良い悪の組織やってたら兄妹達から迫られたんやが…… 作:デルタイオン
俺は1度死んだ記憶がある。詳しくは思い出せないが死んだ事は確かだ。その後この体に生まれ変わった訳だが、どうにも運悪く孤児らしく。俺は教会に引き取られてしまった。
それから教育とか受けているが……その教育内容がかなりおかしいんだ。
だって普通解剖実験とかするか?心臓はここだけど一番確実なのは首だよとか教えるか?何を教えてんのこの神父。
マジで頭狂ってるけど育てようと頑張ってるのは確かだし、孤児の数に比べて育てる人の手が神父だけだ。優しさは確かにあるからそんなに警戒はしてないんだが……
「な〜んか裏があるよなぁ……」
まあ、そう感じるわけである。流石に言動からしておかしい。他の子はまったく気が付いてない様子だ。年長組の俺達もあんまり気にしてない様子だしな。
多分俺だけが気がついている。神父には何か裏黒い事をしている。
気になれば知りたいと思うのが人だ。俺は早速行動を始めた。まあ、単純なストーカー行為だ。
かなりガチめにストーカーをして朝から晩まで監視していたが……そろそろ眠気が限界だ。早くボロを出して欲しいのだが……
「ん?部屋に入った」
そう思っていると早速チャンスがやってきた。
神父の部屋へ近付いていく。扉は厳重だが、微かながら聞こえる声。聞き耳を立てて内容の把握に務める。
『……近衛への賄賂………この程度…子供たちが平和に生きれるなら………か………他の組織を………麻薬を押収……』
ビンゴッ!!やっぱりなんかやってたぜ!!
賄賂に麻薬。他の組織という事はここも何かしらの組織だ!!ヤベェ所ってのはわかったが……引っ掛かる事がある。
子供たちが平和に生きれるなら。確かにそう聞こえた。多分根は良いやつなのかもしれないが、別の理由で平和と言ったのなら……う〜ん。でも優しいやつなのは確かなんだよな。
『……………そろそろ入ってきたらどうだ?』
ん?
『もうバレているぞ。入ってこい』
ありゃ、バレチッタ\(^o^)/
素直に入るんで赦してぇ……釈してぇ……
「ッ!?お前か………どうした?眠れなくなったのか?」
「………いえ」
ヤベェ……めっちゃ言い辛い……言ったら殺されるとか無いよな?
いや、もうバレてるんだからいいか。
「なら部屋に戻りなさい。もう夜遅い「神父様」………なんだ」
神父の見る目が鋭くなる。まあ、そうだよな。聞き耳立ててた子を逃がそうとしたら子供から質問されるもんな。多分、内容次第じゃ俺は殺される。だが、多分大丈夫だ。ただ一つだけ確認するだけだ……
「………神父様は俺達の事をどう思ってますか?」
そう、たった一つこの事だけを知りたかった。
子供たちを活用して組織の為にとかなら完全にアウトだが、俺達の為にというなら俺もこの教会の境遇を知っている。崖っぷちから打開できるのなら犯罪だってなんだってやってやる。
だから頼む。どうか、本音を言ってくれ。
「……最初は何も感じなかった。だが、お前達と過ごしていくうちになんだか幸せに感じてな……信じてほしい。お前達は必ず俺が平和に生きれるようにする。だから、何も聞こえなかったと思ってくれないか?」
やっぱり優しいほうの悪だな。本心……だと思う。じゃあ心配するのはもう一つだけで良いか。
「神父様。俺は兄だ。長男として弟や妹達にはちゃんとした生活ができる大人になって欲しい。だが今この教会には金が無い。来年には俺はここを巣立つ時が来る。その時に……組織に拾ってくれないか?」
そうわかったように言うと神父は困ったようにはにかんだ。優しく説くように俺の肩を優しく掴む。
「やはり聞いていたか。だがな
もうこの教会は2年と持たないだろう。でも、魔法が使える俺みたいな戦闘員が入れば多少延命ができるはずだ。そう考えてるのはどっちもだ。だから拒否しない。出来ないんだ。
「あの子が独り立ち出来れば良い。その前に教会が無くなっては……いけないんだ」
「………それだけじゃない」
そう言う神父の顔を顰めた。何か嫌なことを思い出したように窓の外を見る。
「………私達は狙われている。あの子達も標的で全員が巣立ったとしてもその後の危機が拭えない。たった5年なんて時じゃない。もしかすると一生………戦い続ける事になる」
「それは……誰と?」
「国と」
雨が振り始めた。想像以上に壮大な所にまで手が及んでいる。
「………もしかして、魔法適正が?」
「ああ。あの子達の中に特に魔法適正が高い子が居る。国は研究材料として欲しているし、他の組織も高く売れる希少な才能に目を付けている。この教会がそう長くないのはこれが理由なんだ」
