転生した俺が歓楽街の帝王と呼ばれるようになるまで   作:色々残念

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なんとか書けたので更新します


女神とのオラリオでの日々

全治魔法が使える俺を欲しいと思うファミリアは想像以上に多かったらしく、団員が団長の俺1人しか居ない状態で、様々なファミリアに戦争遊戯を申し込まれることになった。

 

戦争遊戯の方法は全て違っていたが、その全てに勝利したイシュタル・ファミリアの名は、オラリオにそれなりに広まったようだ。

 

ついでに戦争遊戯でイシュタル・ファミリアに敗北した様々なファミリアの主神が残らず天界に送還されたことも広まっていたようで、ようやくイシュタル・ファミリアに戦争遊戯を吹っ掛けてくるファミリアが居なくなる。

 

そんなイシュタル・ファミリアに入団を希望する者が全く居なかった理由は、戦争遊戯を頻繁に吹っ掛けられるファミリアに及び腰になっていたからだったらしい。

 

「イシュタル・ファミリアに入団するのは」と難色を示していた歓楽街の娼婦達も多かった。

 

しかし全ての戦争遊戯に勝利してイシュタル・ファミリアを護りきった俺が団長なら安心だと考えてくれたようで、娼館から移籍した娼婦達がイシュタル・ファミリアに所属することになる。

 

娼婦達と1人1人女神イシュタルと俺が面接して、何がしたいか聞いてみたりしたが、冒険者になってみたいと考えている者達や、娼婦として働き続けることを望む者達に、それ以外の仕事がしたいと希望する者達もいるみたいだ。

 

戦争遊戯で倒したファミリアの財産全てを手に入れたイシュタル・ファミリアは、貯蓄されていたヴァリスやホームの建物とその土地まで入手することができているので、資金や住まう場所に困ることはない。

 

とりあえず手に入れたホームの1つを新たなイシュタル・ファミリアのホームに改装するまでの間は、娼婦達には宿屋に宿泊してもらうことになるだろう。

 

その間の宿屋代と食費となるヴァリスは、イシュタル・ファミリアに所属する娼婦達全員に支給してあるので、無駄遣いをしなければ1ヶ月は充分に暮らせる筈だ。

 

冒険者や娼婦以外の仕事をしたいと希望した者達の為に、戦争遊戯で手に入れたホームの1つを武器や防具を販売する商店に改装しておき、商店で売るための商品を鍛冶工房で俺が作成しておいた。

 

武器や防具を販売する商店の目玉商品となるのは、やはり魔剣になりそうだな。

 

ある程度の数の魔剣は揃えておいた方が良さそうだが、質の良い魔剣を作るには素材となるドロップアイテムやダンジョン産の金属が必要になる。

 

俺がダンジョンに入手しに行ってもいいが、手が空いていない時はギルドを介して冒険者達に依頼を出して、ドロップアイテムやダンジョン産の金属を買い取るのも良いかもしれない。

 

武器や防具を販売する商店で働く者達には、武器や防具の手入れの技術も教えておき、希望者には鍛冶や彫金も教えることにした。

 

新しくイシュタル・ファミリアの眷族になった者達の為に、やらないといけないことは沢山あったが、これも団長の仕事だろう。

 

娼婦の仕事を続けたいと考えているイシュタル・ファミリアの眷族達の為に、歓楽街で建物を買い取って改装して綺麗にしてから新しく開いた娼館。

 

女神イシュタルから恩恵を授かった眷族達は身体が頑丈になって力も強くなっているので、恩恵を授かっていない相手に娼婦として働くのは危険だと判断し、冒険者専門の娼婦として働いてもらうことになる。

 

イシュタル・ファミリアが新しく開いた娼館は、冒険者に人気の娼館となったようで、客足は悪くないらしい。

 

最後は、冒険者になりたいと希望した者達だが、モンスターと戦った経験が全くない者達が殆どであり、まずは武器の持ち方や戦い方を教えることから始めた。

 

