平行世界間チャット   作:ペンギン隊長

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12の別視点。長い。


 破壊者ifSS

 

 

 

「問おう。君が僕の召喚者(マスター)か?」

 そのサーヴァントはそう言って僕を見た。僕とそう変わらない年に見えるのに、なんというか、カリスマがすごくて、只者じゃないというのがわかる。

「そ、そうだ。僕が、じゃなくて、わた、ワタクシが、お前を召喚したマスターだ、でございます!」

「落ち着け。取って食ったりするつもりはない」

 テンパって言葉遣いが滅茶苦茶になった僕に、彼は少し呆れたような視線を向ける。マスターの威厳が形無しだ。大きく深呼吸をして心を落ち着ける。

「僕はライダーのクラスで喚び出されたサーヴァント…あー、赤龍帝(ウェルシュドラゴン)だ。君は?」

「…僕は、ウェイバー=ベルベット。…赤龍帝、なんて英雄、聞いたことがないんだけど」

 僕が召喚に使った触媒…聖遺物は、"材質不明の赤い布きれ"だ。古いものらしく、それなりに高い神秘と魔力をまとっていたからには、何らかの英霊との縁があってもいいと思ったのだが。

 それに、よく見るとライダーのまとっている衣服は近代…いや、現代の人間のものに見える。特徴的なデザインの、黒いジャケットとズボンに白いシャツだ。

「まあ、この世界じゃマイナーだからな。簡単に言うと、僕はブリテンの赤い竜、ア・ドライグ・ゴッホそのものだ」

「赤い竜?!」

 竜といえば、幻獣種で最強を誇る生き物だ。それをサーヴァントとして喚び出せたというのは、物凄く幸運な事に違いない。しかも、ただの怪物ではなく、意思の疎通が可能な存在として、だ。

「…あれ、でも何でそれならライダーなんだ?」

「うーん…まあ、多分僕が他のドラゴンを騎獣代わりに乗り回してるからじゃないかな。そいつも僕の宝具という事になっているみたいだし」

 でかいからあまり気軽には呼べないが、とライダーは付け加えた。ドラゴンを騎獣にするドラゴンってのは、どうなんだ…?

「ちなみに僕死んでないから霊体化できないから、そこんとこよろしく」

「…は?」

 ライダーは人懐っこく笑ってみせる。僕は思わず胡乱な視線を返した。

 まあ、確かに赤い竜が封印されたという伝説はあっても、退治されたという伝説は、なかったような気がするけども。

 マスターの透視能力で見えるライダーの能力は平均およそBランクからCランク相当。特に魔力と幸運値が高いようだ。その代わり、スキルに優秀なものが揃っている。対魔力なんてAランクだ。だから、多分強いんだと思う。騎乗はEXだし。

「実体があるから、姿を変えることは出来ない事もないけど、霊体化して姿を隠すことはできないんだよ」

「それは、つまり…」

「君の拠点の周囲の人間に姿を現さざるをえない、って事だね」

 それは拙い。

 非常に拙い。

 何故なら、僕は一般人の老夫婦の家に、暗示をかけて滞在しているからだ。

「大丈夫大丈夫、僕、認識阻害とか精神誘導とか使えるから」

「それ、大丈夫って言わないから!」

 

 結果的に言えば、大丈夫だった。

 僕がライダーを友人として紹介して、ライダーはにこやかに友人として自己紹介して、おじいさんとおばあさんに普通に受け入れられてしまった。

 そりゃあ、外見的には普通の人間に見えるし、僕とさほど年が変わらないように見えるから、おかしくないのかもしれないけど…なんとなく、釈然としない。

「ウェイバーちゃんの事、よろしくね、イッセー君」

「任せておいてください、マーサさん。ウェイバーの友人として、僕が彼を支えていきますよ」

 何を思ったんだか、ライダーはイッセーと名乗った。まあ、赤龍帝とか、ドライグ・ゴッホとか、ライダーとか名乗るのは問題があるというのはわかるんだけど、何故イッセーなのか。

 後何でそんなフレンドリーにぐいぐいいけるのか。お前ドラゴンじゃないのかよ。

「それにしても、マーサさんは料理上手なんですね。こういう他人(ひと)の手で作られた家庭料理を食べるのは久しぶりなので、なんだか感慨深いです」

「あらあら、それじゃあイッセー君がいる間は沢山作ってあげなくちゃねぇ」

「…少しは自重しろよ、ライダー…」

 というか、おばあさんを誑かすんじゃない。

 

 少し遅めの朝食を済ませた僕たちは街を探索していた。こうして見ると、本当にライダーはこの街に存在している事に違和感がない。本当にサーヴァントなのか疑わしくなってくるくらいだ。…ステータスランクが見える以上、サーヴァントなんだろうけど。

「…っていうか、別に手を繋がなくてもはぐれたりしないからな?」

「あー…ごめん、つい。妹弟とか、姉とかと行動する時は手を繋ぐことが多いからさ」

「マスターを子供扱いするなっての」

「いや、寧ろ僕がはぐれる事を心配されるんだ」

 そう言ってライダーは苦笑いする。しかし、手を離す気はないらしい。僕は溜息をついた。

「はぐれる事を心配されるって、お前そんなにそそっかしいのかよ」

「いやあ、呼ばれるとついそっちに行っちゃったりするからさぁ」

 つまり、フラフラ一人で行動してはぐれるらしい。

 伝説のドラゴンなのに。

「あ、笑った」

 そう言ってライダーが笑う。笑われて喜ぶのは、どうかと思うぞ?まあ、らしいって言えばらしいけど…。頼りになるんだかならないんだか、わからないやつだなあ。

 

「そういえば、君の聖杯にかける願いは何だ?」

 ごく軽い、世間話のような調子でかけられた問いを僕は繰り返す。

「僕は、他の魔術師を見返したいんだ。家柄とか、まだ若いからとか、そういう事で僕のことを歯牙にもかけない奴らに、僕が本当はすごいって認めさせる。それが僕の望みだ」

「…フォーティーン」

 ぼそり、とライダーが何か呟いたが、僕が聞き返す前にライダーが言う。

「無茶するなあ。聖杯戦争ってのは、命の取り合いだよ?そんな勢いだけで参加して大丈夫だと思ってるのかい?」

「それは…」

 正直なところ、今は大分冷静になってきて、そういう不安も浮かんできている。ライダーは多分強い。だけど、僕は…。

「まあ、僕は己の手の届く限りは君を守る気ではいるけど。でも僕、作戦考えたりとかは得意じゃないからなぁ」

「…作戦とか考えらんないなら、勝手に動くんじゃないぞ」

「さて。君は僕が従うに足る策を考えてくれるのか?」

 当然だ、と返せたら良かったけど、そうする事はできなかった。僕は戦いに関しては素人だ。ライダーにできない事が僕にできるなんて、そんな事は多分ないだろう。

「そ、そういうお前はどうなんだよ。召喚に応えたって事は、何か願う事があるんだろ?」

 僕の問いに、ライダーは一瞬目を見開いた後、苦笑のような表情を浮かべた。

「…聖杯にかける願いなんてものはないよ。面白そうだな、と思って来てみただけさ」

 なんとなく、それは嘘なんじゃないかと思った。だけど、追及する事はしてはいけないとも思った。サーヴァントとマスターでも、簡単に踏み込んじゃいけない領域があって、ライダーが今隠したのは、そういうものなんじゃないかって気がする。

 少なくとも、顔を合わせて数時間で聞けることではないんだろう。

「しかし、君の目標からして、ただ最後まで生き残るだけじゃダメそうだね」

「最後まで生き残るだけ、って…」

「君を五体満足で返す事に専念するなら、それは不可能じゃないと思うよ?」

 これでも僕は強いからね、とライダーは笑う。

 

 図書館で赤い竜についての資料を探してみたが、僕が知っている以上のことは分からなかった。まあ、あんまり期待はしていなかったんだけど。

「って、ライダー、何だその資料の山」

「この辺の地形がわかるように地図と、昨日地脈に接続して調べた時に感じ取れた情報を元に独断と偏見で大まかにあたりをつけた他のサーヴァントになってる可能性のある英雄の資料と、聖杯に関する伝承と、この地の伝承に関する郷土資料」

「最初と最後はともかく、二つ目どういうことだよ」

 ライダーはきょとり、と紫色の瞳を瞬かせた。

「とりあえず、この地に召喚されている英霊は僕を除けば四体確認できた。ただ、多分アサシンかキャスターだとは思うんだが、気配が弱い上に似た匂いのものが大量に市内に散らばってたから…君、絶対単独行動はするなよ。どんな罠があるかわからない」

「…まだ召喚されてないサーヴァントが二体いる、ってことか?」

「僕にも感知できない状態だっただけって可能性もあるけど」

 ライダーには一応気配感知のスキルがある。B++というのがどれくらいの精度なのかはわからないが…地脈に接続した、というのがその精度を上げるための手段ということだろうか。

「まあ、ぶっちゃけこの資料も地図以外はそう役に立たない気もするけどね」

 地図についての資料は今年出された地図だけでなく、過去の地図も持ってきたようだ。まあ、比べればどこが埋立地かくらいはわかるだろう。

「っていうか、この英雄の資料ってのはどういう基準で選んだんだ?」

「アサシンはそもそもアサシンというクラス自体が触媒になって選ばれるらしい。っていっても、その性質上資料自体そうそうないし、歴代の内の誰が選ばれるかはわからないんだけどな。まあ、基本的にアサシンの真名は確定枠だと思っていい。ってわけで、とりあえずアサシン教団に関する資料」

