転生した俺が歓楽街の帝王と呼ばれるようになるまで 作:色々残念
まだまだ話は続きそうです
俺が女神イシュタルとオラリオに来てから20年の月日が経過し、5年前には既に歓楽街の半分を手中に収めることができていたイシュタル・ファミリアは、この5年間で更に歓楽街での勢力を伸ばすことができたようだ。
傘下も増えたことで今では歓楽街の4分の3がイシュタル・ファミリアの領域となっており、歓楽街の半分以上は完全にイシュタル・ファミリアの物となっている。
そして歓楽街には娼館だけがある訳ではなく、娼婦を連れ込む宿などもあり、ポーションに精力剤なども売っている薬剤店も幾つか存在していた。
イシュタル・ファミリアの傘下となった薬剤店には、資金提供や素材の提供も行っておき、より良いポーションや精力剤が作れるような環境を整えておく。
するとその成果として、以前の精力剤よりも効果が高い精力剤の作成に成功した1つの薬剤店は、歓楽街では人気のある薬剤店となったらしい。
新しくイシュタル・ファミリアの傘下に入った連れ込み宿にも資金提供は行うが、部屋が不衛生な場所にならないように、使用された後は従業員に部屋の清掃を欠かさず行わせて、部屋の清潔感を保たせた。
連れ込み宿にも幾つか種類があり、泊まったり休憩するだけの連れ込み宿もあれば、酒も飲めて食事もすることが可能な連れ込み宿もある。
ついこの間イシュタル・ファミリアが資金提供して改装したばかりの豪華な連れ込み宿は、連れ込んだ娼婦が喜ぶということで人気のある場所になっているそうだ。
資金提供した見返りとして、その豪華な連れ込み宿の1番良い部屋はイシュタル・ファミリアが優先して使えるようにしておいたが、特に戦闘娼婦達が喜んでいたな。
それ以外にも衛生面に気を付ける為、建築もこなすゴブニュ・ファミリアに頼んで新しく歓楽街に大浴場を作成してもらったが、かなり格安で入れるようにした大浴場には毎日大勢の人々が足を運んでいた。
本格的なサウナもある大浴場に入る為だけに歓楽街に来る人も、中にはいるようだ。
歓楽街でイシュタル・ファミリアは勢力を順調に伸ばしていっているが、今の調子ならあと10年もしない内に歓楽街の全てを手に入れることも不可能ではない。
このまま焦らず徐々に歓楽街でのイシュタル・ファミリアの影響力を高めていけばいいだろう。
歓楽街については一先ず順調なのは間違いないが、問題は武器や防具に魔剣を売る商店の商品が最近売れ過ぎていることになるな。
どうやら鍛冶師としての腕が更に上がった俺の作った武器や防具と魔剣が、凄まじいほどに人気が出てきたようで、連日商店に冒険者達が押し寄せるような事態になっているらしい。
飛ぶように売れる商店の商品は、倉庫に保管してある在庫を出しても売り切れになるようになり、商店の店員達から「商品の追加をお願いします団長!」と頼まれることになる。
半端な品を売り出すつもりは無いので、品質を落とすことのない出来る限りの速度で作成して、完成した武器や防具に魔剣を商品として商店に運んだ。
歓楽街でイシュタル・ファミリアの団長として働き、治療所で治療師として仕事をする日以外は、週に何日かあった休日も半分に削り、ひたすら鍛冶師として活動すると、商店の商品となる武器や防具と魔剣を大量に作成していく。
団長としても治療師としても鍛冶師としても半端な仕事は、何1つすることはない。
そんな日々がしばらく続いたが、商店への客足も平均的な数にようやく落ち着いてきて、大量に武器や防具と魔剣を作成する必要が無くなった。
これで定期的に商店に商品を持っていく程度で、商品の入荷が間に合うようになる筈だ。
そう思っていると俺が作成した武器や防具を購入した面々から、今度は自分専用の装備を作ってほしいと頼まれるようになる。
その面々の中にはゼウス・ファミリアやヘラ・ファミリアの団員も何人か居た。
一応自分専用の装備を作ってほしいと頼んできた順番通りに、見せてもらった手に合わせた武器や、身体に負担にならない大きさや重さの防具を作成しておき、頼んできた全員に専用装備を渡すことはできたので問題はない。
思わぬ形でゼウス・ファミリアやヘラ・ファミリアと知り合うことになったが、鍛冶師としての腕を信頼されて悪い気はしないな。
