転生した俺が歓楽街の帝王と呼ばれるようになるまで   作:色々残念

10 / 12
なんとか早めに思いついたので更新しておきます
10話で終わるかと思っていたら終わりませんでしたから、次回の11話が最終話になりますね


隻眼の黒竜

ヘラ・ファミリアが倒したリヴァイアサンのドロップアイテムと様々な鉱石を組み合わせて作成した巨大な蓋。

 

それをロログ湖まで運び、ロログ湖の最深部近くに開いていたダンジョンと繋がる大穴を蓋で塞ぐ作業も終わった。

 

俺の最後の魔法である【スターダスト・オーバーリミット】の効果で、超絶強化されたゼウス・ファミリアやヘラ・ファミリアの面々と戦うことになり、強化された状態での戦闘にも慣れた様子の全員。

 

4ヶ月後に迫る黒竜との戦いに備えて鍛練に励むゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアは、激しい戦いを日夜続けているようだ。

 

三大冒険者依頼で倒さなくてはいけない最後のモンスターである隻眼の黒竜。

 

かつて最強の英雄と言われたアルバートが、その命と引き換えに片眼を奪って追い払った相手こそが黒竜であるらしい。

 

三大冒険者依頼で最後に戦う相手を黒竜にした理由を神ゼウスや女神ヘラに聞いてみると「黒竜だけは格が違う」と答えた2柱の神。

 

陸の王者と海の覇王討伐を終えても、最後の黒竜を倒せなければ下界は滅ぶ可能性があるようだ。

 

それだけの力を持つ黒竜は、明らかにベヒーモスとリヴァイアサンよりも格上の存在だろう。

 

黒竜討伐の為に新たに用意した装備一式は、竜殺しの属性と完全不壊を宿した武器に、サラマンダーウールを遥かに超える火耐性と炎熱耐性を持つ完全不壊の防具となった。

 

ベヒーモス戦とリヴァイアサン戦に使われた、完全不壊の極大魔剣は、黒竜戦でも使われることになるようで、治療と守護も含めた極大魔剣は合計で100本になる。

 

スキル「極大治療」と「英雄錬鉄」を発動した全治魔法【セイクリッド・ハイネスセラピア】を装填した装填魔剣も60本以上用意してあるが、これは更に増やしておいた方がいいかもしれない。

 

そしてスキル「英雄錬鉄」で蓄力し、精神力を大量に消費して発動した【スターダスト・オーバーリミット】を装填した装填魔剣も40本用意しておく。

 

鍛冶師としての俺にできる手助けは、この程度のことになりそうだ。

 

ひたすら鍛冶をして黒竜戦に備えた装備一式や魔剣を作成しては、装填魔剣に魔法を装填する日々を過ごしていたが、そんな日々にもようやく終わりが見えて、やって来た休日。

 

さて、今日は何をしようかと考えていると、俺の部屋にイシュタル・ファミリアの団員が顔を出す。

 

若干やさぐれたような顔をしているイシュタル・ファミリアの団員に「どうした?」と聞いてみると「何か凄いエッチな顔したイシュタル様が団長を呼んでましたよ」と答えた団員。

 

凄いエッチな顔って、とは思ったが団員に感謝をして女神イシュタルの部屋に向かうことにした俺は、自分の部屋を出て移動を始める。

 

背後から「あたしも団長みたいな彼氏欲しいぜチクショウ」という団員の声が聞こえたが、振り返ることなく移動を続けて、到着した性愛の女神の部屋。

 

「ジーン、来たか」

 

部屋の中に入ると全裸の状態となっていた女神が、そう言って此方を見てきた。

 

「ジーン、見るがいい。このイシュタルのいやらしき姿を!あえて、あえてこの姿をお前の前にさらそう」

 

「いや、もう数え切れないくらい見てるぞ」

 

全裸で妙なテンションになっている女神に対して、冷静な言葉を返してみたが、女神の妙なテンションは収まることはない。

 

「なぜ、こんな姿をあえて見せるのか。それはなジーン、お前を愛しているからだ。勇気を!お前の魂を!力を!全てを愛している」

 

そんなことを言いながら近寄ってきた性愛の女神が俺に抱きついてくる。

 

「我が伴侶よ、生きるのだ!寿命以外で死ぬことは許さんぞジーン!」

 

