平行世界間チャット   作:ペンギン隊長

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・一個ずつで出すには短いネタのまとめ。NLだったりBLだったり×じゃなくて+だったり
・破壊者時空である
・エロ味薄め
・何故IFや別分岐という括りでないかといえば、そのへんはまあ深い意味はない。多分後々くっついて伝道師ちゃんプレゼンツの破壊者受けエロ話に繋がるんだろう、多分
・女性陣一回消えたので書き直した…


 薄い本時空SSSまとめ

 

 

 

*ソーナの場合

 

「生徒会に、か?」

「はい。イッセー君なら文句は出ません」

 生徒会はソーナの眷属で構成されているらしいと聞いた覚えがある。まあ、生徒会に入るとして、それでイコール僕がソーナの眷属になるわけではないだろうが。

「…それに、いつもリアスばっかりズルいです」

「…いや、リアスは押しが強いからな」

 そして僕は押しに弱い。残念ながら当然の結果だと言えるだろう。

 …まあ、別にいいか。早いもん勝ちってことで。

「まあ、入るよ、生徒会。確か、委員会かクラブ活動か、何処かには所属しないといけないんだし。だったら、知ってる人が居る方が楽しいだろうし」

 ソーナ以外は多分知らない人ばっかりだろうけど。ソーナの眷属で面識があるのって女王(クイーン)の人くらいだし。

 ソーナは嬉しそうに微笑する。

「では、イッセー君は今期から副会長に…」

「副会長は真羅先輩でしょうが」

 冗談でも勘弁してくれ。それぐらいは僕も知ってるぞ、一応。

「ちぇっ」

「女の子がそんな風に口を尖らせたりしない。…そんな顔してるとキスしちゃうぞ」

 なんてな。

「…イッセー君なら、いいですよ」

 ソーナはそう言って淡く頬を染めてはにかむ。

 …あの、冗談っていうか、軽口なんですが。何これ、軽口として流しちゃいけない雰囲気?

 …。

 ええい、なるようになれ!

 僕はそっとソーナに口付ける。

「奪っちゃった」

「…奪われちゃいました」

 ソーナがまた嬉しそうに微笑する。あの、喜ばないでください。とても居た堪れないというか、恥ずかしいです。

 今回の教訓。冗談は相手と状況をよく考えて言うこと。

 

 

 

「そろそろ休憩にしませんか?」

「もうそんな時間ですか」

 時計に目をやる。確かに、一回休憩を入れてもいい時間かもしれない。別に休憩できないほど忙しいってわけでもないしな。

 ソーナが紅茶の入ったポットと、何か小さな紙箱のようなものを持ってきて僕の向かいに座る。紅茶くらい、言ってくれれば僕が淹れたんだけど。

「よかったら、食べませんか?」

 ソーナはそう言って紙箱を開く。中には美味しそうなクッキーが入っていた。

「会長、お菓子作りが趣味だったんですか?」

「はい」

 …あれ。何か椿姫先輩が後ろで拙い、みたいな顔をしてる。どうしたんだろう。

「料理上手なイッセー君に食べさせるのは恥ずかしかったんですけど、今回は特別上手く出来たんです」

 ソーナはそう言って微笑する。手に取った感じ、普通に美味しそうだ。妙な匂いがするということもない。

 僕はクッキーを食べた。

「――」

 …。

 何だ、今の。

 何か一瞬意識が飛んだぞ。

「どう、ですか…?」

「…うーん」

 もう一枚食べてみる。覚悟していたからか、今度は意識が飛ぶほどの衝撃はなかった。だが、どう控えめに表現したとしても、見た目と実際の味が釣り合っていない。どういうことだ。

 端的に言うと、テロい。見た目が美味しそうなのが特に。

「…すごく、個性的な味だな」

 先輩がソーナの後ろでオブラートに包んだ表現で、ソーナにショックを与えないように、というようなメッセージを送ってきている。

「何か特別な材料でも使っているのか?」

 言っちゃあなんだが、クッキーなんて材料を分量通りに混ぜて焼くだけだ。余程変なことをしない限り不味くならないと思うんだが。あ、レシピを守っていない場合は除く。

 基本として、お菓子作りというものはレシピさえ守れば美味しくできるものである。料理と違ってファジィな部分がないのだから、余計なことさえしない限り失敗するわけがない。

「いえ、そんなことはないと思いますけど…」

 しかし、先輩の表情の意味はわかった。ソーナの作るお菓子はいつも"こう"なんだろう。

 …うむ。

「…ソーナ、今度の土曜って空いてるか?」

「え?!…そ、そうですね、午後からなら、予定に空きがあったと思いますが…」

「遊びに行ってもいいか?」

「え?」

 いや、もっとはっきり言ったほうがいいか。

「ソーナがお菓子を作ってるところが見たい」

 何故こんなテロいものが出来るのかが知りたい。見た目からして地雷臭がしてるならわかる。それはそれで推測できる。だが、ソーナのクッキーはどう見ても普通なのだ。何故だ。一体どんな化学反応が起きればそんなことになるんだ。

 僕の研究者としての好奇心がすごく刺激されると同時に、こんなテロいものを自信満々に量産して被害を拡大されては困るという使命感がだな…うん。眷属とか、断れなさそうだもんな。

「…はい」

 頬に手を当ててなんだか乙女モードに入ってるらしいソーナの後ろから先輩の冷たい視線が僕に注がれている。解せぬ。

 