「で、残りの三体なんだが…何か一人覚えがあるような、ないような…っていう微妙に覚えのある気配だったんだよね。多分、ブリテン関係者。でも正体隠蔽してる節があるから、その辺でそういう逸話があるやつないか探してみようかと」

「後はすごく旧い存在だって気配がしたから、古い時代の伝承の英雄と、妖精の加護を感じたから妖精に加護を受けた逸話のある英雄」

 納得できるような、できないような。そもそも言ってることが曖昧だし僕にはわからないことばかりなので信じるしかないんだが。

「…って、ブリテン関係者って、アーサー王とか円卓の騎士ってことか?」

「の、可能性もあるな」

 ある意味で、それはライダーと深い関わりのある英霊なんじゃないだろうか。アーサー王はブリテンの赤い竜と呼ばれた英雄だ。ライダーのノリは随分軽いが。

「ただ、今回僕が感知した知人らしきものはアーサー王ではないと思うよ。アーサー王ならもっとはっきりわかるはずだ」

「アーサー王に特に正体隠蔽に関する伝承はなさそうだしな…」

「これから召喚されるって可能性はあるけどね」

 ぼそりと、ライダーが不穏な事を言う。まあ、まだサーヴァントが全騎そろっていないのなら可能性自体はあるんだろうが。

「けど、アーサー王が召喚されるならきっとセイバーだろ?セイバーがまだ召喚されてないなんてことってあるのか?」

「実際会ってみないとクラスとか能力とかは流石にわからないから何とも言えないな。それに、アーサー王は聖剣だけじゃなくて聖槍とかも持ってたと思うけど」

「ランサーになる可能性もあるってことか?」

「可能性としてなら何だって言えるさ。聞いた話じゃ、ヘラクレスなんかはキャスター以外の全ての基本クラスに適性を持っている英霊らしいし」

 バーサーカーとして呼ばれたらマスターが干上がりそうだけど、とライダーは不吉な言葉を付け加えた。まあ、実際に遭遇する前からこんな話をしていてもしょうがないとも思う。情報収集を辞めるつもりはないけれど。

「まあ、僕としては竜殺しの逸話を持つ英霊が出てこなければそれなりにどうにかできると思うよ。竜の鱗は生半可な武器じゃ傷つかないからね」

「…お前の何処に鱗があるんだよ」

「人型してるのに鱗があったら怪人だろ。まあ、戦いがあれば見せることになるんじゃない」

「そうかよ…って、そういえばお前、何でドラゴンなのに人間の姿をしてるんだよ」

「人の中で生きるんだったら、人型してる方が便利だろ。クロ兄も此処数百年ぐらいは人の中で過ごすために人型で暮らしてるって言ってたし」

「誰だよ"くろにい"って」

「クロウ・クルワッハ」

 さらっとヤバい相手だった。

「クロウ・クルワッハが人に紛れて暮らしてるとか恐ろしすぎるだろ?!」

「余計なちょっかい出さなきゃ何もされないから、基本的には無害だよ」

 あはは、とライダーは笑った。ライダーにとってはその程度の話らしい。コイツ実はちゃんと意思の疎通ができないサーヴァントってわけじゃないよな…?

 

 使い魔を通じて見た光景に、僕は絶望的な気分になった。

 アサシンを幾つもの宝具で葬り去った金色のサーヴァント。幾らライダーがドラゴンだといっても、勝てるところが想像できない。あのサーヴァントは一体幾つの宝具を持っているんだ?

「多数の宝具を持つサーヴァント、か。どうもアーチャーらしいけど、武具を投げるというのは、豪気というか、阿呆っぽいというか…」

「阿呆っぽいって、そんな相手じゃないだろ、ライダー!あんなに宝具持ってるサーヴァントだぞ?!」

「別に宝具の数を競う戦いじゃないんだから、そこまで取り乱さなくてもいいだろう。それに、幾ら道具があっても使いこなせないんじゃ意味がない。手数はあればいいってものじゃないしな」

 そう言ってライダーはにぃと笑う。

「そんなこと言ったって、じゃあお前はアイツに勝てる自信があるのかよ」

「勝負ってのは条件によっちゃあ幾らでも大番狂わせ(ジャイアントキリング)が起こりうるから、やってみなきゃわからないんだよ」

 それはつまり、自信があるってわけじゃないってことだろうか。

「まあとりあえず、いい機会だし、僕の宝具…騎獣を紹介してあげるよ。屋根に上がろう」

「え、ああ…」

 そう言ってライダーはひょいっと窓から出て屋根に上がっていく。僕もライダーの手を借りて屋根に上がった。

 ライダーの左腕が赤い籠手に覆われる。そして、そこから明らかに質量保存の法則を無視して剣が取り出される。かなりの神秘を宿したものに見えるが、それは宝具ではないようだ。

「僕は此処だ。おいで、アポロ!」

 ライダーが目の前の空間を切り裂く。空間の切れ目から、嫌な気配が漂ってくる。数瞬の後、そこから、赤いものが飛び出した。それはよく見ると、鱗に覆われた巨大な鉤爪だった。人とは比べ物にならない大きさの、巨大な何かがその向こう側にいるのだと、言われずとも理解した。

「アポロ、もうちょっと小さくならない?流石にその大きさは派手すぎると思うんだけど」

「…む。そなたがそういうのなら」

 ライダーの呼びかけに、少しざらついた不思議な声が返事をする。そして、鉤爪は引っ込んで、その代わりに切れ目を押し広げながら大きなドラゴンが顔を出した。ドラゴンはライダーを見て目を細める。

「我はこのまま出てきても大丈夫か?」

「どうだろう。今日はとりあえず顔見せ、ってつもりだったし。あ、彼はウェイバー。今回の聖杯戦争での僕のパートナーだよ」

 ドラゴンはふんっと鼻を鳴らした。

「ハンデか。まあ、我のイッセーは強くて可愛くて賢いから仕方がないな!」

「ウェイバー、こいつはアポロ。僕と契約しているドラゴン。ちなみに、伝承で言うところの、黙示録の龍」

「黙示録の龍、ってガチでヤバい存在じゃないか」

「まあ、全力出したら世界滅びちゃうからね。多分一割二割、程度に抑えさせないとダメだね」

 あの金色のサーヴァントと目の前の赤いドラゴン、どちらが勝つのかは僕には想像もできない。…というか、神秘の秘匿を思えば、おいそれと表に出せない存在だ。出そうと思えば、念入りに人払いをする必要があるだろう。

 うっかり目撃されたりしたら洒落にならない。

「っていうか、小さくなったからって誤魔化せるような存在じゃないぞ…」

「だよねえ。この世界、幻獣が姿を見せなくなって久しいもんねえ」

「我はこちら側で待機、ということか」

「明日以降事態が動きそうではあるから、すぐ呼ぶかもしれないけどね」

 アポロは不服そうな顔をしつつ、頷いた。

「では、何かあれば呼ぶがいい」

 そう言ってアポロは引っ込む。空間の裂け目も溶けるようにしてなくなった。

「それじゃ、今日のところはこれくらいにして一旦休もうか。夜更しのしすぎは体に毒だし、君の身長が伸びなくなると困るもんね」

「し、身長のことは余計だろ?!」

 

「なーんか、派手に誘ってる奴が居るなぁ」

「誘ってる、って?」

「サーヴァントとしての、英霊の気配を垂れ流しながら街中を動き回ってる奴が居る」

 成程、それは確かに誘っているのかもしれない。少なくとも、監視する必要があるだろう。他のサーヴァントが誘いに乗って出てくるかも知れないし。

「流石に、日中にドンパチするのは秘匿的な意味で難しいとして…日が落ちたら戦いになるかな」

「…誘いに乗るつもりなのか?」

「君はどうしたい?」

 ライダーに問い返され、少し考えてから僕は返事をする。

「できれば様子見がしたいな。それだけ派手に動いてるってことは、相応の自信があるんだろうし」

「少なくとも、他の陣営が全くノーマークってことはないだろうから、真っ先に飛び出して情報を抜かれるってのは避けたいしね」

「…お前の真名を看破することができるマスターなんているのか?」

 外見上は、人間と然程変わらない。おばあさんたちに何の違和感も覚えさせないほどだ。単純に、ライダーの隠蔽技術が高いのかもしれないけれど…どちらにしても、一見してドラゴンだとはわからない。

「真名がわからなくとも、戦法がわかれば対処自体はできる」

「それは…そうかもしれないけど」

 そういえば、ライダーの戦法について詳しく聞いていなかった。剣を持ってるってことは、剣も使うってことなんだろうけど…あのドラゴンに乗った状態じゃ使えないよな、射程距離的に。

 かと言って、ドラゴンの姿になっての肉弾戦、とかは正体がバレバレになるだろうから嫌がりそうだし…。

「フィールドを気にする必要がなければ、アポロに一帯を焼き払わせれば終わりなんだけどね」

「恐ろしいこと言うなよ…!」

 

 日が暮れて、夕食をさっさと済ませた僕たちは入らないように言って部屋に引っ込んだ。それから、窓から屋根に出て、家から抜け出す。

「それじゃ、こっそり行くよ。よろしく、アポロ」

「うむ。任せるがいい」

 アポロの頭の上にライダーと二人で乗り込むと、アポロはそのまま空に飛び立った。

「うわああああ?!」

「カカカッ、肝の小さい童子(わらし)だな」

「ぼっ、僕は、子供じゃない!」

「アポロ、ウェイバーをからかって遊ばないの」

 ライダーがそう言うと、アポロの飛行速度が少し下がり、動きもぐっと安定した。わざとジェットコースターのような飛び方をしていたらしい。風が吹き付けてくることもないのは、何か障壁のようなものでも展開されているのだろうか。

