FREAKS 作:メヤニ
放たれた弾丸は化け物の身体をかすめる。一直線に飛んでいった先にある木に当たり、幹を削り破片を散らした。
「格好付けといて、まともに当たらないなんてね」
自嘲するように口角を上げると、アオキは再度フリークスに銃口を向ける。
化け物は傷を負うことはなかったが、それでも自分が狙われていることを悟ったのか、アオキの方を一瞥した。
その間に逃げる男は足を止めることなく走り続け、化け物との距離は開いていく。フリークスは段々と離れていく男に向かって一度唸ると、背後から狙われながら獲物を追うのは利が少ないと判断したのか、その場に残っている二人の猟師に対峙する。
二人の銃から数発の銃声が木霊するも、すぐに木々の間に身を隠した異形の獣には当たらない。微かに響く物音からそれは逃げるためではなく、獲物と距離を詰めるためのものだと分かった。二人の猟師はその間に慣れた手つきで装弾を完了させる。
リクシは耳を澄まし、徐々に近付いてくる音を待ち構える。背後から近付く音に気付きながらも敢えて振り返らず、タイミングを待った。
一際大きな音を発しながら、木々の間から飛び出してきたフリークスをリクシは振り返りざまに先ほど装填したばかりの散弾を放った。銃声に合わせて身をよじるも、リクシが放ったのは、今まで化け物が見てきたライフル弾やスラッグ弾のような直線的な攻撃ではない。銃口から広がるように放たれた散弾を避けきれず半身に食らった化け物は地面に転がる。
「知恵がある分、不意打ちが読みやすいんだよ」
リクシは自分の思い通りに事を運んだことに安堵しながら、続けざまに弾倉に残る一発をフリークスを撃ち込む。今度こそ直撃を食らった獣は先ほどまでの低く唸るような威嚇とは違う、金切り声を上げる。
弾を撃ちきったリクシは次の弾を込めるために片手を銃身から離す。その瞬間、見計らっていたかのように獣は反撃に転じた。
襲いかかる牙にリクシはすぐに両手で銃を握り直した。首を狙って開かれた顎は突き出した銃身に阻まれてリクシの身体に辿りつくことはなかった。
傷を負わないまでも、フリークスの体重を乗せた飛びかかりに青年は少しずつ押し込まれていく。牙を防いでいる銃身も化け物の万力染みた力により、目の前で少しずつゆがんでいく。リクシの脳裏に一瞬、最初に犠牲となった猟師が頸動脈を食いちぎられた様が浮かんだ。
「格好付けてしくじるところまで僕の真似しなくていいんだよ、まったく」
聞き慣れた飄々としたアオキの声がし、鈍い音が続く。リクシにのしかかるフリークスの体重が一瞬だけ軽くなった。
アオキは野球のバッターのようにライフルを握ったかと思うと化け物の胴体に向けて一気に振り抜いたのだ。
フリークスは怯み、体勢を立て直すために獲物であるリクシから離れる。アオキは自分でも思っていた以上の衝撃だったのか、軽くしびれた手を振るといつもの射撃姿勢に戻った。間髪入れずに放たれる弾丸は、化け物の顔面、急所である目玉の付近に着弾した。
「あの気持ち悪い目玉を狙ったつもりだったんだけど・・・・・・。今ので銃身歪んだかな」
顔の銃創から黒い液体を滲ませながら、化け物は吠え、アオキに襲いかかる。
距離を詰める獣に向かってアオキは更に一発の弾丸を放つ。まともに標準の合わなくなった銃でも牽制にはなると思っての発砲だった。しかし至近距離で放たれたこともあり、その弾丸は予想外に、異形の胴に直撃し貫通する。しかしその突進する勢いを殺すことは出来ずに、化け物は男を地面に押し倒す。「くそ、不味いな」
焦りを露わにするアオキ。太い前足で胸板を押さえつけられ、その爪が服の上から食い込んだ。そこから少しずつ赤い血が滲んでいく。男の目には、すでに息絶えてつい先刻自分が血抜きをした猪の死骸が写っていた。痛みに顔を歪ませていた男は、やがて悟ったようにいつものような厭世的な笑みを浮かべた。
フリークスは牙をむき出しにして男の首に食らいついた。
書きたいところまで全然行きつかない。