え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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やり過ぎですよオールマイト先生!?

 

 

 

 他のペアが続々とクリアしていく中、ようやくと言うべきか緑谷と爆豪はオールマイトに一矢報いていた。

 

「っ痛う……!?」

「何ぼさっとしてやがる!さっさと行くぞ!」

 

 手榴弾を思わせる形状をした爆豪の篭手を緑谷に持たせ、蓄積されていたニトロの汗を炸裂させた。あまりの反動に右肩から嫌な音と痛みが生じるが、立ち止まっている余裕は無い。爆豪の言葉に何とか立て直しながらゴールに向けて走り出す。

 

 自分が、自分の力で、と吠え続けていた爆豪が選りにもよって緑谷との協力を必要とした。本人にはこれ以上ない屈辱だろう。

 

 それでも緑谷が言ったように『勝ちを諦める』なんて事を一瞬でも視野に入れた自分よりずっとマシだ。焦りも苛立ちも自覚していたのにいざ緑谷を前にした爆豪はソレよりも緑谷を拒んでしまった。

 業腹ではあるがだからと言ってこんな所で躓くのも論外。煮えたぎる怒りや不快感を飲み下してでも緑谷を使わねばオールマイト相手に条件達成は不可能。

 

『常闇・蛙吹ペア条件達成!』

 

「ちっ……他の連中はどんどんクリアしてやがる」

「峰田くんや飯田くんもクリアしてた……!僕達も急ごう!」

「指図すんなっつってんだろ!」

 

 そうしている内にも他は先へと進む。連続で三組のクリア報告は彼らに限らず残るペアに焦りを生む。知らず知らずのうちに希望的観測をするほどに。

 

「オールマイト追ってこないね……?」

「それなりに効いてたとして倒せたとは思えねえが……次もし追いつかれたら今度は俺の篭手で──」

「うんうん!それでそれで!?」

 

「「ッッッ!!?」」

 

 まだ時間がある、という無意識の甘えを一瞬で砕かれる。僅かにでも『もしかして』と過ぎった頭に冷水をぶちまけられたように背筋が冷えた。

 

 賞賛すべき速度で爆豪が反応。拳銃の如く咄嗟に篭手を向けるが、ただの拳の一振りで粉砕された。ならば次の手を……が間に合うはずもない。

 何をされたのかを把握することも出来ずに気がつけば完全に制圧されてしまった。

 

 腕を掴み持ち上げられる緑谷、片足で踏みつけられただけで立ち上がることさえ出来ない爆豪。No.1ヒーローという高い高い壁を今一度再認識させられる。

 圧倒的な速度、爆豪と緑谷でも落としきれない耐久力。そしてなにより純粋なパワー。何もかもを真っ向から捩じ伏せるその在り方こそ、現代における最強の名に相応しい。

 

「恐らくだが……『最大火力で私を引き離しつつ脱出ゲートを潜る』のが君たちの答えだったんじゃないか?」

「っ……!」

「残念ながらその『最大火力』も失った……

 

 終わりだ!!」

 

 緑谷の頭に『敗北』が過ぎる。ここから打開する手段が思い浮かばない。少しでも戦いが成立していたのは重りによるハンデと想定外の連携に寄るもの。それが崩れてしまえばこんなものだ。

 

 では爆豪は───

 

「うるせえ……!!」

 

 

 FABOOOOM!!!

 

 

「ぬうっ……!?」

 

 ───今更諦めたりなどしない。

 

 篭手によるサポートを失って尚、限界を超えた最大火力の【爆破】による一撃。手のひらを上に向けて放たれたそれはオールマイトをも吹き飛ばし、無理やり彼に高さを与える。

 ズキリと痛みの走る手のひらも構わず、緑谷の腕を掴みそのまま強引に爆風を乗せてゲートに向けて投げ飛ばした。

 

「行けぇ!!」

「痛ぅ!?」

 

 強引。しかしオールマイトが宙に浮いた今ならば少なくとも一秒の猶予がある。無理やりにでもこのチャンスを逃す手は無い……のだが。

 

「NewHampshire……SMASH!!」

「っく!?掠った……!?」

(オイオイ嘘だろ!?今のを避けるのかよ!)

 

 それで勝てるほど甘くは無い。超パワーによるパンチの反動での加速を利用し、咄嗟の威力とは思えないヒップアタックが飛来する。フルカウルによる強化がなければ回避すら間に合わなかっただろう。

 

 突進を外したオールマイトは地面を抉りながら着地。回避されたことに驚愕しつつも目を離さぬようにと顔を上げれば、また爆豪が手のひらをバチバチと滾らせて目の前まで迫っていた。

 

「バカだったぜ……リスクも取らずにアンタに勝てるハズなかったわ」

「な───」

 

「死ねェ!!!」

 

 体育祭で見せた特大火力にも劣らない爆破の連続。さしものオールマイトにさえダメージを与え、痛みを無視できないレベルの威力を誇る。

 

「なんと言う無茶を……!!」

「ッ〜……!!

