え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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皆様いつも感想・評価ありがとうございます!
いつの間にか☆9評価が90を超えていてびっくりしました!
これからも本作をよろしくお願いします!





ノリと勢いだけではこのザマよ

 

 

 

 ──間飛の課題は独断専行の癖です。

 

 演習試験のペアを考える会議で眉をひそめながら相澤が告げた。

 それぞれの生徒の素行や思考の癖、作戦の傾向や手札を考慮しての組み合わせを作る必要があった。間飛の場合は『独断専行しがち』という分かりやすいものだ。

 

 ではどう解決すべきかと問われると答えに詰まる。当の本人は爆豪のような高いプライドでもなければ、緑谷のように自分からリスクへと飛び込みに行っているつもりもない。

 恐らく彼の中で最適解を求めた場合、その多くが『俺がなんとかする』という答えに行き着いてしまうのだ。

 

『今はまだ良くてもプロヒーローになった時、この考え方はいつか足元を掬われます』

『そうは言うが……どうするんだ?お前の【抹消】かオールマイトでもなければ真っ向勝負は話にならんだろう』

『……なので、心操(コイツ)を巻き込みます』

 

 有効と思われる教師は既に相手が決まっている。誰が間飛の相手をするのかという当然の疑問に対し、相澤は一枚の書類と証明写真を取り出した。

 

 心操人使。多少の非難や苦情を飲み込んででも彼の為に席を空けておくべきだと相澤に言わせた生徒。

 

 脱出を選ぶなら心操がゲートを潜り、戦闘を選ぶなら心操を主体とした作戦を。生徒の戦闘力の高さに対応しきれず特別ルールを設ける、というのはあまりに情けない話だ。しかしこのぐらいしなければ簡単過ぎる……俗っぽく言えばヌルゲーになりかねない。

 

『心操の編入試験を兼ねて、間飛にいくつかのハンデを背負わせましょう。そうすれば少しくらいは仲間の活かし方を考えるようになって……なって、くれると思いましょう』

『言葉に詰まってやるなよイレイザー!可愛い可愛い教え子の一人だろ!?』

『お前に間飛の相手をさせてもいいんだぞ』

『山田ひざし、お口チャックしマース』

 

 そんなに嫌なのか、と突っ込む者はいなかった。だって皆嫌だし。

 

 幸いと言うべきか心操はB組行きが確定していることもあって手が空いているブラドキングが担当することになった。*1

 何故か他の先生方はご愁傷さまとでも言いたげな顔をしていたが、可愛い教え子(予定)の為だ。ブラドキングは張り切って間飛の相手を引き受けた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「始まったか……」

 

 フィールドは市街地を模した訓練場。間飛はともかく普通科の心操でも最低限の動きが出来るようにと配慮された結果の選択だ。

 都心部ではなく住宅地に近い造りとなっており、高い建造物は無く高くても三階建てが数える程しかない。

 

 視界は良好でなくとも向こうから仕掛けてくるしかない。ならばせいぜい未熟者達が来るのを腰を据えて待ってやろうじゃないか。ブラドキングはそう思っていた。

 

 

 ───上空に間飛が現れるまでは。

 

 

「何!?」

「ブラキン先生(センセ)ェああそびィましょおおおおおッ!!?」

 

 自分のほぼ真上に突如現れた。間違いなく【瞬間移動】によるもの。彼の右腕は弓のように大きく引き絞られ、強烈な一撃を予感させる。

 

(馬鹿な!?ルールを忘れたのか!!?)

 

 まさかそんなの知らねえとブラドキングを戦闘不能にし、心操にハンドカフスだけ付けさせれば良いとでも思っているのか、と予想だにしていなかったスタートで大きく動揺してしまう。

 

 そこに心操の一撃が文字通り、ブラドキングの鳩尾に深々と突き刺さった。

 

「ガアッ……!?」

「捉えた!」

 

 上に意識を向けたところに、こちらもまた想定外の速度と威力の掌底。個性が一切絡まない強烈なインパクトが一拍遅れて強い痛みを与え、無理やりに息を吐き出させる。

 

 あれだけ警戒していた間飛の一撃は終ぞ放たれることは無く、個性だけを警戒していた心操の手痛い攻撃に3m程後退させられた。

 

「おのれ……!間飛は()か!」

「まさか。俺も本命ですよ!」

「───ッ!」

 

 何を、と言いかけて口を閉ざす。今の声が間飛のものとは限らない。迂闊に返事をした時点でブラドキングの負けが決まってしまう。激情のままに吠えることの多いブラドキングが、無言で声の聞こえた方へと蹴りを放つ。

 

 どうやら今のはペルソナコードによる声真似ではなかったらしく、振り抜いた蹴りは間飛に向かう。が、まともに当たるはずもなくキッチリと腕でガードされてしまった。

 

『間飛・心操ペア条件達成!!』

 

「何ィ!!?」

 

 その瞬間、予想だにしないアナウンスが流れた。

 今自分が相手しているペアが合格?一体いつの間に──という思考はピタリと止められた。

 

 

「……おお、止まった。マジですげえなそれ」

「だろ?」

 

 目は虚ろに、命令がなければ一切の動作を起こさない。

 

 【洗脳】が決まった証拠だ。

 

 心操が今度こそハンドカフスをブラドキングに付け、ようやく本物の勝利を告げるアナウンスが流れた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 少し時を遡って試験開始直後の話。