「それで、何処まで近づくのだ?」

「とりあえず、目視できるところまで行きたいけど…他の参加者が居たら、気付かれない程度には離れておきたいな」

「目視できる距離、ってかなり近づくことになるんじゃないか?」

「当然、ある程度強化はすることになるんじゃない」

 当たり前のことのようにライダーは言う。視力の強化か…それでも、限度があると思うんだけど。こいつはどれぐらいの距離までは見えるつもりでいるんだろうか。

 アポロはしばらく飛んで、大きな橋の上まで来て滞空姿勢を取った。

「ひとまずこのあたりでどうだ?」

「そうだな。これ以上近づくかどうかは、一通り見てからにしよう」

「あそこの、倉庫街のあたりなんだよな?僕には全然見えないぞ」

「見たいのか?」

 ライダーは赤い籠手に覆われた左手で僕の目元に触れた。その途端、視力が突然倍以上に引き上げられる。

「?!」

「あ、上げすぎたか?」

「やるならやるって言って内容に了解を取ってからやれよ、ばか!」

 しかし、倉庫街の開けたところに立っている、恐らくランサーだと思われる、長物を二つ持った男ははっきりと見えるようになった。少し反動が怖いが。

「ランサーの挑発に応えたのは…ありゃあアーサー王だな。クラスはセイバーかな?」

 ライダーは一目でそう断言した。一昨日も言っていた通り、確信できる相手ということなのだろう。ランサーもセイバーも、能力値的に優秀な部類に見える。…アポロに勝てるかどうかはわからないが。

「セイバーの傍にいる白いのが、セイバーのマスターか?」

「そう考えるのが自然だね。協力者とかって可能性もあるけど」

 ライダーはそう言いながら視線を動かす。

「アサシン確認。それに…ふむ。倉庫の屋根に立っているのはランサーのマスターかな?傍にサーヴァントはいないようだし。それに、サーヴァントじゃない人間が二人ほど、様子を伺っているみたいだな。何処かの陣営の協力者かな?」

「アサシン、って…敗退したんじゃなかったのか?」

 アサシンのマスターらしき人物が教会に保護されたらしいことは確認していた。アサシンが敗退したわけじゃないとしたら、それは…

「してなかったんじゃない。ってことは、分身能力のあるサーヴァント、ってことか、デコイかな?きな臭くなってきたね」

「…アサシンのマスターが、敗退していないにも関わらず保護されているんだとしたら…」

「それもだけど、もっと言うと、アーチャーとアサシンが共謀していた、という可能性もあるね」

 参加者の一人と教会(かんとくやく)が癒着しているなんて、胡散臭い事この上ない。

 

「…あいつら、乱入されるとは全く思ってないっぽいな」

「いや、そもそも乱入するメリットがあるのかよ。消耗してから叩くのが定石ってやつじゃないのか?」

「そんな卑怯な手を使わなければならない格上の相手か?」

 言葉に詰まる。僕は、こちらが格上だと堂々と言い切ることはできない。だけど、多分、ライダーにとってはそうではないのだ。少なくとも、ライダーはあの二人を格上だとは思っていない。

「…って、まさか」

「アポロ、行くぞ」

「うむ、任せるがいい」

 ライダーの体が赤い鱗のような鎧(スケイルメイル)に覆われ、アポロが弾丸のように飛び出す。僕の体にも大きな重力がのしかかるが、何か柔らかい椅子のようなものに押し付けられているような感じで吹き飛ばされるという恐怖心は何故か湧いてこなかった。

 アポロはセイバーとランサーの間に割って入るように、倉庫街に飛び込んだ。

「遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!我こそは世界最強、伝説の赤竜(グレートレッド)!」

「そしてその相棒、ドラゴンライダー、参上!」

 アポロとライダーの名乗りに、一帯に沈黙が流れる。

 セイバーとランサーは自分たちの戦いが中断されたことが気に入らないのか、とても機嫌の悪そうな表情をしている。

「お、おい、ライダー…」

「…貴様、一体どういうつもりで現れたのだ」

「どういうつもり?この聖杯戦争はルール無用のバトルロイヤルだぞ?参加者を見つけてそこに突撃することに何の問題がある?」

 ライダーはそう言ってやれやれと大袈裟に肩をすくめる仕草をした。完全に喧嘩を売っているとしか思えない。案の定、セイバーとランサーは腹を立てたようだった。

「お前は、そのような理由で俺とセイバーの尋常な果し合いを邪魔したのかっ」

「乱入せずに狙撃してやった方が良かったか?サーヴァントに対魔力があっても、マスターの方はそうもいかないからな。或いは、神秘の少ない攻撃であってもマスターには通るだろうし」

「貴様っ…」

「ライダー、そんな挑発するようなこと言ってどうするんだよ…」

 僕は思わず口を挟む。これ以上ライダーが下手な事を言って殺気を向けられたら耐えられないかもしれない。

「僕は間違ったことは言っていない。あいつらの考えが足りていないだけだ」

「そんな外道なこと考える魔術師がそうそういてたまるかよ…」

 その時、嫌な予感が背中を走った。

『ウェイバー=ベルベット君。そうか、君だったか、私の手配した荷物を盗んだのは』

「ひっ」

 魔術によって何処からか、誰の声かわからないようにされた嫌な声が僕を呼ぶ。間違いない、ケイネス先生だ。ランサーのマスターはケイネス先生だったのだ。

『アレクサンドロス大王の縁の品という触れ込みは偽りだったようだが…目上の人間のものを窃盗するというその所業、どうやら性根を鍛え直してやる必要があるようだな?』

「君、盗みなんてやってたの?ダメだよ、人のものを盗んだら泥棒なんだから」

「そ、それは…」

 ライダーにまで静かな声で責められ、僕は言葉に詰まる。自分が悪いことをしたのは、確かに間違いないのだ。

「だが、ふん…我はこのような陰湿なものは好まん。我の相棒を使い魔扱いするような輩なら、我が噛み砕いていたぞ」

 アポロがそう言って頭を揺らして笑う。

「分別のつかない子供であれば、多少多めに見てやらんこともないが、大人に遠慮をしてやるつもりはないのでな」

「まあ、アポロに細やかな気遣いができるとは思ってないよ」

 そう言ってライダーも笑う。

「経緯はどうあれ、僕を呼び出したのはこのウェイバー=ベルベットだ。誰だか知らないけど、自分の管理の悪さを悔いるんだね」

「ライダー…」

 誰を相手にしても萎縮することのないライダーが、僕は羨ましく思えた。彼のように、堂々としていられたら、僕も馬鹿にされなくなるだろうか。

「そんなことより…セイバーとランサーの戦いを見ていたのは僕らだけじゃないだろう?臆したのではないというのなら、堂々と姿を現してみたらどうだい?」

 ライダーが朗々と響き渡る声で周囲に呼びかける。だけど、アサシンは出てこないだろうし、サーヴァントではない人間が姿を現すということもないだろう。そんなことしてもメリットはないだろうし。

「まあ、どのような英霊であれ、人間が我に勝てる道理はないがな」

 挑発するようにアポロも呼びかけ、笑う。

 こいつら一体誰を誘い出そうとしてるんだ…?

「――人に害成すトカゲ風情が、よくもまあ大口を叩いたものだ」

 金色のサーヴァントが、街灯の上に姿を現す。霊体化していただけで、倉庫街までは来ていたらしい。直接対峙して、改めてその覇気が恐ろしく感じる。体が竦みそうになった時、ライダーがぽんぽん、と僕の頭を撫でた。

「酷い言い草だな。アポロも僕も、ちょっかいを出されないで人を滅ぼそうとしたことはないよ。人に退治られたことはないしね」

「聖書の神は我を退治られる気でいたらしいがな」

 ふん、とアポロが鼻を鳴らす。風が巻き起こり、埃が舞い上がった。アーチャーが侮蔑の視線をアポロに向ける。

「黙示録か。王を名乗る獣など、存在するに値せぬ。我が宝具で塵に返してやる。…光栄に思うがいい、下郎!」

 アーチャーの背後に幾つもの金色の波紋が発生し、宝具が姿を覗かせる。

「アポロ、防ぐ必要はある?」

「愚問だな」

「ライダーっ…」

 ライダーの表情は兜に覆われて見えない。だけど、僕の方をちらりと見て微笑ったようだった。

「大丈夫、君のことは責任を持って僕が守るから」

 が、アーチャーは僕らに対して宝具を投擲することを中断し、左側を見た。僕も釣られてそちらを見る。そこには、いつの間にか黒い靄のようなものに覆われたサーヴァントがいた。

「何だ…?」

「残りの枠からいって、バーサーカー、かな?隠蔽宝具でも使ってるみたいだけど、どう?」

「…ダメだ、全然能力値が見えない」

 バーサーカーは目を赤く光らせてアーチャーを見ていた。アーチャーは、それに不快感を覚えたようだった。僕たちに向けていた宝具をバーサーカーに向けなおす。

「貴様、誰の許可を得て(オレ)を見ている、狂犬が。…せめて散りざまで(オレ)を興じさせよ、雑種!」

 

 何が起こっているのか、僕にはさっぱり見えなかった。いつの間にか、ライダーが僕の目に施した視力の強化も切れていたようだ。わかっているのは、バーサーカーがアーチャーに倒されていないということ。

