リィン・シュバルツァー、貴様にクレア姉さん(語弊)は渡さないからなぁッ!? 作:発光米
オリキャラくんことアルマ・カントゥータが旅に出たのは、ざっくり夏ごろと書きましたが、アレは完全に徒歩で旅をするんだったら、凍死されたら困るな、くらいの認識でした。
1012年、9月帝都支部爆破←何かのウィキ
完 全 に 偶 然 で す(大ガバ)
というわけで、空の軌跡ミリ知ら民なので、オヤジ・ブライトの動向とかは全くわかんないですけど、時系列とかブリオニアの海に沈めておいてください。
投稿頻度がいつにも増して激おそですが、リアルが忙しいだけです。(最後まで走り切れるとは言ってない)
「......不味いな、これは......」
マキアスを安全な場所に避難させたミハイルは、改めて事態の深刻さを受け止める。
______西と、東。
広い帝都をカバーするために二つある、遊撃士ギルドが爆破された。
そして、その中央であるヴァンクール大通りに、無数の人がなだれ込んでいる。
丁度東側の支部付近に居るのだが、消火班、TMPやその他治安維持部隊も、主要な道路が塞がれてしまっている。増援は見込めないだろう。
「......やるしかない、か」
周辺の地図は頭に入っている。手早く路地を回り、裏手から原因にたどり着くことができそうだった。
きゅる。
きゅる、きゅる。
(......なんだ?人がいるなら______)
物音に、ふと不思議に思って、構えを解く。導力機が普及しきっている帝都で、歯車の音を聞くのは、そこまで珍しくはない。
しかし、なにかしら、首の後ろにへばりつくような、殺気が......
ギンッ、と何か金属が擦れた音の、ほんの少し前にのけぞった。
自分でも驚くくらいに無意識で、だからこそ助かった。
「なっ、な、なッ......!?」
「きゅるぅるる、ギィッ!!!」
軋む音と一緒に、太く、鋭い針が、的確に急所を狙って突き出される。
まるで雄叫びのように歯車を回すその"兵器"。
さっと辺りを見渡せば、人の声や燃える音に隠れていただけで、その音自体は無数に存在した。
(路地裏が火事場以上の死地になっているとは......!)
動力銃を構え、的確にレーダー、センサー、カメラ部を潰し、危なげなく追突を避けたミハイルは、無線を繋げる。
「こちら、ミハイル・アーウィング。アルト通り周辺、路地裏に______」
合間に絶え間なくニードルの突きが襲いかかる。胴の串刺しを避けつつ距離を取る。ザザッとノイズが走り、交信相手が応答する。中継のオペレーターの声が、途切れ途切れにこちらの状況を問う。
「クソ、妙に通信状況が悪い……」
弾薬、導力銃の充電ともに、半分強。増援も見込め無さそうな状況に、思わず冷や汗をかく。
果たして、弟分の助太刀に行く前に、自分が生きて路地から出られるだろうか……
「......ARCUSは、よし、生きてる。クオーツの相性もたまたま良いみたいだ。火が回る前に抜け出そう」
「......」
軽く装備を点検し、自分の衣服を水のアーツを使って濡らしておいた。いやー、直前に調整しておいてよかった。
「シェーマ、行くぞ。ちょっと冷たいかもしれないけど______」
「......」
「しぇ、シェーマ?その、燃えたら危ないから......」
フリーズしたまま、全く、ピクリとも動かない。まさか、もう熱でイカれてしまったのか。それならばなお、早く安全な場所に運ばなくては。
いいかげんじれったくなって、体を抱き上げようとしたとき、シェーマは。右手をすっと挙げた。
「______こな......い、で......!」
舌足らずな、震えた声で呟いた瞬間、俺のまわりに、ぐるりと一周、なぎはらうように
「っ、な......!」
あわててナイフを取り出した。
まずいぞ、非常に不味い。
脱出も控えているのに、今ここでシェーマを相手取るのは、非常に不利だ。爆発で辺りが瓦礫だらけなのに見晴らしが良い。勝ち目はゼロだ。
どうする、どうする......!