教会が欲しいんじゃない。俺達が標的なんだ。国も他の犯罪組織も俺達の能力が欲しい。魔法なんてあまり使える人が居ない。ロウソクのような魔法が使えるだけでも一万人に一人かもしれない。そのくらい貴重だ。
そんな魔法が使える子供。将来性もあるし価値が付いている。そうか……
「じゃあどうするんだ!?このままじゃ国の法律によって俺達は独り立ちしてその瞬間死ぬってのか!?」
「落ち着きなさい。それについては大丈夫だ。魔法適正のない子には興味は無いし国は孤児でいる時じゃないと手は出せない。脅威が少なくなればその分守ることも楽になる」
そうか。だが、万が一国が手を出してきたら……
「………そう深く考え込むな。お前が悩む必要はない」
「でも!!俺は……俺は皆を守りたい………」
神父は困り果てたように頭を掻く。どうしたら大丈夫だと確約できるのか。そう考えているのだろう。
「………優しいんだな。だが、その生真面目な心はお前を時には傷付けてしまう」
「………うん」
わかっている。何度も言われた事だ。兄にも言われたし、妹達からも言われた事がある。だが中々治らないものだ。もしかしたら神父譲りかもしれない。
「それでも、進みなさい。お前の優しさは間違っていない。私が保証しよう」
「じゃあ、俺は!?」
組織に入れるのか?そう聞いたが、それとこれは違うと言った。だが……
「もし来るのなら、隣国のこの場所へ向かいなさい。そこで適性を見極めて、教育が終われば組織に入った事になる」
「………わかった。俺、頑張るよ!!頑張って皆を救う!!」
そう言うと神父は微笑んで部屋まで送ってくれた。正直痛い事とか辛い事は苦手だけど、皆の為に戦えるのならば、俺はそれで良い。
ほんの少し、覚悟を決めた。
あれから一年と半年。俺は厳しい訓練や任務を終えてこの国へ戻ってきた。最初の任務が犯罪組織の壊滅とかいう激務だが、嬉しさと比べたらなんてことない辛さだ。
スラム街の一角。そこに彼等の拠点がある。真正面から入るより外からゆっくり攻略して裏口から入っていく。護衛を片付けていき、扉が開く瞬間を待つ。ドアをノックすればコツコツとこちらに歩いてくる人の音がした。
「なんだぁ?どうかした――」
ザシュッと首を引っ掻き四肢の腱を斬る。全身から血が溢れ出ている。数分で失血死するはずだ。
中へ入り通路で出会うたびに斬り殺していく。数人葬り地下へ足を進めると拷問をしている音が聞こえた。
「オラァ!!ハハッ!!見ろよ、滅茶苦茶青いぜwwwましかしたら歴代最高かもしれねぇなぁ!!」
全身に青い跡が出来上がった少年の姿だ。血が腹の横を伝い足先へ流れ落ちている。もしかしたらショック死するかもしれない。そのくらい疲弊していた。
だが、助ける事は任務ではない。首を掻っ切り先へ進もうとしたその時。
「………すけて……」
微かながら聞こえた声。それが手を引っ張るようにして足を止めさせた。
正直治療している隙が惜しい。終わった後に治せばいい……だが、もしかしたらその頃には死んでしまってるかもしれない。
そう考えるとますます離れられなくなった。仕方が無いから治療を始めた。
拘束具を外し治癒魔法を掛ける。少しずつ青い痣が引き、腫れ上がった箇所が元に戻っていった。
最低限大丈夫だろうといった所にまで治したが、立つことは出来ないだろう。だが拘束具を外せばもう大丈夫のはずだ。あとは自力でなんとかやってくれ。
あとは特に何事もなく、最後に残った幹部が悲鳴とお漏らしをして死んでこの組織はほぼ壊滅させた。あとは時間がゆっくりと蝕んでいくことだろう。
だが、ここから出ようという時に誰が呼んだか知らないが騎士団が来た。応援も呼んでいる辺り死体が見つかったのだろう。すぐさま出ようと思ったがあの少年がどうしても脳内にチラつく。
放っておけ。どうせ騎士団がなんとかする。
だが騎士団も腐敗している。また拷問されたりすると可哀想だ。それに火攻めに合うかもしれない。死んでは無駄な事をしたような気分になる。
考えた結果少年を持っていく事にした。しかしそうなると正面か裏口から出るしか無い。それ以上に大きい出口は無さそうだった。
「ああ、火を使う。水魔法を使える魔法使いを……なっ!?戦闘準備!!剣を抜け!!」
やはり火攻めをするようだ。人権が選ばれる時代というのはこうも楽なのだろう。虫唾が走る。
とっとと立ち去るのが正解だ。だからこちらも魔法を使おうとして……やめた。
今気が付いたが騎士達の後ろには人が居た。どの魔法も威力が高く扱いに困る。
(面倒だな……この子を置いてけば楽に脱出できるのに……俺は何をやっている!?)
