え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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そんなもん持ち帰ってどうすんだ

 

 

 

「お疲れサマンサ〜ー……あら?トガちゃんは?」

「それがまだ帰ってきてねえ。何してんだあのイカレ野郎は……」

「まさかヤラレちゃったのかしらねえ。あの子トゥワイスの次くらいに弱いから有り得なくもないじゃない?」

「俺最弱なの!?ゴメンネヨワクッテ……」

 

 コンプレスの通信を受けたマグネとジャックガムが帰還した。個々での戦いなら分が悪かったものの、二対二の戦いとなればそこそこの互角だった事もあって撤退はスムーズに終わった。

 虎の【柔軟】も一度に拘束できるのは一人であり、マグネにしろジャックガムにしろかかり切りになるわけにはいかない。生徒達の安否が第一ということもあって見逃さざるを得なかった、という方が正しいか。

 

 未だ帰って来ないメンバーはトガヒミコにマスタード、ムーンフィッシュにマスキュラーとコンプレスの五名。後は放っておいた脳無がどこかで暴れているがそのうち戻ってくるだろう。

 最初から期待されていないマスタードと頭がイカれてるムーンフィッシュはさておき、マスキュラーとトガヒミコが帰還していないのは少しおかしい。

 

 コンプレスはそのうち戻ってくるとして、なんて楽観的な考えをしていたのが甘かった。

 

「痛っっったぁ!!?」

「──コンプレス!?」

 

 風を切って逃げ回っていたはずのコンプレスが、轟を抱えた障子に追いつかれて地へと引きずり降ろされた。間飛と緑谷による爆発的な加速力がエンターテイナーを捉え、一世一代のチャンスを掴み取る。

 

 真っ先に動いたのは荼毘。生徒にしろ教師にしろ……プロであっても、コンプレスを組み伏せていたのだから自分達の敵であると判断。体勢を立て直す暇も与えず手のひらを翳す。

 

「Mr.避けろ」

了解(ラジャ)ッ……!」

 

 執念の蒼炎が放たれる。相澤達の元に送られていた分身同様の高火力が一気に広がる。轟の氷結による防御も間に合わないとダメージを覚悟して【複製腕】で身体を庇ったその時。

 

「させるかよッ!!」

「な───」

 

 ズパァン!!と盛大な破裂音。二人を射出してすぐに出発した間飛の裏拳が高熱の空気ごと薙ぎ払った。超パワーによる風圧が炎を押し返し、荼毘達の動きを牽制する。

 自分自身をも焼き焦がす炎が片手間で押し返された。それを認識した荼毘は忌々しげに間飛を睨みつつも、彼の視線はすぐに轟へと向けられる。

 

 しかし咄嗟の割り込み故に間飛のガードを轟と障子は把握しておらず、一秒後の炎を避ける為に思い切り後ずさっていた。

 やかましく騒いでいたはずの全身タイツ男……トゥワイスが手首の辺りから刃物としての機能を兼ね備えたメジャーを引き抜きながら回り込む。

 

「用事があるのは爆豪勝己とソッチの男子だけだ!ねえけどな!邪魔は辞めてくれよ!障害はいくらあってもいいぜ!」

「チッ……!」

「冷たッ!?熱っつぅ!?」

 

 チグハグな言動のトゥワイスに訝しげな目を向けながらも攻撃の手は緩めない。そして何よりも爆豪と常闇を持った奴を逃がしてたまるものか。

 

 そして間飛が追いついたのならば彼も到着する。

 

「二人をッ……返せェ!!」

「ッ!!?マグネ下がって!」

 

 対峙したのは一瞬。しかしその僅かな時間で受けた一撃の重さを知るジャックガムがマグネを庇って前に出る。同時に【メイクラバー】を発動し彼の全身を緑色の薄膜が包み込む。

 

 【フルカウル】18%のスマッシュを真っ向から受け止める。地面を踵で抉りながら数メートルの後退を強制され、それでも尚倒れることなく耐えきった。代償として薄膜が裂け、緑色に包まれていた身体が顔を出す。

 ジャックガムの必死さに驚いていたマグネが更に驚かされた。先のマンダレイ戦と違って万全に貼り直した【メイクラバー】だったのだ。

 

「ジャック!?アナタの防御が一発で……!?」

「っ……ぐ、あの子、危険よ」

「あれを耐えるのか……!」

 

