リィン・シュバルツァー、貴様にクレア姉さん(語弊)は渡さないからなぁッ!?   作:発光米

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鋼都ルーレ編、開幕でございます。
下手の横好き理論で更新していくので、全てが不定期ですが、ご了承ください。

最近pcじゃなくてスマホで投稿しているので、見づらくなったなどありましたら、すみません。

そんなことより界の軌跡で大天使クレア・リーヴェルトの出番ってあるんです???
……とか思ってたらもうカイノキセキ出たんですが???とても楽しかったですね????筆がおそおそでもはや忘れ去られてそうだね……???




鋼の心、霞んだ硝子1

 

 

鋼の都:ルーレ

 

エレボニア帝国屈指の工業メーカー、【RF社】が本拠地を構え、町の雇用も殆どがRF関連のものである。

 

街の郊外には、鉄鉱石を採掘、輸送するための鉱山もあり、直接管理することで高い生産量を叩き出している。

 

また、大量生産が売りのRFだが、技術の革新という面でも、ルーレ市内にある【ルーレ工科大学】との提携を図り、常に大陸の中でも飛躍した技術の習得を可能としている。

 

また、同大学には、導力機の産みの親【C・エプスタイン】の直弟子が一人、シュミット博士の存在も大きい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

ー ー ー ー ー 

 

 

 

 

「おぉー!コレが、例の?」

 

 

シアンが、ブンブンと銃を振り回す。長さが彼の身長くらいある、黒い大型ライフルは、それだけで辺りに風を巻き起こし、綺麗にファイリングしてある書類が、あっという間に空に舞う。

 

 

「列車砲の中枢回路を一撃で粉砕できるよう、迫撃システムに見方を変えたアクチュエータを積んだだけに過ぎん。この程度ではしゃぐな」

 

 

その部屋の主人である中年の男性も、あまり意に介していないようだ。マイペースにコーヒーを啜り、チェアに座り直した。

 

「あ、あのぉ……いい加減ツッコんで良いか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでお前が三高弟の一人とアポ無しで面会出来るんだよ!!!」

 

「え?養父だからだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「養父ッ!?!?!?」

 

 

 


 

 

シュミット博士に「煩い、摘み出せ」と言われ、なす術なくシアンに部屋から蹴り出された俺は、大学のロビーで頭を抱えていた。

 

養父……?つまり、シアンは……?あれ???

 

 

 

「すみませんね、博士もアレでもちょっとはいつもより機嫌が良いんですよ」

 

 

 

思考がこんがらがってきた所で、ふと声のした方を向くと、受付嬢の方が、紙カップにコーヒーを入れてくれていた。ミルクだけもらって、一口飲むと、引くほど苦い味がした。

 

……いや、違うな。暫くコーヒー飲まないでシュバルツァー家で甘めの紅茶ばっかり飲んでたからだ……

 

まったく、子供舌で嫌になる。

 

 

「ええと、アイツ……シアンの知り合いですか?」

 

「知り合いも何も、名付け親ですから。貴方が、今のあの子のお目付けや______保護者かしら?」

 

「??????」

 

 

 

待って、俺そんなに頭いい人間じゃないんだ。そんなに一気に質量の大きい情報を浴びせないでくれ。

 

名付け親……?養父……???

 

お目付け役……??保護者???

 

 

 

一体何者なんだ、アイツ……????

 

 

 

 


 

 

 

積もる話に花を咲かせている(?)らしいシアンを置いて、俺は自分の用事……本命であるRF社の社長室へ向かう。

 

 

そのことを伝えた時、シアンには「どうしてアルマがRFのセキュリティロック顔パスで通れるんだよ!」と駄々を捏ねられたが、それはそれ、これはこれだ。

 

というか、俺の方は割と納得できる理由だと思うのだけれど……

 

テスターの情報更新に、一々許可をもらってルーレで面会するのも、わざわざ帝都で場所をセッティングするのも面倒だ。だから、勝手に入って、勝手にデータを端末に突っ込んで、偶然会長とすれ違ったら立ち話して帰る。それだけだ。

  

 

 

「あ、守衛さん。こんちわ」

 

 

