リィン・シュバルツァー、貴様にクレア姉さん(語弊)は渡さないからなぁッ!?   作:発光米

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そして再びめぐり逢う3

「えーっと!一旦!一旦、状況整理だけして良いっすか!?」

 

 

アルマの渾身の訴えにより、捕縛……いや、転移を踏み止まってくれた3人組を、とりあえず近所迷惑防止のため、街道のそこそこの所まで連れ出した。

 

 

「ヴィータ・クロチルダさん。ええと、さすらいの導力技師さん?」

「ええ」

「クロウ・アームブラストさん。ヴィータさんの護衛で______」

「おう」

 

 

当たらずとも遠からず。

咄嗟にそれっぽい身分を用意した、女性と男……ヴィータとクロウは、内心冷や汗をかきながら、笑顔で頷いた。

 

まさか、暇を持て余したクロウが提案した夜の散歩で、一番目下会うべきでない人物と出会ってしまうとは。「面白そうなもんはねぇし、しゃあなしレグラム名物の古城と霧でも拝むか〜?」なんて桟橋に足を運んだのが運の尽きだった。いや、少年が……アルマが、同じ宿に宿泊する予定であったのは把握していた。が、名前までは調べようとも思わなかったし、この街に駐留する遊撃師と一緒にネジに埋もれているのが、まさか帝国軍……それも、鉄血宰相直属(本人は不本意ではあるが)の部下だとはまさか思わなかったし、それが幼女(シェーマ)の知り合いであるなんて。

 

反応が遅くはなったものの、反射で転移陣を起動しなくてよかった、とヴィータはほっとため息をつく。見られたところで、もう会わない予定だから構わないが、今後帝国で動きづらくなるのは困る。脱出方法を把握されて仕舞えば、いざという時に自分の身すら守れなくなる。まして、自分は“導き手”だ。隣にいる、飄々としていながらも、内側にぽっかりと昏いモノを抱えた、この未熟な青年の。

 

……しっかりしなくては。

 

ヴィータはそう決意する。あまりの勢いに動揺していたが、この少年は“彼”の名前を聞くなり激昂した。何か、思うところがあるのかもしれない。すぐに寝返るような軽いコマはあったところで困るだけだが、地精と……もとい、この少女、シェーマ・オライオンの関係者なら、話は別だ。うまくいけば、協力……なんてうまい関係とは程遠いかもしれないが、何かしらの契約くらいなら取り付けられるかもしれない。

 

 

そんなヴィータの思い詰めた様子とは別に、クロウは軽やかに二丁拳銃を発砲する。お互い、込み入った話になりそうな予感はしていたため、街の外に出ようとするアルマを咎めることなく着いてきた。それに、もし彼がよからぬことを考えていたとしても、自分と魔女殿を押さえて彼が勝つ確率は、万に一つも無いだろう。

そう思案しながら、弾倉をさっとはけてしまう。ドローメが素早い連撃に耐えきれず、セピスを落として形を失う。

思わずアルマは歓声を上げた。……どちらかといえば、その興味はクロウの銃の腕より、その整備された獲物の方に向いてはいたが。その目線を察しながら、クロウは苦笑した。

 

 

「これでも意外と腕は立つんだぜ。ま、軍人サマには敵わねぇかもしれないがな」

「とは言いつつ、お二人とも魔獣の相手は手慣れてるんですね」

「まー、あいにく金欠だし?街道を通ることは多いってわけよ」

 

 

言いながら、導力銃での牽制は一発も外れたことが無い。一帯を掃討し終えて、武器をしまう動作も流れるようだ。幸い、魔獣の数も多くなく、ヴィータは終始後ろに下がっていた。すれ違う人が目を奪われてしまうほどの微笑みを貼り付けながら、自分の少し後ろを歩く少女に、小声で問う。

 

 

「やっぱり……?本当に、彼なのね?」

「はい、髪はだいぶ伸びていますが。帝国軍情報局所属。鉄血宰相から直接命を受ける“鉄血の子供”に名を連ねる、わたしの、最後のオーナー…………」

 

 

少女、シェーマの口から“オーナー”という言葉が出てきた途端、ヴィータの警戒度は跳ね上がる。彼女の奥底の記憶を覗こうとして、失敗し、その上でかろうじて掴んだ情報が、その“オーナー”が碌でも無い存在の代名詞であることくらい、わかっていた。