 

 

・所謂生徒会√である。本編はオカ研√

・二つ目の方は生徒会√じゃなくても機会があればやる

・見た目からして地雷臭がしたら食べないからね、仕方ないね

 

 

 

 

*朱乃の場合

 

「なんだか、お疲れみたいですね、イッセー君」

 朱乃はそう言って僕の前に紅茶の入ったカップを置いた。どうやら、わざわざ淹れてくれたらしい。

「朱乃。…いや、何というか…リアスもソーナも、吊り橋効果の初恋なんて、さっさと吹っ切ってくれるといいんだけどな」

 二人共美少女なんだし、幾らでもいい男は他にいるだろうに、何で僕なんだか。あんまり祝福される要素がないと思うんだがな。

 朱乃は僕の隣に座って苦笑した。

「女の子にとって、初恋は大切なものですから」

「それはわからないではないけど」

 初恋は、以降の恋の基準になりうるものだ。あの人みたいな人がいい、というのもあの人みたいな人はもう好きにならない、というのもその相手を何らかの基準として見ていることに変わりがないのだから。まあ、初恋だけが基準じゃないだろうが。

 僕はリアスもソーナも友人として大切に思っているが、恋愛対象として見れるかといえばまた別の話だ。いや、あまり積極的にアタックされ続けたら絆される可能性自体はないわけじゃないが。それでも、彼女たちに"恋する"ことはないだろう。

「イッセー君は素敵な人ですし」

「いや、友人としてはともかく、恋愛対象としてはどうかと思うよ?僕自身」

 僕に恋したって幸せになるとは思えない。僕はその気持ちにちゃんと応えることができないから。恋情に恋情を返すことはできない。その覚悟を決めれば、愛することはできるだろうけども。だけど、それは本当に幸福だろうか?

「少なくとも、僕は僕のような人間に恋をすることを祝福できない」

 だって、態々茨の道を進むことはないだろう。そうしなければならない理由があるわけでもなし。

 朱乃は困ったように笑う。

「それでも、誰かを好きになる気持ちは、コントロールできるものじゃありませんから」

「…まあ、な」

 僕としては、それを実は肯定しきれないのだが。人を恋に落とす呪いや祝福みたいなものだってあるし、惚れ薬ってのも知らないではない。他者の心を変えさせる手段は全くないわけではないのだ。それが正しいかはともかく。

 そういえば、朱乃と恋愛に関する話をしたのはこれが初めてかも知れない。彼女も女の子なんだから恋愛に興味があるとは思うのだが、まあ、そういう話は大体同性とするものだからな。僕としてもあまり女性と恋愛の話を積極的にしたいとは思わないし。

 でもよく考えると朱乃の恋愛関係の話自体聞いたことないかもしれない。ヴァーリとかに…聞いてわかるわけないか。朱璃さんとかバラキエルさんとかに聞くと面倒なことになりそうだしな…まあ、別に積極的な興味があるわけでもないし、いいか。

 幼馴染みたいなものとはいえ、他人の恋愛遍歴なんて別に知らなくたっていい情報だし。

「そういえば、イッセー君の好みの女性はどんな相手なんですか?」

「え?うーん…どうだろうな、考えたことないけど、多分包容力ある年上?」

 というか、女性に限らないとダメなのかそこは。…いや、別に僕に同性趣味があるというわけじゃないが。好みと問われて性別を限定されると困るというか。

 だって、性別が影響する要素は然程気にしないし。

「つまり、黒歌さんみたいな人?」

「黒姉の包容力…?」

 ないとは言わないが、黒姉は寧ろ嫉妬深い方な気がする。いや、そもそも黒姉は僕にとって姉だから恋愛対象でもないし。白音も同じく。じゃあ誰が対象なのかって聞かれるともにょるが。

 にこり、と朱乃が笑う。

「あ、今のなし!黒姉にバレたらお仕置きされる!」

「うふふ、どうしましょうか」

「僕マゾじゃないから本当やめてくださいお願いします」

 朱乃はサドらしいが。

 朱乃はにこにこと笑っている。面白がってるぞ、絶対。

「イッセー君って、時々すごくいじめたくなるんですよね」

「勘弁してくれ…」

 からかわれているのか、本気なのか、聞き質したくない発言だ。

「でも、イッセー君がそんな姿を見せてくれるのって、私くらいですよね」

「そんな、ってどんなだ?…まあ、朱乃と居る時は比較的のんびり穏やかにしてられるかな、って気はするけど。一緒に居て落ち着くし」

「そうですか?」

 朱乃が比較的おっとりした性格をしているというのもあるだろうし、リアスやソーナのように明確に恋心を僕に向けているわけではない、というのも大きいだろう。正直な所、あまり強い感情を向けられていると落ち着いて穏やかに接するというのが意味もなく罪悪感を覚えたりして気分的に落ち着かない。

 その点、朱乃は僕に押せ押せで何か言ってきたりしない分、一緒に居て楽なのだ。

「そういえば、朱乃ってモテるんだよな。何も不思議な事はないけど」

 美人でおっぱいが大きくておっとり包容力のあるタイプ、というのが朱乃に対して大抵の生徒が持ってるイメージだろうと思う。お姉さまとか言われてるらしいし。実際には、朱乃は甘えられるより甘えたいタイプなんじゃないかって気もしてるけど。

