リィン・シュバルツァー、貴様にクレア姉さん(語弊)は渡さないからなぁッ!?   作:発光米

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〜前回のあらすじ〜


クレア姉さん「久しぶりですね、アルマくん」

硝子くん「楽園はここにあったのか.......!」

クレア姉さん「というわけで男子は別行動でお願いします」

ビン底メガネ「うふふ、暇ならクレアくんの旦那候補()でもシバきます〜?」

硝子くん「やります〜っ♡」





近郊都市・トリスタ②

 

 

 

 

______さて、開戦はこちらが合図なしで、こちらから仕掛けていいとのことだったが。

 

 

現時点でこちらが使える、最高出力は風属性のアーツ、【エアリアル】だけど、今回はハナから正攻法では挑まない。こちらの方が普段から実戦投入しているので、慣れてはいるが、威力が同じくらいの別属性のアーツを使おう。正直こちらを舐めてかかってくれることを期待して、これで、体力の3割くらいを持っていければいい方か。いつもより集中力が必要になりそうだけど、こちらが一撃放つまで待ってくれるらしいので、のんびり駆動すればいい。

 

しかし問題はその後だ。

 

4人からの波状攻撃を受ける羽目になるだろう。アークスの駆動時間は全部回復に回さないと間に合わないくらいか。

 

となれば、多少運任せかもしれないが......

 

 

 

治癒、切り札と念の為のゴルトスフィアくん、あとは駆動と精神に全ブッパ。水色の七曜石で刃をコーティングしたナイフを構え、オーブメントに手をかざす。

 

 

 

「______いきます、クリスタルフラッドッ!!」

 

 

 

術の駆動が終わった瞬間、さっきまで水属性のアーツが入っていたスロットをはじき、別の低位アーツをはめる。戦闘中でも組み直しやすいような"ウラワザ"をこっそりトヴァルさんに教えてもらったおかげだ。

 

技の派手さに目がいっているうちに、走りながらもう一度オーブメントを構える。距離はとりながら、円を描くように、第一波を軽傷で凌げていそうな、後ろの2人を狙い撃ちする。

 

 

 

「フロストエッジ」

 

 

だいぶ低位のものに切り替えたから、駆動時間はそれほど掛からなかった。狙い通り、後衛の足が止まっている。願うことなら前衛の剣を持っている人たちをどうにかしたかったんだが......

 

やっぱりどちらのアーツも避けた人がいたっぽい。予想に反して1人だけだったのはありがたいが。

 

そしてここからはほとんどアーツによるダメージは期待できない。腹を括って、右手用のナイフを抜いた。ここからはぶっつけ本番、後衛が追いついたらその時点で降参だ。

 

 

 

頭の上から振り下ろされる模擬剣を、両手のナイフで受け止める。ビリビリと腕が痺れて、ナイフごと切られてしまいそうだ。これは早急にどうにかしないと......

 

 

 

「______っ、やば!」

 

 

 

なんとなく、一瞬、更に力が強まったのに危機感を感じて、体を捻る。直後、大きな音を立てて頭の上に火が走った。

 

 

 

「_____剣に闘気で焔を纏わせる戦技......宮廷剣術の一種だ。まさか、そう避けられるとは思ってなかったけど」

 

「わざわざ教えてくれてドーモ。無様で悪かったですね......もうちょい手加減してくれても良いんですけど?」

 

 

 

両手をクロスさせて、二つの刃で攻撃を受け止めていた都合上、左右どちらかに逃れれば腕を持っていかれる。後ろに引けば切られておしまい。股下を通ったから、上着の背中は土だらけだ。

 

父さんが魔獣相手に使っていたのはみたことがあったが......うん、流石にやばい。受けてみたいって言ったら「威力を一番抑えても腕が吹き飛ぶぞ」って言ってた意味がわかったかもしれない。

 

にしても本当に便利だよなぁ、その"闘気"って類のやつはさぁ.......いわゆる武における才能の有る無しのを一番最初に、かつわかりやすく分けるところだろうし、きっとそれができないと剣一本で生きていくっていうのは、難しいんだろうけど。

 

 

 

「はは、あんなアーツの腕を見せられたのに、手加減するのは失礼に他ならないだろう?」

 

「そんだけ余裕なら、俺の体力が持つまで実験台になってください......よ!」

 

 

 

アークスの残りEPを確認する。半分を切っていた。

 

......試せたとして、五回くらいかな。

 

 

後ろを確認しても、アーツが当たった奴らは、レキュリアもなにも縛りで使えないので、ただもがいている。

 

 

