作者は本誌でヒロアカを読んでいるのですが、今週のヒロアカがヤバヤバのヤバでした。ネタバレ配慮で詳しくは言いませんが、ああいう形でのアッセンブルは熱いにも程がありましてよ。
単行本派の方々やまだ読んでいないという方はワクワクしててください。読んだ後にSNSで語りたくなります。
雄英高校は数多くの有力なヒーローを輩出した実績からか、早いうちに唾をつけておこうと様々なヒーロー事務所が雄英生の情報を欲しがっている。
故に、この体育祭は一般市民への見世物よりも、我々プロヒーローに有望株が育っていることを示すという意味合いの方が強い。
とはいえアレは最高傑作。くだらない反抗期であろうとも、アレと真っ向から戦って勝てる生徒などいるはずもない。奴が、間飛移がアレを打ち倒すまではそう思っていた。
爆豪や八百万という生徒達は俺の想像よりもずっと優秀で、もしやアイツでも怪しいかもしれんと思っていた。
それがまさか普通科の生徒に負けるとは。しかし聞けばその生徒の個性は超強力な初見殺し。この俺でさえアイツの敗北を『仕方ない』と思わざるを得なかった。
問題はその後。普通科生徒がダウンした代わりに繰り上げ出場となったアイツと間飛移の試合。
『使ったか……!それでいい!焦凍ォ!』
何やら不調そうではあったが、炎を解禁したお前ならば負けるはずがない。そう思いながら、俺は口角を上げて間飛から視線を焦凍へと移した。
『…………は?』
結果は敗北。拙い炎だったとはいえ、俺にすら並び立つほどの威力だったのに。間飛移はそれを真正面からぶち抜いた。まるでオールマイトのように。
何故?何故、何故何故何故何故何故何故何故……頭の中が疑問符で埋め尽くされ、気がついた時には決勝戦が始まっていた。
そこにアレの姿はどこにも無く、オールマイトのような超パワーを振り回す男子生徒がいるだけ。
ここでもオールマイトに負けた。そんな言葉だけが俺の頭を占めていた。
◇
「マジか……俺そんな癖があったのか」
「把握しとらんのか!!自分の事ぐらい分析しとけや陰キャ!!!」
そんなこと言われましても。
しかしなるほど、一度きりだったが飯田も俺のワープ先を見切っていたような気がする。アレは俺の癖に気づいていたということでいいんだろう。
どうしようか。気づいて無いほどに無意識に、自然に視線が動いていたならこの場ですぐには矯正出来ねえ。時間をかけてゆっくりと癖を消すしかない。
てか何でこいつもそんな癖が分かるんだよ。手足の動作ならともかく、視線の動きまで観察するとか変態かよ。君ストーカーの素質あるよ。
「……テメェ今失礼な事考えただろ」
「え?うん。ストーカーの才能あるなーって」
「よし死ね」
「危ねッ!?正直に言ったじゃん!」
「ああそうだな。死ね」
お口が悪うございましてよ!?
ああもう!コイツ『この程度で間飛が死ぬわけねぇわ』とかいう要らん信用があるせいで容赦無さ過ぎる!直撃してたら死んでそうなのが何個かあったぞおい!
どうやら爆豪は空中戦がご所望らしい。上手いことポンポン爆発を使ってちょっと高さを取りやがった。
俺は空中移動は出来ないんだが……空中に行くことは出来る。ミッドレンジで爆破され続けんのも面倒だ、乗ってやるよ。
「やっぱテメェはそう来るよなァ!」
「知ってるか?バカと煙は高いところが好きらしいぜ。ところで急に高度をとってどうした?」
「死にてぇらしいなあ!!」
ワープ先はある程度予想されてる。なるべく多用はしない方がいいかもしれん。
近くにワープしたついでに挑発もいれてはみたけど、あんまり意味ねえなこれ。ブチ切れてるように見えるけど、アイツ多分頭の中は冷静だ。迂闊に距離を詰めに来ない。
爆豪が空中に逃げて、俺は地上からデコピンショット時々ワープパンチ。このままだと舞台ごとぶっ壊されるか?
「さすがにそれは無いか……いや待てよ?」
そういやアイツの個性って【爆破】だけど、爆破の原理ってどうなってた?緑谷から聞いた話だと汗腺からニトロが出てる的な話だったような。
……え?じゃあアイツ今、空中から大量にニトロばら蒔いたようなもんか?
「やっば……!」
「チッ!気づいても遅ェよ!」
BOOOMB!!
『舞台上全てを吹っ飛ばす爆発ゥ!!?見た目言動とは裏腹にクレバーだぜ爆豪!!』
「……クソが」
「セーフ……!」
危ねェ……!?早めに気づけてなかったらもっと威力出てたろコレ。範囲も威力も低い内に使わせられてよかったわマジで。
でもコレで小細工は終わりだろ。常闇に何かフラッシュバン的なの使ってたらしいけど、それしたら俺ひたすらワープして逃げ回るからな。
ここまでやったらやる事は一つだろ?