 

 

 やれ!デク!!!」

 

 

 爆豪の執念に尊敬さえ覚えるオールマイトの前に、爆煙を掻き分けて緑谷が飛び出す。彼の右手は強く固く握りしめられ、これまで何度も見てきた膨大なエネルギーが込められていた。

 

 

「うわあああああああああっ!!!」

 

 

 SMAAAAASH!!!

 

 

 【ワン・フォー・オール】の80(・・)%。動けなくなるギリギリまでの反動を覚悟の上で打ち放った一撃。体勢の崩れたオールマイトでは防ぐことは出来ても耐えることは叶わず、足が地面を離し訓練場の外にまで吹っ飛ばした。

 

「クソが……最後の最後までテメェなんぞに頼る羽目になるたァ……!」

「ぐうっ……!は、早くゴールしよう!」

 

 今度こそ。今度こそオールマイトの手は迫ることなく、二人揃ってゲートを潜った。

 

 

 

「……HAHAHA。まさか反動を覚悟の上とはいえ、あれ程の威力を出すとはね」

 

 脱出ゲートから数十メートル離れた場所でオールマイトは笑う。

 未熟だと思っていた少年はいつの間にやら次へと進み出しており、焦燥に駆られていたはずの少年はもう前を向いている。子供の成長とは大人が思っているよりもずうっと早い。こんな形で知らされるとは思いもしなかった。

 

「楽しみにしてるぜ……緑谷少年、爆豪少年!」

 

 いつか自分がいない時が来ても大丈夫。そう思わされるには十分過ぎた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 苦戦した組もあれば速攻で終わらせた組もあった。最終的には芦戸・上鳴ペアと砂藤・切島ペア以外の組が条件を達成して終わった。

 当然と言うべきかズタボロな者も多く、リカバリーガールの元で治療を受けている為にこの場にいない者もいる。筆頭はやはり爆豪と緑谷の二人だろうか。*1

 

「演習試験お疲れさん。結果は後日発表するから、今日はもう終わりだ。いまここにいる奴らも後でしっかりリカバリーガールの所に行くように」

「つ、疲れた……」

「上位互換ってマジだったわ。ウチら滅茶苦茶苦戦した」

「間飛はええよ!何した!?」

「あー……あれは心操をな?」

 

「おいまだ途中」

 

 ……疲れきっていても躾られた内容は忘れていないらしい。威圧感を滲ませた一声でザワついていた全員が口を閉じた。

 

 とはいえまだまだ学生。テスト終わりにあれやこれやと話したくなるのも当然だろう。その気持ちが何となく理解出来る相澤はため息を零しつつもまずは全員を労った。

 

「今日の試験には意図的にそれぞれの課題となる相手をぶつけていた」

「やっぱりか」

「緑谷と爆豪は分かりやすいわな」

「俺らはアレか、継戦力か……!」

「えー、私何だったんだろ!?」

 

 課題の対象となるのが教師なのか、はたまた自分のペアだったのか。どちらにせよ何かしらの意図を持って組まれていたのは確かだ。

 それを聞いた生徒達はにわかに騒がしくなるも、すぐに静かになる。組み合わせを見ればそれなりに分かりやすくはあるのだが今確認すべきことでも無い。

 

 相澤は話を続ける。

 

「課題に気づいたかどうかはどうでもいい。お前たちがその課題を前にしてどう取り組んだのかを確かめさせてもらった」

「今自分達ニ与エラレタ課題ヲ自覚シタ者モイルダロウ?」

「うっ……まあ、はい」

「確かに」

But(しかしだ)!お前ら想像以上にやれたぜ!!俺も───……いや虫は勘弁して欲しかったけど」

 

 正直な感想として教師達は驚かされたのだ。ヴィランの襲撃を乗り越え、例年と違って相澤が未だに一人も除籍してないとはいえこれ程の実力を持っていたとは。

 小さな変化から磐石な強化。生徒によって成長はそれぞれ異なるものの、もし今まで通りのロボット相手ならば問題なく全員が合格していただろう。

 

「自分は出来なかった、と思う者もいるだろうが……結果が出るまでは希望を持ってろ。それぐらいには皆出来ていた。それじゃあ解散」

「「「あざっしたァ!!!」」」

 

 悲喜交々の中、演習試験は終了した。

 

 

 

*1
リカ婆「オールマイト……そこに正座」






A組(((緑谷達だけ分かりやすいな……)))
教師陣(((緑谷達はバレてるだろうな……)))


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