「何が不思議じゃないんですか?」

「朱乃がモテること。気配りの出来る美少女がモテないのは逆に不自然だろ。そういう美点を打ち消して余りある欠点があるって事になるじゃないか。でも、朱乃はそういうのって特にはないだろ。だから、朱乃がモテることはさして不思議じゃないな、と」

 ただし朱乃の浮いた話を聞いた事があるかと言えば、また別なのだが。誰かと付き合ってたら僕が気付かないわけがないだろうし。幼馴染に恋人が出来ても気付かないとか、色々自信失くす展開だ。だから、多分ないと思う。

 朱乃は同性人気もあるし、余程慎重に隠さなきゃ噂になってるだろうしなぁ。

「…私は、殿方にモテたいとは思っていませんけれど」

「はは。まあ、不特定多数の好感を得ても、本当に好かれたい相手に好かれなきゃ意味がない、とは言うよな。…ヤンデレとか洒落にならないし」

 ヤンデレだけは本当、洒落にならないからな。俺がこれまでの人生で何度ヤンデレによって死ぬ羽目になったか…考えたくもない。まあ、俺自身がヤンデレと化した時もあった気がするので、あまり人の事は言えないのだが。

「イッセー君は、どう思っていますか?」

 朱乃が伏し目がちに視線をそらして、僕に問いかける。

「どうって、朱乃のことを?」

 朱乃は小さく頷く。これは真面目に答えるべき状況だろうか。

「勿論、大切な幼馴染だと思ってるけど。好きか嫌いかで言えば、好きだよ」

 言うまでもなく友情においての話だが。僕は、朱乃のことも恋愛感情を持って見た事はない。恋心を持った事はないのだから、当然だ。その事は、朱乃も知っているだろうと思う。

 朱乃はほんの少し、困ったように微笑って、立ち上がった。

「…いけませんね、紅茶が冷めてしまっているみたいです。淹れ直してきます」

 朱乃がカップを下げる前に、僕はカップを手にとって紅茶を飲み干す。

「折角淹れてくれたのに冷める前に飲まなくて御免。朱乃の淹れてくれる紅茶は冷めても美味しいけど、ちゃんと温かい内に飲むべきだったな」

 カップをソーサーの上に戻して、朱乃に微笑み返す。

「ありがとう、朱乃。次はちゃんと冷める前にいただくよ」

「いえ、私が話しかけてしまったからイッセー君が飲むタイミングを失ってしまったわけですし」

 朱乃は早口でそう言って、カップとソーサーを回収して急いで奥に引っ込んでしまった。

 …あれ。何か間違えたかな。

 

 

 

・一目惚れ初恋キラーの称号を持つイッセーェ…

・朱乃の初恋ゲットしてる事に気付いてない一誠

・もしかすると朱乃がリアスの女王でない可能性もある

 

 

 

 

*黒歌の場合

 

「イッセー、知ってる?この国では、女の子は16歳で結婚できるんだよ」

「男が結婚できるのは18歳からだけどね」

 傍から見れば、僕が黒姉に押し倒されている状態、になるんだろうか。まあ、黒姉のスキンシップが激しくて距離が近いのはもう今更の話なんだけど。だから別にこれくらいで動揺したりはしない。そもそも僕にとって黒姉がそういう対象じゃないからな。

「…そういう意味じゃ、私よりイッセーの方が年上だったら良かったのにね」

「そう?別にどっちでも同じだと思うけど」

 まあ、年齢関係が逆だったら、黒姉が16歳になった時点で僕はとっくに18歳過ぎてるよね。その場合白音はどうなるんだろう。更に年下なんだろうか。

「…確かに、他の女の子にちょっかいかけられてる可能性も否めない…」

 そういう話ではないのだが。そもそも、僕に結婚の予定は今の所ないし。

「黒姉、何の心配してるの」

「こういうシチュエーションで黒姉、なんて言わないでよ」

 黒姉はそう言って口を尖らせる。そんな事言われても、僕にとって黒姉は黒姉だ。黒姉にとって僕が()であれ、僕にとっての黒姉は、大切な家族であり姉だ。

 とはいえ、姉の我儘に答えるのも弟である。

「…で、何なの、黒歌」

「イッセーは、私があなたをどう思っているのか、わかっているでしょう?」

「・・・」

 確かに、僕には見えている。黒姉の、黒歌の僕に向けている感情(いろ)がどんなものか。それは、普通の姉弟の間で向けられる感情では、ない。

「ねぇ、イッセー。確かに私たちは家族だし、姉弟として育つ事になったけど、血の繋がりはないんだよ」

「…血の繋がりがなくたって、種族が違ったって、家族は家族だ」

「私は、イッセーとずっと家族でいたいし、イッセーが他の人と家族を作るのは嫌だな」

 そんなことを言われても、困る。僕にとって黒歌は家族で、それ以上でもそれ以下でもそれ以外でもない。大切な相手だけれど、恋愛感情を向ける相手ではないし、結婚とかを考えた事もない。そもそも選択肢が違う。

「それに私は、イッセーの子供を産みたい」

「…僕の子供なんて、碌なものが生まれないよ」

 それに、記憶にある限り、僕に血の繋がった子供が生まれた事はないのだ。多分、世界の抑止力の様なものだろうと思う。僕の保有する資質を受け継ぐ子供が生まれれば、世界のバランスに大きく影響を与えてもおかしくはない。勿論、受け継がれない可能性もあるだろうけど。

