え?OFA?何それ……   作:南亭骨帯

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「麦茶だこれ!」のくだりが誰とやったのか?という感想をそれなりに頂きました。
結論から言うと作者は『トゥワイスと間飛』で想定してました。ですが後から「誰がやっても面白くね?」と思い特定の誰かにせずにあのままにしました。
読者の皆様は好きなヴィラン連合のメンバーを想像してお楽しみください。






本人がいない所で滅茶苦茶なことになってる

 

 

 

 少し時間を遡って夜の病院前。

 いくつかの雲が月の前を横切り、夏場にしては冷えた夜空の下で切島と轟は友人達を待っていた。そして、もう二人。

 

「……あんなこと言っといて、お前らも来るんだな」

「言っただろ。俺だって友達の為に何かしたいのは同じだ……それに、俺に出来て間飛に出来ないことだってある」

「けっ、あの陰キャ前髪に勝ち逃げされてたまるか」

 

 心操と爆豪もまた、ここにいた。当然だが戦闘許可など出ているはずもなく、もしこの夜に個性を使えば違法行為として扱われる。

 それを覚悟の上で心操はこの場に現れ、爆豪も同じく『死んだら殺す』という優しいのか物騒なのか分からない事を言っていた。

 

 そこに二人と一人が合流する。八百万と緑谷……そして飯田。覚悟を決めた顔をしている緑谷に対し、八百万と飯田は悩んでいるような怒っているような顔をしていた。

 

「……分かっているさ。俺だって、ステインの一件では君達のように感情で突っ走ってしまった」

「飯田……?」

「『手が届く位置にある』から手を伸ばそうとしてしまうのも分かる……」

 

 でも、と飯田はそこで切った。

 

「俺達はまだ保護される立場にある。ただでさえ雄英が大変な時に、君達の行動の責任を取るのは誰なのか分かっているだろう!?」

「違うよ……!僕達だってルールを破っていいなんて……!」

「お前らあんまりデカい声出すな」

「ッ……すまない」

 

 最早手が出る寸前のところで心操が制止をかける。自覚はあったらしく荒らげていた声も即座に落ち着き、握り締めていた拳をゆっくりと解いた。

 そもそも緑谷達の決意は固い。飯田がどれほど理性的な言葉を並べ立てようとも話は平行線のままだろう。

 

 いつもと違って静かだった爆豪が緑谷を押し退けて飯田の前に立つ。バチリとぶつかった視線に苛烈さは無く、いっそ冷たさすら感じさせる。

 

「そもそもテメェは何を考えてここに来とんだ」

「何を……」

「俺達ァ真正面からカチ込むなんざ一言も言ってねえ……戦闘無しであのバカを引っ張り出しゃ済む話だろうが」

 

 ──もし攫われていたのが間飛でなかったなら、この考えは現実的とは言えなかっただろう。

 仮にその気でいたとしてまだまだ未熟な子供達に可能な隠密行動などたかが知れている。運良く近づくことが出来たとしてその場のゴタゴタに乗じてアドリブ任せが一番可能性が高いとすら言える。

 

 では攫われているのが間飛だった今。個性伸ばし訓練の果てに彼は探知能力を獲得し、範囲内であればA組生徒は判別できるまでに至った。

 

 爆豪達の作戦は一つ。間飛の探知範囲に入ることで間飛を離脱させることだ。

 

「よっぽどの妨害でもされてなけりゃ俺らを感知した時点で脱出出来んだろ」

「……私も轟さんを信頼していますが、それ以上に爆豪さんの意見を聞いて納得してここにいます。無論、万が一の時はストッパーになるつもりでもありますが」

「八百万君……!?」

 

 交渉は決裂。何を言っても止まらない、と飯田は判断した。

 

「ッ……!!ならば!!俺も連れて行け!!」

 

