え?OFA?何それ……   作:フィジカル・ファンタジー

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先手必勝はガチ

 (ヴィラン)。読んで字の如く個性やサポートアイテムの違法使用を行い、他者に危害を加える悪人達を指す言葉。

 

 日常的に液晶の向こう側で起こっていたはずのヒーローショーは、画面を飛び出して現実となりこちらに手を伸ばしてくる。

 リーダー格と思わしき男はその象徴だ、と言わんばかりに全身に人間の手を付けており、指の間から覗く目にはこれでもかと悪感情と子供っぽさが滲み出ていた。

 

「敵ンンン!?馬鹿だろアイツら!何でプロヒーロー揃いの雄英にわざわざ侵入してンだよ!」

「先生!侵入者用センサーは…!?」

「もちろんありますが……!」

 

 それでも生徒や教師は怯えてはいない。

 プロとして現場で腐るほど同類の馬鹿を見てきた教師2人は勿論、そのプロを目指す為に努力してきた生徒達もまたこの程度で尻込みすることは無い。

 

 何より彼らにはオールマイトがいる。

 今この場にいなくとも、オールマイトが来たらそれだけでどうとでもなるという安心がある。

 無論、だからといって楽観視していい訳でもない。敵の数や規模、センサー対策や襲撃のタイミングから見るに敵側もそれなりの準備をして来ているはずだ。

 

「13号避難開始!学校に電話試せ!侵入者用センサーに対策してくる敵だ、電波系の個性持ちが妨害している可能性もある」

「…ッ、先生は!?1人で戦うんですか!?」

 

 淡々とそれぞれに指示を飛ばすイレイザーヘッドに緑谷が心配そうに声をかける。ヒーローオタクとしてイレイザーヘッドの戦闘スタイルを知っているからこそ、大丈夫なのかと不安の声を上げた。

「一芸だけじゃヒーローは務まらん」とだけ返すと、今度こそイレイザーヘッドは独り敵の群れへと突っ込んで行った。

 

 

 遠距離攻撃の個性持ちが荒っぽい歓迎を構えるも、イレイザーの目がそれを【抹消】する。ほんの数秒、無個性となった敵を捕縛布で縛り上げてぶつけ合い無力化させる。

 

 ならばと異形系個性が自信満々に前に出れば、容赦のない拳が顔面を叩いて吹っ飛ばす。背後からの不意打ちも最小限の動作で回避、流れるように殴り飛ばした敵を引き戻して不意打ち野郎へと叩きつけた。

 

 普段の気だるげな態度は何だったのか、ゴーグルの奥でギラギラと熱を宿した目がこれ以上無いほど頼もしい。

 

「肉弾戦は当たり前として……ゴーグルで目線隠し。誰が【抹消】されているかわからなければ連携に遅れが出る……なるほど?有象無象じゃ歯が立たないか」

(……考え無しのガキ敵かと思えば、冷静に分析してやがるな)

 

 ただ個性を【抹消】するだけとは言えない、名も無き悪意では太刀打ちできないプロの実力。避難中の生徒達さえ感嘆する程だ。

 

 しかしその一瞬が命取り。

 

 

 

「させませんよ」

 

 

 黒いモヤが生徒達の避難進路に大きく広がる。広げられた黒いモヤはゆっくりと人の形を取ると、不気味に落ち着き払った様子で語り始めた。

 

「初めまして。我々は敵連合……僭越ながらこの度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは───

 

 

 

 

平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

 

 

ゾクリと背筋を伝う冷たさに誰かの息を飲む音が聞こえる。こんなにも穏やかで静かな殺意があるのか、と後に13号は語っていた。

 

 自己紹介は終わったとばかりに、黒いモヤが蠢き広がり出す。マズい。

 しかし、13号がブラックホールを使うよりも早く、2人の生徒が前に出てしまう。その2人は切島と爆豪。【硬化】した手刀と躊躇いのない【爆破】が叩き込まれるも、およそ手応えは無い。

 

「危ない危ない……そう、生徒と言えど優秀な金のたま───

 

ごがっ!?」

「おっ、通った」

 

 止められない、と悟る前にまた1人動いていた。切島と爆豪が仕留めきれなかったと判断し、即座に敵の真横にワープした生徒が。

 

「ま、間飛!?ナイス!」

 

