「あんたまた倉庫で打ってたのね…」
「あぁ?また来たのかよババァ」
「華の女子高校生なんだから、パチンコ台じゃなくて友達と遊んだりはしないのかい?」
「ハッ、こんな田舎に住んでるやつらは『熱』がねぇんだよ。そんなのとつるむぐらいなら倉庫暮らし万歳ってことだよ」
「そうやって撤去台と過ごす青春は熱があるのかしらね?」
「少なくとも俺が東京行くまでの繋ぎ程度には熱があるんだよ」
「つまり妥協してる、ぬるま湯なのね?」
「岩手とかいうど田舎じゃこれが限界なんだよ。どうしても質が下がっちまう」
「上京してどうするんだい?確かにあんたなら専業でも食べていけるのだろうけどね」
「ま、ひとまずはそれだな。後は適当に雀荘開いて金集めて、デケェことをするさ」
「野望の割に大学まで我慢するあたり、妙に真面目っていうか、みみっちいわねぇ」
「うっせぇな、俺がバイトなんかできると思ってんのか?パチが解禁されるまでは動けねぇんだよ」
「あらあら、豪運も法律の前には形無しなのね」
「言ってろよな。治外法権が成立するまで俺は暴れてやるよ」
「治外法権は別にアメリカでなら日本の法律破っても良いってことにはならないわよ?どちらかというと属地主義ね」
「…うっせぇよ」
「少なくとも演出信頼度なんかよりはためになる知識だと思うわよ?」
「俺なら白テロップでも復活するから覚えてねぇよンなもん」
「にしても、よくもまあここまで台を揃えたわねぇ」
「ババァには馴染みの深いやつもあるぜ?4号機とかどうだよ」
「生憎だけれど、台じゃなくて卓に触れてきた人生だったからねぇ。若い頃に少し打ったきりなのよ」
「卓…?あぁ、そういやババァも打つんだっけか」
「今はもう教える方がメインだけどねぇ」
「フーン…他人にやらせて何がおもしれぇんだか」
「あんた風に言うと教え子からの『熱』があるのさ.。教えれば教えた分だけね」
「俺には理解できない理屈だな」
「あんたが知らないだけさね。この世にはあんたの知らない『熱』は山ほどあるんだよ?」
「じゃあ俺は自分の手でそいつらをもぎ取ってやるよ。他人から与えられるモンに熱は宿らねぇ」
「自分の手で、ね…」
「そんなあんたでも手に入れられない『熱』があるとしたら、どうするかい?」
「…あん?」
「言ったとおりだよ。今のあんたじゃどう足掻いても手に入れられない『熱』があるんだよ」
「オイオイオイ、えらくフカすじゃねぇかよババァ。俺が手に入れられねぇ?この、俺が?」
「あぁ、今のあんたじゃ天地がひっくり返っても無理だよ」
「…言ってくれるじゃねぇかよ」
「どうだい?興味は無いかい?」
「無いわけねぇだろぉがよオイ!さっさと教えろっての!」
「乗り気になったねぇ。じゃあまずは手始めにーー」
「麻雀部に入部しようか?」
「は?????」
「へぇ…俺よりも早くテンパイしてるやつがいるじゃねぇかよ…」
「な、なんだじぇ!?」
「なあ嬢ちゃん、あんたが持ってる『熱』はなんだ?」
「熱…?ハッ、さっきまで食べてたタコスのことか!?あれは長野では手に入らない、期間限定モノなんだじぇ!おねーさんにはあげられないぞ!」
「タコスか…なるほどな…」
「(え、納得したの…?この人って運気の割にチョロい人なのかな…?)」
「(タコス…あとで和とシズ達で食べようかしら…)」
「リーチがかかったぜ…」
「(早すぎじゃろう!?しかも捨て牌が初心者にしか見えん!同じ宮守のはずなのに中堅とはベクトルの違う初心者じゃ!)」
「(どうも神様の反応が鈍いわね…しかも弁財天様がずっと対面の子に懐いてるわ…姫様とは違った才能、有珠山の大将に近いのかしら…?)」
「(あわわわわ…対局始まってからドラが全然来ない…!いつもなら3枚はあるのに…!しかも赤ドラが1枚もないぃ…!)」
「どうせならオープンがいんだけどよぉ、ルール的にはダメなんだろ?」
「…オープンリーチのことか?確かダメでは無かったと記憶しちょるが…」
「あ?なんだ良いのかよ、ババァに騙されたぜ」
「(ただオープンにするメリットも無いんじゃけどなぁ…それか能力のキーになる行為なんかの…?)」
「ほんじゃあまあ、させてもらうかね。
オープンリーチ、フリテンだよ」
「………は?」
「………え?」
「ぇぇぇぇえ!?」
「〜♪〜♪」
「(うるさいなコイツ…ネリーのやつ、『運気がすごい!サトハ1人ならまず無理!」とか言いやがったが…)」
「(テンパイするまでが恐ろしく速い。優希と違ってドンドン速くなるわけではないけど…)」
「(厄介なんは立直かけたらまずツモること。コレだけで3飜確定してるから打点が高すぎる…!チートやろこんなん…!千里山の奴でもここまでちゃうかったぞ!)」
「…お、テンパったわ。熱くねぇけどまぁ」
「発展先に期待ってことで、リーチ」
「(((来た…!)))」
「(てことは次のツモ番で和了られる可能性が高い…!かと言って私はまだ張ってない、ならばーーー!)その北、ポンだ」
「(オタ風ポン…なるほどね、彼女のツモをずらしたいわけね)」
「(まぁしゃーないわな…清澄も多分わかっとるやろうし、ここは回す場面や)」
「けどなぁ、それは違うやろ」
「もう個人戦しかないウチが日和ってどないすんねん」
「コイツの無敵超人立直、真っ向から受けたる。そんで」
「和了られる前に、お前を倒したる…!」
「おいおい、何だよそりゃ…!山に花に、嵐まで、初めて見るぜ…!」
「(この人、強い…!それになんだか空気がザラついて、山のてっぺんとは全然違う!なんかこう、鉄みたいな匂いっていうか、都会みたいな雰囲気!…同じ3年生でも宥さんみたいな優しい感じがしない…ちょっと怖いな…)」
「(…強いな、この人。初めて見たけど、変わったオーラがある。多分麻雀歴は長くなさそう。鏡で見た感じ、能力はあるけど…テンパイとか立直に関しては能力の影響があんまりない。つまり素の運量がケタ外れなんだ)」
「(お姉ちゃんや有希ちゃんみたいな早さで一発ツモされると辛いなぁ…カン材は持っていかれてないのがまだマシかな?)」
「(なるほどな、コレがババァの言ってた『熱』か!ここまで絵合わせゲームのルールを覚えてやってきた甲斐があったモンだ!)熱くなってきたなぁ…!」
「え、空調結構聞いてると思いますけど…」
「俺の魂が熱くなってんだよ!さあ、あんたたちの力、見せてくれよ!」
立直
『坐殺博徒』
「確変ループの始まりだぁ!」
「(え、電車?)」
「(あの女の人誰…?)」
「(てかうるさ!?キュインキュイン凄いんだけど!?絶唱しちゃうよこんなん!?)」
思いつきとうろ覚えとノリで構成してます。
岩手県民の方にはごめんなさい。
多分続きません。