吾輩はセクレタリアトである。スキルはまだない。 作:わさビーフ過激派
今日は待ちに待った模擬レースである。
この結果次第でスカウトが決まるという大事なレース!!
なのだが…
「うむ、やはり世界一は伊達ではないな。未だに口がピリピリするしお腹も痛い。」
これから世界一のウマ娘となるため、世界一辛いといわれるキャロライナリーパーで景気づけをと思ったが、失敗したかもしれん。
やはり普通にトンカツなどで験担ぎくらいしとくべきだったか…
などと考えている間にいつの間にかゲートインが始まっているようだ。
「いかん集中せねば。」
・・・『ガタンッ!!』
ゲートが開き一斉にウマ娘達が飛び出していく。
吾輩はその中を一気に加速しハナをきる。
先行だの差しだの追込だのあるが、吾輩は難しいことはわからないのでとにかく全力で逃げ続けるのみである。
先頭をキープしたまま、最初のコーナーでラチ沿いギリギリを走って曲がり切る。
模擬レースでは実況がないから何となくでしか把握できておらんが、足音は遠くに聞こえるため、どうやら一人旅のようだ。
スタミナもまだ余裕がある故、このまま走り続けば勝利は間違いないであろう。
勝ったな、ワハハ。
「ふぅっ!?」
慢心したことによる女神の罰か、直線で気合を入れて加速した瞬間、キャロライナリーパーの強烈なボディブローが吾輩のストマックにダメージを与え、フォームが崩れてしまう。
「くぅ…」
ラチ沿いを走っていた事も災いし、ぶつからないように、かと言って離れすぎないように何とか立て直そうと四苦八苦していると、後ろから足音だけでなく呼吸音まで聞こえて来るようになりおった。
どうやら追いつかれたらしい。
「おのれぇ…この程度のことでぇ…」
なんとか第二コーナーを曲がりきったが、
抜かれまいと気合を入れれば入れるほど、キャロライナリーパーも執拗にボディを連打してくる。
幕◯内か貴様は!!
一人、二人とどんどん抜かれていき、最終コーナーではとうとう最下位まで落ちてしまった。
それでも諦めることなく最後まで全力で走り抜きたいところではあるのだが、これ以上気合をいれると色々とマズイことになりそうである。
吾輩これでも乙女であるからして。
そんな地獄のような模擬レースを走りきり、辛うじてゴールした頃には、他のウマ娘達は息を整えきっており、一着であろうウマ娘にはスカウトしようとトレーナー達が囲んでいた。
本来ならばここで羨んだり悔しさに涙するところだが、今はそれどころではないのでそうそうに出口へ向かう。
「あの、キミちょっとい「すまんが吾輩急いでいるのである!」」
何やらトレーナーらしき者が話しかけてきたがこちらはそれどころではないので、無礼だとは思うが言葉を遮ってそのまま退散して吾輩の模擬レースは終わりを迎えた。
吾輩はセクレタリアト。二度とキャロライナリーパーは食べないのである。