「一体、何が起こったんだ…?」

「バーサーカーがアーチャーの投擲した宝具を空中でキャッチして迎撃したみたいだね。狂化してる割に器用なやつだよ」

「寧ろ、狂化しているが故に臆することがないこともプラスに働いているのであろう。狂化しても武技の冴えを失わないスキルも持っているのであろうな」

「そんなの、半分反則みたいなもんじゃないか」

 狂化は理性を失うことを代償に能力値が上がるスキルだ。それなのに、理性を失うことのデメリットを帳消しにできるスキルがあるとしたら、厄介すぎる。

「というか…うん。あのバーサーカー、手にしたものを自分の支配下におけるみたいだ。それの方が厄介だと思うよ」

「確か、サーヴァントは神秘のない攻撃を無効化できるのであったな。であれば、手にした武器を己の武器とし、神秘を付加できるというのはなかなかに侮れないか」

「そんな冷静に言ってる場合かよ…!」

「対人宝具でアポロが倒せるとでも?」

「うむ。我を傷つけようというのであれば、ファットマンぐらいは持ち出してこなくてはな」

「お前それ周りへの被害の方がヤバいからね」

 アポロが言及したのが何なのかはわからないが、ライダーの反応でかなりやばいものだということはわかった。

 僕がライダーたちと話している間に、アーチャーたちの方も事態が変化していた。完全にぶち切れたらしいアーチャーが、何か"奥の手"らしきものを取り出そうとしている。

「…あれは流石にアポロでもヤバいかな」

「どうであろうな。我は危機に陥ったと認識したこともないからな。どの程度の損傷まで己が耐えられるかわからぬ」

「なんなんだよ、あれ…」

 しかし、それが振るわれることはなかった。

「ちっ。時臣め、(オレ)を諌めようという気か」

「…令呪でも使ったかな?」

「どうやら、マスターの方にはアレの行動を許せるだけの度量がなかったらしいな」

 アーチャーは酷く不満げに僕らとセイバーたちを睨みつける。

「精々次までに半端な雑種は間引いておけ。(オレ)と刃を交えるは本物の英雄のみで良い」

 アーチャーが姿を消し、僕はいつの間にか止めてしまっていた息をゆっくりと吐いた。

 バーサーカーは標的を失ったからか、何も言わず、立ち尽くしている。

「結局、姿を確認できなかったのはキャスターだけか。それにしても、なかなかに豪華なメンバーみたいだね、今回の聖杯戦争(パーティ)は」

「過半数には達していないが、半分がある意味関係者というのも、なかなかに面白い事態ではないか?」

 ライダーとアポロは他人事のように言葉を交わし合う。

 関係者というのは、セイバーと、もう一人の円卓関係者…多分バーサーカー、のことだろう。

「騎士王、魔貌の騎士、英雄王、円卓の騎士、赤い龍、山の翁…残り一枠は何だろうね?エクストラクラスでなければキャスターだろうし、魔女とか?」

「キャスターが女でなければ、随分華のない戦争になるな。まあ我はイッセー以外の華はいらぬがな!」

「お前いい加減僕をそういうポジションに持っていこうとするの止めない?僕男だしイケメンじゃないし色気もないからね。彼ならヒロインでもいいだろうけど」

「誰がヒロインだ、誰が」

「まあ、女装しても違和感はなさそうではあるな」

 その時、雄叫びのようなものが聞こえた。ハッとして、セイバーたちを見ると、バーサーカーがセイバーに襲いかかっていた。ランサーもライダーも無視してセイバーに向かっていったというのは、何か因縁でもある、のだろう。円卓の騎士なのだし。

「…アーサー王に恨みを持ってそうな円卓の騎士っていえば、モードレッドかランスロットだけど」

 その二択なら、ランスロットだろうなあ、とライダーは小さな声で呟いた。

「この調子でいくと、最初に脱落するのはセイバー、か?」

「そういえば、負傷してるもんな」

「何でお前ら傍観する態勢に入ってるんだよ…」

 勝ち抜くことを考えるのなら、バーサーカーに助勢してセイバーを倒してしまった方がいいはずだ。何しろ、最優のサーヴァントなのだから、倒せる内に倒してしまった方がいいに決まっている。

「我は弱いものいじめは好かん」

「僕そもそも戦うの好きじゃないんだよねー」

「何しに来たんだよお前ら…」

 そうこうしている内に、ランサーがバーサーカーに加勢して、セイバーと二対一になる。ケイネスが令呪を使って命じたらしい。明らかにセイバーは劣勢になっていた。

「・・・」

 ライダーにも思う所があるのか、なんとなく、不機嫌そうな雰囲気になった。

「アポロ」

「任せるがいい」

 アポロは姿勢を低くとって三人に向かって突撃をした。セイバーとランサーは直前で飛び退いたが、バーサーカーはそのままアポロに轢かれる。アポロがセイバーのマスターらしき人造人間(ホムンクルス)の目の前で姿勢を反転する、と思ったその時、何を思ったのかライダーが人造人間の女性をアポロの頭上に引っ張り上げる。

「ライダー?!」

「ちょっと聞きたいことがある」

「アイリスフィール!」

 アポロが地上を離れる前にセイバーがアポロの背に飛び上がり、そのまま首を伝って駆け上がってくる。

「アイリスフィールから手を離せ、ライダー!」

「そうしたら君の聖剣でたたっ切られそうだから断る」

「女性に不逞を働こうとする輩を罰するのは当然のことです」

「僕は痴漢じゃない。ロリコン趣味もないし」

 溜息のようにそう言って、ライダーは鎧を解く。

「まあ、マスターを人質に取られた、となれば心中穏やかでないのはわかるが、僕は今すぐ彼女に危害を加えるつもりはない。一旦剣を収めてくれないか、セイバー」

「我の頭上でイッセーに傷を負わせれば、ただでは死ねぬと思えよ、小娘。まあ、頭上でなくとも許さぬが」

「お前は挑発をするんじゃない」

 セイバーは無言で剣を降ろす。ただし、すぐにまた切りつける体勢に戻ることができるだろうということは言われなくてもわかった。

「…聞きたいことというのは、一体何かしら」

「君が今回の小聖杯だな」

 それは疑問ではなく断定だった。

「…何処でその話を?」

「僕はライダーとして参加してはいるが、事情が少々特殊でね。"英霊"ではないんだ。まだ死んでいないしね。それで、聖杯戦争についても、以前ある程度話を聞いたことがあったんだ」

 ライダーはそこで一旦言葉を切り、少し困ったような顔をする。

「小聖杯は脱落した英霊の魂を一時的に留めておく器だと聞く。それ用に調整された身だとしても、君の肉体には大きな負担がかかるはずだ。それこそ、全ての英霊の魂をその身に留めることにでもなれば、君は確実に死ぬだろう。君は、それで後悔はないのか?」

「それで私の大切な人達の願いが叶うのなら、私は後悔しないわ」

「…アインツベルンの大望は第三魔法の実現、だったか?確か、魂に関わる魔法だったと記憶しているが」

「ええ…でも、お祖父様には申し訳ないけれど、今回私たちが叶えようとしている願いは違うの」

「私たち、か。ということはやはり、君はセイバーのマスターではないんだね。君が小聖杯である時点で、マスターを務めるには不都合があるだろうけれど」

「そんなことまでバレてしまうなんて、あなたは一体何処までこの聖杯戦争について知っているのかしら」

「そうだな…確か、聖杯戦争には小聖杯と大聖杯の二つの聖杯があり、大聖杯は円蔵山に収められている。この地の聖杯戦争は四度目だが、一度目は身内の争いでわやになり、二度目は時間切れで失敗、三度目は勝敗が決する前に小聖杯が失われ失敗。その実態は召喚した英霊の魂を聖杯にくべることで穴を穿ち固定することで根源へ至ろうとする儀式。英霊の魂を魔力に変換して使用することでどのような願いをも叶えられる可能性を持つことから、この地の聖杯は万能の聖杯を名乗ることとなった。もっとも、演算機能がない以上、願いを叶えるためには具体的なビジョン、方法論が必要だろうが。そして、根源へ至る場合は、七体の英霊全ての魂が必要となる」

 よどみなくすらすらとライダーは述べていく。

 コイツは、一体何を知っているんだ?僕に、何を隠していたんだ?

「最初に聖杯戦争を始めたのはアインツベルン、遠坂、間桐の三家。故にアドバンテージを持ち、優先的に令呪が与えられる他、もし他のマスターが敗退した上で生き残ったサーヴァントが出た場合、すぐに契約を結び直すことができる。アインツベルンは聖杯の器、遠坂は儀式を行う土地、マキリは令呪を担当し、三度目から牽制のために教会を監督役として巻き込んだ。サーヴァントのクラス、三騎士とライダーはクラス別スキルとして対魔力を持つためにキャスターは不利、アサシンは白兵戦を苦手とするためにやはり不利、ライダーもやはり三騎士に比べれば能力値が期待できない。バーサーカーはこれまでいずれもマスターが干上がって敗退、見えている地雷だ。三騎士以外のクラスが不利であるのは、外様の魔術師を有利にする必要がないからであり、利用だけしてポイしようという魂胆だ。まあ、外から来た奴にかっさらわれるのは普通に腹が立つだろうしな。…とまあ、とりあえずこんなところか?」

「あなた、一体何者なの?」

「それを答えるわけにはいかない、かな。敵にホイホイ名乗ったらウェイバーも怒りそうだしね」

 にこり、とライダーは笑う。女性の反応からして、ライダーの言葉は間違いではないのだろう。だとして、それをどうやって知ったのか。普通に知ることのできる情報ではない。僕と資料を探っていた時には一つたりとも出てこなかった情報だ。つまり、参加することになる前に知ったこと?だけどそれを僕に匂わせることもしなかったのは、つまるところ、

