間飛…中学二年生
トガ&零…高校一年生(公安一年目)
となっております。
ほぼオリキャラ塗れですがよろしゅう頼んます。
やあやあ読者の皆様こんにちは。*1常日頃からこのボー○ボワールドか愉悦部入門みたいなドタバタを見て楽しんでくれている事だろう。
ところで君達は『気まずい空気』というものを体験したことはあるだろうか?
前から来た人と進行方向の譲り合いになったり、良く聞き取れなくて曖昧に笑ったら笑い話じゃなかった時。日常にはいついかなる時も空気の即死トラップが偏在しているよね。
中でも特に『この気まずさだけは体験したくない!!』となるものもあるだろ?
「……えーっと、二人とも初対面?だっけ?」
「ええそうです。同級生でしたが」
「そうだね一度も同じクラスにならなかったしね」
……それがコチラの『三人組の自分以外の二人が険悪な仲』だと思うんですけど、皆さんの意見とかあります?
ボスケテ。
◇
【フィジカルギフト】の継承も終わって体調バッチリ!代わりに中学生一年目を台無しにしたので絶賛ボッチの間飛移です。
どのくらいボッチかと言うと夏休みになったのにも関わらず友人が遊びに来ないぐらいですね。泣きそう。
まあ普段から四六時中死にそうな顔した根暗陰キャでしたから……。積極的に関わってくれるのが先生か極一部の先輩のどちらか。同級生?ハハッ、ワロス。
八月も半ばになりつつある今日この頃、雄英の強化合宿が終わった零*2が遊びに来るようになりまして。アレがキツイコレがキツイヤダもう早く雄英来てと愚痴るのですが。
実はちょっと前から別にもう一人、家に来るようになった人がいまして。
「うう……移くぅ〜ん……!!」
「暑いからくっつくのやめてぇ……?」
「あらあら!!渡我ちゃんどうしたの?」
「あ、お邪魔してます」
中学卒業の日に一悶着あってから仲良くなった……というか懐かれた?が近い二個上の女子。零と同じ年齢の卒業生の渡我被身子。
彼女のことを「トガちゃん」と呼ぼうとして止めようとしたら「トガち……ゲホッ」となった。それを『トガち』と呼ばれたと勘違いし、以降トガち呼びがデフォルトに。
そのトガちも零と同じく何やら疲れてる時は家に来て愚痴ったり泣きついたりしてくるようになった。アイムノットカウンセラー。あーゆーおーけー?*3
こちらは零と違ってちゃんと……ちゃんとというのもおかしな話だけど、ちゃんと女子なので母ちゃんが遠巻きにニヤニヤしちょるんじゃ。やめい。
で、この日もまたトガちが「労働はクソです!!」とどこかで聞いたような愚痴をぶちまけておられたのですが。
「移ぅー!!遊びに来……どちら様?」
「ふぇ?」
「零……せめてインターホンは鳴らそう?」
「おばちゃんは良いって言ってたよ?」
「お母様。話があります」
すっかり家への訪問に慣れた零がインターホンという他所様へのコンタクトを取るための段階をスキップしやがりまして。
歳下に泣きついてくる事が当たり前になった奴が、他の奴が歳下に泣きついてる瞬間にログイン。横から小さく「呼び捨て……?」って聞こえた気がするけど放置。
どうも同じ中学の同じ学年の割にはほぼ初対面らしく、俺に視線を向けていた零の目は横にいるトガちに動いた。
「それで……そちらの方は……?」
「トガち──じゃねえや、渡我被身子。零と学年同じだったらしいけど知らないのか?」
「あだ名、いやそれよりも女子だと……?」
何か名前よりも別の所に注目してません?
お互いの自己紹介を挟んだ後に冒頭のシーンに至る。何故か俺は二人の間に位置する所へ座らされ、覇○色の衝突みてえなバチバチ音が聞こえてくる気がする。あれ?この二人四皇だったりする?
