え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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プルスウルトラだよォ!しろよウルトラ!

 

 

 

 まさかの森林強行軍の翌日。ラジオ体操とストレッチを終えたB組達はブラドキングの指示で集まっていた。彼らの前にはブラドキングと普通科の心操が横並びで立っている。

 

「諸君も耳にしていただろうが……彼は心操人使。体育祭のリザルトの結果からヒーロー科への編入を打診され、彼も編入を望んだ」

「……初めましてじゃない人もいると思いますが、心操人使です」

「そして!職員会議、及び本人の志願もあって林間合宿からヒーロー科の訓練に参加する事になった!」

「「「おおっ!」」」

 

 体育祭での活躍やA組の最強格である轟に判定勝ちしたという実績。本人も乗り気であることから前例がないほどの早さでヒーロー科への編入が決定したのだ。

 そしてその編入先はB組。この強化合宿からヒーロー科の一員として訓練に参加し、また一人ヒーローの卵が生まれた事になる。

 

 ブラドキングが軽く心操の背中を押し、自己紹介を促す。同級生とはいえ二十人もの視線が向けられた心操が少し緊張した面持ちで話し始める。

 

「何名かは既に体育祭で接したけど、拳を交えたら友達とか……そんなスポーツマンシップ掲げてる余裕はありません。俺は、もう何十歩も出遅れてる」

「……!」

「悪いけど、俺は必死です。立派なヒーローになって、俺の個性を人の為に使いたい。この場の全員……A組もB組も、皆が越えるべき壁です」

 

 緩んでいるとは思わない。しかし今ここで久しぶりに自分達が追われる立場にいることを思い出させた。あの入試で涙を飲んだ人間が何人いたのか分からないはずが無いだろうに、いつの間にか自分達を追いかけて来る者などいないと安堵していた。

 

 ふわふわとどこか浮かれ気味だった空気がピリッと張り詰める。彼らの目前にいるのは諦観に鈍ることのなかった牙を研ぎ澄ました人間だ。所詮は元普通科などと見下すような愚か者はいない。

 

「それはそれとして……仲良く行きましょう。よろしくお願いします」

「「「よろしくー!」」」

 

 ただし忘れてはならない。彼らは競い合うライバルであり、共に高め合う友人なのだ。今は友人として親睦を深めてもいいだろう。B組は喜んで心操を迎え入れた。

 

 

 さて、若者の青い春は一旦ストップ。水を差すような形になったけれどブラドキングが話を切り出した。

 

「それではこれより“個性伸ばし”について説明する」

 

 昨日相澤がA組に語ったように、ブラドキングもまたB組へと語る。

 個性伸ばしは筋トレと同じ。筋繊維を酷使することで壊し、壊れた筋繊維はより強く太くなって再生する。個性も同じで使い続ければ強くなりそうでなければ錆び付いて衰えていく。

 

 即ちやるべき事は一つ。

 

 

「限界突破だ!!」

 

「「「うわあああああ!?」」」

「何だあの地獄絵図……!」

「もはや可愛がりですな」

 

 ブラドキングが指した方を見るとそこには既に“個性伸ばし”らしき事をしているA組がいた。男女を、訓練内容を問わず誰もが一様に険しい顔をして苦難に立ち向かっている。

 

 上鳴や青山などの許容上限がある発動型は上限の底上げ。ひたすらに放電やレーザーの射出を続ける彼らの顔色は暗く、上鳴なんかは己を鼓舞する為か裂帛の気合を叫んでいる。

 

 異形型やその他複合型の場合は個性に由来する器官……例えば梅雨ちゃんの【蛙】の特徴や障子の【複製腕】等の鍛錬。飯田の【エンジン】や尾白の【尻尾】もこれに当たる。

 

 控えめに言って阿鼻叫喚と表現する他ない光景にB組のほとんどがあんぐりと口を開けて固まった。体育祭であれだけ自分達を蹂躙していた彼らでアレなのだから、自分達もタダじゃ済まない。

 