『ごめんね、釈明は後でするよ』

 パスを通じた念話でライダーの声がする。僕が視線を向けると、ライダーは苦笑のような表情を浮かべた。

「僕は他人のために頑張る気はないし、君達が破滅しようと別に構わない。自分で選んだ行動の結果であるのなら、自業自得、因果応報、自分で蒔いた種は自分で刈り取らなきゃいけない。だけど、それで不幸になる子供が出るのが嫌なんだ」

「…私が死んでも、私の夫が娘を慈しんでくれるわ」

「父親は母親の代わりはできないよ。逆もそうだけど。…どんな形であれ両親を失った子が必ずしも不幸だとは言わないけど、魔導の家系では保護者を失うことはセーフハウスを失うようなものだよ。そうでない子供と孤独の意味が変わってくる」

 女性は一旦口をつぐみ、目を細めた。

「あなたがそうだったように、ということかしら」

「否定はしないね。両親を失った時、僕は世界が半分なくなったような気がしたよ。残った世界を滅ぼしてしまおうかとも思った。…妹たちがいなかったら、実際そうしていただろうね。アポロも(僕が悲しんでいる事に)カンカンになっていたし、全てを滅ぼして人間の干渉の及ばない場所に引っ込んでいただろう」

「でも、あなたはそうしなかった」

「僕には守るべきものがあったからね。…この世界は楽園じゃない。人間という種は同族争いを止めないし、異種に対しての攻撃性も低くない。争いをやめさせようとするなら、滅ぼす方が早いくらいだろうさ。戦う相手がいなければ戦いにはならないからね」

 僕には、ライダーが嘘をついているようには見えなかった。でも、だけど、それなら…ライダーは本当に赤い竜なのか?白い竜と争い続ける赤い竜が、争いを厭うようなことを言うのか?

「…僕の話はいいよ、既に終わった話だ。今物語を紡いでいるのは君たちだ」

 ライダーはそう言って女性と、僕にもちらりと視線を向けた。

「君は、本当にそれで後悔しないの?君の夫は本当に、君の娘を守り慈しむことができる人間だと、疑いもなく信じられる?周りのものたちにそれが妨げられる可能性もない?五回目が起こることはないと言い切れる?」

「…五回目なんてないわ。私たちが今回で終わらせるの」

 ライダーは少し悲しそうに肩をすくめた。そして、僕を見る。

「どうする?君はどう思う?」

「え、それは…突然聞かれても、困るよ」

 聖杯戦争で他のサーヴァントを倒さなくては…殺さなければいけないのは、一応わかっていた。だけど、願いを叶えるためには、目の前のこの女性も殺さないといけないというのは…抵抗が有る。

 だけど、ライダーがそれだけじゃない何かを思ってやめさせたいと思っているらしいことが気にかかった。

「ライダー、お前は聖杯戦争をやめさせたいのか?」

「少なくとも続けさせたくはないね」

「何でそう思うんだ?」

「この地にある大聖杯は歪んでいる」

 端的に告げられた言葉は、意味を取りあぐねた。少なくとも、良い状況ではないだろうということはわかったが、具体的にどういう意味なのかはわからない。

「そんなはずないわ。聖杯は正常に働いているはずよ」

「何故そう言い切れる?きちんと手入れもせず100年以上放置しているくせに、何故正常だと確信できるんだ?」

「聖杯戦争に、何の不備も生じていないでしょう」

「今のところどうやら不備がないと確認できているのは、英霊を喚ぶ機能と令呪を配る機能だけだ。それ以外がどうかはわからない」

 ライダーは俯いて表情を隠した後、考え込むように沈黙し、溜息をついた。

「…仕方ない。一つ、大鬼札をそちらにも開示しよう。僕は、この世界から見て平行世界に当たる世界で、五度目の聖杯戦争に参加したことがある。その時、10年前に起こった四度目には勝者は出たがそれが原因で…聖杯の降臨にまつわる何かが原因で、冬木市は一度焼かれ、多数の死者が出たと聞いた」

「…それは、勝者が破壊を望んだってことなんじゃないか?」

「…敗退したが生き残った者がな、言っていたんだよ。大聖杯の中に、この世界で最も忌まれるべき悪が潜んでいるのだと。それが信じるに値する証言かはわからないが…その"災害"の唯一の生き残り…その聖杯戦争での僕の相棒は見ているんだ。冬木市の上空、穿たれた穴から降り注ぐ"悪"を」

 沈黙が流れる。ライダーは、表情をこちらに見せないまま、続ける。

「未だ確認できていないキャスターがその"悪"の源であり、今から聖杯が悪に侵されるのだという可能性もある。そうであれば、それに対処すればいい。だが、現時点で既に汚染されているのであれば…」

 ライダーは、キャスターが原因だとは思っていないようだった。キャスターが姿を見せていれば、その説に何かしらの反論か同意もできたんだろう。だけど、キャスターは未だに影も形も見せていない。

「…とりあえず、その大聖杯とやらを確認してみればいいんじゃないか?実際に見てみればはっきりする、んじゃないか、多分」

 その大聖杯という装置がどのようなものなのか知らないが、女性が小聖杯であるというのなら、何かしらわかることもあるだろう。聖杯の器を用意したのはアインツベルンなのだという話だし。

 

 女性…アイリスフィールとセイバーにアポロの背に移ってもらい、僕らは大聖杯があるという円蔵山に向かっていた。

「今の内に少しだけ釈明をしておくよ」

「…ああ」

「僕…つまり、赤い竜と白い竜はあんまりにも争っていたが故に、封印された。それでね、人の中を転生することになったんだ。何度も何度も、人間(じんかん)に生まれて、僕と彼は争った。今の僕で何代目かは数えてないからよくわからないんだけどね」

 だから、ライダーにも"両親"がいたのか。妹も、いるのか。

「ちなみに、今の僕は最近18歳になったところだね」

「えっ、つまりお前僕より年下なのかよ」

「君が19歳以上なら、肉体的にはそうなるね。転生分全部合わせたら僕の方が年上だけど」

 年下に身長で負けてるのか。…。いや、別に、なんとも思わないけど。

「僕の転生はね、平行世界をまたがるから、年代順に限っていないんだ。だから、今生分じゃないことは、ちょっと思い出すのにきっかけがいるし、時間がかかるんだ。彼女に話した知識は彼女を見て思い出したことだよ。彼女とよく似た少女が五回目に参加していたんだ」

「それは、彼女の娘、なのか?」

「多分、そうなんじゃないかな。その子も、小聖杯だった。エミヤキリツグは裏切り者だと言っていた。…ああ、その時の僕の相棒、衛宮士郎の養父のことらしいんだけどね。僕が士郎に会った時には死んでたからどんな人かは知らないんだけど、四度目の参加者だったらしい」

「彼女の夫、か」

「多分ね。まあ、何があったか、想像できないこともないんだけど」

 ライダーはそこで言葉を切って、遠くを思うような顔をした。

「セイバーもね、セイバーとして五度目に参加していたよ。酷く暗い目をしていた。彼女の願いが何なのか、結局僕が知ることはなかったし、僕の正体を彼女が知ることもなかったんだけどね。二度も参加するくらいだ、強い願いを持っているんだろう」

「…そのセイバーの前でお前は聖杯がヤバいんじゃないか、ってことを話したんだが」

「ダメな手段に拘っても時間の無駄だよ。本当に叶えたい願いがあるんなら、努力と試行錯誤をしなきゃ」

 そう言ってライダーは笑った。色々な意味で、ライダーは"強い"んだろう。人間ではなくドラゴンだから、なのだろうか。

「…と、そういえば、お前、白い竜のことを今はどう思ってるんだ?昔は封印されるぐらいに争ってたんだろう?」

「うーん…勝ったり負けたりを繰り返している内にね、ちょっと戦うのが馬鹿らしくなってきた、かな。今の彼のことは友人…寧ろ、弟分かな。そんな感じに思ってる。一応、同い年なんだけどね」

 つまり、戦い疲れた、ってことなんだろうか。

「別にね、そもそも彼が憎くて戦ってた、ってわけでもないんだよね。ただ、生まれた時から宿命のライバルとして存在していた。だから、戦った。それだけなんだ。ライバルであることをやめることはしていないけど、去年仲直りしたよ。お互い死ぬまで戦う理由もないし、殺したいとは思ってないし」

「去年、って…随分最近なんだな」

「お互い、色々と思う所があるのさ」

 そう言ってライダーが肩をすくめた時、アポロがゆっくりと飛行スピードを緩め、地上に降りたった。

「どうやら、此処がそうだぞ」

 目の前には、ぽっかりと洞穴が暗く穴を開けている。人が入るには支障がないだろうが、アポロがこのまま入ることはできないだろう。…そもそも、暗い時に来るべき場所ではないような気もする。

「…あんまり気が進まないけど、入るしかないね」

「…ちゃんと準備してから入るべきなんじゃないか?此処」

「準備するって何を。懐中電灯?明かりぐらいなら、魔術でどうにかなるし、ロープとかなら多分出せるけど」

「それは僕に対する嫌味か」

「別に嫌味じゃないって」

 ライダーは苦笑いをして、ひらりとアポロの頭から僕を抱えて飛び降りる。そして、僕を地面に下ろすと何処からかランタンを二つ取り出した。それぞれに火を付けた後、片方を僕、もう片方をセイバーの手を借りてアポロの背から降りたアイリスフィールに渡す。

「短時間ならこれでどうにかなると思うんだけど。…アポロ、おいで」

「うむ」

 アポロは猫くらいの大きさにまで小さくなるとライダーの後頭部にくっついた。こいつら小さい方の頭に乗るとでも決めているんだろうか。

「それじゃあ、行こうか」

 

 洞窟の中を歩いていき、ある程度進んでいったところで唐突に開けた場所に出た。そこにあるのが大聖杯なのだということは、なんとなくわかった。だけど、その仕組み、一体どういうものなのかは僕にはさっぱりだった。

 ライダーの手が離れる。何があったのかと見ると、彼は大聖杯を見て、驚愕に目を見開いていた。

「…ライダー?」

「…なんで、こんなのものが…ベネデッタの奴なんでこんなのものを…お兄ちゃんなんて…」

 半分放心したような様子でライダーは何事か呟いているが、その内容は殆ど聞き取ることができなかった。ある意味で、大聖杯に見入れられている様子でもあった。

「イッセー、惚けている場合ではないぞ。調べるのではなかったのか?」

「え、あ、うん…そうだね、呆けてる場合じゃなかった」

 アポロの呼びかけに応えてライダーは我に返ったらしく、左手に赤い籠手を出現させた。そして剣を抜いた。

「って、ライダー?!」

「何のつもりです、ライダー!」

「これは、存在しちゃいけないものだ」

 ライダーを中心に幾つもの魔法陣が現れる。僕、セイバーとアイリスフィールの足元にも別の魔法陣が現れていた。僕の足元にあるものとセイバーたちの足元にあるものは一部が共通しているように見える。

 というか、こいつ正気に戻ってないんじゃないか?