軽く会釈をすると、向こうも僅かに体を傾ける。どうにも立て込んでいるらしく、いつもの立ち話は遠慮した方が良さそうだ。

オフィスを見渡しても、いつものように腹の探り合いをしながらの商談、というよりかは切羽詰まり切った、緊急対応に追われる現場と言った感じか。

 

ルーレに寄る前にお菓子買ってきたから、差し入れにでもと思ったんだがな。仕方ない、シアンの方に回しても良いだろう。

 

……と思ったら、向こうのほうから俺に話があるらしい。ガタイの良い人なので、少し屈んで俺に耳打ちしてくる。

 

 

「最近、ルーレで不可解な事件が発生しているんですよ」

 

「事件?」

 

「なんでも、子供を狙っての誘拐だとか」

 

「へえ、穏やかじゃないですね。領邦軍は何してるんです?」

 

 

ちなみにだが、この守衛さんには俺が軍属だということがバレている。別に、隠しているというわけでも無いのだけれど、肩肘張られるととっても困る。俺が主に、心理的に困る。

 

 

「ああ、ログナー候も、いま娘さんの件で忙しいらしくて……」

 

「そりゃ、どうりで。それで、RFもピリついてるんですね」

 

「会長も、普段の業務に加えて、多分そっちの件も有るから、今日は外に出て行ったよ」

 

 

それはとってもいいことを聞いた。

守衛さんに、お礼と一緒にお菓子を渡して、そのままビルに入る。

 

言ったら悪いけど、あの会長、物言いキツいし話長引くし、母親を思い出すから苦手なんだよなぁ……ビジネスパートナーとしては、とても物分かりが良くてお互い旨みを絞らせて貰ってるけど。

 

エレベーターのボタンを押して、慣れない浮遊感にドギマギしながら、上に登る。

 

片面がガラス張りになっていて、ぐんぐん外の世界が下へと移動していく。仕組みとしては、上から吊り下げた箱のロープを巻き上げているらしい。もし、そのロープが途中でプッツリ切れたら……

 

 

「うっわぁ……考えるだけで恐ろしいな」

 

 

良くて粉砕骨折、最悪全身血みどろのペチャンコ死体だ。

 

ぽん、と音が鳴って箱は停止する。どうやら無事に目的地まで辿り着けたらしい。

 

 

カーペットが敷かれた道を進む。一応セキュリティロックが敷かれてある階層なので、物音ひとつ聞こえない。単に出入りできる人数が少ないのも有るのだろうけれど。

 

まあ、ともかく。あの怖い女社長に合わなくて済むなら、好都合だ。

 

一応ノックだけして、カードキーでロックを解除して、部屋の一角にある端末にARCUSを繋げる。これで、あとはデータの転送を待つだけ…………

 

 

「…………あれ」

 

 

おかしい。データ輸送用のプラグが入らない。ケーブルを間違えたか?いや、いつも備え付けの奴で出来てたはず。こうなったら手持ちの予備ケーブルで……よし、こっちは上手く入ったな。

 

待てよ、あの鬼畜眼鏡会長に限って、こんな初歩的なミスするなんて、あり得ない。

 

______なんだか、すっごく嫌な予感がする。

 

 

「よ、よし、今日は一度帰って、後日また日を改めて…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、奇遇ね。アルマ・カントゥータ」

 

 

背後から凍てつくような視線が突き刺さる。俺の足元に伸びる影は3つだ。まあ、ボディガードくらいいても不思議じゃないか。

 

少し首を動かす。せめて相手の体格くらいは______

 

 

「動くな」

「……ッ、」

 

 

スーっと、背後で死の気配がした。かちゃりと、機械が体制を変えた時の特有の音で、心臓に突き付けられていたのがわかった。

 

 

「……こちらこそ、ご機嫌あんまり麗しくないイリーナ・ラインフォルト会長。ところで物理的に導力銃を頭に突きつけるのは、ちょっとただのテスターに対する態度じゃないんじゃないですかね?」

 

 

片膝をついた状態で、両手を頭の横まであげる。後頭部にピストル構えられてちゃ何もできないし……クソ、せめてどうにかARCUSさえ手元に置いておければ……

 

 

「ええ、ただのテスターなら、こんな事をしたって時間の無駄だもの。帝国軍のスパイに割く時間と労力なんて、この程度で事足りるわ」

 

 