「イッセーの子供なら、絶対に可愛くて強い子が生まれると思うわ。私の本能がそう言ってる」

「僕も黒歌の子供は見てみたいけど、それが僕との子供というのは難しいと思う」

「そんな事、言わないでよ」

 黒歌は泣きそうな顔をする。そんな顔をさせたいわけじゃ、なかったんだけど。

 僕は黒歌の頬に手をやる。

「生き物として完成に近づくほど、次代が生まれにくくなるって言うだろう。僕はある種の完成形に近い存在だから、物理的に出来にくいと思う」

「簡単なことだとは、思ってない。イッセーはドラゴンだもの。強い分子供が生まれにくいってのは、わかるわ。でも、試す前から諦めるのは違うでしょう?」

「僕は、黒歌をそういう対象として見てない」

 いや、そもそもそういう対象として見てる相手自体いないんだけど。

「それは、私に限った話じゃないでしょう。まあ、イッセーがおこちゃまだってのもあるでしょうけど」

 子供だから、って事はないと思う。多分。そもそも僕が積極的な性欲を持ってた頃があったかというと疑問符がつく程度には縁がないから。僕の心象的に縁がなくても、物理的には縁があったけど。

「ねぇ、イッセー。今はダメでも、あなたが18歳になる時にはちゃんと考えて。私は、イッセーの事を家族としてだけじゃなく、一人の男の人として好きなの。…例え、応えてくれなくても」

「…黒歌は、僕の大切な家族だよ」

 失いたくないと、強く思うくらいには、大切な相手なんだ。

 

 

 

・本編でもやってそうな気はしないではない

・葛藤してるのかしてないのか

 

 

 

 

*白音の場合

 

「一兄様、16歳になったので私と結婚してください」

「…いや、僕まだ17歳だから結婚できないからな」

 何でこうなったものやら。我が妹は(ぼく)を何だと思っているのだろうか。

「じゃあ、兄様が18歳になったら私と結婚してくれる?」

「この国では一応兄妹は結婚できないことになってるはずなんだが」

「でも、私と兄様は本当の兄妹じゃないでしょ」

 白音はそう言って僕の首に腕を巻きつけるようにして顔を近づける。

「血筋的には他人なんだから、何の問題もないでしょう?」

「…白音は、僕の大切な妹だよ」

 後僕には兄様と呼ばれて興奮するような特殊な性癖はない。妹を恋愛対象として見ようとは思えない。

 …以前(前世以前)に、同様の状況で最終的に押し切られて結ばれてしまった事がないとは言わない。言わないが、それを良しとしたくはない。ファンタジー世界と現代日本では色々手続きに違いがあるし周囲の心証もだいぶ違うし僕の倫理観は妹とは恋愛対象にするものではないと言っている。

「大体、元々名字が同じなんだから結婚する必要はないだろう」

「結婚したら、兄様を堂々と独り占めできるでしょう?」

「お前なあ…」

 白音は結婚を一体何だと思っているんだ。

「大体、兄妹で結婚するもんじゃないんだから、兄様って呼ばれてる相手と結婚はできないね」

 僕がそう言って肩を竦めると、白音はすっと目を細めた。

「…じゃあ、兄様って呼ばなければいいの?」

「…白音?」

「私は、イッセーが好き。…そう言えばいいの?」

「…僕も白音のことは好きだよ」

 妹として、家族として、守る対象として。白音は、僕の大切な女の子の一人だ。

「でも、その好きは、私の欲しい好きとは、違うんでしょう」

「…それは、白音の望むものによるな」

 わかっている。白音が何を望んでいるのかは。わかっているけど、認めたくないのだ。だって、僕にとっては白音は可愛い妹だから。

「…イッセーのばか」

「うん、馬鹿な兄でごめんな」

 

 

 

・攻めの姿勢で頑張るイケイケブラコン義妹…

・本編でもやりそうな気はしないではない

 

 

 

 

*サイラオーグの場合

 

「ちぃ師匠、俺の女王(クイーン)になってくれないか?」

「…ぱーどぅん(pardon)?」

 キラキラした目で問いかけられ、僕は思わずそう返していた。

 何でだろう、サイラオーグが大型犬に見える。ぶんぶん振り回されているふさふさ尻尾とぱたぱた動いているわんこ耳の幻覚が見える。こいつ確か獅子(ライオン)属性なんだが。

「己の駒を受け取ってからずっと、師匠に女王になって欲しいと考えていたんだ」

「いや、あの…何だっけ、アバドンだっけ、金髪美女は?あの人女王じゃないの?」

「彼女は僧侶だ」

 ああ、それで何かサイラオーグが僕を師匠って呼んだ時にすごく僕に対して敵意が向いてたんですねわかります。

 …なんだかなぁ。

「君のことは嫌いじゃないが、生憎、僕は悪魔になるつもりはないんだけど。というか、何で僕に女王になって欲しいんだ?」

「そうしたら、師匠と永く共にいられるだろう?」

 …いや、そりゃあ、確かに僕が人間だってのは話したはずだし、悪魔は人間より遥かに寿命が長いもんだけれども。何故そこまで好感度が高いのかがさっぱりわからない。

『…そもそも、お前の実力で相棒を悪魔にできるのか?リアスたちも駒の価値が足りないからと諦めざるを得なかったのだが』

 ドライグが少し不機嫌そうな声で口を挟む。サイラオーグは自信満々に笑う。

「その為に鍛錬を怠っていないし、俺の女王の駒は変異の駒(ミューテーションピース)になっている。恐らくちぃ師匠を悪魔に転生させる事もできるはずだ」

 女王の変異の駒…それは恐らく、王の持てる最大の価値を持つ駒、だろう。本気すぎて逆に引くわ。というか、なっている、って事は最初から変異だったわけじゃなくて、途中で変異に変わったってことか。