そう、今回俺が試しているのは"凍結戦法"。

 

って言えばカッコよく聞こえるだろうが、要は「どんな強い奴でも足元が凍ったら動けないし、凍えたら力出ないよな!!」という、害悪極まりない方法なのだ。

 

魔獣相手だと、一発目のアーツで死ぬか瀕死、氷が溶けたその後も生き残ってくるやつは、まず自分の腕じゃ勝てないので逃走。ちょっとその辺を回るだけなら、街道から外れなかったら問題ないけど、アーツ一辺倒だと流石に不安が出てきたし。

 

程のいい、自分じゃ傷つけられないけど殺されもない動く的......慣れない物理攻撃の練習相手に、最適だな!

 

現に4人中3人は運良くズボンごと足が凍りついて、使い物になっていない。まあ、ちょいと運に頼るのは、年下だから見逃してほしいなーっていうのはあるが、何より......

 

 

 

 

 

 

 

_______クレア姉さんに寄り付く虫ケラに倫理観なんて求められても、ねえ?

 

 

 

 

 

 

「というわけで、大人しく凍ってください......ッ!」

 

 

ナイフを斜め十字に振る。

 

 

......もうここからはお祈りでしかない。

 

 

今までもナイフにオーブメントを絡めた攻撃は、何度か試したことがあった。でも、どうしても斬撃に集中せざるを得ない分、オーブメントの駆動状態が不安定になる。大体の戦術オーブメントはセーフティがついてるらしいが、なにせこのARCUSは、プロトタイプだ。暴発したアーツが術者に返ってこないとも限らない______というか、帰ってくるのだ。結構痛い。

 

 

一回エアストライクを暴発させたことがあるけど、軽く1m吹っ飛ばされた。これでイクシオン・ボルトでも駆動させてれば目も当てられないことになっていただろう。

 

 

それ以来、常に一番威力の低いアーツ、それも風、水属性だけをナイフの斬撃に乗せていた。火属性なんか暴発させて火事騒ぎになれば、あの頃は、そもそも旅の出立を取り消されたかもしれないし、上位三属性とか、怖くて到底出来そうにない。

 

 

ナイフに、わざわざ切れ味を悪くする、素人の七曜石のコーティングをしたのも、アーツと武器の間に回路を作るため。当てるだけでいい。避雷針としての役目だけを果たすだけなら、貧弱な腕力でもどうにだってなる。

 

 

そこまで仕込んだとて、凍結効果のあるアーツを駆動させ続けなくては、意味がない。つまりは、もっと上位の、もっと失敗の反動が痛いものを。

 

 

 

「もう一丁、そこッ!」

 

 

 

駆動の集中力が切れてきているのだろうか。最初はナイフの刃のみから漏れていた冷気が、グリップの方にまで伝わってきやがった。相手も相手で、こちらにとどめを刺す気になれば刺せそうなのに、仏頂面で受けに徹しているのが腹が立つ。

 

 

 

「______オーブメントの方も、そろそろ限界か.......」

 

 

 

普通に力をためて、一点を狙って解放するより、ずっと集中力を維持しながら、駆動を続ける。普段より精神力がいる上に、気を抜けば即効で自爆......正直、燃費はめちゃくちゃに悪い。

 

攻撃の手を緩めて距離を取ったのを見て、少し不満そうに男は剣を下ろす。

こっちの息は切れてるっていうのに、あくまで、じゃれてくる近所の子供の遊びに付き合っているような、見下した目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______クッソ腹立つわ!!!今すぐそのドヤ顔やめろ!

 

 

 

 

 

「降参なら、早めに言ってくださいねぇ〜」

 

「______ッ、誰がするか!!」

 

 

 

ビン底眼鏡教官が、のほほんとした声で横槍を入れる。

 

......ただ、ムカつくが、カードが切れつつあるのは事実。勢いで啖呵を切ってしまったが、次の一撃が効かなかったら、大人しく降参かな。

 

 

 

「わかりました。最後までちゃんとサンドバックになってくださいよ、セーンパイ?」

 

「きみから逃げる理由も、あいにく見つからないしね」

 

「ハッ、言ってろ。ARCUS、駆動______」

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクアブリード」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

打ち出したのは水の最低位アーツ。しかもそれはヒュルヒュルと、的からそれ、空へと飛んでいく。中で砕けて、途中で術式が解けて散りじりの、ただの水になる。

 

 

拍子抜けして、呆けている隙に懐に踏み込む。しかし、これもきっと予測されていた。相手の口元に笑みが浮かんでいる。どうする?一旦フェイントに見せかけて、もう一度______いや、構うもんか、突っ込め!!!

