転生した俺が歓楽街の帝王と呼ばれるようになるまで 作:色々残念
本日2回目の更新になります
女神イシュタルが旅についてくるようになってから8年。
竜の谷から出てきた強化種のカドモスを倒したり、色違いの黒いリザードマンエリートを討伐したり、封印されていた古代の蠍型モンスターであるアンタレスを抹殺したりと、本当に様々なことがあった。
そんな旅先の戦いで合計3回のランクアップを果たした後も、世界を巡る旅を続けた俺の現在のステイタス。
ジーン・グライペル
Lv4
力:A875
耐久:A886
器用:B793
敏捷:A874
魔力:B782
鍛冶:E
精癒:G
魔導:H
《魔法》
【ライト・オブ・ブレード】
【セイクリッド・ハイネスセラピア】
・全治魔法
・傷病回復、あらゆる毒の解毒、呪詛の解呪
・詠唱式【全てを癒す聖なる力を此処に、病めるものに光よ注げ、蝕むものをその輝きで退けよ、放つ光は癒しの調べ、満ちる月は何よりも輝く、残らぬ傷、癒える病、消え失せる毒、解かれる呪詛、光と共に聖なる癒しを与えよう】
《スキル》
【天性肉体】
【鍛冶鍛錬】
【若年長期】
・老化を大幅に遅らせ、肉体の若々しい全盛期を長く保つ
【斬拳走輝】
・斬撃と拳撃の強化
・疾走時、脚力と敏捷に補正
・魔法【ライト・オブ・ブレード】の威力上昇
8年間の内に新たな魔法が1つと新たなスキルが2つ発現したが、その中でもLv2の時に発現したスキル「若年長期」の影響で、歳を取る速度が凄まじく遅くなっていた俺は、かなり長生きが出来そうだ。
俺の最後の旅は、世界の中心とまで呼ばれるオラリオに向かうものになり、陸路を通って移動していく最中、女神イシュタルが体調を崩す。
「頭痛がする。は、吐き気もだ。くっ、ぐう、な、なんてことだ。この私が気分が悪いだと?」
側頭部を痛そうに押さえながらそんなことを言っていた女神イシュタルは、明らかに顔色が悪い。
「また風邪だな、いつもそんな露出が激しい薄着でいるからそうなるんだよ」
以前女神イシュタルが風邪をひいた時も、ちゃんとした服を着るように言っていた俺は、あんな服着てたらそりゃまた風邪ひくよな、とは思ったが、とりあえず魔法で治療しておくことにした。
「【全てを癒す聖なる力を此処に】【病めるものに光よ注げ】【蝕むものをその輝きで退けよ】」
女神イシュタルの風邪を治す為に、全治魔法の詠唱を続けていく。
「【放つ光は癒しの調べ】【満ちる月は何よりも輝く】」
詠唱を続けるごとに高まる魔力が、解き放たれる時を待つ。
「【残らぬ傷】【癒える病】【消え失せる毒】【解かれる呪詛】」
何回も風邪になる女神イシュタルを魔法で治療している内に高速で唱えられるようになった詠唱にも終わりが近い。
「【光と共に聖なる癒しを与えよう】」
最後の1文を唱えた後は、全治魔法の魔法名を言って魔法を発動するだけだ。
「【セイクリッド・ハイネスセラピア】」
魔法名を唱えた瞬間、俺から放たれた輝く光が女神イシュタルの身体を包み込み、風邪という病を癒して治療する。
俺の全治魔法で瞬く間に風邪が完治した女神イシュタルは、完全に元気になった。
「やはりお前の魔法は素晴らしいなジーン。実に!スガスガしい気分だッ!歌でもひとつ歌いたいようなイイ気分だぞッ!」
風邪が治ったことで妙なテンションになっている女神イシュタルは、とても機嫌が良さそうだったな。
そんなことがありながらも辿り着いたオラリオで、今晩の宿を探した俺と女神イシュタルは、見つけた宿屋に泊まることになる。
翌日、宿屋で休んでも旅の疲れがまだ身体に残っていた女神イシュタルに、購入したポーションを提供しておいたが、ポーションのおかげでなんとか体力を回復できたようだ。
普通に歩ける程度には回復した女神イシュタルと一緒にオラリオを見て回ると、女神イシュタルは特に歓楽街に興味を抱いていた。