「今度はコッチから行くぞ!」
「ッ!」
「カロ、ライナァ!!」
正面切っての殴り合い。初手はオールマイトの技の見様見真似での、交差させた両腕の手刀を振り抜くカロライナスマッシュ。
さすがは爆豪。オールマイトファンなのかこっちの考えを読み取ったのか、動き出す前から空中に逃げられた。空振った手刀が強風を生み出すも、爆豪には何のダメージもない。
「読めとんじゃ雑魚!」
俺の背後の斜め上に跳んだ後、体勢を変えて爆豪が加速。空中から勢いよく俺に目掛けて突撃してくる。
【爆破】が来る!と思った瞬間、振り向きざまのパンチの右腕を掴まれる。コイツ!突っ込んで来たくせに滅茶苦茶冷静じゃねえか!
右腕で俺の腕を掴み、空いた左手で爆破を起こして推進力を確保。空中から突撃してきた勢いまで上乗せされ、ハンマーのように振り上げられそのまま舞台へと振り落とされる。
「痛ゥ……!?」
「まだまだァ!」
ビキリ、と背中から舞台の砕ける感覚が伝わる。想像以上のダメージに肺の空気を無理やり吐き出させられるも、追撃だけは避けなければならない。ワープを発動して爆豪のリーチから逃れる。
ワープされた事を理解した爆豪が顔を上げてワープ先にいた俺を睨むが、既に構えている。狙いのついていないデコピンを盛大にぶっぱなす。
「チィッ!」
「……!後ろに跳んで、ダメージを減らしたか!」
ガンッ!と命中すると同時に、爆豪は爆破を利用して後方へと跳躍。高度を確保しながらダメージを減らしやがった。どんな反射神経してんだアイツは……!
「間飛ィ!この一撃でテメェをぶっ殺す!覚悟しやがれ!」
「受けて立つけど殺すとか言ってんじゃねえよ!?ヴィランでも目指してんのか爆弾ウニがよぉ!!」
マジでこの馬鹿!体育祭だって言ってんだろうが!?ヒーローにアピールするような場所で殺害宣言してくれてんじゃねえよ!
爆破を重ね、爆豪の身体に推進力と回転が加わる。ああ、お前の最高威力に回転とスピードを乗せるだけでも十分に必殺技だろうよ。万全の切島なら耐えられるかもしれねえが、大抵の奴はプロでもワンパンだろうな。
当然俺が喰らえば気絶は免れないだろうな。仮に意識が残ってても試合の継続はまあ現実的じゃねえ。
だけどなあ……【瞬間移動】の俺にわざわざ宣言したって事はそうだろ?逃げるなって事だよな?
いいよ。かかって来やがれ。真正面からお前をぶん殴ってやる。
どうやら意図は伝わったらしい、と爆豪の口角がニィ……と釣り上げられる。
【瞬間移動】の個性なら確実に回避される事は分かっていた。ならば今から撃つような一撃を使うべきではなかったのかもしれない。
しかし。しかし、それではダメだ。
自分の手で、真っ向勝負で、間飛の全力を叩き潰したい。今の自分の全てと間飛の全て。どちらが上なのかをハッキリさせたい。
故に。この一撃に全てを賭ける。
間飛を倒せたら爆豪の勝ち、間飛を倒しきれなければ間飛の勝ち。それ以上でもそれ以下でもない、
お互い防御も回避も捨てた。不毛な様子見など最早不要。
右腕を大きく引き、半身になって構える。弓のように引き絞られた右手は拳を握らず、静かにその時を待つ。
小細工など無意味。これから起こるのは愚直なまでの破壊力と破壊力のぶつかり合いなのだから。
会場全体から音が消えたような錯覚に陥る。勝負は一瞬。
「
「デトロイトォ!!ストライクゥ!!!」
───奇しくも、爆豪と同じ。
強烈な踏み込みによる加速、腕を捻じる事による回転……そして掌底。オールマイトに憧れ、違う道を選んだ一撃。
超巨大な【爆破】と衝撃がぶつかる。どちらも莫大な威力を秘めた攻撃、巨大過ぎる音はもう誰にも聞き取れはしなかった。
「痛ゥ……マジかよ…………」
「…………クソ」
煙の晴れた舞台には、誰も立ってはいなかった。
二人の選手は満身創痍でセメントの大地を離れており、自身の敗北を噛み締めた。
決勝戦結果:両者場外により引き分け
爆豪「クソ……負けた……!」
間飛「クッソ負けちまった……!」
観客「ええ……」
A組「ええ……」
心操「アイツ絶対『俺の負け』って思ってるだろあれ」
小大「ん(移の事だから負けたと思ってるかも)」