根気よく教えていくと、適性のある武器ならなんとか扱えるようになったので、試しにダンジョンの上層で実戦経験を積んでもらうことにしたが、ゴブリンやコボルト程度なら倒すことができたようだ。

 

後は地道に経験と知識を得て、俺が居なくても問題なくダンジョンで生き残れるようになれば安心できるが、しばらくは俺も一緒にダンジョンに行った方がいいだろうな。

 

冒険者としての活動に加えて商店で売る商品の作成に、歓楽街での娼館の経営だけではなく、治療所での治療も行うというハードなスケジュールになってしまったが、基本的に頑丈な俺なら身体を壊すことなく全てこなせてしまった。

 

そんな忙しいオラリオでの日々を過ごしていると女神イシュタルから「たまには休めジーン」と注意されてしまったが、どうやら少し働き過ぎていたのかもしれない。

 

流石に休まず働き過ぎるのは良くないので、週に何回か休みを作ることにして、イシュタル・ファミリアのホームにある俺の部屋で身体を休めていると、俺の部屋にやってきた女神イシュタル。

 

「よし、今日は休んでいるな」

 

そんなことを言いながら頷いていた女神イシュタルは、俺がちゃんと休んでいるかを確認しに来ていたみたいだ。

 

「休めってイシュタルに注意されたからな。しっかり身体を休めとくよ」

 

ベッドに横になったまま女神イシュタルにそう伝えておくと、俺が横になっているベッドに静かに腰かけた女神イシュタルが問いかけてくる。

 

「ジーン、何故お前は、あそこまで身を削りそうなほどに働いていたのだ?」

 

とても不思議そうに聞いてきた女神イシュタルは、俺が忙しく働いていた理由を知りたいらしい。

 

女神イシュタルに嘘は通用しないので正直に答えておくとしよう。

 

「歓楽街の主になると決めたイシュタルを手伝うと約束したからだな。だから俺ができることはやってやりたいと思ったんだ」

 

嘘偽りのない俺の正直な答えに、驚いている様子の女神イシュタル。

 

「ジーン、お前は私と約束したというだけで、あそこまで働くのか」

 

確認するかのように俺に聞いてきた女神イシュタルは、何故か嬉しそうな顔をしていた。

 

「イシュタルとの約束を破るようなことは、したくなかったんでね。まあ、休まずに働き過ぎてイシュタルに注意されることになったのは駄目だったな。そこは反省しておくよ」

 

反省していることも伝えておき、聞かれたことに答えた俺に笑顔を見せた女神イシュタルは、とても機嫌が良さそうだ。

 

「そうかそうか、つまりお前は、そういう奴なのだな。ジーン、お前がそこまで私を大切に思っているとは考えてもいなかったが、良き眷族に褒美を与えるのも主神としての役目か」

 

なんてことを言いながらいそいそと露出の激しい服を脱ぎ始めた女神イシュタルは、一糸纏わぬ姿になると微笑んでから口を開いた。

 

「この身体を好きに貪る権利を与えてやるぞ、ジーン。あんなことやこんなことやそんなことをしても私は許そう」

 

あんなことやこんなことやそんなことって何なんだろうな、とは思ったが女神イシュタルに聞いてみると凄い答えが返ってきそうなので、疑問は疑問のままにしておこう。

 

「また風邪ひくから服を着とこうな」

 

とりあえず明らかなお誘いはスルーして脱ぎ捨てられた女神イシュタルの衣服を拾って差し出す俺に「くっ、好感度がまだ足りていなかったか」と悔しそうに言うと女神イシュタルは大人しく服を着てくれる。

 

今では別に女神イシュタルのことは嫌いじゃないが、俺の前だと頻繁に服を脱いで裸になるので、裸を見た興奮よりもまた風邪をひかないかという心配の方が強い。

 