「ふむ、歓楽街の主となるのも悪くはないか」
そう言って笑っていた女神イシュタルは、オラリオの歓楽街を手に入れて、歓楽街の主になりたいと思ったらしい。
女神イシュタルをこのまま放置しておけば、美の女神として魅了を悪用して、歓楽街で何かしらの問題を起こすことになるだろう。
そうなればオラリオの治安が乱れる前に、2大巨頭とも呼ばれるゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアが此方を潰しにくる可能性がある。
流石にそれは避けた方が良いと判断した俺は「魅了を使って歓楽街を手に入れようとした場合、ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアが動くかもしれないから止めた方が良いな」と女神イシュタルに忠告しておいた。
「ならば、どうやって歓楽街を手に入れろと言うのだジーン」
此方に詰め寄って問いかけてきた女神イシュタルは、オラリオの歓楽街を手に入れたくてたまらないみたいだ。
「俺もイシュタルも長生きできるんだから、じっくりと正攻法で行けばいいだろ。それなら誰も文句は言わないし、俺も手伝うぞ」
そう答えて女神イシュタルを宥めた俺に「では、まず何からするつもりだジーン」と聞いてきた女神イシュタル。
正攻法なら俺も手伝うと知って、乗り気になってきた女神イシュタルに、とりあえず俺が思いついた方法を伝えてみることにした。
「まずはダンジョンでヴァリスを稼ぐことから始める。そして稼いだヴァリスで、娼婦や娼館関係者なら格安で治療が可能な治療所を歓楽街に作り、俺が全治魔法で治療を行う。最初は娼婦達や娼館の面々との顔繋ぎから始める形になるな」
歓楽街に手を広める最初の手段を、簡単に説明していく俺の言葉を真剣に聞いている女神イシュタルは「続けろジーン」と此方に話の続きを促す。
「ある程度の娼婦や娼館の面々と顔馴染みになったら、再びダンジョンでヴァリスを稼いで資金調達し、今の娼館から出たいと考えている娼婦が居ればヴァリスと引き換えにイシュタル・ファミリアに移籍できないか交渉する」
俺の言葉に「なるほど」と頷いた女神イシュタルは「金で娼婦を奪うのだな」と納得していた。
「交渉が成功して娼婦が充分に集まった時、まだ娼婦を続けても構わないと言う娼婦が大量に居れば、歓楽街で新しく娼館を開く。娼婦を続けたくないという相手が多かった場合は、冒険者になってもらうか、もしくは生産者として技術を身につけてもらうことになる」
「ふむ、そこまでは交渉が全て上手くいった場合の話だが、交渉が決裂した場合は、どうするのだ?」
「その場合は、やはりイシュタルに新しい眷族を増やしてもらってダンジョンに潜り、ファミリアの等級を地道に上げて、イシュタル・ファミリアの発言力を高めてから行動することになるな」
女神イシュタルからの問いにそう答えた俺は、違法な手段を使わなくともできることがあると、女神イシュタルに伝えていく。
「その方法は確かに時間がかかるな。だが、面白い。お前の言う正攻法を試してみるとしよう」
どうやら女神イシュタルは魅了を使わずに歓楽街の主になることを目指してくれるようになったようだ。
これでいきなりゼウス・ファミリアやヘラ・ファミリアと敵対するようなことは避けられるだろう。
その後、女神イシュタルを宿屋に残した状態でダンジョンに潜った俺は順調に魔石を集めながら中層の17階層まで到達。
現れたゴライアスを相手に愛用の短剣を構えた俺は、魔法を発動する為の詠唱を唱える。
「【光剣抜刀】」
短剣の上から付与された【ライト・オブ・ブレード】の光が輝く刃となり、鋭い光刃が短剣から伸びた。
迫り来るゴライアスが振り下ろした拳を軽々と避けて、ゴライアスの腕を駈け上がり、短剣から伸びた光の剣でゴライアスの首を斬り落とす。