 だったらせめて、目の届くうちにいるべきだ。半ばヤケクソのように飯田は彼らに同行することを決めた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「この度……我々の不備からヒーロー科一年生十一名に被害が及んでしまった事、ヒーロー育成の場でありながら敵意への防衛を怠り社会に不安を与えた事」

 

「謹んでお詫び申し上げます。まことに申し訳ございませんでした」

 

 無精髭を綺麗に剃って身嗜みを整えた相澤が、カメラのフラッシュを受け止めながら頭を下げた。日頃からメディア嫌いを公言している彼が粛々とカメラの前に姿を晒す事がどれほどの事か、大衆には何一つ伝わりはしない。

 

 質問に意味はなく、そこにあるのは無責任な粗探しだけ。体育祭開催の一件から雄英の基本姿勢は世間に知れ渡っている所を、記者は敢えて相澤の口から言わせようとする。

 

「周辺地域の警備強化、校内の防犯システム再検討……強い姿勢で生徒の安全を保証する、と説明しておりました」

 

 空気が淀んでいく。何十何百何千と守られてきた人々が、たった一度のミスを責め立てる。積み重ねた功績を余所に鬼の首を取ったように彼らは雄英の不祥事を報道する。

 

「生徒の安全……と仰りましたがイレイザーヘッドさん。事件の最中、生徒に戦うよう促したそうですね?」

 

 少しでも失言を引き出したいと、煽るように記者は質問する。

 少しでも考えればわかる事だ。ルールを守る為に生命を捨てさせるくらいなら個性を使わせ、ヴィランと戦って撃破(・・)させるのではなく防衛(・・)が出来るようにと出した許可だと。

 

 記者も馬鹿では無い、そんなことは百も承知。その上で一文字でも多くいい記事(・・・・)になる材料を引っ張り出してやりたいのだ。

 

「……私があの場で想定した“最悪”とは、生徒が為す術なく殺害されることでした」

 

 面白くなさそうな記者に対し、相澤はあくまでも毅然とした態度で返す。隙など見せてやるものか。付け込む余裕など与えてやらない。

 強引に捻じ曲げ、切り取りでもしなければ当然で真っ当な対応だ。メディアを嫌う相澤とメディアを警戒する根津にとっては造作もない。

 

 その対応に焦れた記者が強引に舵を切る。

 

「……そもそも何故合宿先の情報が漏れていたのですか?」

「……?それについても現在調査中です。考えられるのはヴィラン側にいる【ワープゲート】の───」

「今回攫われた生徒が内通者の可能性は考慮されましたか?」

「………………は?」

 

 記者会見に備えて繕っていた仮面が外れかかった。それほどに記者の発言は看過できないものだった。

 

 それを好機だ、などと勘違いした記者は熱に浮かされたように言葉を続ける。己の妄想でしかない、それらしい理屈を並べ立てては通ってもいない筋が通っていると宣う。

 

「雄英高校ではそういった可能性は──……ッ!?」

「……失礼を承知で言わせてもらいます。喧嘩売ってるならそう言え」

「ヒッ……!?」

 

 根津もブラドキングも、記者が勝手に味方だと認識していたメディアの人間も。誰一人相澤を止めはしない。それが逆鱗に触れる行いだと分かっていながら、踏み込んだ愚者に付き合う理由は無い。

 

「雄英敷地内の訓練施設で凶悪なヴィランをたった一人で相手取り、かの【ヒーロー殺し】にすら立ち向かった。ショッピングモールでは自分の命が危ないことを分かった上でヴィランを引き付けて、合宿ではラグドールをも守ってくれたアイツが、内通者だと?」

「か、可能性としては十分に……!」

「そりゃテメェの中でだけだろうが」

 

 A組の中では最強の太鼓判を押せる。無意識に他人を引っ張り上げては更に先を目指す普通の問題児。それを利益の為だけに貶めると言うのなら、相澤は全てを擲ってでも目の前の記者を徹底的に潰す。

 

