これが俺の日常であり、二度と脱出することのできない地獄。
俺はここから脱出することが生きる糧であり目標だった。
そして、ようやく地獄のような世界から抜け出すことができた。
これから先、更なる地獄が待っていることも知らずに……。
冒頭だけDead Cells、あとはオリジナルメイン
死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで生き返って死んで死んで死んで死んで死んで──────
永遠の時をこの地で過ごした。
ある時間帯ではゾンビのようなモンスターに襲われ肉を食いちぎられた。
あるいは大砲の玉を四方八方から撃ち付けられ肉体が爆発四散した。
あるいは自分の倍以上の体躯のモンスターに胸を貫かれ、行動不能になった。
数えればきりがないほど、俺は様々な死を体験し、そして生き返った。
そして──
「ぐ……ぅあ……」
目の前に横たわるは、今まで幾度となく俺を殺してきた存在。
名を"神"
こいつは俺を丸焼きにし、串刺しにし、爆発させ、粉微塵にし──他にもありとあらゆる方法で俺を殺してきた、いわば因縁の相手。
そんなやつに俺は今日、トドメを刺す。
身に纏っていた服は斬り傷だらけで、もう服として機能していない。
身に着けていた大量の武器は、今や右手に握る半ばから折れた直剣しかない。
肉体は右胸から左の脇腹にかけて大きな傷跡があり、左足も膝から下がない。
だが俺は、こんな状態になってもなお、
「ぐ……う、か、考え直せ……。この私を殺したとして、貴様の魂が……よ、黄泉の国に行くことはない……。このようなことをしても、死人は死人のまま!無意味な行いなのだぁ!」
「……それが遺言ってことでいいか……?」
俺は喚く神の喉元に刃を当てる。
「っ!?こ、後悔することになるぞ……。私を殺せば、あの方々が黙っていないぞ!」
もう指一本動かすことのできないはずの神が喚く、叫ぶ、怒鳴る。
俺は少しずつ刃に力を籠める。
「や、やめろ!やめるんだ!!今ならまだ間に合る、私からこの剣をどかせ!私はまだ死ぬわけにはいかぬのだ!」
「知ったことか。お前は俺を何回も、何十回も、何百回も……それはもう数えきれないほど殺した。もうそろそろ、報いを受けても天罰はないだろう」
まぁ、その天罰を下す存在を、今から殺すんだけどな。と考えるが口にはしない。
「くぅぅ……"コンシェルジュ"!"スケアクロウ"!"王の手"でもいい!私を助けろ!何が何でも私を助けるんだ!!」
"神"は虚空を見上げて叫ぶが、誰も来ない…………まぁ当たり前か。
「そいつらを呼んでも誰も来ないぞ」
「……な、なにを言って……」
俺は戦うためにそこらへんにぶん投げていた
「……あ、あぁ、あああああああああ!?き、貴様、な、なんてことをしてくれたんだ!!?」
手に持っているのは、さまざまな大きさをした頭部と大きな目玉が二つ。
どれも苦し気な表情をしているそれは、俺と神、両方が知っているものだ。
そう、神と同様、かつて俺を殺しまくった憎き凶敵たち。
牢獄と村を繋ぐ唯一の橋を守る、牢獄の長──"コンシェルジュ"
辛苦の安置所に潜む一つ目の異形──"膨眼の魔物"
ネストに潜む巨大な化け物──"ママティック"
王の手へと向かう者の前に立ち塞がる存在──"時の守護者"
牢獄にて放置されていた古の怪物──"巨人"
廃墟と化した樹木園の謎の庭師──"スケアクロウ"
王座の前で延々と王に歯向かうものを断罪し続ける、王の守護者──"王の手"
灯台で待ち受ける女王の従者たち──"カリオペ"、"エウテルぺ"、"クレイオ"
従者を倒した先に居座る、華奢な強敵──"女王"
協力者にして裏切り者にして本史ラスボス──"収集者"
"神"の忠実な僕にして、どれもこれも一度では突破できなかった怪物たち。
そんな強敵である奴らの首を俺は持っているということは……そういうことだろう。
「終いだよ。この咽返る空間にも……俺を殺し続ける悪夢にも……そしてすべての元凶であるお前にも……」
「くそがぁ……くそがああああああああああああ!!!!!」
