃には色々とスッキリさせて貰った。
それはそれとして、だ。
「お前……あの威力なんだよ。緑谷より強いんじゃねえの?」
「ああ、あれは……何だ、俺もあんなのは初めてっつーか……アレの八割くらいが限界だったような気がするんだがなあ」
「なんだい?アンタ、あの威力は偶然出たって事かい?」
「偶然、とも言えないんスよ。試合前に保健室で言ってましたよね」
試合前に言っていたこととは、身体の動作に対する言語化しにくい違和感の件だろう。先の試合中もその感覚はしっかりと存在していたらしい。
しかし最後の一瞬。惜しみなく全力を注ぎ込もうとした時、まるで一ミリの隙間も無く歯車が噛み合ったような、不思議な万能感を覚えていた。
「あの感覚はヤベェな。古い作品だが『呪○廻戦』で黒閃決めた的な、『ハ○キュー!』で言うところの調子良すぎて一瞬の間に指先すら見える的な……?」
「ラインナップが見事にレトロだねえ……」
「……『ハイ○ュー!』はともかく『呪術○戦』はリメイクが出てたから知ってるよ」
「マジで!?」
「うるさっ」
間飛の違和感の件はどこへやら。ついに同好の士を見つけたことへの喜びが全てを吹き飛ばしてしまった。早口で喋り倒すオタクの爆誕である。
雄英体育祭の決勝戦進出という栄誉も忘れ、ひたすらにレトロ作品について語り合うばかり。
ようやく正気に戻った頃には爆豪の決勝進出が決まっていた。
◇
一度目は初回の戦闘訓練。二度目は騎馬戦、そしてつい先程の轟戦で三度目。間飛に対して『勝てないかもしれない』と思わされた回数だ。
小さい頃から自分が一番であることを信じて疑わず、現実が見られる様になってからは一番になる為に努力してきたという自負はある。学業もトレーニングも、手を抜いたことはない。
(……クソムカつくな)
陰キャ前髪と自分を“ヒーローとしての実力”で比較した時、明確に自分が上回っていると思える部分が挙げられない。全てにおいて同等以上であり、
それに加えて【瞬間移動】まで持っているあの陰キャ前髪は、まるで自分と
トドメに紅白舐めプ野郎との試合だ。最後のあの一撃に対し、今の自分が何を出来ていただろうか。
(クソデクの暴発はともかく、俺の最大火力と同じレベル……陰キャ前髪は俺以上か)
紅白舐めプ野郎には張り合えるかもしれない。だがアレをも一方的にぶち抜いた威力を目にして、易々と『俺の方が強い』とは宣言出来ない。
別に最大火力で負けているからといって、陰キャ前髪に勝てないとは微塵も思わない。ただ自尊心を傷つけられ、万全だった自信がほんの少し揺らいだだけに過ぎない。
誰が相手でも自分がすべき事は変わらない。俺がアイツをぶっ倒して勝利する。そうすれば俺が一番なんだ。
無意識に燃え滾った闘志が手元で火花となって現れ、溢れんばかりの感情の波がパチパチと音を立てている。
「……行くか」
アイツもきっとそうだろう。俺もテメェなんざ眼中に無ェ。見えてんのは上だけだ。
紅白舐めプ野郎もクソデクも、何もかもを超えて俺が一番になる。
ついさっきも通ったはずの選手入場口。常闇をねじ伏せた舞台はまるで別世界のようで、太陽がやけに眩しく感じる。
『さぁ!いよいよラストだ!!!熱い祭りも終わりが近い!ここで雄英一年の頂点が決まる!!』
『もう余計な言葉なんざ要らねぇよなぁ!?爆豪勝己
『今!!START!!』
「開始だってよ。決勝戦」
「ああ……待ちくたびれちまったよ……!」
「いやあ轟といいお前といい、視線だけで人殺せそうだなあおい」
「ハッ、この程度で死ぬ奴は雑魚だろうが」
「じゃあ後腐れなく、全力で行くぜ?」
「上等だコラ。その上で叩き潰してやる」
「ははは……」
「ハッ……」
「「死ねやオラァ!!!」」
『アイツら本当にヒーロー志望なんだよな?』
