え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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いーちぬーけた!

 

 

 

 おはようございます(クソデカ脳内ボイス)

 

 最近のお薬凄いね。バスに乗ってから緑谷に起こされるまでワープしたかと思った。俺の個性が悪さしたかもと真剣に考えちまったよ。HAHAHA。

 

 ……ところで緑谷が目を合わせてくれないんですが。何?寝言?意味不明な寝言が怖くて近寄れない?俺は何を言ったんだ……夢の中ではせいぜい皆でコロッケ作ろうとしてただけなのに。*1

 

「……休憩って聞いたんだが」

「あれ、B組は?」

「トトト、トイレは……?」

 

 休憩ってパーキングエリアとかでするものでは。景色はいいけどトイレどころか建物らしい影すら見えないんですけど。ほら峰田のグレープジュース(意味深)*2が出る前にトイレの場所とか教えてあげないと。

 

 俺達生徒のざわめきを余所に、相澤先生が何かを呟いていると聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「よーうイレイザー!」

「ご無沙汰してます」

 

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」

 

 

 寝起きにこのテンションはキツいな。胃もたれしそう。

 

 今回お世話になるプロヒーローの『プッシーキャッツ』さん達ですね。お久〜。

 

「久しぶり……でもないかな?三日前だもんね」

「まあそこは何とでも。こんにちはマンダレイさん」

「ま、間飛くん知り合いなの!?」

「いや?ただ一足先にって相澤先生が会わせてくれただけ」

 

 今ここには居ないけど『ラグドール』って人に個性を見てもらった事があるだけだ。ちょっと前の不調の原因を探れないかって相澤先生が頼み込んでくれたらしい。マジ感謝だわ。

 

 緑谷は俺の返事を待たずに同胞(オタク)特有の早口解説を入れていたが、キャリアが12年にも……というところで「心は18ィ!!」と肉球グローブで強めにどつかれた。何してんすかピクシーボブさん。

 

 んでもう一人のマンダレイさんはマイペースに説明してるし。宿泊施設はー……あの山の麓?ごめんなさいまずどの山?

 

「今はAM9:30……早ければ12時前後かしらん」

「ダメだ……おい……」

「戻ろう!?」

「バスに戻れ!早く!」

 

 てかさっきから切島達は何をそんなに騒いで──

 

 

 

「悪いね諸君。合宿はもう始まってる」

 

 

 

 ──瞬間、地面が流動しバスに戻ろうとしていた皆を大波の如き勢いで吹き飛ばした。

 

 

 

 のだが……。

 

 

 

 

 SMASH!!!

 

 

 

「ビッッッックリしたあ……」

「…………ありゃ?」

「……今時の子ってこんな事出来るんだ」

 

 ……うん、跳ね除けられない程じゃないな。いきなりで驚かされはしたけど強めに殴れば簡単に吹っ飛ばせる。そうでなくとも【瞬間移動】でヌルりと出てこれたし。

 

 実行犯のピクシーボブは冷や汗をタラりと流しつつ目をパチパチとさせており、マンダレイは驚いた後に苦笑してて……あれ俺なんかやっちゃいました?*3

 

 もしかしなくてもこれはアレか。ここからバスじゃなくて自分達の足で宿泊施設に来てみろとかそういう奴か。ピクシーボブの個性で俺達を森林エリアに叩き落とすつもりが、俺だけ抵抗しちゃってどうしよう……と?

 

 本当にどうしましょ。

 

 恐る恐る相澤先生の方を見るとため息こそついているけれど、それ以上何かを責められる様子もなく頭をガシガシと掻いている。

 

「安心しろ。お前がコレに対処する可能性は考慮済み……回避された時は俺達と車で向かう事になってる」

「よかったあ……何かやらかしたかと思いましたよ!?」

「お前以外でも対処出来る奴がいれば同じ扱いになっていた。まあ今まで似たようなことをして来たが、そんなやつ見たこともないけどな」

 

 事実上ヤバい例外枠用の特別ルールなんですね分かります。ん?だとしたら俺もヤバい例外枠に……間飛は考えるのをやめます。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「ペッ、ペッ!土が口の中に……」