「ライダー、何勝手なことしようとしているんだよ!」

「ガイア側の守護者(そんざい)として、僕はこれの存在を認められない。…命を弄ぶ行為を僕は許容することができない」

 ライダーは何を以てそう判断したのかを説明する気がないようだった。

 令呪を使って止めるか?けど、そうする価値があるのか?令呪は三回しか使えない。その貴重な三回を消費してまで止めなきゃいけない行動なのか?

 僕が逡巡した数瞬の間にライダーは次の行動に移ってしまっていた。

「"事実は妄想より奇なり(スーパーリアル)"」

 魔法陣と並行して準備されていたらしい何らかのスキルが発動する。周囲の空気感が一変し、区切られたことが肌で感じられる。セイバーは剣を抜いていたが、魔法陣の外に出られずに壁を叩くような仕草をしていた。

「穿て、空を引き裂く流星の嵐」

 大聖杯に対して巨石の群れが殺到する。それらは爆発し、視界が白い光に焼かれる。何か、巨大な力の本流が溢れ出したのがはっきりと感じられた。

「全ては逆しまに組み替えられる。闇は光に、光は闇に、因果は逆転し、我が手の上で荒れ狂う」

 何も見えない中でライダーの声だけが響く。何かが起こっていることだけは確かだが、何が起こっているのかはわからなかった。

「"お前たち"は無に帰れ」

 

 光の奔流が収まり、視力が元に戻った時、僕は唖然とするしかなかった。

 僕たちは洞窟の中にいたはずなのに、そこは外だった。全てが破壊されたのか、転移系の魔術か何かで移動させられたのか。それをすぐに判断することはできなかった。ただ、乗り物酔いにでもなったかのような気分の悪さがある。セイバーも顔をしかめて頭を押さえていたし、アイリスフィールも調子が悪そうにしていた。そして、ライダーはといえば、青い顔をして膝をついていた。

「ライダー!」

 僕が駆け寄ると、ライダーは苦笑いのような表情を浮かべてみせた。

「勝手なことしてごめんね。でも、僕にも譲れないものがあるんだ」

「一体、何やったんだよお前。調子悪そうだけど、大丈夫なのか?」

「いやー、あんまり大丈夫じゃないかもね。多分アレを破壊することは出来たと思うんだけど、アレがサーヴァントを召喚していた大本だからね。もうすぐ僕はこの世界からいなくなると思う」

 突然告げられた別れに、僕は戸惑う。ついで、怒りがこみ上げてきた。

「お前、勝手な事して、勝手にいなくなるつもりかよ!」

「それに関しては弁明もできない。九割方僕に非がある。すまない」

「すまない、じゃないだろ。何なんだよお前、何でも一人で勝手に進めやがって!僕は、お前の相棒(パートナー)じゃなかったのかよ!」

「あはは…」

 よくよく考えてみれば、ライダーが僕に何かしらの行動を求めたことはなかった。僕に意見を聞くことはあっても、どうしてほしいと言ってきたこともなかった。自分が守るから心配するな、と一人で前に出て戦う(といっても、実際に戦闘行為は行っていないが)ばかりだった。

 アポロにはパートナーと紹介していたが、ライダーは僕を守るべきお荷物とでも思っていたんだろう。実際僕にできることなんてたかがしれているだろうけど…それでも、僕はそれが気に食わなかった。

「僕だって、何もできない子供ってわけじゃない。僕にも、できることはあるはずなんだ!」

「…ああ、そうだね。僕はちょっと君を蔑ろにしすぎていたかもしれない」

「イッセー!」

 突然アポロが翼を広げて僕らを覆う。翼に何かがぶつかった音がした。恐らく、銃弾。

「…セイバーのマスター、かな」

 ライダーが僕を抱え上げる。アポロがライダーの頭から離れて車より大きいくらいの大きさにまで変化した。セイバーの視線をたどると、何か目の死んでる黒ずくめの男が立っていた。

「キリツグ…」

「ライダー、お前は一体何をした?」

「見ての通りだよ。龍洞内部にあった大聖杯を破壊した。君の妻にもサーヴァントにも傷は付けていない」

 ライダーはそう返しながら周囲に視線を走らせる。厳しい表情をしていることからして、あの男以外にも何か脅威が迫ってきているのだろう。

「大聖杯を破壊した、だと?お前は聖杯戦争を滅茶苦茶にする気か?」

「結果的にはそうなったね」

 ライダーはアポロの背に飛び乗る。アポロが今までに見たことがないほどの大きさ…おそらく、象や鯨よりも大きいだろう、小さな山くらいはありそうなほどまで大きくなる。

 ライダーは僕をアポロの背に下ろして何事か詠唱を始める。僕の足元に魔法陣が現れる。

「やめろ、ライダー!」

 僕の叫びに答えるように令呪が一画消費され、ライダーが一時停止する。

「一人で何でも決めて頑張ろうとするなよ。僕は、君のマスターだぞ」

「君の安全を確保するためには、この場から離脱させるべきだ。このままだと、僕はこの地から排除されて、君に加えられる危害を僕が防ぐことはできなくなる。他のサーヴァントたちがどの程度この地に留まっていられるかわからないし、他のマスターがどう動くかもわからない」

「だからって、それはつまり、僕は何もしないままでわけもわからず聖杯戦争から離脱しろ、ってことだろ?そんなの、嫌だ。言っただろ、僕は僕の実力を示すために参加したんだ。何もしないで終わるんじゃ、意味がない!」

 ライダーは少し困ったような顔をして、溜息をついた。そして、肩をすくめて、首を傾げる。

「正直、徒労だと思うよ?」

「何もしないよりはマシだ。このまま、何もしないで帰ったら僕は絶対後悔する。僕にも、お前と一緒に戦わせてくれ、ライダー」

 僕の返事を聞いて、ライダーは仕方がないなあ、みたいな顔をした。

「オーケー、それじゃあ、最終決戦と行こうか。一緒に戦おう、ウェイバー」

 ライダーは何処からか書物のようなものを取り出した。

「補助礼装だ。今は周囲の魔力(マナ)が格段に上昇しているから適当な使い方をしてもそれなりの効果は出せるだろう。種別は魔導書(グリモワール)、銘は自然の息吹(ナトゥーア・アーテム)、魔力を通して起動する」

 ライダーは僕に書物を押し付けると、赤い鎧を身にまとった。

「出し惜しみはなしだ。存分に力を尽くそう」

 そう言ってライダーは僕の頭をぽん、と叩いた。

 

 魔導書に魔力を通せば、自然とその使い方がわかった。借り物の力でも、何もできないよりはずっとマシだ。魔導書に記された魔術の大半は僕の知らないものだったが、記述からある程度内容の類推はできる。攻撃、強化、妨害、回復、探査、様々な魔術が記されているようだが、今はその全てを見ている場合じゃない。

 僕は妨害の魔術にざっと目を通す。サーヴァントには魔術でダメージを与えるのは難しい。だから、マスター狙いでなければ攻撃魔術を使ってもあまり意味はないだろう。だとすれば、僕に出来るのは集中砲火を受けている現状、ライダーが思うように動けるように補助することだ。

 火事場の馬鹿力とかと同じことなのか、やけに思考を高速回転することができている。いや、どちらかというと走馬灯なのかもしれない。どちらにしても、僕は考えて、動くしかない。

「"刹那の幻惑"」

 ライダーに迫ろうとしたアサシンの内3体程の動きが鈍る。その隙にライダーの赤い翼から飛ばされたカマイタチがアサシンの首をはねる。動きが鈍らなかった4体は片手剣と長剣で受け止められている。

 アサシンは一体何体いるんだろうか。いや、そんなことを考えてる場合じゃないか。見たところ、アサシンは数が多い代わりに能力値が低いようだ。それに、対魔力は持っていないようなので、魔術による攻撃も通りそうだ。

「"蒼の火球"」

 アサシンの内一体の姿勢が崩れ、その隙を逃さずライダーは頚椎を蹴り折る。更に突撃してきたアサシンには羽ばたきによって生じた風による吹き飛ばしでアサシン同士をぶつけることで一旦回避する。

 アサシンはマスター殺しのサーヴァントらしいのに僕を狙う様子がないのは、ライダーが何かしているのだろう。ライダーは目を離せない程の存在感を放っている。おそらく、それが一種の幻惑のような効果を生じているのだろう。それに思うところがないではないが、僕に攻撃が向かってこないのなら、その分自分の身の安全を無視しても平気だってことだ。