『ヒーロー科に来てるんだから多分そうだろ』
互いに一発目はノーガード。とにかく一発目を叩き込んでやるという強い意志を力に、各々の顔面に遠慮のない打撃と爆破が叩き込まれた。
攻撃の勢いに逆らわず、そのまま二人共に後退。爆豪は【爆破】を器用に使いこなして空中で一回転し、打撃の威力を殺しながら着地。間飛は【爆破】こそないものの、同じくグルンとバク宙すると何事もなく着地した。
「この程度、挨拶にもならねえよ」
「当たり前だ殺すぞクソ陰キャ」
「陰キャ言うな爆弾ウニ野郎がァ!?」
「なん──チィッ!」
爆豪の挑発*1に敢えて乗っかり、構えられる前に爆豪の背後へとワープ。瞬時にそれを察した爆豪が反射的に前方へと飛び込んだ。
ガオンッ!!と、空間ごと削り取ってんのかと言いたくなる音を鳴らし、間飛の回し蹴りが空を切る。やはり一番警戒すべきは至近距離ワープからの高威力近接攻撃だろう。アレを受けていれば一撃で決着もありえた。
「舐めんなァ!」
「あっぶ……ねぇっ!?」
あの時間飛は爆豪を同タイプのヒットアンドアウェイスタイルと言っていたが、そうではない。
爆破の規模や撃ち方によっては中距離での戦闘すら可能だ。今のように距離を取っていながらも間飛に向けて【爆破】を使った。
そして今のは牽制でしかない。
「爆速ターボ!!」
「──ッ!」
両手の爆発を推進力に変え、文字通り爆発的な加速によるタックル。体勢を崩した相手ならばこれで十分勝てる程の威力───避けられなければ、の話だが。
前兆も無く間飛の姿が掻き消える。超スピードによる離脱?否、それならば爆豪の目が逃げた方向を追っている。これは点から点への移動、すなわちワープに因るもの。
その方向は恐らく──上!
「緑谷のパクリだぜ!?受け取ってやれ!」
「要らんわ雑魚技が!」
BANG!!
『い、息をつかせぬ激しい攻防だあああ!!?開幕10秒で!既に舞台がボロッボロじゃねえかおい!!』
『二人とも攻撃力は雄英でも上位に入ってる。守りに入るぐらいならダメージ覚悟で殴り合うつもりだろうな』
真上にワープしてからのデコピンショット。爆速ターボの速度を殺さずに方向転換して逃げていなければ、おそらく意識を刈り取られていた。一発一発の重みが違い過ぎる。
「おいおいおい……何だよ今の変態機動は」
「誰が変態だ雑魚」
「グニャアって曲がってたけど……それ以上によく避けられたな」
「……テメェの【瞬間移動】は、ワープする瞬間にワープ先を見てるよなァ?」
「…………!」
一撃貰えばそれだけで致命打に成りうる間飛相手に回避が成立しているのは、爆豪がワープ先を見切っているからに他ならない。どこから攻撃してくるのかさえ分かれば、間飛の攻撃パターン自体は少ない。
飯田も気づいていた間飛の【瞬間移動】の予兆。それはワープする一瞬前にワープ先を目視で確認しているというものだ。
戦闘訓練のように目視不可の場所にワープする場合を除き、間飛のワープには全て視線という予兆があった。
あの爆速ターボで視界がブレる中、爆豪は間飛の視線が見えていたのだ。
「ワープする場所が分かってりゃどうとでもなる。ワープ先を叩いてぶっ飛ばしてやらぁ!!」
「……」
「……ハッ、視線のタネが割れて絶望したか?」
「俺そんな事してたの?」
「気づいて無かったのかよバカが!!!」
……あの、真面目にやって貰えます?
爆豪「テメェはワープする時〜」
間飛「はえー」
エンデヴァーさんとかその他諸々は次回触れます。ちなみに轟戦で間飛と緑谷のパワーバランスが変わりました。具体的には
轟戦間飛>100%暴発緑谷>通常間飛>>>>>>>フルカウル5%緑谷
です。暴発じゃなかったら……?それは暴発しなかった時にまた。