 サイラオーグの執念だか情熱だか的な何かに駒が応えた的な?…怖っ。

「受け取ってくれないか?師匠」

 サイラオーグはそう言って女王の駒を差し出す。黒…いや、黒に見える程に深い色の紫色をした駒を僕はじっくりと眺める。突っぱねるとしょげそうだが、これを受け取るというのもいかがなものか。主にリアスたちの心象的な意味で。

「…暫く考えさせてくれ」

 サイラオーグは嫌な奴じゃないし、その性根をなんだかんだで僕は気に入っているというのがややこしい。無闇に拒絶する事ができない。

 

 

 

「ちぃ師匠!」

「うわっ…サイラオーグ、突然なんだ、びっくりしたぞ」

 というか、ナチュラルに持ち上げるのはやめてくれないか。僕はマスコットじゃない。簡単に人の足を浮かせるな。コップを持ち上げる程度のノリで人を持ち上げるんじゃない。

 という思念を込めて睨みつけてみたものの、サイラオーグはさっぱり気にした様子がない。伝わってないぞこれ。

「師匠がいるのが見えたからな」

 嬉しそうに笑うんじゃない、この大型犬が。

 …。

 いや、しょげてるよりは楽しそうにしてくれてる方がいいのは確かだが。だから、サイラオーグが嬉しそうなことそれ自体は別に悪いことではないんだが…

 お前、その背後の部下たちとか、僕と話していたリアスたちとか、ヘイト値増えてるぞ。部下たちのヘイト値は僕に対してかもしれないが。主に女性陣。なんだこの…擬似多角関係。

「…サイラオーグ、イッセーを放してくれないかしら」

「何故だ?」

 いや、わかれよ。それともわかった上で聞いてるのか?…。そういうのは女の子がやるもんだろ、うん。図体のでかい男がやっても可愛くないぞ。

「…話をするのなら此処までくっつく必要はないだろう」

「師匠はぷいっといなくなってしまう事があるだろう」

「そうか…?」

 別にそんなことはないと思うんだが…ちゃんと区切りをつけて別れる時は別れているはずだし。別に話の途中でいなくなったりはしてないはずだし。

「師匠は自分の用事が終わったら何処かに行ってしまうからな」

 まあ、それは否定できないかもしれないが。僕基本的に自分の都合で動いているからな。

 

 

 

・クイーシャが僧侶になってる為に、コリアナが僧侶ではなく騎士になっていて、リーバンが兵士になっていると思われる。後レグルスに使用した駒の数も4つぐらいになっていると思われる

・ぶっちゃけ本編より目標がはっきりしているので戦闘力的な意味で強い。女王なのはそれが一番価値の高い駒だからで、一誠を格上と評価しての選択。正直、女王が空位なことについて他の貴族に色々と言われているのだが、黙殺している。大王とか魔王とかその辺に対する興味がない可能性すらありうる

・本編だと駒は原作通りの相手に渡している。師匠に対する尊敬的なアレはそっちでもあるが

・レトリーバー系の犬は余所の犬の飼い主に目の前で戯れにいって嫉妬させる事が好きだそうで

・この一誠は身長ぎり170行かないぐらいで、サイラオーグが190↑ぐらいで想定してる

・伝道師<基本的にされるがままになってる破壊者ちゃんも問題あると思う!

 破壊者<うるせえ

 

 

 

 

*ヴァーリの場合

 

「…一応聞こう。これはどういう意図があっての行動だ?」

 僕は自分の表情が引きつっている事に自覚が有るのだが、ヴァーリは気にするつもりがないらしい。僕を見下ろしたまま平然と答える。

「黒歌に借りた漫画に、こういうシーンが出てきたんだ。好きな相手にするものらしいんだが…何か問題があったか?」

「お前は一体何を読んだんだ」

 いや、寧ろ黒姉は一体どんな漫画を貸したんだ、というべきか。…黒姉の持ってる漫画は確か大体少女漫画だったような気がするが。何で借りようと思ったんだこいつ。

 押し倒されているというか、寧ろマウントポジションと呼ばれるものだと思うんだが…こっからどうしたものかな。腹に乗られてるから地味に動けない。僕筋力低いからな。

「好きな人が出来たと言ったら何冊も貸してくれたんだ」

 ヴァーリはそう言って僕の頬に手を添えて僕の顔を固定する。

 …。

「って、待て、好きってお前、友情じゃないのか、僕とお前の場合は?!」

「友情もあるが、俺は君が好きだ。友情以外の意味でも」

 顔を近づけてくるのを手で押さえて阻止する。落ち着け。お前がどうであれ僕は友情だ。

 不満そうな顔をするな。そういうことは双方の同意を得てからな!