「……死ね」
俺は持っている刃を今ある力の限り、思いっきり突き刺した。
「……終わった」
"神"は先ほどと打って変わって、物言わぬ骸と化した。
殺り合う前や最中は、こいつの目の前に立つと震えが止まらず、武器を握る手は感覚を麻痺させ、何も考えられなくなった。
──だが今は、何も感じない。
足の裏から感じるはずの地を踏みしめていた感覚も。
傷から響くはずの痛みも。
手に残っていた、肉を断ち切ったときに感じる感触も。
この戦いに終止符を打ったという喜びも。
「……これで、本当に終わった、のか?」
わからない。
ここは俺が目が覚めた時からいる場所だ。
それこそ、何百年もここに閉じ込められてきた。
だからそれなりにここがどういう場所か、わかっているつもりだ。
だがそれでも、いまだにわからないことのほうが多いのは事実。
「でも、これ以上この場所で何をすればいいんだ?」
とりあえず、何かないかと思い、床や壁、天井に手を伸ばす。
しかし、先の戦いで、もともとボロボロだったこの場所は、跡形も無くなりかけている。
こんなところに何かあるとは、到底思えなかった。
片足を失うという不自由さを感じながら、無事だといえる部分のほうが少ない地面や壁に手を当て、滑らせていく。
何か不自然なでっぱりだけでもあれば、という魂胆からの行動だったが、それが功を成したのか、ゴツゴツ地面とは違う、スベスベとした手触りを掌に感じるものがあった。
俺は急いで周りの瓦礫をどかすと、そこには金属でできたハッチがあった。
俺は見つけられたという安心感と、この先に何があるのかという不安が心の中を占める。
だが、進まなければこの地獄から抜け出せない。
俺は意を決して、ハッチを開ける。
ハッチの中は一寸先も見えないほど暗い。
だが俺は決意を固めて中に飛び込んだ。
周りが騒がしい。
だがあの場所とは違う、なんだろうか……背中にフカフカとしたものがあり、後頭部にはそれとはまた別のフカフカしたものが。
いや、それよりももっと根本が……。
あの怪物たちの気配ではない。
もっと脆く、弱く、脆弱な存在。
俺は状況を理解できない。
俺は直前に何をしていた?
たしか……、"神"を倒して、あの場所から出る方法を探してて、ハッチを見つけて、そして……。
「ッ!!」
フラッシュバックする記憶。
俺は目を見開き、跳ね起きる。
視界いっぱいに光が入り、俺は思わず手で目元を覆い、仰向けに倒れこむ。
「
テン、メイ……?
なんだ、それは。
というより、誰だ、この声は……。
ここはどこだ?
今話しているのは誰だ?
俺はどうなったんだ?
考えれば考えるほど浮かぶ謎。
まずは一つ一つ考えていこう。
ここはどこだ──、少なくとも俺が今までいたあの場所ではない。
今話しているの誰だ──、今まで話すやつはいたが、例に漏れず全員敵対関係にあったものだけだ。言葉の節々から敵意しか感じなかった。だが今話しかけてくるこの声からは、そんなものは感じない。ただただ、心配や安堵といった、温かいものしか感じない。
俺はどうなった──、脱出できた……のか?いや、これに関しては情報が少なすぎる。
……そういえば、あの戦いで負った傷から痛みを感じない。
脳が麻痺をしているわけではない。
ほんの少しだけ、四肢を動かす。
それだけでわかる事実。
欠損箇所が治っている。
情報が混雑しすぎている。
ハッチに入ったと思ったら、気づいたら知らない場所にいて、傷が痛まなくて、欠損部位が治っている。
そして、おそらく今も俺のそばにいるであろう、言葉を話す友好的な生き物。
一体なぜこうなったのか、考えても何もわからない……あー、いや、不確かな状態のハッチに入ったのが、今回の要因っていうことだけは理解している。ただしそれだけだ。
俺はこれ以上考えるのは無駄だと割り切り、手をどけ、今いる場所を確認する。
真新しい木でできた部屋の中にいるようだ。
周りを見回すと、簡素な家具とそこそこ大きな窓、そして人間の少年が一人いる。
「だ、大丈夫なの?転命」
少年は俺の額に手を当てながら聞いてくる。
……というより、人間?
