え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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今回ガッツリヒロアカ以外のネタがぶち込まれてます。
完全に作者の趣味でぶち込みました。




ヒーローネームは復讐のライセンス

 

 

 

 

 同じく職場体験3日目。

 こちらはグラントリノに師事する緑谷の話。

 

 自分を電子レンジで例える事で(原作通りに)【ワン・フォー・オール】の全身常時5%……即ち【フルカウル】を習得した緑谷は、相も変わらずグラントリノと組手をしてはボコボコに叩きのめされていた。

 

 ひっくり返って壁に背を預け、ワカメヘアーやらシャツやらがデロンデロンに落ちているけれども。緑谷は気にすることなく「次!」と吠えてみせる。

 しかしドクター、ならぬティーチャーストップ。これ以上同じ相手と戦い続ければ変な癖がついてしまうからと、ここで組手は終わりだと告げられる。

 

「癖とか以前にまだまだ慣れが足りてないです!もっと……もっとお願いします!」

「……焦るのはいいが、俺と戦うのは止めるってだけだ。フェーズ2……職場体験と行こうか!」

 

 ニヤリと笑うグラントリノだが、そもそも最初から職場体験なのでは?と思い──すぐに取り下げた。考えてみれば今この瞬間までひたすら組手しかしていないじゃないか。*1

 

 じゃあ何かしら変わってくるのかと言うと、老師は「ヴィラン退治だ!」と答えた。いきなり過ぎる。

 

 考えとしては正しい。緑谷が長い付き合いから爆豪の初撃が右の大振りであると読んだ様に、同じ相手との戦いは数を重ねることで『人読み』*2というまた別の戦術へと変わってしまう。

 

「仰る事はごもっともですけど……こう突然だと心の準備とか諸々が……」

「聞いた話じゃヴィランとの戦闘は経験済みなんだろ?そう固くなるな、デカい事件(ヤマ)には近づかんよ」

 

 事務所周辺の様な過疎地域ではなく、人口密度の高い都市部では小さなイザコザが日常茶飯事。せいぜいチンピラの喧嘩に割り込みをかけて見よう程度の事らしい。

 

「にしても渋谷ですか……まさかそんなハイカラな街にヒーローコスチュームで……」

「ヒーロー同伴じゃなきゃ着られん服だろ?人の目が多い場所で披露できるんだと喜びんさい!」

「わ、わかりました!」

 

 甲府から新宿行きの新幹線。来るまでよりはよっぽど早く着くだろうけれど、着く頃には日も落ちきって夜だろう。そうなれば“イザコザ”は更に数を増やすだろうから、おそらくそれが目的なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 窓の外も少し暗くなって来た頃に、ようやく保須市を通り抜けようとしていた。

 手元のスマホに映るのはメッセージアプリの画面。送り相手は飯田なのだが、確認された表示がついても一向に返信が来ない。メンヘラ彼女のようなムーブだが、既読後三分以内には返信をしてきた人物ならば心配するのは当然だろう。

 

「座りスマホ!まったく、近頃の若者は……」

「……座ってやるならいいんじゃないですか?」

 

 とはいえ今は職場体験の真っ只中。お互いスマホを触っていい状況ではない。スマホの電源を切ってポケットにしまい込み───

 

 

 

CRASH!!!

 

 

「な……!?」

「っんだアイツ……!」

 

 突如、平穏が砕ける。

 

 外から新幹線を突き破って来たのは一人のヒーロー。彼の視線の先にいたのはやはりヴィラン……USJで見た主犯格のそばにいた存在、脳無と似たような特徴を持った者だった。

 

 まさか、と動き出すよりも早くグラントリノが飛び出す。足の裏から空気を噴き出す個性【ジェット】を惜しみなく使った加速力。緑谷が止める間もなく脳無を吹き飛ばした。

 

「小僧座ってろ!」

「グラントリノォ!!」

 

 飛び出した師を追いかけようにも既に姿は見えず、砕かれた新幹線から火の手が上がる保須市があるばかりだった。

 

 ──何か、良くないことが起こっている。

 

 一目見れば誰もが辿り着く結論に、まったく異なる感覚が警鐘を鳴らしていた。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 路地裏。悪意も殺意も隠れやすい、人通りの少ない暗がりで。とあるヒーローの命が終わろうと……否、終わらされようとしていた。

 

 片やダラりと両手足を垂れ下げ、顔を鷲掴みにされながらも抵抗の一つも叶わないヒーロー。片や包帯とボロ布が正体を隠し、全身に武器を仕込んだヴィラン。

 

「騒々しい……やはり手を組んだのは間違いだったか……?」

「身体が動かねえ……!クソ野郎……!死ね……!」

「……それがヒーローの遺言に相応しいと思うのなら、やはりお前はダメだな」

 

 カチリと音を立てて刀が持ち上げられる。慈悲も容赦もない。殺される。ヒーローが一秒後の死を覚悟した時、エンジン音が割り込んだ。

 

「【頬肉(ジュー)シュート】ォッ!」

「グッ……!?」

 

 名前の通り、ステインの頬を穿つような蹴りが突き刺さる。気配を察知し、迂闊に踏み込んできた所を返り討ちにするつもりでいたのだが、どうしてなかなか予想外。捉えきれずに蹴り飛ばされる。

 

「スーツを着た子供……何者だ……!」

「血のように紅い巻物と、全身に携帯した刃物!お前が『ヒーロー殺しステイン』だな!?」

「──……そうだ」

 

 USJのチンピラ崩れとは比較にならない、これがネームドかと言いたくなる圧倒的な殺意。それでも飯田は怯まない。

 突きつけられた刀には試すような意志を感じるが、それでも彼がやることは……宣言することは変わらない。

 

「僕は、お前にやられたヒーローの弟だ!」

「……ではどうする。仇でも討つか」

いいや(・・・)

 

 ステインの口角が釣り上がる。いい物を見つけたと、ゆっくりと。

 

 飯田の目に復讐の心が無いと言えば嘘になる。しかしそれを補ってあまりある熱意が、強い意志が曇らせることを許さない。

 

 思い出されるのは同級生から勧められた、控えめに言ってレトロと表現して差支えのないフィクション。あまりその手の知識に詳しくない自分でも人を選ぶと分かる絵柄のマンガ。

 

 とある人物が復讐を遂げようとしていた。仲間が撤退しようと声をかけても諦めることはなく、彼女はこう言って見せたのだ。

 

「仇は討たない……だが!復讐させてもらう!

「!!」

「兄の仇討ちでも、憎しみからでもない……!それでも!俺はお前を許さない!」

 

 

 

「『決着』だ!俺がお前との運命の決着をつけるために!俺はお前に復讐する!!」

 

「……そうか、死ね」

 

 

 黄金の精神を携え、インゲニウム(・・・・・・)として戦う。飯田は復讐者の道を選び、ステインに立ち向かった。

 

 

 

*1
間飛もですがなにか

*2
元は麻雀の戦術の一つ。相手の性格やスタイルを前提として考察しながら対応する事。






〜職場体験前日〜
某姉御『運命への決着をつけるためにある!』
飯田「……」
某姉御『グロリアの分だあああーッ!!』
飯田「……!」ガッツポーズ


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