黒竜討伐に挑む俺に対しての女神イシュタルなりの激励ということで、間違いは無さそうだ。

 

「俺の伴侶である最愛の女神が望むなら、生きて帰ってくるさ」

 

最愛の女神に約束した俺は、イシュタル・ファミリアの主神でもある女神と、しばらく同じ時を過ごす。

 

それから女神と一緒に風呂場に行き、しっかりと身体を洗った後に湯に浸かって、身体が温まった頃に風呂場を出て服を着替えると女神を部屋まで運んでおいた。

 

女神を部屋まで運ぶと「ステイタスの更新をするぞジーン」と言った女神に従って、背中を晒した俺の背に垂らされた女神の神血。

 

行われていったステイタスの更新が終わり、女神に教えられた俺のステイタス。

 

ジーン・グライペル

Lv9

 力:B784

耐久:B775

器用:B757

敏捷:B769

魔力:A882

 

鍛冶:SSS

精癒:S

魔導:S

治療:S

彫金:SS

拳打:A

治力:E

堅守:G

 

《魔法》

 

【ライト・オブ・ブレード】

 

【セイクリッド・ハイネスセラピア】

 

【スターダスト・オーバーリミット】

 

《スキル》

 

【天性肉体】

 

【鍛冶鍛錬】

 

【若年長期】

 

【斬拳走輝】

 

【極大治療】

 

【英雄錬鉄】

 

【超越名匠】

 

【夜帝王】

 

【魔書作成】

 

【完全破壊】

 

【祝福巡継】

・器力共鳴

・発現者の一定範囲内に存在する全眷族への能力加算

・常時発動

・加算値及び効果範囲は階位反映

 

俺に発現していた新たなスキル「祝福巡継」は、女神イシュタルの眷族を、常に強化することが可能なスキルであるようだ。

 

そんな俺のスキルを見て女神は何かを思いついたようで「私をゼウスとヘラが居る場所まで運んでくれるかジーン」と言ってきた。

 

お姫様抱っこで女神を運び、神ゼウスと女神ヘラが居る場所まで移動すると3柱の話し合いが始まる。

 

俺の新たなスキルの「祝福巡継」を見せることにもなったが、話し合いの結果、ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアの主戦力が一時的にイシュタル・ファミリアに改宗することになったらしい。

 

少しでも黒竜への勝率を上げる為ならと、改宗したゼウスとヘラのファミリアの面々は、俺のスキル「祝福巡継」でステイタスに加算された能力値がかなりのものとなったことを実感して喜んでいたな。

 

「祝福巡継」で加算された能力値に慣れる為に、ゼウスとヘラの主戦力達と身体を動かすことになったが、以前とは動きが段違いな主戦力達は、凄まじく能力値が加算されているみたいだ。

 

数値にすれば900ほど加算されているのは確実なステイタスの能力値。

 

スキル「祝福巡継」で能力値が加算されるのは一定の範囲内だけだが、その範囲は広く、イシュタル・ファミリアのホーム全体を覆い尽くしても余る程に広い効果範囲。

 

これだけ効果範囲が広いなら、黒竜との戦いにも「祝福巡継」のスキルは役立つだろう。

 

ついでにザルドには俺の血が入った瓶も渡して、飲ませておいたが、ベヒーモスを喰らった時よりも強化されたらしい。

 

2週間後に迫った黒竜との戦いに備えて、準備を進めていくと、能力値が加算された状態に完全に身体を慣らした主戦力達。

 

後は戦いに挑む全員が身体を休めて、戦いを待つだけとなったところで、何故か宴会をしようということになり、酒場を貸し切りにして始まった大宴会。

 

酒を酌み交わし、はしゃいでいるゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアの面々と一緒に宴会を楽しんでいると、様々なゼウスとヘラの団員が俺に話しかけてくる。

 

ベヒーモスとの戦いの時に助けたことへの感謝や、リヴァイアサンとの戦いで役立った魔剣について聞いてくるゼウスとヘラのファミリアの団員達は、間違いなく酔っているみたいだ。

 

感謝を受け取り、答えられることには答えて、人の波を捌いていると、ザルドが酒の飲み比べを始めている姿が見えたが、ドワーフが好む酒を凄まじい勢いで飲んでいるザルドは全く酔っていない。

 