「"双連の竜風"」

 この魔導書は記された魔術を使うことを補助してくれるが、連続して同じ魔術を使うことはできない。だから、滅多矢鱈と使えばいい、というわけにはいかない。それに、僕が読み上げてすぐではなく、一拍おいて発動しているようだ。シングルカウントにしては威力も桁違いではあるが、その辺を計算に入れないと外れることもあるかもしれない。今のところは効果範囲が広めだし、的も多いから当たっているが。

 他のサーヴァント…セイバーは何処で何をしているんだろうか。少なくともアポロの背に登ってきてはいないようだけど。それに、この戦いが他のサーヴァントに察知されていたりはしないのだろうか。アサシンは多分これだけ分身できるってことは、街の全域に散らばって情報収集をしていたので気がついた、ということなんだろうけど…幾らアポロでも、複数がまとめてかかってきたら取り逃がすというか、背に登られることを阻止しきれないんじゃないだろうか。だからアサシンが来ているんだろうし…多分、セイバーはアポロと戦っているんだよな、多分。

「そろそろ、打ち止めになるんじゃないか?」

「・・・」

 挑発するようなライダーの言葉にアサシンは答えない。だが、短剣を構えて一旦距離をとって取り囲む姿勢になった。ライダーは己の剣を油断なく構えている。

「矮小な人間の身で竜に挑もうというその覚悟、寧ろ職務に忠実であろうとする信念であるかもしれないが、賞賛に値する。…だが、その脆弱な刃ではこの鱗を貫くことはできない」

「…そんなことは、わかっている」

「我らの刃では、お前には届かない…」

「このまま挑んでも自殺行為にしかならない…」

 アサシンたちが口々に諦観混じりの言葉を連ねていく。しかし、戦いを止めるつもりはないようだった。そして、アサシンたちは集合し、合体する。いや、元の一人に戻った、のだろう。先程までより、僅かではあるが能力が上昇している…分割していたものを一つに戻したことで元の性能に近づいた、ということだろうか。

「せめて、一太刀くらいは浴びせて終わろう」

「成程、受けてたとう」

 アサシンは片手剣を構えてライダーに挑みかかる。

 僕は、これ以上この二人の戦いには手を出すべきじゃないだろう。そんなことしなくたってライダーは勝つだろうし、それはアサシンの決意を踏みにじる行為だ。そんな外道を態々したくはない。

 ならば僕はどうするべきだ?ただ見ているだけというのは、もどかしい。アポロの方に加勢する?であれば、アポロが対峙している相手が見える位置に移動する必要がある。頭の上に上るというのは無茶だろうが、背中のもっと首寄りの位置に移動するくらいならばどうにかなるだろう。

『ウェイバー、あまり僕から離れるな。離れすぎるとフォローが間に合わないかもしれない』

 念話を通じてライダーに呼び止められる。言い返す言葉も思いつかないので、僕は足を止めて再びライダー達を見る。

 確かに僕は魔導書を借りている今はサーヴァントに一矢報いるくらいはできるが、勝つのは無理だろう。見つかったら終わりだ。多分、アポロは僕を守ることはしないだろう。であれば、あまりライダーから離れるべきじゃない。

「伏せろ、ウェイバー!」

 ライダーの呼びかけに、半分僕の意志と無関係に体が動く。

 アサシンのナイフと、ライダーの片手剣が僕の頭の上を通り過ぎる。

 背後で、アサシンが倒れる。ライダーと対峙していた方のアサシンの剣がライダーの鎧を抉る。

「くっ」

「肉を斬らせて骨を斬る、か。僕の赤龍帝の鱗鎧(ブーステッド・スケイルメイル)に傷をつけたことは褒めてやるよ」

 ライダーの手に残っていた長剣がアサシンを切り裂く。

「…流石に、これ以上は出てこないよな…?」

「少なくとも、僕に感じ取れる範囲にはいないな」

 ライダーは片手剣を拾い上げて辺りを見回す。鎧についた傷はすぐに塞がっていく。どうやら、自動修復機能でもついているらしい。或いは、彼の(からだ)だというのなら、自動治癒とでも言うべきかもしれないが。

「セイバーとアーチャーがいるようだが、どうする?」

「そんなの、決まってるだろ」

 

「竜の背に隠れるのはやめたのか?ライダー」

 アーチャーが挑発するように言う。ライダーは大袈裟に肩を竦めるような仕草をしてみせた。

「隠れてたわけじゃないよ。ちょっと作戦を考えてたんだ。僕は戦闘は専門外だからね」

 軽口なのか本気なのかよくわからないことを言いながらライダーは剣を構える。

 セイバーもアーチャーも僕に対しては然程注意を向けていないようだ。まあ、本来僕じゃ何もできないからな。できて、令呪でライダーの補助をするくらいだ。それに、あの二人は態々マスターを狙うタイプでもない。

「ドラゴンブレスを食らわせてやれば一発だと思うのだがな」

「必要以上に周囲を破壊するのは目立つからダメだよ」

 ライダー曰く、万が一を考えた時、残しておいたらヤバいのはアーチャーの方らしい。理由は、単独行動スキルを持っているので、魔力供給が切れても短時間とはいえ留まることができるから。だからといって、セイバーを軽んじていいわけでもないが…。

「ライダー、何故あのようなことをしたのですか!」

「僕は【アレ】の存在を許すことができなかったから。それ以上でもそれ以下でもないよ」

 怒っている様子のセイバーに対して、ライダーは大きな反応は示さない。冷静そのもの、であるように見える。

 アーチャーとセイバーが協力すれば流石に分が悪すぎるということになるのだが、かといってどちらかがこちらにつくというのもこの様子では望み薄だろう。まあ、協力しそうにない二人ではあるのだが。

「寧ろ、君は【アレ】が存在していてもいいものだと思ったのかい?」

「だからといって、あなたの独断でとっていい行動ではなかったはずだ」

「かもね。でも、話し合ってどうなるものでもない。どうにかできるものがどうにかするしかないし…見た限り、君には出来て、破壊することだけだろう?これ以外に周囲に被害を出さない方法は多分なかったと思うんだよね」

 例えば、キャスターが神代の魔術師であったら、何かしら対処出来るのかもしれない。だけど、今のところキャスターは姿を現していないのでどのような相手なのかすらわからない。今回のキャスターにはどうにかできない可能性もある。

「あなた自身、それを破壊したことに変わりないじゃありませんか!」

「ああ、壊したね。壊して、"中から溢れ出した不浄"を浄化した。壊さないで不浄をどうにかできれば、それが一番良かったんだろうね、多分。君たちからすれば、だけど」

「…ライダー、貴様何をやらかした?」

「あれ、察知したから此処に来たんじゃなかったの?」

 ライダーは思わず、というように首を傾げる。

「大聖杯を壊したんだよ。聖杯戦争のシステムの根幹を成すもの…英霊召喚の儀式というものを成り立たせている、罰当たりな代物をね」

「…何?」

「マスターが大聖杯の補助なしにサーヴァントを維持できる傑物なら別だが、でなければサーヴァント皆現界していられなくなってノーゲーム、だね。まあ、今回聖杯を手に入れられる者はいないんじゃないかな」

 当然、僕にライダーを維持し続けることはできないのだろうし、セイバーのマスターも多分無理だろう。ケイネスは…できそうな気もするし、できないような気もする。アーチャーはわからない。バーサーカーはただでさえ燃費が悪いのだから無理だろう。

 アーチャーは気分を害した様子で眉をしかめた。

「どうやら、折角の余興もつまらぬ結果に終わるらしいな。興醒めだ」

「申し訳ないが、また別の機会に楽しんでくれ」

 

 セイバーとライダーが剣戟を交わしている。アーチャーは動かない。どちらかといえばライダーが優位に見えるのは、セイバーが負傷している状態だからだろう。自己申告ではあるが、ライダーは戦士ではない。だが、セイバーは騎士王だ。相応の技術を備えているだろう。

 能力(スペック)的には互角、ややライダーが優勢に見える。一時的に能力値を底上げしているから、だが。おそらく、セイバーが万全の状態であれば、能力の優劣に関係なくセイバーが優勢だっただろう。

 僕もライダーのサポートをしたいところだが、どうするべきか思いつかない。仮に、魔導書で補助しようとすれば、アーチャーが動きそうだ。令呪を使うにしても、どうせ使うなら効果的な使い方をしたい…。

「不毛だとは、思わないか?」

「…見逃して、勝ち逃げされるよりはマシです」

「勝ち逃げ、ねぇ」

 ライダーが己の望みを果たしたのであれば、それは確かに勝ち逃げになるのだろう。だけど、この結果がライダーの望んだものなんだろうか?なんとなく、そうじゃないと僕は思う。