「イッセーは俺が嫌いか?」

「友情的な意味では好きだが、そういう…性的な興味はない」

 しょぼんとするな罪悪感が湧いてくる。っていうか、性的な興味を否定してくれ。

「俺はそういう興味もある」

「男同士でってのは、もう本気で同意を得てからじゃないとまずいからな?な?」

 色んな意味で茨の道だからな、同性ってのは。いや、異性相手でもちゃんと同意を得てするべきだが。

「何故ダメなんだ?」

「その解説を望むかお前?!」

「俺は君が好きだぞ」

 いや、だから僕はヴァーリに対してそういう方向の感情は持ってなくてだな?後、友情でもキスとかできるようなオープンな習慣はなくてだな?一応前世も今世も日本人だからな?

 筋力負けしてキスっていうか唇を重ねられたわけだが、暫くくっつけただけで、それ以上は特に何もされなかった。

「…ところで、この行為には何の意味があるんだ?」

「わからないならするんじゃない」

 ヴァーリは納得がいっていない様子で僕を見下ろしている。

 何のためのものかわかっていないなら何でやったんだ。寧ろ何を期待していたんだ。

「漫画では、"君が俺のことを意識してくれるようにおまじない"と称していたぞ」

「そりゃ意識するだろうな、女の子はファーストキスとか大事にするからな!」

「ファースト…初めてということか?俺は今回が初めてだぞ」

「だろうな」

 僕がどうかというのはノーコメントで。

 っていうか、そういうのって、普通シチュエーションも大事だと思うっていうか、今回のこれはもう色々と酷過ぎると思うんだが。そもそも少女漫画から学習しようというのもどうかと思うが、お前は一体何を学習したんだ。

 やっとヴァーリが退いてくれたので僕も起き上がる。…はあ。

「そういえば、ファーストキスはレモンの味がすると聞いた気がするんだが、嘘だったな」

「何かお前それ色々混ざって間違ってないか」

 そうだな、ココアの味がしたな、さっき飲んだやつだな、当然の結果だな。寧ろそれ以外の味がしたら怖い。

「…お前さ、未だにコウノトリの話を信じてたりするわけじゃないよな?」

 あるいはキャベツ畑で取れるとか、どっかの木に鈴なりになってるとか…後どういう話があったっけ?まあ、どっかの世界だとマジで子供が木になってるんだが。

「?…ああ、子供がどうできるのかという話か。そんなものは【検閲されました】だろう?」

「お前何でそこはちゃんと知ってるんだよ?!っていうか、知ってて何でそうなんだよ?!」

「昔、アルマロスにコウノトリが何処から赤ん坊を運んでくるのかと聞いたら教えてくれたんだ」

 アルマロスさん…!

「…って、何でアザゼルさんじゃなくてアルマロスさんに聞いたんだ」

 一応あの人が養父だろうに。しかも確か、あの人姦淫で堕天した上にハーレム作ってたことあるんだろ。そんな話を聞いた気がするぞ。

「アザゼルは教えてくれなかったからな。逃げられたし。偶々そこにいたアルマロスに聞いたら教えてくれたんだ」

 …。

 ああ、うん。それで今回もアザゼルさんには相談してないんだな。ヴァーリの中でそっち方面では頼りにならない奥手キャラ扱いされてるんだな。へたれめ。

 まあ、相談受けてたら受けてたで碌なアドバイスをしなさそうではあるが。

「…何か僕、ヴァーリの将来が恋愛的な意味で心配になってきたぞ…」

「俺が好きなのはイッセーだと言っているだろう。何か問題があるか?」

「寧ろ何故問題がないと思うんだ」

 というか、ヴァーリは本当にそっち方面の意味で僕が好きなのだろうか。何かの勘違いとかじゃないのか。というか、周りに女の子はいくらでもいるだろうに何で僕なんだ。

「誰かを好きになることに性別も種族も年齢も関係ないのだと、君も言っていたじゃないか」

「…まあ、そんなことを言ったような覚えはなくもないけども」

 だからって何でそう茨の道を選ぶかな。同性で、異種族で(まあ此処は敵性種族でもないしそう大して意味はないが)、宿命的なライバルだぞ。…ライバル面は正直死に設定と化してる気もしないではないが。

 しかも、僕だ。全くもって祝福される要素が無さ過ぎる。

 …。

 …まあ、これまでの転生履歴からくる実績から言って、あんまり熱心に口説かれたりすると絆されて受け入れちゃう可能性もなくはないんだが、不毛だ。個人的には、ヴァーリはしっかりもののお嫁さんをもらって嫁に尻にしかれつつ良い家庭を築いてもらいたいのだが。

「まあ、気長に口説くつもりはある。最悪、君を悪魔に転生させることだって俺にはできるだろうからな」

「ウワーマジシャレニナラネー」

 今のところヴァーリは堕天使勢力についていることもあって悪魔の駒は持っていないが、これからも手に入れることはないとは言い切れないからな…。

 そうでなくとも、例えば堕天使に転生させる方法とかが開発される可能性だってあるし。

 僕は人間をやめるつもりは今のところないが。…っていうか、何もなくとも僕の事情で人外化する可能性自体はあるしな…。いや、ほんとマジで洒落にならない。

「…そういう意味では、既に君と共にいることを受け入れられているアポロが羨ましくもあるのだが」

「アイツはもうほんとに参考にしちゃいけないタイプのケースだからな。僕も一度結んだ契約を不当に破棄しようとは思っていないが、真似しちゃいけないからな、本当に」

「そういうのをフリと言うんだろう?」

「違うからな」

 