「自分で歩いて来いって……マジで言ってんのかよ!?」

「個性使えったって何に?」

「耐えた……オイラ耐えたぞ……!」

 

 間飛を除くA組のメンバーは全員下の森へと叩き落とされていた。落とす時に聞こえたのは『私有地だから個性の使用はOK』と『今から三時間のうちに歩いて来てみろ』だ。後はこの森を【魔獣の森】と呼んでいたくらい。

 皆が困惑する中ひたすらトイレを我慢していた峰田がとにかく茂みを目指し駆け出す。峰田ダムは決壊寸前、早急に排水処理をせねばならない。

 人目がなけりゃどこでも、と思った瞬間。頭上に一段と濃い影が差した事に気づき顔を上げる。

 

 のそっ……

 

「「マジュウだー!!?」」

 

 異変に気づいた上鳴と瀬呂がまず野生動物としては有り得ない見た目の化け物に悲鳴をあげた。長く太い四足で歩き、ガパリと牙の並ぶ口を開いてこちらを見つめている。

 二人の悲鳴に他のA組も反応。何がと尋ねるまでもなく巨大な怪物が目に入る。峰田ダム?ああ、良い奴だったよ。

 

「静まりなさい獣よ下がるのです!」

「口田!」

 

 どんな見た目であれ獣だろうとあたりをつけた口田が動いた。彼の【生き物ボイス】は動物と意思疎通を可能とし、命令を行うことが出来るもの。相手が動物ならば無条件で従うはずだった。

 

 しかし口田の命令に従う素振りは全く無く、それどころか攻撃するつもりなのか前足を持ち上げ始めた。踏み潰すつもりなのか鈍い爪で切り裂くつもりなのか。

 

 どちらにせよ止められない。自分の個性が通じないことに困惑し硬直する口田の真横を四人の影が通り抜けた。

 

「「はあああっ!!」」

「死ねやァ!!」

「邪魔だ……!」

 

 エンジン音が、風を切る拳が。派手な爆煙が、地を這う氷結が。四人の同時攻撃によって土塊で創られた魔獣の肉体が砕かれる。一切の迷いなく放たれた攻撃は他のA組生を置き去りにし、確実な成果を挙げる。

 

「お、おおお!?やるなお前ら!」

「けっ、こんな雑魚何匹来ても変わらねえよ」

「……意外と脆いようだな」

 

 明確に一歩抜きん出た彼らへの賞賛はともかくだ。今の一匹でとりあえず何をすべきかは分かった。大方今のような魔獣に対処しつつ宿泊施設に来いという事だろう。

 

「皆さん!役割を決めましょう」

「役割……戦闘役とかか?」

「まず自分が何が出来そうか決めておこう。それから役割分担だ」

 

 そうと決まれば話は早い。八百万や飯田を中心にA組の役割を分けていくことにする。戦闘面は爆豪・緑谷・轟・飯田……と言った具合にそれぞれで適した役回りを当てはめていく。

 話し合いにかかった時間は十五分程度。だいたいの役割分担が終わり、最低限の陣形も組み終えた彼らは宿泊施設を目指して前進する。

 

「どうだ?こっちであっているか?」

『アッテルゼ!』

「【黒影(ダークシャドウ)】ありがとー!」

「……あ、十時方向来てる。小型二体かな?」

「任せろ」

 

 方角の確認を常闇の【黒影】が行い、索敵は耳郎や障子を中心に任せられた。大まかな敵の位置を割り出してもらいローテーションで魔獣の討伐、及び撃退に向かう。意外にも峰田や瀬呂といった拘束能力に長けた者が消耗を減らしてくれていたりする。案外侮れないものだ。

 

 今もまた小型の魔獣を察知したと聞き、瀬呂と尾白の二人が迎撃に回る。瀬呂か峰田が出る時はもう一人前衛役を付けるだけであっという間に魔獣を倒してしまえるのだ。

 勿論その二人が疲れた時には他の者に負担がのしかかる。そこは緑谷・轟・爆豪・飯田などの一人でも十分に戦闘能力が足りている者がカバーしているが。

 