なんてことがありながらも月日が過ぎていき、様々な方法で稼いだ豊富な資金で歓楽街にイシュタル・ファミリアが経営する娼館を増やしたことで、歓楽街でのイシュタル・ファミリアの勢力が力を増していく。

 

それぞれの娼館の纏め役を行うイシュタル・ファミリアの眷族達には、ある程度の教育は施してある為、娼館の経営については任せることもできていた。

 

歓楽街でのイシュタル・ファミリアの影響力が強まると、イシュタル・ファミリアの庇護下に加わりたいと望む娼婦や娼館も増えてきているようだ。

 

傘下となる娼館も増やしたことで更に勢力を伸ばしたイシュタル・ファミリアは、歓楽街の4分の1を手中に収めることができたらしい。

 

俺は俺で冒険者としても活動し、単独で深層まで行ってウダイオスを討伐したことでランクアップが可能になっていた。

 

これまで行ってきた戦争遊戯での戦いと、今回のウダイオスの単独討伐が両方合わさって、ようやく偉業と判断されたのだろう。

 

全てのステイタスもSの限界である999まで極まっていたので、早速行われたLv5へのランクアップ。

 

ジーン・グライペル

Lv5

 力:I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

 

鍛冶:C

精癒:E

魔導:F

治療:I

 

《魔法》

 

【ライト・オブ・ブレード】

 

【セイクリッド・ハイネスセラピア】

 

《スキル》

 

【天性肉体】

 

【鍛冶鍛錬】

 

【若年長期】

 

【斬拳走輝】

 

【極大治療】

・任意発動で【セイクリッド・ハイネスセラピア】の治療効果を極大まで高める

・【セイクリッド・ハイネスセラピア】による治療速度上昇

・【セイクリッド・ハイネスセラピア】発動時の精神力消費低減

 

治療の発展アビリティと新たなスキルが1つ発現していたが、治療所で数え切れないほどに治療を行ってきたことで、治療に関するスキルが発現したのかもしれないな。

 

ちなみに深層でウダイオスを単独で討伐した際に、ウダイオスが持っていた黒剣がドロップアイテムとして手に入ったので、自分用の短剣とナイフを作ってみることにした。

 

鍛冶工房でウダイオスの黒剣を素材として加工し、黒い大剣だったものを別の形へと変えていく。

 

強度の高いオリハルコンの鎚を幾度も打ち下ろすと、鍛冶工房に鳴り響いていく金属音。

 

ウダイオスの黒剣は間違いなく初めて扱う素材だったが、問題なく完成した短剣とナイフ。

 

刀身の片側に切れこみを入れてあり、その切れこみで剣を受け止めて折ることが可能な肉厚で大型な短剣には「ブレイカーウダイオス」と名付けてある。

 

もう1本の反りがある刃を持つ大型のナイフには「ウダイオスナイフ」と名付けてあり、かなり頑丈な「ウダイオスナイフ」は、そう簡単に壊れることはない。

 

とても良い素材になるウダイオスの黒剣を使って作成した「ブレイカーウダイオス」と「ウダイオスナイフ」は、どちらも良い武器だ。

 

定期的にウダイオスを倒しに行ってウダイオスの黒剣を入手することができれば、良い武器を沢山作れるようになりそうだが、深層まで行かなければいけないのが問題となるな。

 

冒険者として活動してランクアップし、Lv2になったイシュタル・ファミリアの団員も何人かいるが、全員がランクアップできている訳ではないので、俺が何度も頻繁に不在になる訳にはいかないだろう。

 

最低でもLv4に到達するイシュタル・ファミリアの団員が現れるまでは、ウダイオス狩りは諦めた方が良さそうだ。

 

ランクアップしてLv5になってからも俺は歓楽街での治療所で治療を続けていて、現れる怪我人や病人を全治魔法で治療していく。

 

