え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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すいません一回間違えて投稿しました。
オリキャラ?の登場です。
後々本編にも出ますのでよろしくお願いします。





番外編?僕のヒーロー

 

 人生は先に努力した方が後々苦労しなくて済むとはよく言うけれど。はいわかりましたとその日から机に齧りつくように勉強出来る人間はほんの僅かしかいない。

 というか言われてすぐに行動に移せる奴はそもそも言われるまでも無く自分から動いているし、真面目な人間ばかりなら世の中こんなに治安が悪くならないはずだ。

 

 早いやつは中学生……いや、もっと早けりゃ小学生から将来を見据えてるという。学校のランクやら成績やらに気を配り、本当にそれで良いのかと聴きたくなる雁字搦めの日々を送っているとか。

 

 逆もまた然り。気にしてない奴はとことん気にしない。

 身近な例を挙げるなら夏休みの宿題だろう。早いうちから終わらせる奴もいれば、ギリギリで眠気と戦う羽目になる奴もいる。ギリギリで終わらせる奴は夏休みの間中『宿題しなきゃ……!』と思い続けたりはしない。

 

「で、(れい)はどっちだ?」

「後者、ですっ……!」

「昔からの付き合いとはいえ歳下に勉強の監督求めてるぐらいだもんなァ?」

「ぐぅ……」

 

 おっ、グゥのねが出るならまだまだ余裕があるな?それじゃあ参考書114ページの中段の問題やってみようか。確か貴方の苦手分野ですよねえ……?

 

「移ぅ……心折れちゃうヤツだよこれぇ……」

「零から言い出したじゃんか。『僕一人だとサボっちゃうかも』って」

「撤回!サボらないから撤回させて!もしくはもうちょっと加減してくれると嬉しいな!」

「判決、却下」

「クソ!買収でもされてるのか裁判官!!」

 

 零、と呼んだ男子は俺の昔からの友人。幼稚園の時に引っ越して来た零と仲良くなり、それからは双子のようにずっと一緒に遊んできた。

 小学生になってからようやく零が俺より歳上だと理解し、それでも関係は変わることなく小中と続き、高校までも同じところを目指そうとしている。

 

 雄英高校。倍率300とかいうインフレ起こしたマンガみたいな数字がお出しされる学校。俺と零が目指すのはそこのヒーロー科だ。

 

 今の俺は中学一年生。最近個性の継承を始めたので体調はあまりよろしくないけれど、親友の頼みを断る程の不調では無い。サボらないように見張ってくれという頼みに全力投球で応えてやってるだけなのだが……

 

「………………キュウ」

「氷使いがオーバーヒート起こしてどうすんだ」

「……僕としては何で移が勉強出来るのかわかんないんだけど」

「習った範囲は、ってつくけど。流石に零の教科書見てもわからん」

 

 まあ、この通りだ。

 零は勉強が滅茶苦茶という程では無いけど、普通の中学生並に嫌いだ。身体を動かす方が性に合うからとは本人談で、実際スポーツ方面の成績は(関係ないけど)個性を差し引いても優秀と言わざるを得ない。

 

 お陰で勉強の事になると二つも歳下の親友に縋りついてくる。頼られて悪い気はしないが力になれはしない。こうして勉強に集中出来るように環境を整え、監督として見張るぐらいしか出来ない。

 

「……僕、受かるかな」

「はい?」

 

 思わず、といった様子で弱音を零す。「何を馬鹿なことを」と切り捨てようとして、何度も見てきたものとは違う───溶けて崩れてしまいそうな弱々しい顔が言葉を堰き止めた。

 

「移みたいに堂々と出来ないし、勉強だって得意じゃない。隣のクラスの委員長やってる人とか見てると、そう思っちゃうんだよ……」

「…………」

「今だって二つも歳下の移に頼ってて……情けないなぁ」

「それは──」

 

 違う、とは言えない。思考をやめて問答無用の肯定をしたところで零には響かない。それどころか歳下の自分にまた励まされたと尚更落ち込む可能性すらある。

 

 幼稚園児の頃とはいえ二歳差の子供がずっと仲良しでい続ける事は珍しい。どこかでそれぞれの友達と遊ぶようになって、いつの間にかご近所さんの一人としてカウントされてしまう方が多い。

 じゃあ何故仲がいいままだったのかと言われると、俺も零も人付き合いが苦手だからだ。

 

 零は引っ越して来た為か周囲と馴染めず、俺以外の人付き合いは知り合い以上友人未満で終わってしまう。俺は好きな物が合わない為に会話が上手く続かなくて、嫌われなくとも仲良くはなれなかった。

 要するに傷の舐め合いみたいなものだ。

 

 さすがになんて声をかけるべきか分からない。唯一の友人なのに、その友人を悩ませている原因の一部でもあるのだから。

 

 どうしよう、なんて考えていると

 

パチン!!