 場内に響き渡るアナウンスを聞いた間飛は心操と話し合いを続けていた。

 

「さっきの放送ってリカバリーガールだったよな」

「ああ」

「……じゃあ、俺じゃなくてリカバリーガールのアナウンスを真似してみるのはどうだ?」

「……!いいね、それ」

 

 心操を軸に考えるのであれば、どうしたってトドメには【洗脳】を使う必要がある。なのでまずは誰の声で【洗脳】に引っ掛けるかを決めた。

 次にどのタイミングで仕掛けるか。生半可なタイミングでペルソナコードを使えば手の内がバレて使いものにならなくなる。一つの作戦でチャンスは一度きりと考えるべきだ。

 

「リカバリーガールのアナウンスを使うなら……中止命令とか出すか?」

「いやそれは多分無理だ。やるならそうだな……ああ、それっぽい動きを何個か挟んでいきなり『間飛達合格ー!』ってやったら反応しないか?」

「それは、アリか。何!?とか馬鹿な!とか言ってくれりゃそれで終わる」

 

 まさかのアナウンスの声真似という予想外の盤外戦術。真面目で熱血なブラドキング相手なら高確率で引っかかるだろうという希望的観測はあれど、普通の教師であればまず動揺して声を出してしまうだろう。

 

 それっぽい動きだが、ハンドカフスを付けられたと思わせるかどちらかが脱出した可能性を匂わせればいい。なので最低でもどちらかがブラドキングと接触する必要がある。

 それに心操のルールもある。そう考えると自ずとブラドキングとの接触を行う役目は心操に決まってくる。

 

「問題はお前がブラキン先生にハンドカフスを匂わせるくらいの接触が出来るかってところだな」

「それなんだけどさ」

「?」

 

 

「俺を大砲みたいにぶっ飛ばさないか?」

 

 

「……試験中止してリカバリーガールに見せなきゃだろ」

「おかしくなったわけじゃないから。最後まで聞いてくれ」

 

 真剣に心操を心配したくなる提案だが、彼は至って真面目に提案している。

 

 ブラドキングは特別ルールの関係でどうしたって心操を警戒しなければならない。最悪心操を一極狙いしてしまえばどうとでもなるのだ。

 その心理を逆手に取って、間飛が俺一人で片付けてやらァ!的な雰囲気で気を引いてもらいその隙にそれなりに強い一発をぶち込みたい。

 

 そうなると足りないのはスピードとパワー。間飛の囮があってもこちらに気づかれてしまえば無意味だし、気づかれないまま辿り着いたところでノーダメージのままでは急なアナウンスを流されても不自然に思われるだろう。

 

「……それで南斗人間砲弾をしたい、と」

「そこまで言ってな……いやそこまでの事を言ってるのか」

「言ってるな。じゃあ……足でぶっ飛ばすか」

「足で」

 

 ブラドキングを視認出来るほどの位置まで近づくと、間飛の足の甲に心操が膝を曲げてしゃがみこむようにして乗る。

 狙いは真っ直ぐ土手っ腹。一直線に打ち抜くように。

 

「足を振り抜く瞬間にジャンプする要領で足伸ばせ。思いっきり俺の足を蹴っ飛ばすつもりでな」

「こ、怖いな……これ」

「最悪外しても俺が受け止めるから安心しろ」

「急に大丈夫な気がしてきた」

 

 決断を済ませた心操に合わせ、間飛が勢いよく心操を射出。【フィジカルギフト】による確かなコントロール技能がブラドキング目掛けて一直線のルートを実現する。

 

 心操の射出と同時に間飛は大声を上げながらブラドキングの真上にワープ。打つつもりの無いSMASHを見せ札にし、心操の存在を思い出させないうちにカタパルト心操が着弾。リリースされた間飛の攻撃力の半分……半分もあったら死ぬので1/20の攻撃力によるダメージ。

 

 心操自身も驚く一撃にズザザッと音を立てて後退するブラドキング。今のダメージで余裕は消し飛んだのかやや強面くらいの顔が普通に怖いレベルまで歪む。

 

「まさか。俺も本命ですよ!」

「────ッ!」

 

 間飛がブラドキングの回し蹴りを受け止めた瞬間、ここだ!と心操がリカバリーガールの声を模倣し、スピーカー独特のノイズを再現したアナウンスを発した。

 

 結果は大成功。一から十までこちらの作戦通りに事が進み、当然心操が決着を付けるという条件も達成。

 

 開始から数分でケリがついた一方的な試験となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「南斗人間砲弾……!?」

「俺も言っといて何ですが、頼むからあんな物騒なのと一緒にしないでください」

「……ちなみにどんなの?」

「こんなの」*2

「俺二度としねえ」

 

 

*1
ブラキンには不幸にも

*2
アニオリの技。スタッフが原作者と担当編集者に怒られるくらいにはトンチキな事をしていた。





リカばぁ「ええ……」
他の先生達「「「はっっっっや!?」」」
他の生徒たち「「「はあああああ!?」」」

間飛「イェーイ」
心操「イェーイ」



ちょっとお知らせです。
考察系?の感想に対し、作者側がどう返信したものか悩んだ挙句に中途半端な返信になってしまっております。申し訳ない。
これからも考察系の感想は書いていただいても全然構いませんが、作者の返信がカスになる事をお許しください。

なんなら作者の視点で皆様の考察を読んでニヤニヤしてるのでやめて欲しくないというか……
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