今回いつもより多めに脚注を使用しております。
面倒かもしれませんが出来れば全部見て頂きたい。
それではどぞー
私、間飛移☆職場体験学習に行ったら宿泊先はミルコのお家だった!?そして有名なヴィランを倒したと思ったら、ちゃんとした宿泊先を用意しろと怒られたからって雄英高校に突っ返されちゃった!!私、この先ど〜なるの!?
次回!【変な事に巻き込まないでくれます?】
デュ○ルスタンバイ!
……はい、落ち着きました。
ステインの捕縛というトンデモ実績を挙げたのは良かったんだけど、どさくさに紛れてミルコの自宅にお世話になっていた事が雄英高校にバレました。
未成年の異性を自宅に泊めるのは如何なものかと教師陣から声が上がり、急遽職場体験を切り上げさせられて戻ってきたところなんですよ。やっぱりダメだったんじゃねえか。
で、相澤先生が後で話があるからって仮眠室に行って待ってろと言うので向かってみれば……
「アンタ自分がどんな立場なのか分かってます?隠さなきゃいけないって分かってるはずなのに、何を無駄にマッスルフォームで待機してたんですか」
「えっと、その…………てへ?」
「あ゛?」
「ヒッ」
…………なぁにこれぇ?
今俺の横で床に正座してる骸骨みたいなおじさんがオールマイトで、相澤先生は俺の前のソファからドギツイ目つきで睨み下してる。
え?そんなガリガリがオールマイトなわけないだろって?うん、俺もそう思いたかった。
俺がドア開けた時はまだムキムキマッチョマンだったんだけど、目が合った瞬間にガリガリに萎んだんだわ。うん、現実。否定したいけど否定できない現実。
数秒目が合ったまま呆然としてたんだけど、そこに相澤先生も来て……クソデカため息ついた後に『正座』って言って、はい、こうなりました。
えー恐らくなんですがこのガリガリおじさんがオールマイトの正体で、何かしらの理由で世間に公表出来ない秘密だったのに俺にバレちゃった、と。
「……すまん間飛。こうなってしまっては隠せそうにない」
「へっ?ああいや、俺は別に大丈夫です、よ?」
「本当は生徒にだけはバラしたく無かったんだが……見られたからには仕方ない」
えっ、消される……!?あ、違うんですね。はい。
「オールマイトさん。貴方が責任をもって自分で話してください。俺がわざわざ適当に端折るよりも確実でしょう」
「……そう、だね。とりあえず改めて……私はオールマイトだ」
「はい。信じたくないけど現実らしいので受け入れます」
「何か嫌味じゃない!?」
いいからはよ。とっくに脳みその
「じゃあ……まず私がこんな身体になってしまうのは────」
5分経過……今はこんな所か……。
10分経過ァ!まだまだ長話の気配を感じるぞォッ!
説明下手のパワーも全開だァッ!!15分経過ァ!!
「───というわけなんだ」
「…………」
「ど、どうかしたかな……?」
結論:過去のヴィランとの戦闘で長時間戦えなくなった。
何でこれだけで済むことを長々と引き伸ばすんだよ。これが味噌汁なら本当に味噌入ってんのか疑わしくなるぞ。ほぼお湯の長話じゃねえか。
で、ちょっと気になるのが時々言葉に詰まってたのはなんだったんですかね。多分固有名詞を出そうとしてたんだろうけど、頭文字だけ言って止めてたし。ワ……ナンチャラとオ……ナンチャラってなんだ。
「ワ何とか、とオ何とか、は触れない方がいいんです?」
「……ちょっと考えさせてくれる?」
「オールマイト。本気で言ってます?コイツはまだ今なら無関係のまま終われるんですよ」
「相澤君、外で少し話そう」
あらやだワタクシ除け者。
◇
「……それで?アイツを巻き込んでもいいかって相談なら俺は反対しかしませんよ」
後ろ手にドアを閉めた瞬間、相澤の目に【抹消】が輝く。その表情はどう言い繕っても怒りそのもので、とても穏便に終わりそうにない雰囲気を醸し出している。
対するオールマイトは先程までの情けなさはどこに行ったのか、至って真剣な顔で迎え撃つ。ヴィランを睨むような目ではなく、決意した一人の大人の目で。
「先日のUSJ襲撃事件……彼らは『ヴィラン連合』と名乗っていただろう?」
「……それが何か?アイツらは確かに恐ろしいが、俺達大人だけでどうとでもなるでしょう。わざわざ生徒に助けを求める必要も無い」
「そうじゃない。何も私は間飛少年に縋り付くつもりで言ったんじゃない」
黒霧に脳無、そしてシガラキトムラと呼ばれていた三人だけが脅威だった。それ以外はチンピラ崩れの寄せ集めもいいとこで、主犯格の三人も人数を揃えれば勝てない相手ではない。
しかし問題はそこではない。オールマイトが見ているのはヴィラン連合の更に奥、彼らのスポンサーとも言える立場にいるであろう存在。