 

「っ!?ど、どうした……?」

「ったた……意外と痛いんだねこれ……」

「あ、当たり前だろ。強くやり過ぎなんだよ」

 

 急に両手で自分の頬を挟み込むように叩いた。雪のように白い肌にくっきりと赤い手の跡が残る。いつもはヒンヤリと冷たいのに、ヒリヒリとした熱を感じる。

 

 思ってたよりも痛いなあ、なんて言いながら。零は顔を上げてこちらを見つめる。

 

「……うん、もう大丈夫」

「ホントか?痛くないか?」

「実はまだ痛いかも」

 

 真剣な顔付きになって、すぐにほにゃっと眉を下げて微笑む。女子と間違えられる整った顔で、くしゃりと笑う。

 

「僕は頭も良くないし力が強いわけでもない。意思も弱いし友達だって少なくて……何かが違ったらヴィランになっちゃってたかもしれない」

「……」

「でも、移がいるから大丈夫だ」

「……!」

「というかいてくれなきゃ困る!僕のコミュ障知ってるだろぉ!?雄英に受かっても受かった後が怖いよぉ!」

「感動を返せ」

「貰った覚えがないもん!」

 

 こいつは本当に……なんと言えば良いのか。

 せっかくイイハナシダナーしてたってのに、最後の最後でヘタレないでくれよ。

 

「ああもう、分かったから勉強勉強。余裕ないんだろ」

「ハイ!間飛先生!」

「おい歳上」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

『────おめでとう!合格なのさ!今日からここが、君のヒーローアカデミアだよ!』

 

「や……やった……!?」

 

 気が気でなかった受験結果。郵送で届いた小さな投影端末で告げられた結果は合格。死に物狂いの努力が実を結んだ。

 

 ガタガタッと椅子から崩れ落ちるようにしてスマホに縋り付く。震える手で電源を入れ、感情の昂りを隠そうともせずに通話ボタンを押した。

 一回、二回……とコール音が続き、四回目のコールで電話を取られた。繋がった。

 

「うつ、移ッ!!ぼ、僕やった!何とかなった!」

『落ち着け!?何があった!?』

「うか、受かった!僕受かったよ!」

『受かった?ってまさか……』

「雄英!受かった!」

 

 泣きそうだし声は震えてるし、いつも通りみっともないかもしれないけれど。君にだけは伝えなきゃ。僕の手で僕の声で、直接君に。

 

 電話の向こうで僕の合格を喜ぶ親友。僕なんかよりもずっと強くて大きい声で、自分の事のように喜んでくれている。

 

『良かったぁ……!零の事だから解答欄ズレてたりしねえよなと思ってたんだ』

「ねえ失礼だよね?」

『……どっかのテストで時間ギリギリで気づいたとか言ってなかったか』

「記憶にございませェん!」

『どこの政治家だオメー』

 

 下らない話。何の損得も無くて意味のない会話。でも、無価値じゃない会話。

 

 

 

 ───遊ぼーぜ!

 

 引っ越して来たばかりで周りと馴染めなくて、家族はちょっとギスギスしてて。小さかった僕は何をどうすればいいのか分からない毎日。

 そんな事知らないとばかりに僕を誘ってくれた二つ下の親友。人見知りで会話も怖い僕にいつも声をかけてくれた。

 

 何度も何度も、何日も繰り返されて。いつの間にか僕と彼はともだちになっていて。あんなに怖かった他人が近くにいるのに、ちっとも嫌じゃなかった。

 とうとう僕の方から彼に声をかけるようになって、僕だけが小学校に通う事になった時には大泣きした。何で一緒に行けないの、って。

 

 ───レイの氷スゲェ!

 

 本当は移以外にも友達はいるし、遊びに誘ってくれる人もいる。移が見てない所ではちゃんとした歳上としても振る舞える。

 なのになんでだろう。僕は移の前にいるとふにゃふにゃに弱くなっちゃう。特訓した個性の氷みたいな強さがどこかに行ってしまう。

 

「……僕はずっと君には勝てないんだろうなあ」

 

 通話を終えたスマホの壁紙には僕と移の──僕の中学校入学式の時の写真があった。ぎこちない笑みの僕と満面の笑みの君。思い出のひとつ。

 

 いつかは僕と君も離れ離れになる。いつかは僕一人で頑張らなきゃいけない時が来る。それでも僕は大丈夫だと胸を張って言いたいから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「入学式も終わったところで……自己紹介をしようか。君達はこれから切磋琢磨していくライバルであり、協力する仲間になるんだ」

 

「それじゃあ席順で自己紹介をしていってくれ」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、次!」

 

 

「はい。僕は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 氷叢零治(ひむられいじ)っていいます!」

 

 

 

 先に行くよ。移。

 

 

 





※男です

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