「……はぁ。睨み合いもこれくらいにしようか。移が困るだけだし」
「……そうですね。ごめんね移君」
「え、あ、うん……」
家が戦場にならなきゃ何でもいいよ?出来ればそこら辺の山の上でやってくれると嬉しいかな。
何はともあれ和解(?)したらしく、同級生だったはずなのに初めての雑談へと移行した。こういう時に話題になるのは大抵共通の友人とやったこととかになる。
この方々も同じく話題になるのは俺が関わっていた事ばかり。出来れば恥ずかしいのでやめてもらいたいのだけれど……。
◇
迂闊でした。移君の人柄からして友達百人タイプではないと思っていたのですが、既に私以外に仲の良い方を作っておられたとは。
友達百人タイプでない人は逆に一人一人との仲が深いパターンが多いのです。恐らく零さんと移君は既にズブズブの仲(意味深)でしょう。
「それでね?中々見つからないなーって思ってたら隠れてた押し入れの中で眠っちゃってて……」
「小さい頃にはありがちですからね……アレ?でもそれって夏場の話って……」
「うん。発見した時には熱中症寸前だったらしい。俺全然覚えてねーけど」
「笑い話で済みませんよねソレ!?」
今だってお話の内容がもっとちっちゃい頃からの話でした。幼馴染というやつなのでしょうか?むぅ……ちょっと羨ましいです。
あ、先に言っておきますと嫉妬で言ってるわけじゃないんです。いやちょっとはそうですけども……。
私の嗜好がどうも血液に関わるようでして、好きな人の血を吸いたいし逆にあげたくなったりもしちゃうんです。なので受け入れてくれてる移君はともかく、零さんにまで知られるのは少し怖いといいますか。
え?移君にトラウマ払拭してもらったじゃん?いやいやいや。それはそれ、ですよ。移君は受け入れてくれた!じゃあ他の人も!とはなりませんよ。
まあ要するに、移君以外のお友達を作るのがまだ怖いんですよね……。今日もちょっと血を吸う(ふりですが)つもりだったのに、どうしましょう?
◇
迂闊だった。移は割りと人誑しな所があって何か事情がある人程すぐ仲良くなっちゃう質だから、家に上がるレベルの友人なんて早々出てこないと思ってたのに。
本人は「類友類友」*4と軽く言ってたけど、その威力が高すぎるからなあ……。トガちゃんも何かあったんだろうね。
「やっと戻ってきたーって思ってたら、目の前でジュースを暴発させてましてね……」
「移さあ……炭酸よく飲むならそろそろ学習しよう?」
「自販機のシステムに問題がある」
「自販機のせいにしだしちゃったよ……」
雄英高校に通う僕と違って時間に余裕もあるらしく、土日でも移の所に来ることがあるとか。くっ……!羨ましい!!
……待てよ?そう言えば僕が男だって分かってるかな?雄英に行ってもよく間違われるし、トガちゃんが間違えててもおかしくない……よね?
いや別に!?僕の性的嗜好はノーマルですよ!!?と、とにかくだ。うっかり僕が移の彼女とかそういう誤解をされると本当にヤバイ。具体的にはその噂を聞いた時の男子達の目とか。
何か時々妙に視線を感じたりしてたけど、ようやくその正体がわかって……ね?視線の先に鼻息の荒い男子がいるのはもう懲り懲りなんですよ!!
だからほぼ唯一と言っていい友人がそういう目を向けてこない移しかいない。頼むから誤解してくれて無いといいんだけど……!
◇
何だろうね、この、表現しにくい上っ面感。
別に内心で嫌悪してるわけじゃないとは思うんだけど、二人とも変なところで駆け引きっぽい事してるような雰囲気がある。何してんの?
仲が悪いとかそういうんじゃないな。むしろ互いに気を遣った結果コミュニケーションがぎこちなくなってるだけだから、まだどうにかなる拗れ方だけど。
/
移ー!!ヘルプミー!?
\
「……今の、何です?」
「オジサン……かなあ」
「父ちゃん何してたっけ……昼飯でも作ってたか?」
ああもうこんな時に。この二人だけにしていいものなのか判断に困るけど呼ばれたからには仕方ない。何か拗れたら恨むぞ父ちゃん。
◇
間飛が離脱した後の部屋は静まり返っていた。すぐ戻るかなと思っていたけれど、どうも時間がかかりそうな様子。時折視線がかち合ってはヘヘ…とどこか卑屈そうに笑い合うだけ。その場の雰囲気とやらはご愁傷さまの一言でだいたい察せる。
もう三度目の視線の衝突に腹を括ったのか、零治から恐る恐る話を切り出した。
「あの、さ。一つ聞きたいことがあるんだけど……」
「ひゃい!?な、なんでしょうか!?」
「いやそこまで深刻な事じゃなくて……その」
歯切れの悪い話し方になりながらも、最後まで自分の口で尋ねた。
「僕って……女に見えてる?」
「え……違うんですか?」
「ッス───……」
返ってきた答えは案の定。急に何を言い出したんだコイツは的な感情の込められた返事に対し、零治はそっと目を閉じてデスヨネーと乾いた笑みを浮かべた。チクショウメー!!