「......っ、どうして、どうしてどうしてどうして!」
シェーマが叫ぶ。
「なんで同じニンゲンなのに、殺し合ってるの!?ほら、この子たちだって!」
「あなたたちは違うのに、殺すためだけに生まれてないのに……!」
指を指した先には、サリドマイドが叩ききった、何かの機械がショートしている。ミニチュアの戦車みたいだ。
もしかして、さっきの攻撃は、俺じゃなく、コイツに.......?
「でも、こんな小さな浮く兵器なんて……!事故じゃなくて、まさかテロ……!?」
ぐるりと周りを見渡せば、さっき、シェーマがスクラップにしたものと同じ機体が、集まり始めている。
コイツらが人に放された機械なら、他にも大量にいる可能性がある。そうなれば、シェーマを冷静にさせるのはマストだ。まず、俺の体力じゃ切り抜けられない。だけど、相手が待ってくれるとは限らない。チラリと横目で様子を伺う。
「......アルマは、まだなにもしてないのに、わたしたち、まだ、まだ
「どうして??どうして??いやだ。怖いよ、やだよ.......!」
……どうやらまだ錯乱しているらしい。
「おちつけって、まずは脱出してから______」
「…どけッ、どいて、……っ切り刻む!!!」
宙に戦術殻が出現し、臨戦体制に入る。ターゲットはヘンテコなメカに向かっているけど、完全に連携は取れなさそう。俺もナイフを取り出して構えた。
「ああもう!無理だ、フォローはするから切り抜けるぞ!!」
声が届いたかはわからない。だけど次の瞬間、シェーマは、敵性機体をワンパン。
それを皮切りに、小型の機関銃を積んだメカがこちらに襲いかかってきた。
小さい体躯に、その肩まである大型ライフル。
少年の背には、あまりに大きすぎるそれを、易々と担いで構える。本来、隠密製を高めるために開発、支給された狙撃銃は、ゴテゴテにカスタムされ、機構がガチャガチャと唸りを上げる。
「______おい、V5、聞いているのか、応答しろ、待機命れ……」
心底うざったそうに、胸ポケットに入れていた、トランシーバを取り出す。
「んじゃ、拒否で」
思わず頭が痛くなってしまいそうだ。
頭の硬さ以前に、人間として終わってるなと、お小言を右から左に聞き流す。
「おい、V5!?応答しろ、何をするつもりだ、シ______」
ナビゲーターの静止虚しく、通信機を宙に放り投げる。
「……うざ」
フルカスタムされた大型ライフルから、決して小さくない反動が、少年の肩を襲う。それと引き換えに、煩いスピーカーを黙らせられた少年は、少し満足げに街を見下ろした。
二箇所を中心に、真っ赤な火が上がっている。ここまでの惨状に、政治上の観点から、帝国の治安維持部隊は動かない。
もはや一種の芸術じゃあないか?
そんな、司令室でふんぞり帰っているだけの奴らに、自分は正義を説かれなくてはいけないなんて!!