そんなこともあってか、すっかり商店の常連客となったゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアを含めた面々と多少は会話することにもなった。
ゼウス・ファミリアからは「ゼウスの女好きは、どうにかならないのか」という相談や「あのエロジジイ、痛い目にあわねえかな」という神ゼウスへの若干の怒りの声も聞かされることになる。
ヘラ・ファミリアからは「女神ヘラはヤバイわ、どれくらいヤバイかって言うとマジヤバイのよ」との声や「ヘラ様は愛が深いんでしょうね」という感じに女神ヘラについて語られることもあり、少しは女神ヘラについて知ることができたのかもしれない。
そんな日々を過ごしていると鍛冶師としての仕事が入り、熱気を逃がす為に窓を全開にした鍛冶工房で炉に火を入れた俺は、充分に熱された炉にアダマンタイトを入れた。
炉の熱で赤い飴のように溶けて変質していくアダマンタイトが加工可能な状態となったところで鋏を使って炉から取り出し、鉄床の上に置いた真っ赤に燃えるアダマンタイトを鋏で掴んだまま鎚を振り下ろす。
舞い散る火花に金属音がしばらく止むことはなく、アダマンタイトの加工は続いていき、鎚の動きも止まることはない。
超硬金属とも呼ばれるアダマンタイトは数ある稀少金属の中でも最高位に属する素材であり、その硬度は文字通り超硬の領域に属している。
名うての上級鍛冶師だろうと手を焼くと言われるアダマンタイトの加工を、いとも容易く行うことができる俺は、上級鍛冶師を遥かに超え、最上級鍛冶師すらも超越した領域に到達していた。
時には金属を伸ばすように大きく鎚を振り下ろし、時には形を整えるように微細に鎚で打つ。
鎚で打たれるごとに結晶の構造を変えて、剣の輪郭を形作っていくアダマンタイト。
頭の中に描いた剣の設計図を、目の前のアダマンタイトで形にして、剣を作り上げていく。
赤く熱されたアダマンタイトは見る見る内に姿形を変えていき、完成した1振りの剣。
出来上がったアダマンタイト製の剣に合わせた鞘も作っておき、鞘に納めた剣を持った俺は、剣の作成を頼んできた依頼主へと剣を届けることにして鍛冶工房を出る。
依頼主に無事に剣も渡し終えて報酬も受け取った俺は、イシュタル・ファミリアのホームに戻ると、鍛冶仕事でかいた汗をシャワーで洗い流して、身体を石鹸で洗ってから風呂に入っておいた。
イシュタル・ファミリアのホームには大浴場もあるが、団長である俺個人用の浴室もあり、俺は大浴場に向かわなくても風呂に入ることが可能だ。
風呂も上がって衣服を着用し、水分と塩分を補給した俺はイシュタル・ファミリアのホームの中を見回って、問題がないか確認していると、ホームにある鍛練所で鍛練に励んでいたイシュタル・ファミリアの冒険者達や戦闘娼婦達を発見。
そんな冒険者達と戦闘娼婦達に稽古をつけてやることにしたが、階層主や大型モンスターを相手にするかのように連携して俺に攻撃してきた冒険者達と戦闘娼婦達。
良い連携ができていることは悪いことではないので褒めておき、稽古になるように相手をしながら1人1人にある問題点を指摘した俺は、改善するにはどうすれば良いかも教えておく。
イシュタル・ファミリアの冒険者達と戦闘娼婦達の全員に稽古をつけることができたと俺が判断したところで稽古を終わりにしておいた。
俺との稽古が終わると、ホームにある鍛練所の床に倒れ込んだイシュタル・ファミリアの冒険者達と戦闘娼婦達。
汗をかいて完全に疲れきった様子の冒険者達と戦闘娼婦達とは違って、俺は全く疲れていなかったが、身体能力に大きな差があれば体力の消費量に違いがあっても仕方がないことだろう。
とりあえず疲れきった冒険者達と戦闘娼婦達が持つ武器を預かった俺は、しっかりと武器の手入れを行っておくことにしたが、戦闘娼婦達の武器は荒っぽく使われていたようだ。
念入りに預かった武器の手入れを行い、全ての武器の手入れが完了したところで、イシュタル・ファミリアの冒険者達と戦闘娼婦達に武器を返しておく。
イシュタル・ファミリアの団員達には、団長である俺が作成した武器や防具に魔剣を無料で提供しており、団員達の要望に応えた装備をそれぞれ渡してある為、イシュタル・ファミリアの団員達は装備を用意することに困ったことはないらしい。
武器の手入れも終わったので汚れた手をしっかりと洗い、そろそろ食堂で飯でも食うかと考えた俺はイシュタル・ファミリアのホームにある食堂に向かう。