この数年間で歓楽街の大体の娼婦とは顔馴染みになっている俺に、治療以外のことも相談してくるようになった娼婦達。

 

様々な相談を聞いて、俺が解決できることなら解決していくと、娼婦達に信頼してもらうことができたらしい。

 

そしてイシュタル・ファミリアの傘下の娼館で柄の悪い客が暴れた際は、俺が叩きのめしにいくことになっていて、Lv5が用心棒になっていることが広まった娼館で暴れるような客は少なくなったようである。

 

俺が用心棒になっている娼館では暴れる客が凄まじく減少したことを知って、冒険者達の相手をすることが多い娼婦達のことを考えている娼館は「娼婦達の安全が確保されるなら」とイシュタル・ファミリアの傘下に加わってくるようになった。

 

順調に歓楽街での勢力を広めているイシュタル・ファミリアなら、歓楽街の全てを手にすることも不可能ではないだろう。

 

週に何回かある休日にイシュタル・ファミリアのホームの広間で俺が休んでいると、広間に現れた女神イシュタルが「ジーン、お前は何をされると嬉しいのだ?」と聞いてくる。

 

「いきなりどうしたイシュタル」

 

「団員に聞いたが人は誕生日とやらを祝うのだろう?そろそろお前の誕生日が近いではないか。今まで祝えていなかった分も含めて、主神として眷族を盛大に祝ってやろうと思ってな」

 

笑顔でそう言ってきた女神イシュタルは、俺の誕生日を祝ってくれるつもりらしい。

 

育ててくれた爺さんが死んでから誰にも祝ってもらうことがなかった誕生日を、祝ってくれる相手が現れるとは思ってもいなかったが、嬉しい気持ちは確かにある。

 

「そうか、ありがとうな」

 

自然と顔に笑みが浮かび、女神イシュタルに感謝をした俺は、何をされると嬉しいのか考えてみることにした。

 

考えに考えてみて思いついたのは、俺の誕生日にいつも爺さんが作ってくれたアップルパイが食べたい、というものだったな。

 

何回かアップルパイを自分で作ってみても、美味しいが爺さんのアップルパイとは違う味にしかならなかったので、再現するのは難しいだろう。

 

爺さんのアップルパイと同じ味ではないとしても、誰かが作ったアップルパイを誕生日に食べたいと考えた俺は「イシュタルが作ったアップルパイを食べてみたい」と女神イシュタルに頼んでみる。

 

「味の保証はできんぞ、私は料理などしたことがないからな。それでも良ければ作ってやろう」

 

俺にアップルパイを作ることを約束してくれた女神イシュタルは、その日からホームの厨房にこもることが増えた。

 

「それは塩ですイシュタル様ァッ!」と叫ぶ厨房担当の団員の声が、たまに厨房から聞こえたりしていたが、女神イシュタルは頑張ってくれているようだ。

 

俺の誕生日当日、女神イシュタルが作ってくれたアップルパイは、綺麗な形ではなくて味も美味しくはなかったが、俺の為だけに作られたアップルパイは欠片も残さず全て食べておく。

 

「アップルパイ、作ってくれて嬉しかったよイシュタル」

 

「やはりお前は変わっているな。私の拙い料理の腕で作られたアップルパイで、そこまで喜ぶとは」

 

「イシュタルが俺の為だけに作ってくれたんだろ?そりゃあ嬉しいさ」

 

「こんなもので良ければ、いつでも作ってやろう」

 

「来年の誕生日に、また頼むかもな」

 

「では、それまでに少しでも腕を磨いておくぞ。いずれお前に美味しいと言わせてみるとしよう」

 

そう言って笑った女神イシュタルは、とても楽しそうな顔をしていた。

 

最初に出会った頃と違って、自分以外の誰かの為に行動するようになった女神イシュタルは、変わったのかもしれないな。

 

それはきっと悪い変化ではないと、俺は思う。

 

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