パチリと会長が指を弾けば、音と一緒に無数の歯車の音が軋み出す。

この半年で嫌というほど聞き慣れた、オイルの足りない小型の浮遊するカラクリ人形。それぞれ小銃とニードルを構えているのだろう。ザッと八体か。

 

 

「人形兵器……」

 

「あら、ご存知だったのね。もしかして、貴方の所属はそちらの方だったり?」

 

「まさか。そっちこそ、コイツらは結社由来のはずですけど、自社のオートマタじゃなくていいんです?」

 

「悪いけれど、ウチは自律稼働オートマタにシェアを広げるつもりは、今の所無いの。それに、機密情報を抜きとって犯罪に転用しようなんて、そうは問屋が下ろさない。続きはじっくり、取調室で吐いてもらおうかしら?」

 

「……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こ、怖ー!!!

 

 

 

会長カンカンだけど、何一つ心当たりないんだ、すまない……

 

大人しく捕まっても良いけど、そうなると、またあのヒゲおじに貸しを作ることになるし………ぐぬぬ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……こうなったときに、強行突破を選ぶようになるくらい、俺はこの半年で脳筋になったってことだよなぁ。全く、誰の影響だか。

 

 

 

慎重に、かつ大胆に。

ARCUSとサーバーを繋いでいた配線を引っこ抜く。それと一緒に、胸に押し付けられていた拳銃を、あえて距離を詰めて押し返す。どこの国のものでも、かなり古い仕様でなければセーフティが発動し、逆に球が打てなくなる。

 

 

 

向こうもそのことをわかってか、イリーナ会長の傍に控えていたもう一人が、素手での鎮圧を試みる。けれど、あくまで武器は持っていなさそうだ。追ってくる手の、内側に四肢を置かないように意識する。手の甲側に常に自分が回り込むようにして、追撃を叩き落とした。

 

 

……どうやら、銃の方もコケオドシらしい。やっぱり、RF社は俺を殺せない。持っててよかった、称号【鉄血の子供】。流石のイリーナ会長でも、ヒゲおじ相手では部が悪いんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

さて、あとは脱出だが……

 

 

いつも使っているナイフは、敵対の意思がないのを伝えるために、刃にカバーをかけてて使い物にならない。丸腰でこの身長差10センチを埋めるのは、絶望的だろう。かといって、こんな屋内でARCUSはあまり使いたく無い。それなら______!

 

 

とっていた距離を、逆に自分から詰める。

 

 

「何ッ!?」

 

 

 

 

目を瞬かせる、その一瞬が好機だ。

 

 

「隙ありッ!」

 

 

懐に入れてあるカードキーを、上着の内ポケットで滑らせるように、素早く閃かせる。

やや斜めに振り抜かれたキーは、本来のそれを遥かに超えた殺傷能力を発揮し、ボディーガードの男の体表を切り裂く。みれば、パックリとまではいかないが、それなりの大きさの浅い切り傷から、たらたらと鮮血が滴っている。

 

 

(わ、わーお、思ったよりダメージ大きい……)

 

 

カードキー自体はプラスチック製で、埋め込まれたチップで認証する仕掛けのもの。それならば、チップ以外は正直どうでもいい。というわけで、少し細工をさせてもらった次第だ。まさか血に濡れるとは思っていなかったんだけど。

 

その少し鋭いプラスチックの刃に、シュバルツァーの坊ちゃんの言う“居合”ってやつを見よう見まねで取り込んだら、想像以上の爆発力になっちゃったワケだ。軽くポケットの布地で力を貯めるだけで、こうも変わってくるんだな……

 

 

そもそも実は、元々武器として持ち運ぶつもりは、これっぽっちも無かった。ヤスリを適当にかけて、簡易的なナイフにしてしまえば、わざわざ旅先にペーパーナイフを持ち運ばなくて済むから、って理由だったんだ。因みに、外付けで刃をつけると、外部からの力に耐えきれずに刃がポッキリ折れてしまった。

 

 

……とまあ、俺でさえ想定していなかったんだ。向こうが呆気に取られている間に、そのまま勢いで距離をとって、扉の近くまで後退。ARCUSは……よし、ちゃんと持ってるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____、っぐッ……」

 

しかし、慣れないことをするものじゃ無い。“居合”ってやつには相当集中力を持っていかれたし、何より短かすぎる得物で物を切るには、ちょっと握力が、キツイ……!