 

 

・実は初期好感度が高いので、何かまかり間違うとサクッとフラグが立つタイプのヴァーリ

・黒歌は半分面白がって少女漫画の貸出を行ったのだと思われる。まあエロ漫画じゃないだけ良心的じゃないかな(目をそらす)

・一回後半が消えたので書き直した。割と展開変わった気がする(うろ覚え)大筋では多分同じはず…

・アルマロスさんに関しては…うん。多分他の人に聞いても似たようなことになったよ、うん。

 

 

 

 

*ヴァーリ(TS)の場合

 

 縁というのは不思議なものだと思う。

「どうしたの?イッセー。私の顔をじっと見たりして」

「いや…ヴァーリがいつの間にか美少女になってるな、と思って」

 昔は一人称も僕だったし、振る舞いも男の子のようだったのが、今では立派な女の子なのが不思議なものである。…いや、イリナも似たようなもんだが。

 イリナとヴァーリで僕から見て違う点が一つあるとすれば、ヴァーリは僕が初見で女の子だと気付けなかったというくらいである。言い訳をさせてもらえるなら、あの時は相手が竜の気配を持っている事の方に意識が行っていたのだ。三度目にお互い落ち着いてる状態で会った時には気付いた。別に何も言わなかったが。

 ん?いつの間にかヴァーリの頬が赤くなってるな。どうしたんだ?

「もう、イッセーは私が元々は美少女じゃなかったって言うの?」

「顔の造作は昔から整ってたと思うけど、女の子感はなかったからね。美少女っていうよりは美少年、だったかな」

 僕がそう言うとヴァーリは小さく頬を膨らませてそっぽを向いた。機嫌を損ねたかな。然程深刻な怒りは買ってないと思うけど。

 白音より体型的にスレンダー(柔らかい表現)だったのも多分美少年感の原因だったんだよね。別にそのへんはあんまり変わってないけど。

 それにしても、何が切っ掛けになってヴァーリは女の子に目覚めたんだろう。いや、単純に思春期になったから、とかかもしれないけどさ。本当、いつの間にか女の子になってたんだよね。スカートとか動きにくい!とか言ってたのに最近は大体ミニスカートとか履いてるし。禁手の鎧可愛くない!ってアルビオンに形を変えさせたらしいし。

 …。まさか、好きな人でも出来たのか?ヴァーリが初恋…相手は誰だ?僕の知らない奴か?共通の知人でヴァーリが惚れそうな奴がいないぞ。っていうか、相手によっては〆る。僕の妹分を誑かす男とか、任せて大丈夫そうな奴でなければ〆る。

「ヴァーリ、君、好きな人でも出来たのか?」

「え?!」

 …この動揺の仕方は、いるな。確実にいるな。下手すると、既に告白とかして付き合ってたりするのかもしれない。誰だ一体。

「ヴァーリが惚れそうな相手というのは思いつかないけど…今日買った服を着てデートに行ったりするんだろう?」

 それは、なんとなく…嫌だな。何となくそれは不快だ。僕は何を言える立場でもないんだが…まあ、兄貴分として、ヴァーリのことは守るべき妹分だと思っている。もっとも、ヴァーリは守る必要がないくらい武力的な意味では強いかもしれないが。

 身近でヴァーリより強い男と言ったら…クロ兄とか?いやでも、クロ兄はヴァーリの好みじゃないだろ、多分。ヴァーリの好みが強い男かどうか知らないが。まあ、弱い男が好きということはあるまい。

 などと考えていると、ヴァーリが僕のことを恨めしげな目で睨んでいた。

「…イッセーのばか」

「ん?」

「付き合ってる人とか、別にいないし。…イッセーこそ、彼女とかいないの?私と二人で買い物に行ったら怒る人とかさぁ」

 ヴァーリは完全に拗ねているようだった。僕は苦笑いを浮かべる。

「恋人はいないな。っていうか、いたら多分君も知ってるだろ。強いて言えば、白音が私も行きたかった、とか怒るかもしれないけど」

 そもそも僕の側に恋愛感情を持っている相手がいない。僕のことを好きだと言ってくれる相手はいるのだが。とても申し訳ないことではある。

 寧ろ、ヴァーリこそ僕と二人で良かったんだろうか。荷物持ち兼財布役としてならアザゼルさんの方が確実に優秀だと思うんだけど。思春期で反抗期で父親と買い物とか勘弁、なのかもしれないけど。あの人親馬鹿属性入ってるからな。

 ヴァーリは僕を疑わしげに見ている。疑われても困るのだが。

「まあ、誰かと付き合うようなことになったら、言ってよ。〆るから」

「えっ」

「幼馴染を誑かす男がいたらとりあえず〆るだろ、普通に」

 まあ、ヴァーリをちゃんと幸せにしてくれるんなら祝福するのもやぶさかではないが、少なくとも一回ぐらいは…な。ヴァーリは時々世間知らずっぽいところがあるし。

「…イッセーは、私が他の人と付き合ったりしたら嫉妬してくれる?」

「ヴァーリの選んだ相手なら誰でも祝福する、とは言えないな。君に見る目があるかどうか、僕は今のところ判断できてないから」

 ヴァーリが惚れっぽいという話は聞いたことがないし、誰かを好きになったのだという話を聞いた覚えもない。意味もなく他者の感情(いろ)を見るのは禁じ手だと思っているし、僕はヴァーリが他の相手に向けている感情(いろ)を注視したことはない。

