リィン・シュバルツァー、貴様にクレア姉さん(語弊)は渡さないからなぁッ!?   作:発光米

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5000UAありがとうございます。

今回からようやく超絶ハイパーウルトラ美人で完璧で究極なクレア・リーヴェルト曇らせ防止()に向けて動き出します。

原作キャラの過去など、もちろん捏造ですが、軌跡シリーズ時系列が複雑で、矛盾があってもスルーしてもらえると......





鉄血の要請

 

 

緋き帝都ヘイムダル______その名の通り、レンガで統一された町並みの中でも、一際その密度が高い道の一角に、アルマ・カントゥータはいた。

 

 

 

______オスト地区。

 

近年進む再開発の動きに取り残され、大通りから少し外れた住宅街。ところ狭しと並んだ家々の隙間で猫があくびをしている。

 

アルマとシェーマは、その中でも少し大きめの一軒家の玄関にたどり着いた。

 

 

 

「はい、人の家に行くときのお約束三ヶ条。言えるか?」

 

 

「一つ、首の包帯をとらない

一つ、戦術殻を非常時以外出現させない

一つ、ご飯は残さず食べること......いえた、ですの」

 

 

「オーケー、カンペキだ。それじゃあ、準備はいいな?」

 

「問題なし、ですの」

 

 

 

コンコン、と軽くノックをすると、奥から男の声がして、程なくドアが開かれた。

 

 

 

「えっと......君たちであってるのかな、オズボーン宰相の言っていた______」

 

 

 

眼鏡にスーツ、若干くたびれた顔をしている男性を、一度爪先から頭まで眺めた。

 

 

 

「はい、アルマ・カントゥータといいます。二週間の間、お世話になります」

 

 

 

アルマはポストカードのようなものを男に手渡す。今朝、ギルド宛に直接届いたものだ。二人に対する要請の概要が書かれていると同時に、依頼人への顔繋ぎ______いわば、紹介状にもなっている。

 

 

 

「シェーマ・オライオン。よろしく、ですの」

 

 

 

習ってシェーマもぺこりとお辞儀をする。

 

男はポストカードをしまうと、笑って奥へ手招きした。

 

 

 

「いや、こちらの方こそ、急にすまないね。さあ、あまり広くないが上がってくれ」

 

 

 

一歩入れば、コーヒーの思わず目が覚めるような苦い香り。その間に、ほんの少し、夏の暑さが和らぐような柑橘系の匂いがした。

 

キッチンに目をやれば、コーヒーメーカーの横に、なにか別のグラスがおかれている。......遠目でも、相当苦労の跡が見えた。

 

 

 

(さっきの笑顔といい......まあ、悪い人じゃなさそうかな)

 

 

 

少なくとも派遣元(ヒゲおじ)よりは、底無し沼に引きずり込まれるような、危険信号は感じない。

 

アルマは、おとなしくそのまま階段を上った。

 

 

 


 

 

 

「おーい、マキアス」

 

 

 

カリカリとペンが絶え間なく動く。ドアを開けた音で、ようやく少年はその声に気がついた。

 

 

 

「ごめん、父さん。でも珍しいね......今日はお昼ご飯も一緒に食べられるの?」

 

「いや、もうすぐ行かなくちゃいけないんだけど、ほら。前に言っていた......」

 

 

 

一度、眼鏡の奥の表情は曇ったが、来客の気配を察して気分を無理矢理切り替える。定期的に整頓されていた机は、話の片手間でもあっという間に片付いた。

 

 

 

「!そういえば、そうだったっけ。確か二人だったよな?」

 

「ああ。入ってきてくれ」

 

 

 

それに応じて、まずアルマが子供部屋に入った。シェーマはおくれて、ひょこひょこと着いていく。

 

 

 

「アルマ・カントゥータです、今日から......二週間かな、住み込みで家の手伝いをさせてもらうから、よろしくな!」

 

「......シェーマ・オライオン。その......よろしく、ですの」

 

 

「ま、マキアス・レーグニッツです、よろしくおねがいします!」

 

 

 

簡単な自己紹介をすませた一同は、詳しい話をするため、一度一階のリビングに移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......すごいな、もうコーヒー飲めるのか......?」

 

「?ええ、まあ......」

 

 

 

アルマは、何の躊躇もなく、ホットコーヒーが自分よりも年下であろうマキアスの口の中に消えていくのを、複雑な心持ちで眺めている。どうやらレーグニッツ一家は揃ってコーヒー派らしい。

 

シェーマとアルマに出されたのは、ヨーグルトをハチミツとレモンで味付けした、ジュースのようなもの。さきほどからチビチビストローで啜っている様子を見る限り、シェーマのお気にも召したようだ。

 

 

 

(......正直助かったかも.....)