マキシムと「女帝」は競い合うように酒場の料理を食べていて、アルフィアとメーテリアは静かに料理を食べながら穏やかに会話をしていた。

 

それぞれが自由に楽しんでいる宴会が終わり、ホームに帰っていくゼウスとヘラのファミリアを見送った俺は、イシュタル・ファミリアのホームへと帰っていく。

 

女神イシュタルとオラリオに来た時は、敵対しないように気を付けていたゼウスとヘラのファミリアと、ここまで仲良くなるとは思っていなかったが、仲が悪いよりかは良い筈だ。

 

なんてこともあったが日々は過ぎていき、黒竜との戦いが始まる日が来て、ゼウスとヘラのファミリアの連合に加わった俺は馬車に乗り込む。

 

馬が黒竜に怯えて近寄ることが出来ない為、途中で馬車から降りて歩きとなったが、到着した戦いの場所は草木が1本も生えていない荒れ果てた土地。

 

そこに巨大な黒い竜が居て、残っている片眼で俺達を見た隻眼の黒竜は、咆哮を上げる。

 

大音量の咆哮を聴いた全員が迷わず装填魔剣を構えて、装填されている【スターダスト・オーバーリミット】を自分自身に使用して、散開した。

 

黒竜は山のような巨体でありながら素早く動き、背の巨翼を揺らしながら4足で地を駆けると前足を振り下ろす。

 

地面が深々と陥没するだけではなく、まるで地震が起こったかのように、黒竜の一撃で地が激しく揺れ、衝撃で吹き飛ぶゼウスとヘラの眷族達。

 

前足1本を振り下ろすだけで凄まじい威力となる、とてつもない黒竜の力。

 

確かにベヒーモスやリヴァイアサンとは格が違う存在だろう。

 

それでもそんなことは前から知っていたことで、俺の動きを鈍らせる理由になりはしない。

 

竜殺しの属性を持つ大剣を背に、ベヒーモスのドロップアイテムで作られた毒剣を右手に持っている俺は、黒竜へと突撃する。

 

俺を援護するように放たれるのは、ゼウスとヘラの眷族達による極大魔剣や魔法を使った攻撃。

 

たいしたダメージにならないとしても、黒竜の行動を阻害して注意を逸らすことはできたみたいだ。

 

黒竜は周囲に散開している敵全体に攻撃しようと考えたらしく、牙の隙間から炎が漏れる口を開いた隻眼の黒竜が繰り出す火炎放射。

 

それはとてつもない大火力の火炎の放射であり、身体を回転させた黒竜が全方位に放射していく火炎を必死に避けることになる全員。

 

全力で疾走した俺の脚力に耐えきれていない地面を砕きながら跳躍し、火炎放射を飛び越えて回避した俺は、速度を緩めずに前進して黒竜の側面に近付くことが出来た。

 

そのまま全速力で渾身の力も込めて放つ毒剣による突撃突きは、深々と黒い竜の脇腹へと突き刺り、黒竜を蝕んでいく毒剣の毒。

 

戦う相手によって毒の種類が変わっていく変幻自在の毒を持つ毒剣が、今宿している毒が竜殺しの猛毒であるのは間違いない。

 

絶叫を上げて苦しみ悶える黒竜にとっても、ベヒーモスのドロップアイテムで作られた毒剣の毒は効果があったようだ。

 

その後も戦いは続き、竜殺しの毒で弱っていても強力な黒竜の攻撃で幾度も傷を負っていくゼウスとヘラの眷族達。

 

何度傷ついても全治魔法が装填された装填魔剣や極大回復魔剣を使用して戦線に復帰する面々。

 

腕や足に肋骨がへし折れていようが、身体から血を流して、口からも血を吐こうが、折れぬ心で何度でも立ち上がり、黒竜へと立ち向かう全員。

 

剣を振るい、槍を突き刺し、斧を叩きつけ、杖から魔法を放ち続ける。

 

黒竜を倒す、ただそれだけの為に全力で戦う全員は、連携して黒竜へと挑んでいった。

 

身体にまとわりつく全員を煩わしいと感じたのか、口を開いた黒竜は青い劫火を自身の真下に瞬時に放ち、大爆発を巻き起こす。

 

激しい爆発で吹き飛ばされた全員が、黒竜から引き離されてしまったみたいだが、立ち上がれない程のダメージを受けてしまった者達も何人かいるらしい。

 