 世間に流された記者会見の場は、奇しくも雄英がどれほど生徒の為にあるのかを示す場となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 一方で雑居ビルの一室。集まった者たちの間で共有されているのは八百万から得られた情報。

 神奈川県横浜市神野区。それが発信機が示す座標だ。

 

「何故俺が雄英の尻拭いを……こちらも忙しいのだが?」

「まあそう言わずに……貴方もOBでしょう?」

「雄英からはヒーローを呼べないんです。どうかご協力を」

 

 とある一室に集められたのは、押しも押されぬトッププロ。オールマイトにエンデヴァーにベストジーニスト……ただのヴィランの集まりに差し向けるにはあまりにも過剰戦力と言わざるを得ない顔触れだ。

 

 その中には先日の合宿にもいたプッシーキャッツや、間飛の職場体験先であったミルコといった面子もいる。

 こういう場では真っ先にやる気を滾らせている印象のミルコだが、今日の彼女は怖いくらいに押し黙っている。

 

「……?ミルコよ、張り切るのはいいが今から気張り過ぎるのも良くないぞ」

「…………」

「何だどうした?」

「いえ、ミルコさんが……」

「うるせえよ」

 

 エンデヴァーすらも一言で黙らせる。チリチリと肌の表面を薄く刺激する程の憤怒が、ミルコからこれでもかと放たれている。

 精神統一なんて高尚なものでもなければ、皆の会話を遮らないようにと殊勝に黙っていた訳でもない。ただ只管に、一人静かにマグマの如き怒りを押さえ込んでいただけだ。

 

 そもそも普段から自由奔放な彼女が素直に集まってくれただけでもおかしいのに。笑いながらヴィランと戦う彼女がこうまで怒っている理由など考えられる限りでは一つしかない。

 

(ヴィラン連合……人様のモンに手を出したことを後悔させてやる……!!)

 

 独占欲とでも言うべき感情。せっかく目をつけていた面白そうな奴(間飛移)に余計な手出しをされた事が、彼女の短い導火線に火をつけてしまった。

 憤怒れる兎(ヴォーパルバニー)を止められる者は味方にすらいない。

 

 ミルコでなくとも話題は攫われた生徒である間飛に対するものへと変わる。

 

「我が同志ラグドールを守ってくれた勇気ある男子だ。ここで恩を返せずして何がヒーローか……!」

「ラグドールを……?何かあったのかね」

「うむ、彼女を狙って凶悪なヴィランを差し向けたらしくてな。そこを間飛が足止め役として残ったという」

(……!?まさか、間飛少年は既に【オール・フォー・ワン】と接触していたのか!!?)*1

 

 雄英体育祭を見ていた者たちも彼の実力を高く評価しており、中には次世代オールマイトになりうるのではとまで思っている者もいた。*2

 その少年が攫われたとなれば警戒心もそれ相応に強まる。

 

 八百万によって取り付けられた発信機の信号からヴィラン連合のアジトは複数存在すると思われる。短い時間に二度、大きく発信機の位置が変わったのだ。

 一人の潜入捜査官によって間飛がいる場所は判明済み。オールマイトを始めとする主戦力をそちらへと投入して間飛の奪還を最優先に行う。

 

 二つのアジトを同時に制圧することで完全に退路を断ち、これ以上の攻勢を防ぐためにもここで一網打尽にせねばならない。

 

 ここまでの大きな動きとなればさしもの【オール・フォー・ワン】でも動くしかなくなる。グラントリノもオールマイトも目付きを鋭くさせてまだ見ぬ宿敵への怒りを滾らせた。

 

 

「今回はスピード勝負だ!ヴィランに何もさせるな!」

 

「さぁ……反撃の時だ!」

 

「流れを覆せ!!ヒーロー!!!」

 

 

*1
情報が遅い

*2
???「勘弁してください」





A組達(((間飛を……)))
教師陣(((絶対に……)))
プロヒーロー(((助けねば……!!)))

尚、現実。


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