 

 

 

猫舌、紅茶党に加え、極度の子供舌と甘党を併せ持つアルマにとって、ホットコーヒーとは憧れと苦行の境地だった。薄いフルーツティーですら、ぬるくなるまで放置し、風味が掻き消えるまでミルクを加えてようやく飲める。それならば、と麦茶以外の飲む嗜好品とは疎遠になっていたのだ。

 

カール・レーグニッツは別にアルマたちの食の好みは知らなかったが、結果オーライと言えるだろう。雰囲気が良くなったことを感じとり、カールは話を切り出した。

 

 

 

「話はざっくり聞いていると思うけど、君たちには、昼間の間の家事、炊事をお願いしたいんだ」

 

「つまりは、住み込みの家政婦みたいなものでしょうか?」

 

「ああ、仕事が繁忙期に入ってしまってね......」

 

 

 

ちらっとカールが横目で見たシンクには、二人暮らしにはやや多い洗い物が溜まっていた。申し訳なさそうに、アルマへ視線を戻す。苦笑しながら続けた。

 

 

 

「融通が利きづらい職場だが、流石に息子1人を放っておくのはマズいだろうと、オズボーン宰相がね。いつも手伝ってくれる知り合いも、しばらく来られないということで、宰相のお言葉に甘えることにしたんだ」

 

 

 

その他、細かなこと______あいた時間は、帝都から出ないなら自由に過ごしていいことや、家にあるものは好きに使って良いこと、食材代などの諸経費は全てレーグニッツ家で持つことなどを伝えて、時計の針がアルマたちの到着から半周したのを見ると、すぐに飛び出していってしまった。

 

 

 

「.....すみません、なんだか最近慌ただしくって」

 

 

 

マキアスは飲みかけのコーヒーカップに視線を落とす。

 

 

 

「マキアスくんが謝ることじゃ無いだろ?あ、あと、敬語はむず痒いからやめてほしいかも」

 

「うーん、それじゃあ、僕もマキアス"くん"はやめていただけると......」

 

「うん、了解」

 

 

 

独特の緊張がほぐれ、思わず笑みをこぼすマキアス。アルマは残っていた飲み物を、一気に飲み込んで立ち上がった。

ひと足先に飲み干していたシェーマは、続いて席を立つ。

 

 

 

「それでは、私はシェーマ"ちゃん"、ですの」

 

「あ、ああ。わかった」

 

 

自ら進んで"ちゃん"づけを要求するなんて、珍しいな。と、不可思議に思いながらも、マキアスは一通り来客に、家の設備を案内することにしたのだった。

 

 

 


 

 

 

 

 

次の日_____

 

 

 

「......?」

 

「じー......」

 

 

今日、アルマはついに「流石に食料が無さすぎる!」と痺れを切らし、大通りの食材店目掛けて飛び出して行ってしまった。初日はなんとか有り合わせで済ませたが、大の大人に食べ盛りの子供を賄うには、今あるキノコやにんじん一本では心許なかった。

 

案内をしようとマキアスが勉強部屋から降りてきた頃には、もうアルマは買い物袋と財布片手に飛び出しており、洗濯物を畳んでいたシェーマ共々、お留守番をすることになったのだ。

 

 

仕方がないから、せっかく勉強を中断して一階に降りたんだ。コーヒーでも淹れよう、と思い立ち、今に至る。

 

 

本当はひきたての豆が好みだが、今日は粉で妥協しようと、ポットを探しているところを、自分と大して変わらない見た目の女の子に、ただただ

見つめられている。流石に居た堪れなくなって、フィルターを準備しながら、マキアスは口を開いた。

 

 

「えっと......気になるのか?」

 

「......」

 

「......淹れてみたい、とか?」

 

「導力機器は、使えない、ですの」

 

「はは、まさかそんな。」

 

 

 

マキアスは笑ってカップなどの道具をテーブルに運んでいく。シェーマと一緒のキッチンは、作業するにはだいぶ狭かった。少しムッとしながらシェーマもついていく。

 