人間は遥か昔に滅びたはずだ。
じゃあ目の前にいるのは人間ではない?
俺は少年の頬をフニフニと触る。
……温かい。つまりゾンビではないということ。
体をぺたぺた触る。
……ちょうどいい感じの肉がついている。何かついているわけでもなければ、おかしなものがあるわけでもない。
「ちょ!?くすぐったいってばぁ……」
少年は身を捩らせる。
俺は少年から手を放し、考える。
まさか本当に人間なのか?
だが、俺があの世界で目覚めたときには、もう人間という種族はおらず、モンスターが跋扈していた。
……もし、もしもだ。
もしあのハッチがあの場所──
大体のことはそれで納得するだろう。
で、体の傷、欠損はどう説明するんだって話なのだが。
これも一つの仮定で話がつく。
それは憑依だ。
なぜこの仮定に行き着くのか?
それは今、目の前にいる少年だ。
この少年が発した言葉の中に『転命』、この言葉があった。
もしこの言葉が俺の──この体の本来の持ち主の名前だとしたら……。
そこまで考えて、俺は顔を上げて考え事から一度切り離す。
考えるだけでは、それは妄想の域を出ない。
なら、ここは一度自分の目でいろいろ確認するべきだ。
だが、俺はここがどこなのか全くわからない。
なので、ここの案内は、目の前にいる少年に任せようと思う。
しかし、ここで一つ問題が浮上する。
今までの話を合わせると、この少年はどうやら、この体の真の持ち主の知り合いらしい。
そこでもし何も知らない俺が、この少年と行動を共にすればどうなるだろうか?
答えは簡単、少年が不気味に感じ、きっとモンスターが化けていると思って殺しに来るであろう。*1
そんなことがあっては、俺は特に問題ないが、この少年とこの体が報われない。
ということで、まずは事情説明をしなければいけない。
ちらりと少年のほうを見る。
少年は俺が見ていることに気付いたのか、俺を見てはにかむように笑う。
俺はその少年の笑顔を見て、張り詰めていたものが少しだけ落ち着いた気がする。
「その、なぁ」
久方ぶりの会話、それも長らく感じもしなかった、好意のあるもの。
俺は年甲斐もなく緊張をしていて、少し恥ずかしい。
が、話さないと何も始まらないので、俺は多少回らない舌を一生懸命回しながら話す。
「えーと、君に話さなければいけない話があるんだ」
「うん!どんな話?」
今から、このキラキラした少年の目を曇らせてしまうことだけが悔やまれるが、こればっかりは伝えなければいけないと考え直し、俺は話を続ける。
「俺は、……今の俺は君の知っている人物ではない」
「?うん」
少年は俺の言っていることがわからないのか、一瞬何を言っているのかわからないといった表情をして、それから頷く。
「正直、何を言っているのかわからないだろう。だが、今俺が言ったことは、そのままの意味なんだ」
「うん、知ってるよ!」
「いいや、少年は何も知らない」
能天気そうに返事をする少年に対して、俺は呆れるが、ここで諦めるわけにはいかないと、もう一度説明しようとする。
しかし、次の少年の一言で、俺は言葉を続けることができなかった。
「うぅん!僕知ってるよ!だって僕、
「……は?」
拝啓、くそ野郎の"神"へ
お前をぶっ殺して、あの糞貯めから脱出することができました。
だけど今は別物の、もっとやばいものが俺の身に降りかかろうとしています。
俺が死んだらお前をもう一度ぶっ殺しに行くので、首を長くして待ってろよくそ野郎!
神「解せぬ」