食堂にある豪華な特設席では女神イシュタルが上品に食事をしており、そんな女神イシュタルと目が合うと、女神イシュタルは此方を手招きして特設席まで呼んだ。
特設席まで呼び出された俺は「ジーン、今日の夜は空いているか」と今日の夜の予定を女神イシュタルに聞かれることになる。
「今日の夜は特に予定はないが、どうしたんだイシュタル?」
今日の夜は特に予定が入っていたりしないことを女神イシュタルに伝えておき、何故そんなことを聞いてきたのか不思議に思った俺は女神イシュタルに問いかけてみた。
「どうしてもジーンに聞いておきたいことがあるのでな。夜になったら私の部屋に来い、そこで話そう」
そう答えた女神イシュタルは、とても真剣な顔をしていたので、今日の夜は俺と何か重要な話をするつもりなのかもしれない。
食堂での食事も終わらせて夜になった頃、女神イシュタルの自室に向かった俺は、部屋の扉を開けて中に入る。
「よく来たなジーン。まあ、まずは私の隣に座れ」
豪華なベッドに座っている女神イシュタルは、自身の隣を手で軽く叩き、俺に座るように促した。
俺がベッドに座ると素早く身を寄せてきた女神イシュタルは「ふむ、初めて出会った頃も良い身体をしていたが、今は更に逞しくなったようだな」と言いながら楽しげに俺の身体に触れて、腹筋を撫で回す。
「楽しそうだなイシュタル。気に入ったんなら触ったままで構わないから、俺に聞きたいことが何なのか教えてくれ」
俺の腹筋を撫で回しながら
楽しそうにしている女神イシュタルに、話を進めるように促すと「うむ、そうだな。ではジーンに聞くとしよう」と言ってきた女神イシュタルは俺の腹筋からは手を離していない。
「ジーン、お前にとって私は、どんな存在だ?」
真剣な顔で聞いてきた女神イシュタルは、俺にとって女神イシュタルがどんな存在であるのかが知りたいようだ。
女神イシュタルが下界に降りてきてから28年間を共に過ごしてきたが、俺にとっては一緒に居ることが自然な存在となっていた女神イシュタルは、今では大切な家族のような存在だと思えている。
「俺にとってイシュタルは、大切な家族のような存在だ」
神に嘘は通じないことを知っている俺は、嘘偽りを言うことなく正直な気持ちを言葉にして、女神イシュタルに伝えておいた。
「大切な家族か、ふふっ、お前は美の女神である私に対してそんなことを考えていたのか。やはりお前は変わっているな。だが、お前らしい答えではある」
俺の正直な気持ちを聞いた女神イシュタルは、ようやく腹筋から手を離すと俺の頬に優しく手で触れて、此方の顔を見ながらとても穏やかな顔で笑う。
「俺に聞きたかったことは、それだけかイシュタル」
そう問いかけた俺の頬に添えられていた女神イシュタルの手が動き、優しく此方の頬を撫で始めた女神イシュタルは穏やかな笑みを崩さない。
「私がお前にとってどんな存在であるかは聞けたが、知りたいことは他にもある。私の問いに、まだ答えてもらうぞジーン」
笑みを浮かべたままそんなことを言い出した女神イシュタルは、まだ俺に聞きたいことが幾つかあるみたいだ。
「美の女神である私を美しいと思ったことはあるか?」
女神イシュタルを美しいと俺が思ったかどうかも、美の女神として聞いておきたかったことであるらしい。
「単に俺が誰かの笑顔が好きなだけかもしれないが、楽しそうに笑っているイシュタルが美しいと思ったことはあるな」
女神イシュタルからの問いに答えた俺は、続けて「だから俺は、できる限りイシュタルには笑っていてほしい」と笑顔で伝えておく。
「そうか、私もお前の笑顔は嫌いではないぞ、ジーン」と微笑んだ女神イシュタルは「では次の問いに答えてもらうとしよう。お前は、どんな女が好みだ?」と俺に聞いてきた。
「そうだな、笑顔が素敵な女性は好きだが、露出が激しい服を着ている相手は風邪ひかないか心配になるから遠慮したいところだな。心配にならないようにちゃんとした服を着ている相手の方が好きだと思うぞ」
とりあえず俺は聞かれたことに正直に答えておくことにして、どんな女が好みかを答えておいたが、俺の答えを聞いた女神イシュタルは若干落ち込んでいたみたいだ。
「くっ、私の勝負服では今まで逆効果だったということか。なんということだ」
