吾輩はセクレタリアトである。スキルはまだない。   作:わさビーフ過激派

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重馬場で袖付きとかフリル衣装とかって絶対タイムに影響でるから、皆テンテンくん見習うべきだと思う。

メイクデビューで一着をとったその後、更にいくつかのレースを制覇し、いよいよG1のホープフルステークスに出走する事となった。

 

「スキルだと?」

 

ホープフルステークスに向けての作戦会議にて、G1の競争相手はスキル持ちが当たり前にいるぞと、賞金でようやく人並みに肉がついたトレーナーがそんな事を言い出した。

 

「あぁ、ある程度の実力を持ったウマ娘達は大抵がスキルを持っていると思っていい」

 

「そもそもスキルとは何なのだ?」

 

「スキルっていうのは…そうだな、例えば天候の雨や雪に強かったり、スタートが上手かったり、坂が得意だったり、左回りが得意だったり、コーナリングが上手かったりする」

 

「なるほど。つまり経験により蓄積された、そのウマ娘が持つ得意な技術というわけか。」

 

「そうでもある。が、それだけじゃないぞ」

「走ってる最中に持久力が回復したり、速度や加速が凄く上がったりする」

 

「それはドーピングではないか」

 

「あと、他のウマ娘の速度を下げたり、持久力を奪ったり、掛かった時間を伸ばしたりもする」

 

「もはや呪術ではないか」

 

「しかも、レース中に景色が草原や謁見の間や海に変わったり、料理したり、調合したり、パフェ食ったり、お祭りしたり、踊りだしたり、薙刀振り回したり、銃撃ち出したり、釣りを始めたりするイメージが見えるらしいぞ」

 

「集団幻覚にかかっとるではないか!!レース前にやばい薬でも飲まされておるのか!!!」

 

「それぐらい上位レースは凄い世界ということだ」

 

「いや、凄いとかそういう話しではないと思うのだが」

 

「すごく、すごいです!」

 

「何言っとるのだトレーナー」

 

うーむ、どうやら冗談で言っとるわけでもなさそうだな。

この前走ったG2くらいまではそんなことなかったというのに、G1ともなるともはや別世界ということか。

 

…というか、銃とか薙刀に関しては、進路妨害で降着どころか警察沙汰ではないだろうか。

 

「まぁ、よくわからんがそういう物があるということはわかった。して、どうすればそのスキルとやらは手に入るのだ?」

 

他のウマ娘がそんな物をもっているのであれば吾輩も手に入れなければ、負ける可能性が出てきてしまう。

そしてこのタイミングでトレーナーが話すということはスキルを吾輩に取得させたいのであろうな。

 

「…わからん」

 

「は?」

 

違ったようだ。

 

「いや、スキルの取得方法は分かる…分かってたつもりだ。今までのトレーニング内容でもそれは組み込んでいた。だがセクレタリアト自身もわかっているだろうが、今もって何故かスキルの習得ができていないんだ」

 

今までのトレーニングでスキルが手に入る方法を実践していたと?

 

…あの一見無意味な近距離メガホンであろうか。

 

いや、しかし他のウマ娘はそんなトレーニングしてないと言っておったしなぁ。

 

「ふむ。それがどういった内容かわからんが、例えば今から重点的にその方法を行えば、ホープフルステークスまでにスキル取得は間に合うのか?」

 

「恐らく無理だと思う。俺の知識でいえば、既にきっかけ(他の!ウマ娘とのトレーニング)や実績(SP)は十分だったはずなんだが、何のスキルも取得できてないとなると、後は三女神像に祈るしかないんだが」

 

神頼みとはあまり好きではないが、大した手間でもないし、むしろオカルトっぽいのでそれっぽくもある。

 

「であればさくっと祈ってこようではないか。作法等はあるのか?」

 

パンを尻にはさんで右手の指を鼻の穴に入れて左手でボクシングをしながら「いのちをだいじに」と叫ぶ必要があるやもしれんからな。

 

…いや、あれはやってはいけないんだったか?

 

「作法等は特に無かったはずだが、時期に問題がある。…最短だとシニアの4月前半頃だ」

 

「間に合わんではないか」

 

「そうなんだよなぁ〜。そこでだ、俺の力不足で本当にすまないんだが、レース中に急に疲れたりあり得ない景色が見えたり、他のウマ娘が速くなったりしても、スキルを使ってると思って動揺せずに走って欲しいんだ」

 

心底申し訳無さそうに整った眉毛を下げて、親に見捨てられて今にも泣きそうな子供のような顔をしたトレーナーが、吾輩に懇願しておる。

 

「問題ないぞトレーナー。そもそもトレーナーではなく吾輩が原因かもしれないのだ、とりあえずスキル無しで勝つ方法を考えようぞ」

 

そも、他のウマ娘が持っているというあたり、原因は恐らく吾輩であろうに。

 

「…すまん。ただ、勝つ方法の前に用意しなければならないものがあるんだ」

 

「?何をだ?」

 

「レース衣装だ」

 

「あぁ、そういえばG1から勝負服を用意せねばならんかったな。この前走ったG2の時は、吾輩含め全員体操服姿で走るだけだったというのに、めんどうだのう」

 

走りやすいし、体操服でいいと思うが。

 

「普通、勝負服を着れることはウマ娘にとって名誉だと思ったんだが…まぁ、せっかくの晴れ舞台なんだから、精一杯着飾って観客の目を釘付けにしてやろうぜ。専門チームの予約はしてあるから、この後向かおう」

 

「わかったのである」

 

 

この後滅茶苦茶採寸した。

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