そんな反応をされればトガとて気にもする。何やらおかしなことを言ってしまったのだろうかと困惑し、ひっそりと冷や汗塗れになりつつある。
「……僕、男なんだよね」
「ウッソォ!!?」
今日一デカい声で驚いた。そりゃそうだ。
トガから見た彼は綺麗な青色の髪に可愛らしい顔、何より新雪のように白くスベスベな肌をしているのだ。これが男?移君から聞いた事のある男の娘ってやつですか?とお目目グルグル状態。
それに今まで間飛が呼んでいた名前は『零』だけ。本当は『氷叢零治』といういかにも男子!な名前なのだが呼び方が呼び方だっただけに勘違いする要因となっていた。
突然渡されたトンデモ情報の対応に困りながらも、何故こんな事を尋ねたのか聞いてみると。
「……もし僕と移が付き合ってる、みたいな勘違いをされると非っっ……常に困るんだ」
「は、はあ……(力説しますね……)」
「今の君みたいに女子と間違えるだけならともかくね?何故かそこから『男でもいいから付き合って!!』とか言い出す阿呆が湧いてくるんだよぉ……!!」
「ええ……」
何故そのままイけると思った。脳みそ取り換えて出直せよ、と口に出しそうになってトガは堪えた。ヴィランのフリしてたらそんな奴結構いた気がしたからだ。
割りと切実な悩みのようで、もしトガに間飛と恋仲であるような噂を流されようものなら。やっぱりホモ♂じゃないか!と押し寄せる阿呆が出てくるのが目に見えているのだとか。公安として力になろうかとマジメに考えるくらいには可哀想だと思った。
「だからいきなりだけど確認させてもらったんだよ……ごめんね変なこと聞いて」
「あ、いえ……私も間違えてたんで……」
「うんそれはちょっと傷ついたけど」
「本当にごめんなさい」
慣れてても嫌なものは嫌なのである。怒らないけど悲しいのだ。
「その、匂いは男性っぽかったんですけど……見た目がどうしても……」
「デスヨネチクショウ!!……ん?匂い?」
「あっ……ッス───……」
言い訳にもならないけれどトガなりに判断基準はありました、と何とか伝えようとして墓穴を掘った。やっべぇ。
個性伸ばしの最中で辿り着いた境地の一つとして、トガは血に限らず人の匂いに敏感になった。他者への変身には相手の血を吸うという手順を踏む必要があり、どうしたって他者との接触は必須。
それを何度も繰り返した結果体臭からある程度の情報を得られるようになったのだ。
個性を適当にでっち上げればいいんだろうが、移君の友人に嘘をつくのは……と良い子精神を発揮。結局こちらも噛み噛みになりながら事情を話すことに。
「……で、その、ですね?最近は血が吸えなくても良くなって、移君の首筋に、こう……カプっとするようになりまして」
「…………(呆然)」
「フリだけでもチウチウしたいなあ……って……はい」
今後の人生を左右するぐらいには勇気のいる告白に対し、零治はこう思っていた。
(何それエッッッロ……!?」*5
「何て言いましたこの人……?」*6
……そういや思春期の男子でしたね貴方。
想像してみるといい。ニコニコしていて明るくて可愛い女子がゴツい男子の首筋にあむっと噛み付いてチュウチュウ吸い付いている光景を。
零治の氷叢が奮起しそうになった。一族再興を!じゃねえんだよ。
零治の視点では美少年と美少女によるインモラルな光景になるソレをイメージしてしまい、普通に反応に困ってしまう。何それちょっと見てみたいとか言いそうになる。
「あ、あの……?」
「ふぁいっ!?」
「ぴいっ!?……固まっちゃってたので、その……や、やっぱり気持ち悪い、ですよね……?」
「いや全然?」*7
「……あれえ?」
こちらは零治と違ってトガの杞憂でしかない。あの大抵の事に「せやな」で済ませられる奴と幼馴染をやってきた人物だ。今更そんな事を気にするはずがない。
気味悪がられないのは嬉しいのだけれど、何か変な副音声が聞こえた気がして素直に喜べないトガ。安心しろ、脳内がちょっとほんのりピンクになっただけだ。
「そ……そっかぁ……」
「……もしかして気を遣ってかな?ごめんね」
「これは私の問題ですから……でも、よかったぁ……」
「すまん今戻っ───おう何トガち泣かしてんだ零」
「タイミングが悪すぎるんだが!?ちょっ、違……!!」
結局二人の心配は解消された。零治は自分が男であると伝えられて、トガは自分の嗜好を受け入れて貰えた。それからはあの気まずさが嘘だったみたいに仲良くなった。
その日以降も時々二人同時に間飛の元を訪れる事も増え、その度にちょっぴりバチバチしてたりもしてたけど。間飛以外の本当の友人が出来たことを喜んでいた。
「……え?お前らぼっちなん?」
「おっ、戦争かい?」
「喧嘩なら買いますよ?」
「ごめんて」
トガ「…………」首筋カプー
間飛「…………」
トガ「…………」チウチウ
間飛(くすぐったい……)
零治(うおエッッッッッ!!!)
トガ(邪なナニカを感じます……)