「…私は、見る目はある方だよ」

 口を尖らせて、ヴァーリが何事か呟いた。聞き取れはしなかったが、聞き返さない方がいいような気がしたのでとりあえず流して、僕は首をすくめた。

「ところで、そのケーキは食べないの?口に合わなかった?」

「え、ううん、そんなことはないよ」

 ヴァーリの前に置かれた皿にはケーキが殆ど手付かずの状態で残っていた。僕は自分のカップが空になっているのを確認し、お代わりを注文した。

「別に急かしはしないけど…折角美味しく作ってもらえたのに捨てられるのは可哀想だから、口に合わないのでなければ食べてあげたらどうかな」

「あ、うん」

 ヴァーリは素直に頷いてケーキを食べる。甘味を食べて薄く口元をほころばせるのを見て、僕は内心ほっとした。

 他の女の子…リアスたちとか、白音とかに比べて、ヴァーリは素直だと思う。ひねくれていないというか。いや、他の子がひねくれてるってわけじゃないけど。でも、白音とか、簡単には誤魔化されてくれないからな。うん。

「次は何処に行くんだっけ?」

「えっとね、朱乃が教えてくれたお店なんだけど、可愛い小物が売ってるんだって。それで、文房具とかバッグとか買えたらいいな、って」

「そうか…バッグはデザインと利便性の兼ね合いとかもあるからな…」

 サブバッグは特に、メインに使う通学鞄との互換性というか、使用用途によって必要なサイズが変わるからな。それに形状も被らないものの方が基本的にはベターだし、通学鞄が手提げならリュックタイプにするとか、その逆とか。そもそも何を入れるための鞄として使うかとか置き勉の有無とかでも色々変わってくるけど。

「気に入るものが見つかるといいな」

「うん」

 

 

 

 今日はイッセーと二人で買い物だ。

 白音も、黒歌も、朱乃もリアスもアザゼル(父さん)も、とにかく誰もいない、二人っきりで、出かけるのだ。それに、イッセーの家に私が行って出かけるんじゃなくて、外で待ち合わせしての一日独り占めだ。

 これはもう、デートだと思う。

 デート、だよね?

 うん、デート。デートだよデート。買い物デート。

 …イッセーは、デートだと思ってないかもしれないけど。朴念仁だし。

 待ち合わせ場所についた時、イッセーはもうそこにいた。何か携帯端末らしきものを難しい顔をしながらいじっている。時間よりちょっと早めに来たのに、先を越されたらしい。

 私は手鏡で髪型をチェックして、服もちゃんとしてるのを確かめ、イッセーに駆け寄る。

「こんにちは、イッセー。待った?」

「こんにちは、ヴァーリ。然程待ってないよ」

 そう言いながらイッセーは端末をさっさとしまって私に微笑む。

「いつもと違う髪型だね。それも似合ってると思うよ。髪飾りは新しい奴…じゃなくて、前サイドテールに使ってたやつか。気に入ってるの?」

「どっちかっていうと。可愛いでしょ?」

「ああ、可愛いな」

 イッセーは笑う。可愛いと言われたのは私自身じゃなくて髪飾りなんだろうとは思っても、嬉しいし、少し照れる。

「今日は全体的に可愛らしい感じだな。足元は寒くないか?」

「これぐらい平気だよ。女の子は寒さに負けてちゃダメだもんね」

「そうか。それじゃ、行こうか。最初は何処の店に行くんだ?」

 イッセーはそう言って自然と私の手をとって歩き出す。ゆっくりとした歩調は普段通りのことだ。

「まずは服屋さんに行きたいな、って思ってるんだ。えっとね、あそこ」

 

「イッセー、どっちがいいと思う?」

「そうだな…僕はヴァーリは色が白いからはっきりした色のものの方が似合うと思うけど…」

 イッセーは私が手に取っていた服を片方取って、私の体にあてた。

「美少女は大抵の服が似合っちゃうから難しいな。でも、こっちの方が使い回しがききそうじゃないか?スカートにもズボンにも合わせられそうだし」

「じゃあ、こっちにしようかな…」

 美少女、って言われちゃった。イッセーから見ても私は可愛い女の子になれてるのかな?だったら嬉しいなあ。

 

 

 

・ちなみに中学三年生の二月から三月くらいの想定である

・こいつ姉妹に連れられて買い物行ったりしてるからな

・女性に会った時はとりあえず何か褒めろとか言われてるのかこいつ。ちなみに口説くための美辞麗句というよりは女性の機嫌を良い状態で保つために言っていると思われる

・この世界の白音はまな板じゃないから…(震え声)まあ、ヴァーリちゃんはぶっちゃけ貧乳だけど

・この酷い温度差の原因は認識の相違にあるわけだが

・一誠はヴァーリに対して悪感情はないが、かといって恋愛感情もない

・一個目の後半以降が一回消えたので書き直した。展開変わった気がする

・二つ目は同じ日のヴァーリ視点

・伝道師<ハーレム要員を増やすためのTSは否定派なんだけど、ヒロインならいいかなって☆

 破壊者<おいやめろ。うちの子を玩具にするんじゃない

 

 

 

 

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