 マグネとジャックガムにとって想定外の攻撃力であり、緑谷にとって想定外の防御力。またも一撃だけの衝突とはいえ互いに警戒心を強めるには十分過ぎる結果だ。

 

 緑谷に間飛が、轟に障子がフォローに入る。ふざけた態度のトゥワイスを睨みつけ、二人がかりのアドバンテージを間飛が潰す。

 一方で障子と轟を振り払ったコンプレスが自身の【圧縮】を解除。地面ごと【圧縮】し、ビー玉サイズになる事で荼毘の炎を回避する算段だったのだが、間飛によって完全に相殺されたことで起き上がるタイミングを窺っていた。

 

 コートの砂埃を払い落とし、戦果を確認するためにポケットに手を突っ込んで──……?

 

「あり?」

「ッ!三人とも逃げるぞ!今の行為でハッキリした……!」

「ナイス!!」

 

 先程から何度も使われていたMr.コンプレスの個性は分からないけれど、荼毘に聞かれて確認しようとした右ポケット。障子の手の中にある物が入っていた場所だ。

 障子と轟でコンプレスを抑えていた短い時間の中で、障子は的確にコンプレスのコートから【圧縮】されたビー玉サイズの球体を確保していた。

 

「バカが……」

「まあ、待てよ」

 

 障子の言葉に全員が撤退を選択。トゥワイスへの追撃もオカマ二人との戦いも放棄して走り出した。

 目的の物を奪取されては叶わないと荼毘が再び手を翳すところをコンプレスが片手で制する。何を、という疑問の表情に目をくれることも無く冷静に。

 

 

 ゾアアッ……!!

 

 

「ッ……!?ワープの……!」

「合図から5分、経ちました。行きますよ荼毘」

 

 走り出した彼らの前に黒いモヤが……ヴィラン連合の一人である黒霧による【ワープゲート】が広がった。予兆も何も無い無の空間への転移。間飛以上の射程が不意を突いて現れる。

 

 荼毘とコンプレスの後ろでトゥワイスとマグネ、ジャックガムが【ワープゲート】へと飛び込んで撤退する。

 そして足を止めた彼らを見て、エンターテイナーは嘲笑う。帽子を落とさないように手を添えて、わざとらしく仮面を取った。

 

「マジックの基本だろう?モノを見せびらかす時ってのは……見せたくないもの(トリック)がある時だぜ?」

 

 ベロ、と突き出された舌の上には二つの球体。中にいるのは爆豪と、常闇。障子の手の中にあるのは氷の塊を【圧縮】していただけのダミーだ。

 騙された、と理解した緑谷達が振り返るも既に遅い。彼らの身体の半分ほどは【ワープゲート】に入っている。恭しいお辞儀を残してヴィラン連合が去ってしまう。

 

 

 THOOOOM!!

 

 

「っあ!?」

 

 咎めたのは、一陣のレーザー。コンプレスを仕留めるにも不足している程度の、煌びやかな一筋の光。

 彼の仮面を砕き、舌の上に乗せられていた二つの球体を跳ね飛ばすのに十分な一撃。

 

 口にせずとも四人の考えは同じ。これが二人を取り戻す正真正銘のラストチャンス。合図もなく全員が一斉に飛びつく。

 

 障子の手が常闇を掴み、間飛の手が爆豪を叩き落とした。

 

「受け取れ!」

「間飛、くんっ!!」

 

 掴む余地は無いと判断し、緑谷が拾うことを信じての一手。コンプレスも荼毘もどちらも掴み取る事が出来ないまま手が空を切る。

 

 だから。

 

「───このまま帰るわけにはいかないんだわ」

 

 お前でもいいや(・・・・・・・)

 レストランでメニューを変えるような気軽さで、コンプレスの標的が切り替わる。

 魔王を退け、爆豪を取り戻した仲間が消えた。三つ目の球体をコンプレスが掴み取った。

 

「な……!?」

「今のレーザー誰だよマジで……俺のショウが台無しになっちまった」

「じゃあな。轟焦凍」

 

 今度こそ緑谷達の手は届かなかった。

 

 





トゥワイス(トガちゃん無事かな……)
マグネ(あの子無事だといいけど……)
ジャックガム(トガちゃん、いつか助けてあげるからね!)
コンプレス(いい子だったんだけどなあ)

トガ(何か罪悪感が湧いてきました……何故?)
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