こんな混乱の最中だから、屋根を渡り歩いても誰も怒らない、気に留めない。
だけど、少年は、逃げ惑う人たちを助けようとという思考は、一切頭になかった。
面倒だった、というのもあるが、何より「正義」や「人助け」という言葉にアレルギー反応を起こしてしまっている。嘘でも正気でも、そういう言葉を吐ける奴には等しく、軽蔑の意がこもってしまう。
「……あれ、憲兵隊の制服?」
金髪の青年が、こじんまりとした路地で、何かの機械ユニットと格闘していた。流石に天下の鉄道憲兵隊でも、こんな緊急事態で戦闘訓練はしないだろう。
それより、あの機械の方が面白い。一見殆ど同じ、おそらくパーツの造りから、量産機だろう。それなのに、個々がしっかりしていて、青年を連携で翻弄している。ジリ貧という言葉がぴったりの状況だった。
「的にしたら、面白そうかも」
そういう興味は出た。しかしそれよりも今は、鉄道憲兵が、何かに苦戦しているという状況が、少年にとって愉快で仕方なかった。どうせ市街に大量に放たれた兵器だ。射的のマトにするなら、もう少し数が集まったほうが面白い。
見物モードに入ろうと、適当な民家に腰を下ろした時だった。
「______上部回転ユニット、ニードル射出部、カメラセンサー部!」
「……?」
いきなり叫び出した青年をまじまじと見つめる。まさか、この角度からバレているはずがない。
自分の方向すら捕捉できていない。辛うじて、武装しているのがわかる程度だろう。それに、この状態を引き起こした原因かもしれない相手に、協力を要請するなんて。
そんな練度で、自分にモノを頼むというのも、また気に食わない。
(……悪いけど、参戦する気はないし。そもそも人がいる状態で、発砲するほど、馬鹿じゃない______)
ああ、でもこの調子なら、自分のところにも、カラクリ仕かけのオモチャがやってくるかもしれない。
屋根の上に腰を下ろして、銃を構える。弾を装填して、さっとあたりを索敵。
今のところ、自分の脅威になりそうなものは無かった。機械人形も、そこの青年が戦っている三機のみ…………
「何をしている、撃て……!」
バチっと目線が合った。
「…………!」
把握された。
いや、元から……?
自分の武器種、狙撃ポイント、武器の装填具合に、敵のウィークポイントまで……
そして、そこは“ちょうど数秒後”、三機ともウィークポイントがガラ空きになる体勢。
銃を構え、弾を放つだけで、自分に決して当たらず、かつ狙撃手にも負担がかからない構図を、意図的に作り出した……?
「速く!!!」
気がつけば、全てが片付いた。
弾薬の消費も最小限。よく見れば、ユニットの中枢を貫けば、簡単に止まる構造のようだった。
「支援、感謝する。私は鉄道憲兵隊少尉の、ミハイル・アーヴィングという、貴方は……」
「……何が欲しいの?」
「は?」
ただ、協力のお礼を言おうと思ったミハイルは、フリーズしてしまった。
少年は、大型ライフルを、まるでおもちゃのようにクルクルと回して、背中に背負う。
「戦力?知恵?援護射撃?……ああ、知ってるかもしれないけど、憲兵隊は動かないよ」
「なっ……!?それでも治安維持部隊を名乗っている組織なのか!?」
「一応アンタもその1人のはずだけど……つまり、現状動いてる憲兵はアンタだけだよ、ミハイルさん」
驚愕、というより呆れだろう。
実態がわかれば、裏の事情は推察できる。新米とはいえ、エリート集団である憲兵隊の一員であるミハイルは、ただただ失望するしかなかった。
視線を落とした足元には、すでにガラクタになった人形兵器が横たわっている。
「目的は?リスクとリターンは見合ってるの?」
「……だんまりは御免なんだけど」
一つ、深呼吸をして、ミハイルは口を開ける。
「私の目的は、人命救助……といっても、民間人はあらかた避難しているようだ。単に、逃げ遅れたかもしれない身内を保護する……ただの私的な突撃だ。
君のメリットは……正直、無い」
「なんだ、それじゃあ______」
くるりと踵を返そうとする少年を呼び止めるように、声を張り上げる。
「だが、見たところ弾薬は余っていそうだな?」
「へっ……!?」
「い、いやいや待ってよ!そんな……」
「完璧に計算された射撃ルート、そこに乗せられるのは、さぞ退屈だっただろう。これから中心部に行くにつれて、私も余裕がなくなってくるぞ?」
______難易度を上げてやるからついて来い。
暗に挑発されて、黙っていられるほど、少年は殊勝ではない。
「……良いシュミしてるね、うっかり足の筋でも撃ち抜いても謝らないから」
「その時は君がヘタクソだったという事が証明されるな、残念だ」
ニヤリと自分に投げられた目線が、どうしようもなくイラつく。
「ああもう、本気で誤射しても知らない!!!」
「それでは、これより臨時作戦:ギルド支部への救出任務を開始する。迅速に、かつ周囲の安___」
「そういうの良いから早く行こう、街一つ燃えちゃうって」
「なっ!?そ、それは困る!!」