「……でも先生。私たちも入ると42人、そんな人数の個性をたった6名で管理出来ます?」

「故に、彼女らがいるのだ」

「そうなのあちきら四位一体!」

 

 この人数に六人で足りるのか、という拳藤の問いにどこからともなくコミカルな声が割り込んだ。

 

 

「煌めくまなこでロックオン!!」

「猫の手手助けやって来る!!」

「どこからともなくやって来る……」

「キュートにキャットにスティンガー!!」

 

「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!」」」」*1

 

 

 テテーン!!という効果音がついてきそうな登場。ラグドール・ピクシーボブ・マンダレイ・の四名で構成されたチームは相澤をして合理的だと言わせるだけの実力がある。

 

 

 まずラグドールの個性【サーチ】によって目視した対象の情報が百人まで分析可能。その分析範囲はなんと弱点どころか居場所まで把握できるというのだから驚きだ。

 その分析内容に応じてピクシーボブの【土流】で各々の鍛錬に見合う場を形成。常闇がいる暗所や麗日が転がっている坂道も彼女謹製の物。

 様子を見てマンダレイが【テレパス】を使って複数の生徒達へ一度にアドバイス。個性とは別に全体を見る必要のある大切な役回りだ。

 

「そこを我が殴る蹴るの暴行よ……!」

 

「……色々ダメだろ」

「言い方がヤベー人のソレだ」

 

 先程から気になって仕方ない一人だけゴツいお方の虎。その役目は単純な増強系個性に“我ーズブートキャンプ”なるものをさせること。こら、古いとか言っちゃいけません!

 

 情けなくヒィヒィと悲鳴をあげる緑谷を見て宍田と庄田がウヘェ……とそのキツさを感じ取って嫌な顔をする。しかしその二人以外は不思議そうな顔をしていた。

 

「あれ、間飛はこっちじゃないんですか?」

「ん」*2

「間飛ならばアッチだ。我の管轄では無い」

 

 B組全員の疑問を代弁するように心操と小大が尋ねると虎が指した先には目隠しに加えて耳栓まで装着している間飛の姿があった。

 何してんだアイツ、と思ったのも束の間。侍の居合抜きを想起させる速度で相澤がハリセンを振り抜いた。あ、耳栓取れた。

 

 スパァンッ!!

 

「タコスっ!?」

「はい連続回避途絶えたね。連続十回回避はまだ遠いか?」

「その前に相澤先生……ハリセンの威力上がってませんかね?」

「……どんな武器でも使っていれば慣れてくるものだろ」

「ヤバいこのままだと相澤先生がツッコミの職人になっちまう……!」

「何の心配をしてるんだお前は」

 

 聞こえた内容から推察出来るのは『目隠しと耳栓をした状態でハリセンを十回連続回避しろ』という無理難題の極みを与えられているらしい、ということ。やけに様になったハリセンの居合抜きが今日日お笑い番組でも聞かないくらい、めっちゃいい音を立てて間飛を張り倒す。

 

 他のA組を見た時とは別の意味で開いた口が塞がらない。あれのどこが個性伸ばしなのか一から十まで懇切丁寧に説明されても理解できない自信がある。

 

「よし!ではB組も続け!そして追い越せ!」

「お、おー……?」

 

 ブラキン先生、これ本当に信じていいやつなんですか。と口に出した者はついに現れる事無く地獄の個性伸ばしへと参加して行った。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 俺の【瞬間移動】にはいくつかの制限がある。

 

 まず射程。一度に使える最長距離のワープは300mまで。それに300mのワープをした後は何かしらの手段で移動しなければ再びワープする事が出来ず、レンジの回復に努めなければならない。

 

 次に対象。俺の個性でワープ出来るのは俺のみ……厳密には非生物であれば合計10kg以下までであれば移動についてこれる。それも俺に接触している必要がある上に自分の装備だけでほぼ埋まりきっている。

 おそらくだがコスチューム開発の方々には随分と無理をさせてしまった。あの装備達を10kg以下に抑えるのは苦労しただろう。

 