 

 

 

 

「______切り裂け......っ、駆動、フロストエッジッ!!」

 

 

 

 

 

ARCUSから青い光が漏れ、七曜石の刃に集中する。体重を、回転の勢いを、冷気を溜めて、溜めて、ナイフを斜め十字に振り抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よっぽど自信があったのか、棒立ちで技をむかえる男。手応えは浅い、というよりは、ほぼ無い。後ろにほんの少しステップされて、躱されたようだ。

 

刃が届いたのは、ほんのシャツの表面だけ。

 

 

 

「あっ......ッ、」

 

 

 

冷気で手がかじかみ、左手のナイフを取り落とす。

 

 

 

 

 

......俺の、負けだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「......最後の一撃は良かったよ。でも、勝負あったかな」

 

 

「はは、ここまでやったのにな」

 

 

 

ぽつぽつと、先ほど空に向かって撃ったアーツの名残が雨のように垂れていた。シャボン玉くらいの大きさのものから、少しずつ粒が小さく、やがて霧雨になり、そして止む。男は鞘に宮廷剣を納刀した。

 

 

いくら年齢差があるからといって、体格差があったって。武器のリーチが違ったって。

 

あーあ、俺も一応まだガキンチョだったんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

......柄にもなく、本気で悔しい。

 

はは、いつぶりだろう。最近は色々やけになりすぎて、ムカつくとか、そういう感情しか湧いてこなかったのに。

 

思えば、本気で寂しいって、感謝で目が潤むほど淋しいって思ったの、今日が久しぶりかも。

 

 

 

 

.......そっか、まだ一日しか経ってない。

 

たった一人で街道を歩いたのも、母さんとマジ喧嘩をしたのも、トヴァルさんに会ったのも、オリエさんにナイフのクセを修正してもらったのも、クルトに別れを告げたのも、ヘンテコな女の子と会ったのも、そして、クレア姉さんに会いに来たのも。

 

 

 

 

 

 

 

「一日......濃い、濃すぎた......」

 

 

 

 

思わずグラウンドに座り込む。腕ももう痺れてしまったし、一度膝を折ってしまったら、もうしばらく立てそうにない。これ、今日シェーマを連れて帝都に帰る余裕あるのか?すっかり忘れてた。

 

 

 

 

 

 

「ふふふ〜!アルマくん、想像の倍以上粘っていましたねぇ、お疲れ様です〜!」

 

 

 

俺の後ろから、ビン底眼鏡の教官がこちらへ、ニコニコしながら歩いてきた。

 

グラウンドの隅を見れば、こいつに助けてもらったのか、もう足が自由になった三人組が仲良くへこたれていた。大方、アーツの当たりどころが悪くて、速攻でマペットが壊れちまった、ってところだろうか。凍っているにしてもなかなか動き出さないとは思ったけど。

 

 

 

「でも、これでアルマくんも一安心ですねぇ〜」

 

「ッ......別に、俺に勝ったくらいでクレア姉さんの件を認めるつもりは______」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ、ハンデ有りとはいえ、年下に負ける様な奴にクレアくんは渡さないと、堂々と言えるじゃ無いですかぁ〜!」

 

 

 

「「はいっ......?」」

 

 

 

目の前の男と同じく、目を瞬かせる。

 

 

 

「ちょっと待ってくださいよ、トマス教官!確かに自分は、彼の武器を離させたんですよ!?子供相手に、とどめまで刺せと言いたいんです!?」

 

「そ、そうだろ、俺の方が戦況は不利で終わっちゃったし......」

 

「うふふ〜、質問はいつだって大歓迎ですよ。ただし、1人ずつお願いしますね〜?」

 

 

 

メガネが太陽光に反射して、怪しく光る。奥から見えた目は、マジの目だった。

 

閉じているのかもしれない。薄目なのかもしれない。それでも雰囲気か何かが、まるで睨むときの視線のように、こちらを射抜いてきている。

 

まずい、親父のマジギレより怖いかも......冷気に当てられてたのは手だけなのに、全身にぞわぞわ、その、寒気が......