手早く倒したゴライアスから巨大な魔石を抜き取ると、ドロップアイテムとしてゴライアスの歯牙が残ったみたいだ。
鍛冶道具は揃っているので、工房を作る余裕があればゴライアスの歯牙を武器に加工しておくのも悪くはない。
中層で手に入ったミノタウロスのドロップアイテムの角なども、武器の素材になりそうだ。
それから中層を降りて到達した24階層で、発見した宝石樹。
滅多にお目にかかれないと言われる宝石樹の近くには、宝財の番人であるグリーンドラゴンの姿がある。
【ライト・オブ・ブレード】を使うまでもなく拳の一撃でグリーンドラゴンの頭部を破裂させて倒し、赤や青の美しい宝石の実を大量に収穫した俺は、ダンジョンの階層を上がって上層へと戻った。
上層でレアモンスターのジャックバードと遭遇した俺は、手早く短剣で鶏に似たジャックバードの魔石を砕いて倒し、必ず手に入るドロップアイテムのジャックバードの金卵を入手しておく。
最低価格で、1個100万ヴァリスとなるジャックバードの金卵を入手できたのは運が良い。
ダンジョンを出て、階層主を含めた中層のモンスターの魔石や、宝石樹の宝石の実に、ジャックバードの金卵を換金した後は、稼いだヴァリスを持って女神イシュタルが待つ宿屋へ直行。
今回稼げたヴァリスは3000万ヴァリス以上になるが、思ったよりも稼げたヴァリスの使い道を女神イシュタルと一緒に考えた結果として、治療所兼ホームにする歓楽街の物件の購入と、鍛冶用の工房を別の場所に用意することに決まった。
歓楽街に購入した物件を治療所も兼ねたホームに改装するよりも早く、用意された鍛冶用の工房でミノタウロスの角を加工していき、角を使った短剣型の魔剣を何本か作成。
魔剣も売りに出せる商品になるかもしれないので、仮のホームが完成するまでは魔剣が奪われないように常に持ち歩いておくことにする。
それからゴライアスの歯牙をダガーに加工した俺は、完成した「ゴライアスダガー」の使い心地を確かめる為に、ダンジョンへと向かった。
中層でモンスター相手に試した結果、中々出来が良いダガーとなっていた「ゴライアスダガー」は使い心地も悪くはない。
爺さんの形見の短剣は壊れないように大事にして、これからは「ゴライアスダガー」を使っていくようにしよう。
歓楽街の物件の改装も終了して、娼婦や娼館関係者なら格安で治療する治療所を開いた俺は、治療所の受付を女神イシュタルに任せて、娼婦や娼館関係者とそれ以外を判別してもらった。
様々な歓楽街の住人達を治療していく度に、顔馴染みが増えていったが、しばらくすると態々歓楽街にある治療所まで来て難癖つけてくる冒険者達が現れるようになる。
そんな冒険者達は普通に邪魔なので追い返していると嫌がらせまでしてくるようになった悪質な冒険者達。
嫌がらせがエスカレートして治療所を壊そうとしてくるようにまでなったが、とりあえず治療所を壊そうとした迷惑な冒険者達は全員叩きのめしておいた。
すると翌日、悪質な冒険者達が所属するファミリアから戦争遊戯を申し込まれることになったイシュタル・ファミリア。
不当な暴力を受けたことによる報復というご名目で、戦争遊戯を申し込んできた相手のファミリアの女神は、面の皮が確実に厚いな。
戦争遊戯を申し込んできた相手のファミリアには、Lv5が1人とLv4が3人に、Lv3が6人とLv2が20人ほど存在しているらしい。
戦争遊戯で相手のファミリアが勝った場合、俺の改宗と女神イシュタルの送還を行うつもりのようだ。
今回の戦争遊戯を承諾しなければ、これからも治療所への嫌がらせは続きそうな気がする。
Lv4の俺1人しかいないイシュタル・ファミリアになら確実に勝てると考えて戦争遊戯を吹っ掛けてきている相手のファミリアの主神は、どう考えても性格が悪い。
女神イシュタルの方がマシだと思える女神がいるとは思わなかったが、様々な神々が存在しているこの世界には、そんな女神が居てもおかしくはないのだろう。
