吾輩はセクレタリアトである。スキルはまだない。 作:わさビーフ過激派
いよいよジュニア級のメイクデビューである。
ここまで来るのにそれはそれは色々あったものだ。
トレーナーと契約を交わして、
最初の練習ではいきなりカラフルなアンクルつけさせられるわ、
近くにいるのにわざわざメガホンで指示を出してくるわ、
どんな車に使うのかわからんくらいでかいタイヤをその状態で延々引かされるわ、
飲み物渡してきたと思ったらクソマズローヤルビタージュス一択で、食べ物渡してきたと思ったら口の中がパサパサになるカップケーキ。
しかも練習の度にそこらへんにいるウマ娘を捕まえてきて仲良く練習しろと無茶ぶりしおる。
流石の吾輩も何度契約を考えなおそうと思ったことか。
(なお、吾輩の練習風景を見て同情してくれたウマ娘達とはめちゃくちゃ仲良くなった)
しかし、そういった日々を過ごしていく中で実際にタイムが縮んでいくのを見てしまうと、
たづなに練習内容の説明で何度も連行されていくトレーナーが正しかったんだと、今ではある程度信頼できるようになった。
(吾輩も練習が辛くないかと聞き取りされた)
そんなトレーナーに吾輩ができることといえば、レースで勝って金と実績を与えることである。
なにやら貢ぐ女性みたいな感じになっておるが、ウマ娘とトレーナーの関係ではこれしかあるまい。
・・・まぁ、現状だと吾輩がトレーナーに貢がれまくっている状態なのだが。
というのも、どうやら吾輩の練習に使っている道具や食事、移動費や場所代等は経費で落ちないらしく
食事や運動用のプール貸し切り代、何故か消耗品のように減っていくアンクルとかメガホンは、
トレーナーが自腹で用意しているようなのだ。
ある程度事績があるトレーナーなら遠征や合宿等の費用も経費で落ちるらしいのだが、
トレーナーはまだ新人なのにサブトレ等の下積みもしていないし、
吾輩が初めての担当ウマ娘なので実績はいまだに0である。
しかも一緒に練習したウマ娘によると、あの練習風景では契約しようと思わないと言っていたので、
実績0どころか練習風景によるマイナスなのである。
そんな状態で出費が嵩んだせいか、ちょっと前からトレーナーのお弁当が
焼きもやしと茹でもやし~揚げもやしを添えて~になったので、
さすがの吾輩も稼がないとまずいと思い、早くデビューさせろと毎日せっついて、
そんなこんなでようやくメイクデビューと相成ったわけである。
今回走るレースは芝の2000m。
正直芝よりダートの方が好みではあるのだが、
トレーナーに早くデビューさせろとメッセージを送り続けたら、
育成計画のスケジュール的にこれが最短だと泣きつかれたので、仕方なく芝での出走となった。
「セクレタリアト、緊張してないか?」
トレーナーが心配そうに声をかけてくる。
緊張などまるでしてないのだが、
やはり模擬レースの時に緊張を言い訳にしたせいで気にしておるのだろうか。
「問題ないぞ。むしろ早く始まってほしくてウズウズしているのである。」
「そうか、それは良かった。」
吾輩の様子から強がりではないとわかったのか、
安心した様子で周りを見渡しニヤリと笑う。
「それにしても今日はよく晴れて絶好のウィニングライブ日和だな。良かったなセクレタリアト」
「うむ。華麗にセンターで踊る吾輩をしかと見ておくとよいぞ」
吾輩もニヤリと笑い返す。
[ジュニア級メイクデビュー]
中山 芝 2000m 晴
1番:ハイタイムスーン
2番:ジャラジャラ
3番:カイゼルパレス
4番:メイデンチャーム
5番:ネレイドランデブー
6番:セクレタリアト
7番:ブレイブリーコウ
8番:サンガリアス
9番:パンパグランデ
トレーナー待っておるがよい。
吾輩が、もやしはメインではなくオカズだということを思い出させてやる。
トレーナーの外見イメージは天才ファミリーカンパニーの夏木勝幸(大人)です。
なお、頭脳は比べ物にならない模様