 

 

 

「まずは君に対してですが。"武器を放させた"と......ふむ。

 

______片手だけ、ですよね?完全に制圧してもいなければ、さっきの戦闘でわかる通り、彼の基本戦術は、アーツによる凍結込みの範囲攻撃。その意味で言えば、彼の本来の得物は、この新型オーブメントではないでしょうか?まあ、あの冷気を噴き出す斬撃には、正直目を見張るものがありましたけど」

 

 

「だって、」

 

 

男が口を挟んで言い訳をしようとするのを、ビン底眼鏡______トマス教官は優しく、強く遮る。

 

 

 

「ナイフなんて、利き腕さえあれば、十分に人を殺せますし。ボクは戦術科の教官ではありませんが、あくまで副武装であるナイフを、しかも、片方しか離させないうちで、脅威度が0になったと、()()()言っているのなら、流石に、甘いとしか」

 

「______っ」

 

 

「そして、その上で試合の終了宣言をしたのは、君ですよ?」

 

 

 

男は教官の迫力に、思わず押し黙る。

座り込んだ自分の膝に置いた、薄く、青く光るナイフを見た。まだ自分の手元にある方は______右手。まさか、このビン底、ここまで見て......?

 

 

 

「でも、えっと、トマス教官、でしたっけ。事実、俺は後がありませんでした。オーブメントの充電もすっからかんですし、万に一つも______」

 

「別に、私はきみに戦闘補助アイテムの使用を禁じていませんよ〜?EPチャージくらい、アーツ使いなら持っていてもおかしく無いですよね〜!」

 

「あっ」

 

 

「......その様子ですと、完全に頭の中になかったようですねぇ......」

 

 

すると、教官は離れた場所に飛んでしまった俺のナイフを取ってきてくれ、俺に渡しながら苦笑。さっきのような威圧感も、出会った時のような胡散臭さも無い。

 

 

 

「まあ、今までのは、屁理屈みたいなものですよ。みてください。君が掴み取った、万に一つの勝機ですよ______ちょっと君たち、()()()()()()()()()

 

 

「えっと、こ、こうですか.......?って、あ______」

 

 

 

俺はすでに座り込んでいたので姿勢を正すだけにとどまった。が、目の前の男は身動きが取れない。まるで下半身だけが固まったように。

 

それまでの攻撃で、冷気がうまく当たらずに結露したところ、そしてさっきの霧雨。湿り、十分に水気を含んだズボンが、時間差で凍っている。

 

 

 

「なッ、そんな......」

 

 

 

なんっていうんだっけこれ、カレイジャス?いや、確か過冷却か?でも冷やした状態でも結構動いてたから違う.....?ああもうわからない、たすけて、ミハイル兄さん。

 

 

「この状態でも、きみは、アルマくんに、"確実に"勝てるんでしょうか〜?」

 

 

 

身動きが取れない間に、この少年は落としたナイフを拾いに行くかもしれない。

導力器のバッテリーを取り替えて、大技を放ってくるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

______この身動きの取れない隙に、自分はこの少年に、敗北するかもしれない。

 

 

 

そんな考えをちょこっと脳裏によぎらせた時点で、俺______いや、この教官の大勝利だろう。

 

 

 

 

「うふふ♡ちょっと、年下相手とはいえ、なめてかかりすぎてしまったようですね〜」

 

 

 

うわぁ、この教官、自分の教え子が年下にボコられかけて、さらに自分でもボコっておいて、すっごい楽しそうだよ......

 

 

なに、ドS鬼畜眼鏡なの?

 

 

 

クレア姉さんこんなやつに何か教わってるの??

 

 

 

俺すっっっごい心配になってきたんだけど??????

 

 

 

やはりトールズは魔境だったか......くそ、こうなれば、今から勉強して編入試験でも______!

 

 

 

 

......そういえば、忘れかけてたけどコイツら、俺をダシにしてクレア姐さんへの序列を決めようとしてたんだっけ。途中から普通に、言動が上から目線なのが胸糞悪かったから忘れかけてたけど、コイツらも駆除対象だっけ。

 

 

 

よし、なんか無性におさまりかけてた怒りがぶりかえしてきた。

 

 

 

 

 

「うーん......あの、おにいさん方。おセンチなところ悪いんですけど、クレア姉さんの件は______」

 

 

「な、なんでそこでリーヴェルトさんの名前が!?」

「というか、なし崩しになってしまったが、きみは一体なんで......」

 

 

 

動揺する三人組。まさかこっちが知らないと思っていたとは。勿論それは、教官にレキュリアをかけてもらった目の前の男も同じらしく......

 

 

 

「っそもそもきみは、クレアのなんなんだ.......!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふーん?

 

 

へぇー???

 

 

 

 

 

"クレア"......ねえ.......?