「いまどのぐらいだ?」

「……多分、今正午くらいか?太陽がほぼ真上だ」

「まだかかりそ〜?」

『アトチョットダゼ!』

 

 しかしいくら順調であっても疲れるものは疲れる。先程からポロポロと弱音が零れ出しており、今の進捗がどれ程か確認する頻度が高くなってきた。終わりを望み始めるくらいには疲弊しているようだ。

 

 そんな時にこそ雄英高校の教師はプルスウルトラを要求する。やっと木々の奥に建物が見えたのも束の間、目の前に三匹の巨大な魔獣が現れた。そのサイズたるや、6mはあるんじゃないかと思われる。

 

「最後の試練って事かよ!」

「上等だ……!纏めてぶち殺したる!!」

「支援はハウッ……ま、任せて☆」

「よし皆!行くぞォ!」

 

 各個体に緑谷・轟・爆豪の三人が向かう。かかってこいやと言わんばかりに四足歩行の魔獣は後ろ足だけで立ち上がり、目一杯己の身体を大きく見せて威嚇した。

 

 

 

 

 ──────

 

 ────

 

 ──

 

 

「何と言うか……想像以上にゃん」

「まさかお昼ちょっと過ぎに着くとはねえ?」

「お疲れ」

 

 何が三時間だコノヤロウという怒りをグッと堪えて。いますぐシャワーを浴びて泥のように眠りたくなる気持ちも堪えて。絶対想像以上に早かったから最後の試練追加したろふざけんなという気持ちも何とかギリギリ飲み下して。A組は全員で声を上げた。

 

 

「「「一人だけ逃げんなよ間飛ィ!!?」」」

 

「……って言ってますが相澤先生」

「ほっとけ。避けられない奴が悪い」

 

 プッシーキャッツも相澤先生もどうでもいい。ただし間飛、テメェはダメだ。

 

 魔獣の森を進む中で最も苦労したのが魔獣との連戦。後方支援まで含めれば十数名の戦闘員がいたにもかかわらず、宿泊施設に到達した今の彼らはボロ雑巾という表現がピッタリなくたびれ具合だ。

 

 何度思ったか分からない……『ここに間飛もいたらもうちょい楽なのになあ』と。

 

「代わりに昼飯作ったから許してくれよ」

「テメェ昼飯如きで許すかぁ!?」

「……俺は許す」

「轟!?」

 

 軽過ぎる謝罪にキレ散らかす峰田だったが、それに待ったをかけたのはまさかの轟。一体何事かと聞いてみると……。

 

「俺何回か間飛の作った弁当からちょっと貰った事あるんだが、コイツの作る飯滅茶苦茶美味いぞ」

「……マジ?」

「言われてみれば間飛の飯美味かったな……スイーツなら負けてないつもりだけど間飛の弁当やたら凄かった」

 

 (恐らく)舌が肥えてる轟と(スイーツ限定だけど)キッチンに立つ砂藤からの太鼓判。ここまで来ると逆に気になってくる。

 

 グゥ、と誰からか間抜けな腹の虫の音がした。誰の音……と探る前にまた別の誰かからグゥ、と。いつの間にかA組は文句だとか怒りだとかの感情はどこかに行っており、腹の虫が主張を強めていた。

 

 ──腹減った、と。

 

 間飛の、正確にはプッシーキャッツや相澤先生の後ろの方に見える食堂からはこれでもかと美味しそうな匂いが漂ってきている。夕暮れ時の住宅街で届けられるような、何の匂いか分からないけど腹が減ってくるあの匂いが。

 

「……」

「「「…………」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「野郎共!手ェ洗ってきな!!!」

 

「「「イエスマム!!」」」

 

「誰がママじゃ」

 

 

 成長期の皆さん、ご飯の時間です。

 

 

*1
前話参照。例のフリーゲーム

*2
やめろ馬鹿

*3
ガチ困惑





〜間飛'sキッチン〜
・白米
・豚汁
・生姜焼き
・千切りキャベツ
・きゅうりの浅漬け

相澤「……和食なのか」
間飛「俺が好きなんで」
マンダレイ「すっごく美味しい!」
ピクシーボブ(唾つけ案件か……?)


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