吾輩はセクレタリアトである。スキルはまだない。 作:わさビーフ過激派
「つまり、吾輩をスカウトしたいと言うわけだな」
「あぁ、あの模擬レースを見てキミしかいないと思ったんだ。結果は残念だったが、実力でいえばキミが一番だった。僕はキミが三冠だって凱旋門賞だって取れると思ってるんだよ」
ふーむ。確かに吾輩も後半は同意するところではあるが、あの模擬レースを見てそう思うならこのトレーナーは見る目がなさすぎるので。
「あの模擬レースでは吾輩散々な走りだったが、どこを見てそう思ったのだ?」
「スタートの最初のコーナーを曲がり切るまでだよ。ゲートが開いた瞬間は他にも速い子がいたのに、アッという間に抜き去って先頭をキープしたまま、ラチギリギリをきれいに曲がっていたからね。突き放す速さも、流されない力もとてもデビュー前とは思えないくらいだ」
確かに最初のコーナーまでは最低限の走りはできていたと思うが、それでもそこまで評価される理由はないと思うのだが…
「むしろ、あのコーナー以降の失速の方が謎だったんだけど、何があったんだい」
やはり来たかッ!流石に正直に答えるのはアホの子と思われかねないので何とか誤魔化さねば!!
「あれは…だな。その…な?わかるであろ?」
「いや、わからないから聞いてるんだけど」
さっぱり思い浮かばないのである!
このままだと本当のことなのに、”ある時はお腹痛くてなー、全力じゃなかったのだー、かーっお腹さえ何とも無ければなー”みたいなカマセキャラになってしまうッッ
むぅ、変に緊張してお腹が痛くなって…
ハッ!
「緊張である!!吾輩初めて学友と競ったので、急に緊張してしまったのである!」
「緊張?なるほど?」
「うむ、吾輩もまさかあそこまで緊張するとは思わなかったのである。いや、緊張とはあそこまで影響するものなのだな。とても勉強になったのである!しかしきっと次は大丈夫であろう。前回で克服した故!!」
「そ、そうか、それは良かった(何でこんなに必死なんだ)」
「そんなことよりスカウトだったな!うむ!よいぞ!吾輩もそろそろちゃんとしたトレーニングを学びたいと思っていたからな!」
「お?おお!良かった!じゃあ契約書を書いてもらって…」
あまり追求されると困る故勢いでスカウト了承してしまったが、見る目はありそうであるし、きっと大丈夫であろう。
「よし、じゃあ提出とかはこっちでやっておくから明日は授業終わりに俺のトレーナー室まで来てくれる?トレーニング前にシューズとかも合わせたいから何も持ってこなくて大丈夫だよ」
「承知した。それでトレーナーの事はなんと呼べばよい?」
「名前でも、トレーナーでも呼びやすいように呼んでくれてかまわないよ。」
「ふむ、ではそのままトレーナーと呼ばせてもらう。あぁ、それとキミと呼ばれるのは気持ち悪いから、吾輩のことはちゃんセクレタリアトと呼んでくれ」
「あぁ、うん。はい。わかったよ」
「うむ、親しき仲にも礼儀ありというからな。名前はしっかり呼んでくれ。これから頼むぞトレーナー!」
「あぁ、これからよろしくセクレタリアト。名前…トレーナー…」