マジで何やってんだろうか……よくよく考えたらあんまし愛着無いしこのまま置いてけばええか。運が良ければ生きているか楽に死んでいるはずだ。
少年を地面に置いて少し離れる。あとは証拠隠滅の為に拠点へ火属性魔法で火を付けた。
手回ししたお陰でゴオォッと燃え広がる家。暗いこの場所に明るく暖かい火が我々を包み込む。
「面倒事は終わりだ。あとは好きにしろ」
仕事終わったし、ソイツ好きにしてええでって言って飛び去る。
一瞬、何か見覚えのある顔があったが……気の所為だろう。
騎士団にバレたのは今後の活動に支障が出るが、別になんてことない。
家族の為。その決意さえあれば良いんだ。
***
「面倒事は終わりだ。あとは好きにしろ」
そう言い去っていく謎の人物。一瞬記憶を過ぎった兄の顔を合わせた。だが違う。
兄はとても優しく、虫すら殺さない人だ。そんな人が人殺しなんて事をするはずがない。
だから………あの人は別人だ。そう……別人のはずだ。
なのにこびり付いて離れない。影になっていたフードの中の顔。一瞬見えたあの瞳の色が同じ兄………ソル兄と同じなのが……
「どうしたフランカ。顔色が悪いぞ」
後ろから突如声が掛かる。この隊の女性は私を含めて四人しか居ない。そして交流があり、名前を覚えている人物は……
「隊長。すみません。初の実地訓練でこんな事が起きるとは思っていなかったので……」
燃え盛る火に照らされて特徴的な金髪のポニーテールが美しく映る。彼女はこの部隊の隊長であるソマニ・レーヴァイン。この国のトップに入る超人である。
彼女は少し記憶の混濁が起きてしまった私の身を案じたのだろう。隠していたつもりだったが、バレてしまったようだ。適当な言い訳をして場を流す。
「そうだな。普段なら通常部隊が充てがわれるはずなんだが……すまない。こちらの巡回に穴があってな。それを君達で埋める事になってしまった。謝罪しよう」
「い、いえ!!そんな頭を下げる程でもないですよ!!逆に!!これは成長するチャンスだったと思っています!!」
頭を下げる隊長に驚きながら取り止めさせる。部下にも礼儀正しくあれという隊長の方針だが、ここまでされると少しこちらが申し訳なくなるのでやめてほしいとは思うのだが、まあ良い所なので少し言い辛い。
「そうか?」と言い頭を上げる隊長にホッとしながらいまだに燃え盛る家を見る。あそこまで豪快に燃えているのを見ると彼を捕まえる証拠はもう殆ど残ってなどいないだろう。魔法の痕跡はこんな状況でも残るが、個人を特定するには至らない。
(………今なんで彼って?)
どうしても過ぎるソルの顔。もう居ない彼とあの犯人。もしかしたら関係があるのかもしれない……
(でも流石に推測が過ぎる。ここは個人でやらないと駄目か……)
その関係性が本人だと知ったらどう思うのだろうか?だが、今の彼女はまだそれを知らない。
ワイ転生!!魔法使えんやんヤッタネ!!
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兄妹の為に汚い職業に入るで!!これも皆の為や!!
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国出て修行して帰ってきたで!!初めての仕事は最後以外完璧や!!身バレなんてしないなガハハッ!!
オッ?あれワイの兄やないか?調べたろ!!