ようやく動転した気が戻ってきたのか、ボロボロになったナイフを納刀しながら、アルマは言う。

 

 

「そうだ、すみません、俺の方が名乗りそびれるなんて。……とは言っても、もう服で察されてるみたいですけど」

 

 

碧翠の上着を羽織っているとはいえ、その襟と章、そして少年が突き出した、身分証代わりのARCUSのカバーが、その所属を示していた。

 

 

「アルマ・カントゥータ、というものです。一応軍属で……ま、今は非番なので、ただのアルマです。あいにく俺は、仲間みたいにワーカーホリックでは無いんでね」

「おっ、奇遇だぜ。わかる、わかるぞぉ、できれば働かずに生きていきたい……わかるぞぉ……」

 

 

切に同意するように、アルマの肩を抱くクロウ。それでも、最低限の警戒を解くことはしなかった。相手と距離を縮めるための、一種の交渉術だ。……わかってはいるが、ヴィータはクロウに白い目を向けざるを得ない。どこから本心で、どこから本心でないのか、わかったものでは無い。すぐに自分を取り繕いがちな、軽薄を装った彼の在り方は、あまり関心できなかったが……まあ、自分が一々口うるさく言うことでもあるまい。流すことにした。

 

 

(とはいえ……あまり接触しすぎるのもマズいわね)

 

 

目の前の少年自体から、敵意は全く感じない。が、彼と繋がっている“鉄血宰相”は話が別だ。彼に容姿の特徴が掴まれるだけで、グッとヴィータたちは帝国で動きづらくなってしまう。かといって、不自然な行動をとれば、逆にそれが記憶に残るだろう。とはいえ、こんな絶好のチャンス。今、彼自身が何も情報を持っていなかったとしても、ツテは力、コネは命綱なのだ。将来的に、そこの軽薄な騎士は学生にでもなるそうだが、自分はどう足掻いても軍の人間と友好的な立場を作る機会が無い。

 

悩むヴィータ。表面上こそ気さくだが警戒を解かないクロウ。黙りこくった少女。そんな、笑顔を貼り付けた臨戦体制な一行を見て、アルマは……

 

 

……ナイフを、ホルダーごと、近くを流れる川に投げ捨てた。

 

 

「は、」

「え……」

 

「な゛ッ、あぁぁあああ!?!?」

 

 

近くに居たクロウが、咄嗟に肩を掴んでガクガクと揺さぶる。

 

 

「おっオイオイオイ、軍人さんアンタ、正気かぁ!?武装をぶん投げるなんて、」

「まあどうせ近いうちに取り替える予定だったんで……?」

 

 

昼間、アルマはトヴァルとも話してはいたが、どうにも今のままの武器をを使い続けるのは難しいそうで。突如ルーレで遭遇した、謎の銀の傀儡……それの攻撃に耐えきれず、短い双剣の中央に穴が空いてしまったのだ。中央に穴があるブレードは武器屋の店頭でもよく見るが、あれは最初からそういう作りなのであって。完全なものからかけたモノを、無理やり使い続けるにはリスクが大きすぎる。

刃を覆っていたコーティングももうボロボロだし、取り替えどきだと割り切っていたから未練もクソも、ためらいも無かった。それだけだ。もとより、レグラムにきたのは、ARCUSの整備はもちろんだが、武装の調達も兼ねてだったわけで。

 

 

「いや、そういう問題じゃねーって、いや、……つか、帰り道どーすんだよッ、俺しか戦えるヤツが居ねぇじゃねえか!?」

「クロウさん強そうだし、いけるかなーって」

「だとしてもよぉ……!」

 

 

呆れた様子で手を離したのを見計らって、アルマは再びARCUSを取り出す。

 

 

「まず。……俺の主武装はこれです。」

「見ない形ね。エニグマ……ではなさそうだけれど」

「ええ。もうすぐ型落ちになる予定の、テスター用試作機ですから。普通は主武装じゃなくて、戦闘補助に使う人が多いですけどね」

 

 