 

 

「ウソは言ってない、ですの。だから、ご飯はアルマにおねがいした、ですの」

 

「でも、これは導力機は組み込まれていない、ただのお湯を入れるだけのものだ。それに、コーヒーに大事なのは動力機器の扱いじゃ無いしね」

 

 

 

セットした豆に、慣れた手つきでお湯を注いでいく。あっという間にあたりはコーヒーのいい香りで包まれた。

 

 

 

「豆の挽き方、お湯の温度、蒸らす時間、それと______」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「______まごころ、さ」

 

 

 

「ま、ごころ......?」

 

 

 

シェーマは、首を傾げながらコーヒーがドリップされるのを見つめる。彼女の辞書に「こころ」や「感情」が重要で、それを取得するようプログラムされているのは自覚していたが、「まごころ」なんてものは、インストールされていなかったからだ。

 

 

 

「心がこもっていないのなら、どんなにいい豆を使って、素晴らしい製法を使っても、美味しさは半減してしまう

 

......だから、淹れる時は、自分が、誰かが笑顔になってもらえるようにって考えながらやるんだ。

 

そうすれば、技術は後からついてくる......父さんの受け売りだけどね。

 

 

君も飲むかい?ミルク、いる?」

 

 

 

「......おねがい、ですの」

 

 

 

自分がコーヒーが口に合わなさそうというのは、飲む前の香り、そして昨晩アルマから少し分けてもらった時からわかっていた。

 

 

 

「はい、どうぞ......と」

 

 

 

「っ、いただ、き......ますっ!」

 

 

 

黒っぽい色が変わるまでミルクを注ぎ、一気にカップを傾ける。昨日、砂糖を入れてもダメだったので、ミルクしか入れていない今日も、きっと、美味しくは感じないだろう。

 

 

 

 

______それでも、このコーヒーを飲んでみれば。

 

 

 

この、目の前の少年の、"まごころ"が入ったコーヒーを飲むことができれば......

 

 

 

 

自分も、「まごころ」が、わかるかもしれない......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......す、すっぱい、ですの......!」

 

「し、ししし、しまった、蒸らす時間が足らなかったか!?」

 

 

 

そんなことはなかった。

 

 

 

 

 







〜おまけ:「まごころ」ってなーに?〜


硝子くん「えっ......えーっと、親身になって相手に尽くそうとする気持ち(wiki調べ)、とか?どうしていきなり.....」

シェーマ「マキアスが教えてくれた、ですの。コーヒーに大事なもの、らしいですの」

硝子くん「あ、あ〜。まあ、確かに何をするにしても重要だなぁ?」


シェーマ「......そんなに大事なものなんですの?」

硝子くん「うん。平たく言っちゃえば、"愛"の同義語さ」

シェーマ「たしかに、だいじ、ですの。でも、どうやってコーヒーに入れるんですの?」

硝子くん「え、そりゃ......」







硝子くん「いや、俺も詳しくは知らないわ......」

硝子くん「......クレア姉さ______いや、オズボーン宰相なら知ってるんじゃないかな!あ、嫌がらせの意図とかないからね、うん!!!クレア姉さんの学生生活を俺如きが邪魔するわけにはいかないっていうか、いや、当然クレア姉さんは聡明ですから知っているとは思いますけど!!!」

シェーマ(忙しさだけで言ったら、ギリアス・オズボーンの方が激務ですの......)





ー数週間後ー


ギリおじ「フフ......これは......良き薫陶を受けたようだな。さて、返事を書かねばな......」










ーさらに数週間後ー


硝子くん「ふうっ、さすがにこんな辺境まで来たら、政府のトップといえど行方は追えないだろ......さて、まずは郵便受けを______」


硝子くん「あれ、手紙......?」




" 拝啓、シェーマ・オライオン殿

先日はわざわざ手紙を送ってくれてありがとう。執務の片手間になって済まないが、私なりの見解を用意させてもらった......

(以下十数行)______最後に、君の相方に、「たまにはご実家にも顔を出すように」と伝えてくれたまえ。

ギリアス・オズボーン______"













硝子くん「......なんで(現住所)わかるんだよ、キッショォ!!!」




硝子くん「あー、でもなぁ......里帰り......ま、後でいいか......流石に一年経たずに帰るのはなぁ.....」


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