この中で1番頑丈な俺だけが、かなり身体が痛んでも素早く動ける状態だったので、立ち上がれない面々を集めて【セイクリッド・ハイネスセラピア】が装填された最後の装填魔剣を使って治療しておく。

 

一時的に改宗してイシュタル・ファミリアの眷族となっている主戦力の面々は、まだ動ける状態だったが、それなりにダメージは受けていたようだ。

 

極大回復魔剣を連続で使用して、火傷と負傷した部位の治療を素早く行った主戦力の面々と俺は、隻眼の黒竜へと武器を向ける。

 

マキシムと「女帝」が剣による斬撃を連続で繰り出し、ザルドが大剣による豪快な連撃を叩き込んでいった。

 

「【祝福の鉄音、生誕の祝い。半身守りし我が身の力】」

 

そして始まるアルフィアの超長文詠唱は、身体の動きを止めることのない並行詠唱。

 

「【救う者の光により浄化され。鳴り響く天の音色こそ私の祈り】」

 

力強い意思を宿した色違いの眼を見開いて、黒竜の攻撃を避け続けるアルフィアの詠唱は止まらない。

 

「【神々の喇叭、精霊の竪琴、光の旋律、すなわち力の証明】」

 

ただ己の全てをぶつけるように、紡ぎ上げる詠唱。

 

「【箱庭に愛されし我が運命よ、光となれ。私は貴様を連れていく】!」

 

叫ぶように詠唱を続けるアルフィアは、立ち止まることなく動き続ける。

 

「【約束はここに。力の証をもって万物を滅す】」

 

詠唱の完了が間近に迫り、アルフィアの美しい白い魔力が輝きを放つ。

 

天に掲げられたアルフィアの腕が示す先に、白銀の物体が顕現。

 

その輪郭は巨大な鐘であり、アルフィアがリヴァイアサンにとどめを刺した必殺の魔法。

 

「【鳴り響け、聖鐘楼】!!」

 

神聖な大鐘楼の音色が鳴り響き、アルフィアの頭上に浮かぶ白銀の鐘が凄まじい輝きを放ちながら、ひび割れて爆砕する。

 

「【ジェノス・アンジェラス】」

 

解き放たれた滅界の咆哮が黒竜へと突き進み、咆哮波の砲撃が黒竜に直撃した。

 

【ジェノス・アンジェラス】が直撃した黒竜の片翼と、片方の前足は完全に潰れ、4足歩行と空を飛ぶことが出来なくなった隻眼の黒竜。

 

スキル「祝福巡継」によって能力値が加算され、超絶強化魔法により強化されているLv8のアルフィアの魔法は、黒竜にも通じたらしい。

 

大きなダメージを負った黒竜に、動ける状態の主戦力達と俺が追撃を行って更にダメージを与えたが、まだ倒せない黒竜は生命力も強いみたいだ。

 

反撃として凄まじい速度で身体を回転させた黒竜が振るった尾が身体に叩きつけられて、地を削りながら転がることになった主戦力達と俺は、痛む身体を動かして立ち上がり、戦い続ける。

 

極大回復魔剣を使用しても完全には回復していない身体からは、痛みが無くなることはない。

 

それでも俺が何度でも立ち上がり、戦い続けるのは、下界の悲願を叶える為ではなく、共に戦う仲間を守る為だった。

 

どいつもこいつも失いたくはない仲間だと思ってしまったんだから、仕方がないだろう。

 

俺が戦うことで、こいつらを守れるなら、何度でも俺は立ち上がって戦い続けるだけだ。

 

そう決めて、再び黒竜に突撃しようとした俺を止めたのは「ベヒーモスを倒した時に使ったお前のスキルを使え、ジーン」と言ったザルドの声。

 

「ジーンの蓄力が終わるまでは、俺達が黒竜を押し留めておくから任せろ」

 

笑みを浮かべたマキシムが剣を構えて言う言葉は力強い。

 

「まあ、やれるだけ頑張っとくから、ジーンは最大まで蓄力しとけば良いんじゃない」

 

ぶっきらぼうに言いながらも「女帝」は油断なく剣を片手に黒竜を見据えていた。

 

「ジーン、お前への借りは、この程度では返せんだろうが、少しは借りを返させてもらうとしよう」

 

アルフィアは鞘に納めていた細剣を引き抜いて、俺の前に立つ。

 