 敵の横っ面(?)に容赦のない回し蹴りを叩き込んだのは間飛だ。【フィジカルギフト】で強化された身体能力を【瞬間移動】によって一切の防御を許さずに打ち込んだ。

 俺達の攻撃は当たらなかったのに何故?という疑問を持ちつつも、ひとまずあの敵が吹っ飛ばされた事で出入口がフリーになった。

 

 13号を殿に何名かの生徒がUSJを出た瞬間、再び黒いモヤが現れる。

 

「逃がしませんよ!!」

「なっ──」

 

 今度こそブラックホールで、という考えは通じなかった。先程とは違って黒いモヤの展開が早く、最初からある程度広げられていた。

 

 結局逃げきれたのは尾白と青山と芦戸と砂藤の4名のみ。外に出た彼らは一瞬躊躇うものの、まずは学校に連絡を取るために電波の繋がる場所を探し始めた。

 

 

「……完全に想定外ですね、これは」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 一撃入れたから殺ったと思ったんだけどなあ……どうやらそう簡単には行かないのが現実らしい。つかプロテクター越しとはいえ、あの妙な感覚は何だったんだ?骨付きコンニャクみたいな身体しやがって。

 

 何人か外には出てたし、10分もすればヒーローが来てくれるのは確かだろうな。最低でもオールマイト1人は来るだろうし。

 かといって10分間逃げ回るのもなあ。俺が飛ばされたのは『火災ゾーン』っぽいし、それに───

 

「オイオイ!ガキ1人かよ!?」

「ンだよハズレじゃねえか!せめて女寄越せや!」

「ギャハハ!ぼっちで可哀想だなあ〜?」

「……悪かったな」

「えっ、あっ、ご、ごめんて」

 

 おい敵同士で地雷踏み抜いてんじゃねえよ。敵になる奴なんざそもそもぼっち一択だろ。今更アオハルしてーとか抜かしてんじゃねえぞボケ。

 

「口悪ィなコイツ!?」

「お前コッチ側だろ」

「悪いことは言わねえ、諦めるなら早い方がいいぞ?後になるほど辛くなる」

「それな。変に希望的観測するぐらいならさっさと進路変えた方がいいぜ」

 

「後半親身になるなよキショく悪ィな!?」

 

 さてはお前ら比較的良識派の部類だな。お前らこそ悪いこと言わねえから自首しろよ。

 まあ、ここまで来てる以上は大して変わらねえか。どんぐりの背比べ……いや、目くそ鼻くそとかそっちか。目くそ鼻くそに失礼か?

 

 当然諦めてやるつもりも許してやるつもりも無い。(無駄に)親切な物言いしてくれた所に悪いが容赦なく行かせてもらう。

 

 

「──は?がっ!?」

「なっ──こ、コイツ!ワープ系個性だ!」

「はあ!?強個性じゃねえか!騙しやがって!」

 

「騙した覚えはねえよ!?」

 

 ノーモーションワープ&フィジギフパンチ。ただの雑魚ならこれだけでどうとでもなる。数回繰り返しているだけで大半はぶっ飛ばせたし、マジでコイツら寄せ集め感が凄いな。

 

 何人かがやぶれかぶれで武器を振り回したり個性を乱発するが、俺にはノーダメージ。苦戦どころかまともに防御さえされることも無く全員をノックアウトした。

 

 ……にしてもこんな有象無象でオールマイトを殺れると思うか?こんな連中1000人集めても日常の延長戦にしかならないだろ。

 考えられるのはあのリーダー格が一撃必殺のナニカを持っているか、まだ動いてなかった黒いデカブツがヤベエのか。どっちだ?

 

 何にせよ相澤先生1人に任せっきりってのも不安だ。こんなガキんちょが行っても仕方ないだろうが、黙って待ってられる事でも無いんでね。

 

 間飛、行っきまーす!






はい、思いっきり展開が変わりました。初手で4人USJ脱出しました。
ぶっちゃけオールマイトの現着が早まる以上の変化はあんまり起きない予定ですが、その場のライブ感でアドリブ効かせちゃうと思うので許してください。

ついでに委員長が離脱する必要が無くなりました。黒霧さんには悪いけど死柄木さんに怒られてもろて……

色々適当な番外編……いる?

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