ヴィータに言われて思い出す。色んなところでホイホイ取り回してはいるが、一応これは、まだ世に出ていない未完成品なんだ、と。オーブメントの制作は大抵年単位とは聞いたが、どうやら()()()()()新機能で手こずっているらしく、中々正式にはリリースされない。“機密保持”の4字と、イリーナ会長の鬼のような顔が脳裏に浮かんだアルマだったが、いまさら、と振り払うことにした。咳払いして続ける。

 

 

「そして、……あ゛ーー自分で言ってて悲しくなってくるなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、どうやら、STRがカッッッッッッッスみたいなんですよ」

 

 

 

 

「まじぃ……?軍人なのに……?」

「はい。軍人ですが。コネ入軍、コネ昇進ですね」

「クズじゃねぇか……」

 

クロウが問う。真顔で頷くしかなかった。残念ながら、この数年間で、彼の腕力は上昇するどころか、むしろ下がっているまである。体力は増えているが、重いもの……大ぶりな騎士剣なんかは、未だに振り回せない。どうやら、敵の攻撃を受け止めるのはDEFを参照にしているからか、相応に成長できている自信はあるし、身軽さという点でも、それなりに鍛えてはいるから、どうにかHPもDEXもSPDも上がっている。

 

だが、本当に、一向にSTRだけ上がらない。アーツの技能だけ小器用になってきているので、今までは「物理攻撃でどうにか敵の動きを止め(スタンさせ)る→アーツで殴る」という手順を踏む必要があったのだが、もう今では「アーツを纏わせた武器で殴る」くらいの勢いだ。まあこれがとにかく楽しい。他の連中が、闘気とか剣気とかであれやこれや、色々戦技でやっていたことが、ようやく自前のアーツで代用できるようになったのだ。まだオリジナルのアーツや戦技を生み出すまでには至っていないが、拡張性がものすごく上がった。風の刃だって、オーブメントから単調に飛ばすより、武器から飛ばした方がカッコいい。残念ながら、消費EPはやや上がるが。

 

 

「と、いうわけで。アレがあったところで、無用の長物なんですよ。なんなら今、腕相撲でもしてみます?」

 

 

もはや自虐なのか、自慢なのかわからないことを楽しそうに言い切ったアルマ。結構乗り気で腕まくりしていたが、丁重に遠慮された。

もうすっかり一連の行動に毒気を抜かれたヴィータが、渋々口を開く。

 

 

 

「……それで、そんな軍人さんが、私たちにどんなご用かしら?あいにくだけれど、私たちはあくまで個人の導力技師だから。流石に帝国軍レベルの大口の依頼は受け付けられないわよ?」

 

 

 

アルマは面食らった。てっきり、自分とシェーマがどういう関係なのか、洗いざらい問い詰められるのかと思っていたのに。もしくは、シェーマとこの2人は、まだそこまで仲良くなっていないのか……あくまでヴィータはシラを切り通すつもりらしい。

 

 

(まあ、こうなりゃヤケだ。この人たちの素性はわからないが、心臓ぶち抜かれた(あの)時より危うい目になる事はないだろう。……たぶん)

 

 

今思えば、あれはほんっっとうに理不尽だった。だが、今回の相手は話が通じそうだ。だから今回は、丁寧に、慎重に言葉を選んで……

 

 

 

 

「その、無理強いするつもりは無いのですが。皆さんにお伺いしたいことがあって。」

 

 

 

 

「さっき言ってた“チセイ”ってなんですk_________ぶゅッ!!?!?!?」

 

瞬間、頬に張り手が飛んだ。ヴィータのものだった。

後に魔女殿は語る。「あそこまでデカい声で話されると思ってなかった」と。

 





〜〜3分でわかる今回のあらすじ〜〜

魔女殿「どうせあなたも地精といっしょで、Ozとかいう幼女で実験してるんでしょ!!ロリコン!!!」
硝子くん「ちがわい!!!てかアンタらも鉄血が嫌いなら手ぇ組まね?」
魔女殿「順序と段取りってものがあるでしょうがァ!!!」(ビンタ)


硝子くん「武器作り変えるで〜〜^^^^^まあ前の武器は捨てていっか〜〜〜^^^^^」
蒼の騎士「え帰りの魔獣全部俺が片付けるんですか」
硝子くん「そうやで^^^^^」
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