ベッドの上で崩れ落ちるかのように項垂れて落ち込んでいた女神イシュタルだったが「ならば、あの服を着ればいいだけの話ではないか」と気を取り直し、素早く露出の激しい服を脱ぐと、肌の露出が控え目な服を着用する。
俺は女神イシュタルが露出の控え目な服を持っていたことに驚いたが、肌の露出が控え目な服を持っていたなら普段から着ればいいのに、と思わなくもない。
「それでは最後の問いだ、ジーン。お前に家族以上に私を好きになってほしくて、誰にもお前を渡したくないと思い、これからもお前とずっと一緒に居たいと考えるこの気持ちが何なのか、私に教えてくれ」
真っ直ぐと此方を見ながら真剣に問いかけてきた女神イシュタルからの最後の問いに、少し考えた俺は思いついた答えを言う。
「もしかしたらイシュタルは、俺を愛しているのかもしれない」
俺の答えを聞いた女神イシュタルは「美の女神である私が、愛されるのではなく愛したのか」と驚いていたが、納得したかのように「そうか?そうだな、そーかもなあ」と頷いていたりもした。
「いつの間にか私は、お前を愛していたのだな」
そう言って嬉しそうに微笑んだ女神イシュタルが、とても美しく見えた俺は「とても綺麗だ」と思わず言ってしまったが、俺に綺麗だと言われた女神イシュタルが喜んでいたのは間違いない。
なんてことがあったその後、部屋に俺が泊まっていくことを望んできた女神イシュタルを抱きしめて、俺はベッドで一緒に眠ることになる。
翌日になり、先に目が覚めた俺は腕の中の女神イシュタルが起きるまで待つことにした。
全く身体を動かすことなく自然に女神イシュタルが起きるまで待った時間は、1時間。
ようやく起きた女神イシュタルに「朝食の時間まで、まだあるが、どうするイシュタル」と聞いてみると「最近更新していなかったジーンのステイタス更新をしておくぞ」と女神イシュタルは言い出す。
上半身の服を脱ぎ、背中を晒してベッドにうつ伏せになった俺の背に、愛おしそうにキスをしてから神血を垂らした女神イシュタルは、ステイタスの更新を始めた。
スキル「鍛冶鍛錬」により、鍛冶を行う度に全ステイタスの熟練度が微上昇する俺は、Lv6にランクアップしてから5年間、ひたすらに鍛冶を行っていたことが多かったからか、それなりにステイタスは伸びていたらしい。
ジーン・グライペル
Lv6
力:A887
耐久:A879
器用:A896
敏捷:A872
魔力:A871
鍛冶:S
精癒:B
魔導:C
治療:F
彫金:H
《魔法》
【ライト・オブ・ブレード】
【セイクリッド・ハイネスセラピア】
《スキル》
【天性肉体】
【鍛冶鍛錬】
【若年長期】
【斬拳走輝】
【極大治療】
【英雄錬鉄】
【超越名匠】
・発展アビリティ鍛冶と彫金の最大上限値がSよりも上となる
・様々な属性や耐性に効果を、作成する武器や防具に付与することが可能
ついにSまで到達した発展アビリティ鍛冶だが、新たなスキル「超越名匠」によってS以上に上げることも可能となったので、まだまだ限界という訳ではないようだ。
様々な属性や耐性と効果を作成する武器や防具に付与できる効果の確認は実際に作成してみて試してみるしかないだろう。
これからも変わらず鍛冶師としても頑張っていくだけだが、ステイタスの更新が終わってからも俺にくっついて離れない女神イシュタルに離れてもらわないと上着を着ることができない。
そろそろ上着を着たいので女神イシュタルに離れてもらおうかと考えていると「イシュタル様、朝ですよ!」と言いながら女神イシュタルの部屋の扉を開けた元気な戦闘娼婦が此方を見て硬直する。
上半身裸な俺に絡みつくようにしなだれかかっている女神イシュタルの頬は、褐色の肌でもわかる程に赤く染まっていた。
「あ、すいません。どうぞ続けてください」
それだけ言って足早に去っていった戦闘娼婦は明らかに勘違いしていて「とうとう団長とイシュタル様がかー」という戦闘娼婦のしみじみとした声も聞こえ、遠ざかる足音。
「間違いなく誤解されたな」
「気にするなジーン、私は気にしない」
嬉しそうに笑う女神イシュタルは誤解されたことに喜んでいるように見えたが、この程度の誤解なら問題はない筈だと思うので、特に訂正したりしなくても良いだろう。
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