 最後にワープ先の決定。オールマイトにも説明したが最悪目視せずともワープ自体は可能。しかし不安定な状態でのワープになる為か予定した位置から大きくズレてしまう。目視していればそうズレることもないのだが。

 

 今回の個性伸ばしで俺が着目したのは最後のワープ先の決定に関わる部分。

 目視せずともワープを可能としているのは薄らだがワープ先がどうなっているのかを探知することが出来ているから。つまり俺には空間把握能力(・・・・・・)が備わっているはずだ。

 

 ではどうやって空間把握能力を強化するのかと言えば……。

 

「……間飛さ、今日は訓練終わったんだから目隠し取ったら?」

「今の感覚を忘れたくないんだ……!」

「そのアイマスクどっかで見たような……?なんだっけ?」

「あのメジェドみ*3のある赤いアイマスクって何の奴だ?」

 

 そりゃ勿論目隠ししかあるまいよ。見○色の覇気もこうやって習得してたんだ、ニアピンの空間把握能力もこれで行ける……!はず。

 

 実際感覚は掴みかけてるというか鋭くなっているというか。どれが誰か知らんけど人とぶつからなくなってきた。机とか椅子は結構早いうちから慣れた。

 そんで今も後ろから誰か来てるな。脅かそうとしてんのかな。ならばカウンターで脅かしてくれるわ。

 

「かかったなあh───」

「んっ?」

 

 接近してきたところでグルンと体の向きを変えた途端、なんか全体的に柔らかい何かとぶつかった。

 

 ……えー誰だこれ。多分女子だとは思うんだが女子の中の誰なのかがわからん。すっごいいい匂いしてて何かもう色々と限界が近いのでアイマスク外しますね?*4

 

「ん?」*5

「……唯?何で、ってかB組の方で夕飯作りしてるんじゃないのか?」

「ん」*6

 

 ああ何を鍛えてたのか知りたいのね。確かに目隠ししてるだけって傍から見ると何してるのかさっぱりだわな。ちょいと長くなりますがそれでもよろしい?あ、よろしいのね……はい。

 

「俺の個性の【瞬間移動】なんだけど───……」

「ん」*7

 

 オールマイトをディスっといてなんだが俺も説明上手って訳じゃない。爆豪が切島に勉強教えてる時に『バカは要約が出来ねえ』と言ってたらしいけどまさにそれだな。必要な部分の取捨選択が出来ないから全部話しちまう。

 

 大体全部話し終えた時には唯の目がキラキラしていて「ん!」*8と期待に満ちた眼差しを向けてくれてる。やめて!?異性から期待されると張り切り過ぎちゃうから!

 

「盗み聞きするつもりは無かったが……聞いてしまった。すまん」

「障子?別に構わねえけど」

「それでだ。そんな事出来るのか?」

 

 可能か不可能かで言えば可能ではあるはずだ。ゼロから新機能を生やす訳じゃないからまだ全然楽な部類に入るし、既存の能力の強化だから現実的な理論だろう。

 障子や耳郎さんとは別物の索敵能力になるから誰かに聞くことも出来ないし、完全に俺一人での手探りしかない。コレだって正解がないから難易度が高いのは仕方ないことだけどな。

 

「ん」*9

「失礼。俺は障子目蔵だ」

「んーん」*10

「ああよろしく頼む」

 

 

 ……あれ今会話成立してた?

 

 

*1
フルバージョン版名乗り

*2
「確かに。移も増強系でしょ?」

*3
エジプトの神様。目の模様がついたシーツを被ったような姿をしている。

*4
某馬娘「そういえば」

*5
「あれ、アイマスク取っちゃっていいの?」

*6
「してる。けど移が何してたのか聞きたくて」

*7
「ふんふん」

*8
「何それ凄い!」

*9
「大きい……」

*10
「小大唯。よろしくね」






相澤「……」ブンッブンッ
ブラキン(段々速くなってないか……?)
相澤(手に馴染んできたな)

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