 

 

 

 

「あー、オーケーオーケー、絶許。ARCUS駆動、エアリアル」

 

 

 

ポケットに入れてあったEPチャージを使い、駆動に必要な分のエネルギーを確保する。赤い魔法陣が、ぐるりと俺を囲むように出てきたのをみて、男は顔を更に青くする。

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ、いったんおち、落ち着いてだな!!!」

 

 

 

「それーっ」

 

 

 

 

 

駆動待機時間が終わったそれを、容赦なく、一辺の慈悲もなくぶっぱなした。

 

さっすがエアリアルくん!!扱いやすさ、駆動時間、威力、範囲。どれをとっても最高だ。

 

 

 

 

 

 

「ミッションコンプリート......ミハイル兄さんくらい強くなってから、出直してきてくださいね!」

 

 

 

校庭に竜巻が発生して、土ぼこりを巻き上げる。

 

悪いな、ミハイル兄さん。これもクレア姉さんのためなんだ。

 

あからさまに男の名前がでてきて、男どもの顔が硬直する。やっべぇ、面白くてしょうがない。これで"義兄さん"の方に勘違いしてくれると、もーっと嬉しいんだけど♡

 

 

なにせ、クレア姉さんのことだから、今までまともに身内の存在を匂わせていなかったんだろう。勘付かれれば、芋蔓式に自分のしてきたことがバレるかもしれない。そうすれば、相手に気を遣わせる。

 

そんななか、明らかに知り合いそうな、かつ自分のライバルにならなさそうなガキンチョが出てきた......外堀を埋めるには、さぞ絶好の機会だったんだろうなァ!?

 

クレア姉さんの善性に漬け込もうとする虫どもは、一回処理しなくちゃと思ったけど、まさかこんな早くに遭遇するとは。

 

 

 

 

「ふふふ~!これもクレアくんへの"愛"ですかね~?いい薬になってくれるといいんですけど」

 

 

 

一息ついていれば、ひょっこり、竜巻の中から何事もなかったかのように、トマス教官が現れる。被害もアホ毛と眼鏡の位置がずれただけだ。

 

 

 

「......なんで貴方はしれっと脱出できてるんですか......確実に中央でとらえましたよね?」

 

「狙いは彼だったみたいなので、自分が標的じゃなければ、ある程度はどうとでもできますよ~」

 

 

「なにそれ怖......あー、っていうか、エアリアル直撃させたアイツは大丈夫なんですか?救出してないっぽいですけど」

 

 

 

すると教官は「ふむ......」といって黙る。まさかとは思うが......

 

 

 

「......ボクにもわかりませんねぇ~」

 

 

「おい教官だろ!?......まあ、精神系のクオーツは外しておいたけどさ......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





〜おまけ:トマス教官のマジギレ〜



.......ある日のトールズ士官学院にて.......






硝子くん「.......おい、ちょと......よし、今なら大丈夫そうだな」



リィン「えっと?()()クレア大尉の件ですか?」

硝子くん「軽々しく姉さんの名前を口にするなよ、まだみとめてねえからな」

リィン「はは......ってことは、違う用件で?」



硝子くん「ああ。俺はトールズ出身じゃないんだが、トマス・ライサンダーって知ってるか?」

リィン「トマス教官、ですか?ちょうど歴史学の担任ですけど、何かあったんですか?」

硝子くん「ああいや、そこまでじゃ無いんだがな......アレは絶対にマジギレさせちゃいけねぇぞ。いいな、絶対だからな!?」



リィン「は、はぁ......でも、俺はトマス教官が本気で怒っているところ、まだみたことがない気がしますね」

硝子くん「ああ。俺だって.......半ギレでアレだったんだ。ああ見えて相当な手練れっぽかったし、マジギレしたら校舎半壊じゃ済まないかもな......」

リィン「ゴクッ......」






トマス教官「ふふふ、まだあのときは自分も未熟でした〜」

硝子くん「げェッ、出やがったな妖怪歴史学!じゃ、じゃあなリィン・シュバルツァー!後は任せた、俺はシェーマの世話が______」

トマス教官「もう、つれないこと言わないでくださいよ~子離れできない親は、嫌われるって相場が決まってますし~!」

硝子くん「え」

リィン(は、速い!?もう背後をとられたッ......)


トマス教官「さあさあ、リィンくんも今日は夜通し語り合いましょう~!今日は獅子戦役辺りが良いでしょうか~?」





リィン「あ、あの~、俺は、一応門限がありますので......?」





トマス教官「おっと~、それじゃあアルマくんだけでも~」

硝子くん「な!?おい、リィン・シュバルツァー、テメェ逃げたな!?嫌だ、徹夜コースだけはッ、ああもう、どうしてこういうときだけ力強いんだよ!?」




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