それ以外の面々も、それぞれの武器を構えてから俺を見て笑顔を見せると、黒竜へと突撃していく。

 

戦っていく主戦力達は怯むことなく黒竜に武器を突き立てていった。

 

両手で柄を力強く握り、竜殺しの属性を宿す大剣の属性と、斬撃の破壊力を高める為にスキル「英雄錬鉄」で蓄力を行う。

 

鳴り響く鎚で鉄を打つ音は、いつもの錬鉄の音よりも、力強い。

 

剣を打つように、己を燃やすように、鉄を打つイメージを思い浮かべると発動する「英雄錬鉄」のスキル。

 

力強い金属音は止まることなく鳴り響いていき、背の恩恵が熱を持った。

 

今なら限界を超えられると確信した俺は、スキルによる蓄力を続けていく。

 

その間も続いていった主戦力達と黒竜の戦いは激しさを増していき、負傷者が続出していても戦いを止めない主戦力達。

 

行われた9分間の蓄力により、限界を超えた力が光輝いて大剣に宿っている。

 

竜殺しの属性と斬撃の破壊力を限界以上に高めた大剣を構えたまま、俺は荒野を駆けた。

 

全速力で駆ける俺の道を妨げるものは何もなく、黒竜は仲間達の武器によって身体を地面に縫い止められているようだ。

 

それでも首は動かせたようで、此方に向けて火炎を放射しようとした黒竜の顎に「【福音】!」アルフィアの魔法が直撃し、火炎放射を中断させられた黒竜。

 

その一瞬があれば、黒竜に一撃を叩き込むには充分だった。

 

光輝く大剣に集約された力を解き放つ一撃。

 

それが隻眼の黒竜へと叩き込まれた瞬間、目も眩むような閃光と凄まじい轟音に強烈な衝撃波が周囲に撒き散らされた。

 

超絶強化魔法で強化された状態で、限界を超えた「英雄錬鉄」で蓄力されたことにより、凄まじく強化されていた竜殺しの属性と斬撃の破壊力が、存分に発揮されたことで黒竜の上半身を完全に消滅させていたようだ。

 

黒竜の身体に武器を突き立てていた面々は衝撃波に吹き飛ばされていたが、無事だったらしく、命に別状はない。

 

隻眼の黒竜との戦いが終わり、勝利した俺達によって倒された黒竜。

 

これでもう黒竜に下界が滅ぼされることもない筈だな。

 

そう考えると、今までの疲れが一気に押し寄せてきて身体の力が抜けていく。

 

荒野に崩れ落ちるように倒れ込んだ俺が意識を失う前に最後に見たのは、慌てた様子で此方に走ってくるアルフィアの姿だった。

 

次に俺の目が覚めた時は既に馬車の中で、どうやら俺は限界を超えた「英雄錬鉄」のスキルで完全に精神力を使いきったことでマインドゼロ状態になって気を失っていたそうだ。

 

黒竜のドロップアイテムも回収してあり、運んでいる最中であるようだが、今は特に怪我をしていた面々を先に馬車でオラリオに帰らせているところらしい。

 

馬車の中には主戦力全員が揃っていたので、発展アビリティ精癒でかなり回復した精神力を用いて発動した全治魔法で俺を含めた全員の治療をしておいた。

 

それから戻ってきたオラリオでは、三大冒険者依頼を達成したゼウスとヘラのファミリアを讃えるパレードのようなものが行われるみたいだ。

 

特にパレードには興味が無かった俺は、イシュタル・ファミリアのホームに戻り、最愛の女神の部屋へと向かう。

 

「なんとか生きて帰ってこれたぞイシュタル」

 

女神を抱きしめて言った俺は、生きて帰ってくるという約束を守れて良かったと考えていた。

 

「ふふ、当然だ。何せお前は我が最強の眷族なのだからな」

 

そう言いながら笑顔で涙を流していた女神イシュタルは、とても嬉しそうにしていたから、きっとあれは嬉し涙だろう。

 

それなら次は、寿命以外で死なないように気をつけなければいけないな。

 

そう思って俺は笑った。




ちなみにアルフィアの【ジェノス・アンジェラス】の詠唱が変わっていた理由は、ジーンに不治の病を治してもらったからですね

ジーンが異世界に転生する話が見たいですか?

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。