 ライダーにも、聖杯の奇跡に託したい願いがあったんじゃないか、と。

「まあ、そこそこ楽しめた分は勝ち逃げなのかな?マスターともそこそこ仲良く出来たし」

 ギリィ、という音が聞こえたような気がした。セイバーの殺気が増す。

「この、マス充サーヴァントがっ…!」

 …セイバーは、マスターとうまくいっていなかったんだろうか。

「あはは。見た感じ、マスターと上手くいってるサーヴァントって僕だけだったよね」

 ライダーは自分の剣でセイバーの剣を受け止める。鍔迫り合い状態になったのは、意図してなのか、実際に拮抗しているのかは僕には判断がつかない。

「だって、皆、主従で意思の疎通をしようって考えてないみたいだったもの」

「私は、意思の疎通を試みてはいました!」

「…ああ、無視されたんだ」

 ライダーは後ろに飛び退き、セイバーの剣が勢いよく地面に叩きつけられる。

 …流石にそのセリフは地雷だと思う。

「いずれの英雄かは知りませんが、あなただけは絶対に許しません!」

「生憎、僕は他者の許しなんて求めてないんだ」

「――令呪をもって命じる」

 男の声がそこに割り込む。

「セイバー、宝具を解放し、ライダーとアーチャーを倒せ」

 その言葉に、僕は反射的に言う。

「ライダー、避けろ!」

 令呪が一画消費され、ライダーが僕の傍まで転移してくる。

「対城宝具は、流石にヤバいかな…っと」

 ライダーは目の前の空間を切り裂く。

約束された(エクス)勝利の剣(カリバー)!」

 セイバーの放った光の奔流の一部が、ライダーの作った空間の裂け目に吸い込まれる。アーチャーの方も、何らかの手段で防御したようだ。

「怪我はないね?ウェイバー」

「ああ、僕は大丈夫だ」

 防ぎきれなかった(とはいえ、ある程度の軽減は出来たようだ)攻撃でライダーが負った傷が、直ちに修復されていく。

「…ふん、無粋な男だ」

「…おや、セイバーの負傷が治ってる…ような」

「え?」

 僕には判断できないが、ライダーが言うなら多分そうだろう。だが、確かセイバーの負傷はランサーの槍の呪いによるもので、それを解除するには槍を折るかランサーを倒すかする必要があるんじゃなかったか?

「こりゃあ、小手先より口先でどうにかする方が確実か?僕のスキル的には」

「口先でどうにか、ってお前さっきセイバーを怒らせてたところだろ…」

「我のイッセーの"歌"を遮れる人間はそうそういないからな」

 アポロがそう言って首をこちらに下げてくる。ライダーと僕はアポロの頭に登った。

「姿が見えないと思っていたら、セイバーのマスターは何処か別のところにちょっかいをかけていたのかな?」

「他のマスターにちょっかいをかけられていたのかもしれぬぞ」

「それっぽいのはいないと思うけど…」

 セイバーのマスターが何処にいるのか、僕には確認できない。だが、セイバーがエクスカリバーを構えているのは見える。流石にさっきの攻撃を連発することはできないと思いたいけど…。

「あんまり、生きてる人間(マスター)は殺したくないんだけど…セイバーのマスターは物騒な人間っぽいんだよなぁ」

「…アインツベルンのホムンクルスには生きた方がいい、みたいなことを言っといて、旦那の方は殺すのかよ」

「うーん、足か腕を片方潰すぐらいならワンチャン?令呪の付いてる方の腕落とすとか」

 多分、本気で言ってるんだよな、こいつ。止めるべきなんだろうか。

「僕は多分朝までもたないし、できる限り君の安全を確保しておきたいからね」

「…脱落したやつを態々狙うやつがいるっていうのかよ」

「もうあんまり意味がない以上、いないとは思いたいけどね」

 

 ライダーは先程まで使っていたのとは別の剣を取り出して、二刀流でセイバーと戦っていた。

「あなたの剣には、信念が感じられません。そんな剣で私が殺せるとは思わないことです!」

「いやいや、そもそも僕は前に出て戦うタイプの職業(ジョブ)じゃなくて後方支援メインだから。戦いに信念とか言われても困っちゃうね。大体、剣とか、前時代的だよねっ」

 …相手は英霊なんだから近代戦闘の話をしても合意は得られないんじゃないだろうか。

「信念で戦う騎士(ナイト)様と違って、こっちは名誉より命が一番大切なんだ。卑怯だろうがなんだろうが、生き残ったもんが勝ちだよ」

「・・・」

「正面切って戦ったら死ぬんなら、真っ向うって意表を突くっきゃないだろ?」

 その時、セイバーの足元から剣が飛び出す。反射的にセイバーが飛び退くのと同時に僕は叫んだ。

「ライダー、飛べ!」

 令呪が消費され、ライダーがセイバーの背後に瞬時に転移した。それと同時に、ライダーは手にした竜殺しの剣(ドラゴンキラー)でセイバーの首を刈る。セイバーは多分、それを認識できなかっただろう。

 直後に、そこに何本もの武器が降り注ぐ。僕は反射的にその発射源に目をやる。そこには、アーチャーが新たに4つの宝具を取り出しながら仁王立ちしていた。

「…ふむ。仕留め損なったか」

「…っは、さっすが、"王様ではあっても戦士じゃない"だけあって卑怯とか気にしないな」

 爆撃にも等しい攻撃で舞い上がった塵が風で吹き飛ばされ、ライダーの姿が確認できるようになった。ライダーは、鎧を大きく損傷し、顔が一部露わになっていた。致命的なダメージはないようだが、消耗自体はしているようだった。

「ライダー!」

「まあ、獲物を仕留めようとしている時は逆に無防備になっている瞬間でもあるっていうし、非難する気もないが…流石に、効いたぜ」

「我の可愛いイッセーに傷を負わせたな…殺す」

 アポロの殺気が膨れ上がった。己に向けられたわけではないとわかっていても、身が竦む。これは多分、生物としての本能に近いものだ。

 アポロはライダーに頬を摺り寄せるようにして首を近づける。

「大事無い、あまりいきり立つな」

(ドラゴン)に己の宝物(もの)に手を出されて怒るなという方が間違っている」

「人をもの扱いするんじゃない」

 ライダーはアポロの頭に登ってくる。そして、目の前で鎧姿を解いた。

「そろそろ僕も限界っぽい。ってわけで、お別れだ」

「限界、って…」

「いや、傷ってよりは魔力の問題だな。そろそろすっからかんになりそうだ。ってわけで」

 僕の足元に魔法陣が出現する。ライダーは真面目な顔で、僅かに微笑んでいた。

「ライダー、お前っ」

「ここ数日、本当に楽しかったよ。僕を喚んだのが君で良かった」

「何言ってんだよお前、っていうか、また勝手に決めてるんじゃない!」

 ぽん、と頭に手を載せられる。そしてそのまま、ライダーはわしゃわしゃと僕の頭を撫でた。

「生きろよ、ウェイバー。君には無限の未来がある。こんなところで死ぬのは惜しいだろ」

「っ、ライダーのくせに、突然そんな真面目なこと言うなよ、ばかっ…」

 酷い涙声になってるのは自覚が有る。何故って、ライダーが僕を認めるようなことを言ったからだ。僕で良かったと、言ったからだ。僕のことを肯定したからだ。

「僕だってこういう時くらいは真面目になるよ。…じゃあね、バイバイ、ありがとう、マスター」

 その言葉とライダーの笑顔を最後に、僕は戦場から引き離された。

 

 次の瞬間には、僕は拠点にしている家の、部屋の中にいた。

 悔しくてたまらなかった。ライダーの最後を見届けることを許されなかったことが。

 自分に腹が立った。マスターと呼ばれたこと、生き残ったことを嬉しく思うことが。

 アイツに怒りがこみ上げてきた。結局最後まで、一人で勝手に決めてアイツの思うとおりにいったことが。

「ありがとうって何だよ、馬鹿…」

 結局、僕がしたのは、ライダーを今回の聖杯戦争にサーヴァントとして喚びだしたことくらいだ。それ以外は大して意味のない、取るに足らないことだろう。

 僕は、アイツに感謝されるようなことなんて、できていない。

 暫く茫然とした後、立ち上がろうとした時、足元に書物が落ちた。ライダーが僕に渡した礼装、魔導書だ。そういえば返していなかった。ほんの数時間前まで令呪が刻まれていた手の甲にはその痕跡すらない。パスをたどることもできない。多分、ライダーはもうこの世界にはいないのだろう。

「馬鹿ライダー…」

 

 後日。

 魔導書を調べていると、ライダーから僕へのメッセージらしきものを見つけた。それによると、どうもアイツは最初から僕に渡すつもりでこの魔導書を作ったらしい。僕が戦う時に補助をできるように、と。何時の間に作ったのかはさっぱりだが、僕が戦いたいと言い出すこと自体はアイツにとって予想の範囲内だったんだろう。状況は予想外だっただろうが。

 だからせめて、僕はこの礼装を使いこなせるようになろうと思う。正直、現代の魔術師に易易と作れるものじゃないから、他の人間に取られたりしないように守れるようにならないといけないとも思うし。

「…次に会う時は見てろよ、ライダー」

 もう二度と会うことはできないとは、何故か思わなかった。アイツはまだ生きているらしいし、平行世界を行き来したりもできるようだから、またその内ひょっこりと(サーヴァントとしてではなく)この世界に顔を出すかも知れない。

 そうしたら、その時は…

 

 

 

 





補足
・破壊者のアレの小説パート。大体ウェイバー視点
・色々酷い
・ウェイバーから見ればこうでも、奴の思考はアレである
・幸運値はマスターが彼だから引き上げられただけで、本来は加護付き不運タイプ
・彼らは割とサクッと嘘をつく
・誘導スキルの有用性について(実はウェイバー含め他のキャラに対して頻繁に使用している)
TRPGで例えるなら思考誘導による丸め込み系のスキルとか相手の意識を自分に集中させるとか逆に気配隠蔽による隠れるスキルとか受け流しとか投擲に対するエイム補正付けるとか発想次第で結構チートに使える
・やっぱりダイジェスト版だけど長いなこれ…分割の方がいいか?
・姿を全く見せずに終わったキャスターがどうなのかとか、他サーヴァントがどうなったとかは…うん
・多分、大聖杯の破壊で強制排除される前にサーヴァントを倒せば小聖杯に魔力を貯めて願望機として願いを叶えること自体はできたんだと思われる


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