 

 

 

「…………」

 

 

 

真顔のままのイリーナ会長、怖いです。せめて驚くなり怒るなりしてくれよ!

沈黙に耐えかねて俺から話を切り出す。まずは時間を稼がなくては。たとえ鍵を開けて、社長室から脱出できたとして、その後逃げ切る体力がなければ、あっという間にお釈迦だ。

 

 

「……ッ、ビックリしましたか?こんなのでも武器になるもんですよ。ちょっと先端をヤスリで削って、尖らせただけですケド」

 

 

「成程、腕力(STR)は変わらなくても、技量は成長する、というのね」

 

「ま、成長期ってヤツですかね?」

 

 

因みに悲しいかな、この半年で背は大して伸びていない。

 

後ろ手で、扉のロックを解除する。ガチャ、と小さく解錠の音がしたのを確認した。首筋に伝う汗が、そのままシャツに染み込んでいく時間が、ひどく長い。滑る指先で、慎重にそれを胸ポケットに再び収めて、息を整える。

 

 

 

「それでは、これにて失敬、麗しいイリーナ・ラインフォルト会長。いずれ、また会う日まで……」

 

 

 

 

思いっきり扉を蹴飛ばして、こじ開ける。そのまま無理やり外から扉を押して、社長室を封鎖する。

 

 

「……!待ちなさ________」

 

「はい、どうぞ5分くらいですが、ごゆっくり〜♡」

 

 

 

外のキースラッシャーのカバーを剥いで、配線を繋げたままのARCUSを繋げ直す。プリセットの中から、使い慣れたコードを呼び出して、適当な領域にコピー・アンド・ペースト。

 

無事に認証機の液晶が赤くなり、ノブが回らなくなったのを確認して、胸を撫で下ろした。

 

 

 

「ふぅ、これだけカッコつけて、ロックかけるのが間に合わないなんて、流石にダサすぎるもんな……」

 

 

呼吸を整えながら、エレベーターのボタンを押す。

 

RF社は、基本的に大量生産のために、自社製品のセキュリティコードを規格化している。些細な違いはあれど、元となるシステムが同じなのだ。正規軍に領邦軍、大体の帝国内の兵器ならRF製と言っても過言ではないくらいだ。

 

それならば、それらを機能停止させるコードも、大抵は同じようなものが使われている、ということ。

訓練にしろ、実戦にしろ、ハッキングなんて山ほど相手にした。いい加減慣れたものだ。

 

 

それに、ARCUSが、まだ試作だからこそできた該当とも言える。

 

問題が見つかったら、すぐにコードを書き換えなくてはいけない都合上、エニグマなんかと比べて、使いやすさを捨てた分、より簡易なコンピュータという側面が強くなっている。

 

文字を扱う領域が、簡単に弄れるようになっているので、ハッキングに使うには、こっちの方が持ってこいだ。

 

 

 

……その分、肝心のアーツ発動に難アリなのだけれど。

 

通常、駆動解除……すなわち、処理が正常に終わらなかった時、正規品は再起動、簡易リセットののち、コマンドを新たに打つまでは作動しないようになっている。バグによる多重詠唱、過剰な発熱や使用者の負荷を和らげるためのセーフティだ。

 

このオーブメントには、その安全装置がついていない。ちゃんと詠唱を終えないと、発火するわ、爆発するわ、EPと体力ゴッソリ持ってくわ、酷い有様だ。

 

しかも、この試作品、セーフティを積むスペースを確保していないのだ。どうやら後付けパーツでどうこうするつもりも無かったらしい。まあ、的に向かってアーツを打つだけなら、本来詠唱を邪魔されるなんてことは、そうそう無いのだから、必要ないと言えば、そうなのだけれど。

 

 

 

……ほんと、俺のことを「ただのテスター」としか思ってないんだろうな。

 

 

「まあ、コイツのおかげで助かった場面の方が多いから、今更手放してやるつもりもないけどな!」

 

 

 

エレベーターが、再びベルを鳴らす。

 

手の内にあるARCUSの中央______一際大きいクォーツは、まだ透明のままで有る。

 

 

 

 





いい加減閃の軌跡本編入れよなって思いました、まる。


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