女神イシュタルと話し合った結果として今回の戦争遊戯を受けて立つことに決まり、戦いが素手による総力戦と決まった戦争遊戯を行う為に、オラリオから少し離れた平野に移動することになった俺と相手のファミリアの集団。
平野で対峙した俺と相手のファミリアの集団の人数差は、30人対1人というものだ。
素手による戦争遊戯の総力戦開始の合図が鳴り響いた瞬間、俺は迷わず30人の集団に1人で突っ込み、握り締めた拳を敵の集団達に叩き込む。
連携をさせない為の超接近戦を仕掛け、制圧前進する俺に対して、混乱していた相手のファミリアのLv2とLv3は容易く拳で沈めることができた。
落ち着いていたLv4の3人と、冷静に此方を観察していた相手のファミリアの団長でもあるLv5の1人。
ここからが本番だと気を引き締めた俺はLv4の3人に近付く。
俺の周囲に散開したLv4の3人が3方向から攻撃を行ってきた瞬間、左右に拳を、前方に蹴りを叩き込んだ俺はLv4の冒険者達も一撃で沈めて倒した。
最後に残ったLv5の団長が「役立たずが、3人がかりで負けやがって」と悪態を吐きながら、倒れているLv4の冒険者の頭を荒々しく蹴り飛ばす。
主神である女神の性格が悪いだけあって、あのファミリアの団長も性格が悪いらしい。
性格が悪い同士で気が合ってるのかもしれないな、とは思ったが、それは言葉にしないで敵ファミリアの団長を相手に構えた俺は、拳を固く握り締める。
「Lv5のオレに勝てると思ってんのか!」
なんてことを言いながら拳によるストレートパンチを繰り出してきた敵ファミリアの団長。
此方の顔面を狙ったLv5による拳の打撃を、叩き込んだ頭突きで迎撃した俺は、相手の拳が砕けたことを額に触れた感触で感じ取った。
「どうした?顔面狙ってたみたいだから、態々当たりにいってやったんだぜ」
煽るように言葉を発した俺に激怒した敵ファミリアの団長は、隠し持っていた魔剣を砕けていない手で取り出して「死にやがれ!」と言いながら魔剣を連続で振るい、幾つもの巨大な火球を此方に放つ。
迫り来る火球に素早く拳を構えた俺は、巨大な火球達に拳を叩き込んで、強烈な拳圧によって火球を完全にかき消した。
「有り得ねえ!」と叫びながら再び短剣型の魔剣を振るおうとした敵ファミリアの団長が持つ魔剣が砕ける。
「今回の戦争遊戯は素手によるものと決まっている。魔剣を使ったそっちのファミリアの敗北は決まったが、イシュタル・ファミリアに喧嘩を売るとどうなるか、他のファミリアにも見せてやる必要があるな」
そう言った俺は敵ファミリアのLv5の団長に近付き、容赦なく拳による弾幕を叩き込んだ。
一撃で沈めた他の敵冒険者達とは違って、連続で拳を叩き込まれた敵ファミリアの団長は完全にボロボロの状態となり、最後の拳の一撃で大きく吹き飛ばされた後は、もう立ち上がることはない。
イシュタル・ファミリアの勝利で終わった戦争遊戯に、相手ファミリアの勝利に賭けていた冒険者達は膝から崩れ落ち、イシュタル・ファミリアの勝利に賭けていた神々達は歓喜の声を上げて盛大に喜ぶ。
「それでは、貴様は財産全てを私に支払い、天界に送還となるな」
敵ファミリアの女神に対して、そう伝えた女神イシュタルに対して駄々をこねる子どものように嫌がる女神。
そんな女神を見て「実に見苦しいな、そのゴミは早めに天界に送還しておけ」と言った女神イシュタルは、敵であった女神には既に興味が無い。
「さて、戦争遊戯で一働きした我がファミリアの団長を迎えに行くとするか」
楽しげに笑みを浮かべた女神イシュタルは、現在は唯一の眷族であり、イシュタル・ファミリアの団長であるジーンを迎えに行く為、軽やかな足取りで歩き出した。
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