「私が間飛少年の個性を知ってすぐ、相澤君達教師の方々に私の個性について話しただろう?」
「どんな与太話だと思いましたよ。新入生の一人が貴方と同じ個性かもしれない、なんて」
「同時に私が警戒しているヴィランについても話したはずだ」
「……そっちはもっと信じられなかったんですが」
オールマイトは【ワン・フォー・オール】について明かしたものの、一方で【オール・フォー・ワン】についてはあまり話さなかった。具体的に名前を言わず、個人なのか組織なのかさえも曖昧に濁した。
今この場でオールマイトはハッキリと伝えたのだ。オール・フォー・ワンは一人のヴィランであり、オールマイトが仕留め損ねた魔王だということを。
「オール・フォー・ワンは何故か【ワン・フォー・オール】に強い執着心がある。何とかして奪おうとしてくるだろう」
「……っ!まさか、ステインの件で!」
「ああ。オール・フォー・ワンが間飛少年を後継者と勘違いして手を出すかもしれない」
そんなはずは、で言葉が詰まる。無いと言いきれない。何せ教師陣でも何度か話題に上がっていた
──まるでオールマイトみたいだな、って。
聞けばオールマイトの師匠やかつてのサイドキックでさえ見間違えたという。ならば仇敵さえも勘違いしてしまう可能性は高い。
もしその時が来た場合。何も知らずに奪われてしまうよりも、今この瞬間から巻き込んでしまった方がかえって安全なのではないか。オールマイトはそう考えた。*8
相澤としては当然反対だ。如何に実力があったとしても間飛は生徒。守られるべき子供であり、大人の事情で振り回されていいはずがない。彼の事を想うのならばそっとしてあげるべきだ。
そう思うのに、合理的な思考がそれを許してくれない。これまでの話を纏めてリスクとリターンを天秤にかけた時、彼を無知なままにはしておけないという答えが出てしまう。
「……それでも、俺は反対です」
「相澤君……」
「アイツは俺の生徒で、アイツに戦わせるぐらいなら俺が───」
「あ、あのー……」
キィ、と。恐る恐るドアが開かれる。開けたのはやっぱり間飛で、ドアの隙間から顔だけを出して申し訳なさそうに割り込んできた。
「何だ?トイレならさっさと──」
「いや、あの……ですね?その、さっきからお二人の会話なんですけど……」
「?」
「バッチリ聞こえちゃってたんですけど……?」
「「えっ……?」」
間飛には【ワン・フォー・オール】や【オール・フォー・ワン】についての話が全て聞こえていた。それもしっかりと説明されちゃったので、忘れるも何もあったものではない。
……本来ならば間飛が待機していた部屋はそれなりの防音性があった。内からも外からも聞こえにくく、お互いに何をしていても分からないはずだった。ドアが開いて無ければですけども。
相澤、痛恨のドア閉めミス。後ろ手に閉めたせいでちゃんと閉まり切っていなかったようで、オマケに議論にヒートアップしていた二人にはゆっくりと開くドアなんぞ視界にも入らない。
話すべきかどうかの議論が全て聞かれ、話そうとしていた詳細が全て筒抜けになるというとんでもないミス。とうとう相澤とオールマイトの顔が青を通り越して驚きの白さになった。
「…………やらかした」
「ちょ、話すつもりだったけどこんな形で話すつもりは無かったよ!?どどど、どうしよう!?」
「懲戒免職……いやもう腹切り案件です。潔く散りましょうオールマイト」
「相澤君が壊れた!!もうダメだ!」
一瞬の静寂の後、なんと素敵なパニック状態。未だかつて無い光を宿した目の相澤に怯えるオールマイト。置いていかれる間飛。誰か裁判長呼んでこい。ガベル*9で黙らせてもらえ。
「ちょちょちょ、落ち着いてください!?」
「いや、申し開きもない。介錯は……山田でいいか」
「山田って誰です!?とにかく……落ち着けェ!」
ゴッ!!
ほら暴れるから。お揃いのゲンコツもらっちゃって。しかし痛みもあってかようやく二人とも落ち着きを取り戻した。
「その、俺も今日は疲れちゃったんで。明日また学校に来た時にもう一回詳しく教えてください」
「……オールマイトさん。生徒に気を使われたんですが」
「なんだろうね。心が痛いね」
No.1ヒーローと自他ともに厳しい教師は、生徒の遠回しで露骨な気遣いにほろりと涙を零した。ああ、なんてほろ苦い感覚なんだ。
ちなみに間飛が帰ったあとリカバリーガールに折檻された。
間飛「何してんやろか……おん?」ドアパッカーン
オールマイト「OFA……AFO……」
相澤「それでも俺は……」
間飛「……丸聞こえやんけ!」