ヒーローアカデミア・人でなしの唄   作:ホネ星人

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始まります。


人でなし・出発点

 

 

人は生まれながらにして平等ではない。

 

誰もがいつかは気づく紛れもない事実は今日も変わらず何処かの誰かを絶望させているだろう。

 

ならば"人"では無いなら?"人でなし" として生まれたのならどうなる?答えは簡単だ。

 

もっと平等じゃない。

 

 

~~~~~~~

 

 

この俺、新頭緋色(あらず ひいろ)の朝は早い。

 

まずまだ薄暗い5時半頃に目を覚ます。

 

「くあ…眠っ…」

 

まだ頭に靄のかかったまま起き上がる。自分の体温で温められたベッドから脱出しクローゼットから通っている中学の制服を取り出しながら洗面所へと向かう。

 

「…寒みぃ」

 

4月の上旬とはいえこのぐらいの早い時間は空気が冷えている、そもそもこの家の位置する場所が山手であるのも原因だろうが。

 

洗面所に付き、顔を洗う。この間買った薔薇の香りのする洗顔クリームが明らかに使われていたので後で犯人はしばき倒しておく。

 

水で流し終えた後、鏡を見る。色白の肌と紫のセミロング、女のように整った顔立ち、つり目気味の目には緋色の瞳が輝いている。

 

「下睫毛伸びてきたな…」

 

歯磨きの後、脱いだ寝間着を洗濯カゴにぶちこみ、制服に着替える。

 

「あぁ…だる」

 

そうぼやきながら台所に置いてある自分の弁当箱を鞄へといれ、朝飯としての固形の栄養食(フルーツ味)を牛乳で流しこみながら玄関へと向かう途中で足を止める。

 

「おはよ、ヒミコ」

「おはようございます、ヒイロくん♥️」

 

今起きたばかりらしく軽く目を擦るその子はとてとてと俺に歩みより顔を近づける。

 

「いってらっしゃいのチューをしたいです♥️」

「いーよ、よっと」

「んちゅっ♥️」

 

俺より背がだいぶ低いヒミコとのキスは大体俺がヒミコを抱き上げるようにしてキスをする。

 

「んっ♥️んん…んちゅ♥️」

 

ガリッ

 

「ちゅっ♥️チユ♥️チユ♥️チユ♥️」

「んっんー…ん…ヒミコっ…そろそろ…」

「んぱっ…ごめんなさい、ヒイロくん♥️いってらっしゃい」

「おう、いってくる」

 

ヒミコとキスをすると大体舌を噛まれ血を吸われる…もう慣れたというより俺とヒミコにとっては"普通"の愛情表現。

 

俺は噛まれた舌を"個性"で治しながら登校した。

 

 

 

 

 

 

「えー進路についてですが…皆さん大体ヒーロー科ですね…はい(笑)」

 

半笑いの担任とナチュラルに個性発動させて騒ぐクラスメイト達の中に紛れ、俺はボーッとしていた。

 

「なあなあ!やっぱり新頭もヒーロー科入るのか?」

 

隣の席の…誰だっけこいつ、いいか別に、クラスメイトが俺に声をかけてくる。

 

「ん?あー…いや俺経営科志望したから」

「え?でもお前の叔母さんヒーローだったろ?なりてぇって思わねぇの?」

「全然」

 

何が悲しくてヒーローにならなければいけないのか、今では半ばタレント業とかしたヒーローという職業…命を賭けて守ってもなにかと理由をつけ、感謝ではなく文句を垂れる服を着た豚共…俺からしたら反吐がでる。

 

「ヒーローなんて立派な仕事、俺よりも適任がたくさんいるよ」

「もったいねー、新頭個性すげぇ強いのになー」

 

クラスメイトには適当な建前で誤魔化し会話を終わらせまたボーッとする…はずだった。担任のその言葉を聞くまでは。

 

「ところで…先生嬉しいですよ、成績優秀で個性も強い将来有望な新頭君!まさか"雄英高校ヒーロー科"を第一希望とはね!」

「…え?」

「しかし気合いの入った字でした!第二第三希望の欄まで埋めちゃうぐらい大きく書いてくれるなんて…先生!感激です!」

「ゑ?」

「いつもヒーローの話題には興味無さそうでしたが…その実はしっかりと志していたんですね!新頭君!頑張ってください!」

「は?」

 

そこから後の学校での記憶はなかった。

 

 

 

 

我が家に帰ると野球できそうなぐらい広い庭でその人物は待ち構えていた。

 

「おう!ヒイロ!帰ったかのぉ!いやぁ!そういえばそろそろ進路の話しが学校d

 

言い終わるより先に俺の膝がそいつの顔面に刺さる。

 

「オイゴラくそジジィ何勝手に人の進路希望表書き換えてくれてんだというか俺の部屋に勝手に入ったって事だよな背骨引っこ抜いて火ぃつけて焼くぞ」

「ま、までびいろ…前が見えねぇ…」

「それと俺の洗顔クリーム勝手に使っただろ使う必要ないように顔面そぎ落としてやろうか?」

「ばな…ばなしをきいでぐれんがの?」

 

 

夜、居間にて元凶の人物を中心に俺の家族が勢揃いとなっていた。

 

「たっく!親父!またヒイロに自分の夢押し付けたのか!本当にどうしようもねぇ!ヒイロ!辛かったよな!父さんが慰めてやる!」

「いや別に大丈夫」

「そうか!なら安心だな!」

 

この少しうるさくだいぶ親バカなのが俺の父さん、新頭石鬼(あらず いしき)

 

『んー私としては石鬼と私の良いところをしっかり受け継いだヒイロがヒーローとして動いた場合のデータが手に入るのだったら何の問題もないけれどね』

「悪いところも受け継いだぞ、主に母さんの」

『はは!欠点は愛嬌でもあるらしいぞヒイロ!』

 

テレビ電話越しに親として中々怪しい発言しているのが俺の母さん、新頭真智(あらず まとも)

 

「…」

 

無言でジジィ睨み付けているのが俺の叔母さん(父さんの姉)、新頭狂歌(あらず きょうか)

 

「どうしますヒイロくん、刺します?」

「話が全部終わったら刺していいよ、いや刺せ」

「了解です」

 

俺の隣でナイフを構えているのが俺の彼女(諸事情あって同棲中)の渡我被身子。今日も世界一可愛い。

 

「あーえっとのぉ、わしは緋色にはヒーローになって貰いたくての…でも緋色に直接頼もうもんならそらぁ恐ろしい目に合う…こうするしかなかったんじゃ」

「遺言はそれでいい?じゃ、速やかに天寿を全うしようか」

「待て早い早い早い早い早い」

 

んで元凶くそジジィの新頭善人(あらず よしひと)、死ね。

 

「そもそもヒーローになりたくない理由、てめぇが原因でもあるのは明白なんだよ」

「なにがじゃ!わしゃお前にそんな事をした覚えはない!」

「修行と言ってまだ個性目覚めて間もない俺を裏山に放り捨てただろうが、しかもご丁寧に普通なら死ぬレベルのトラップや腹空かせた熊とか用意されたな」

 

おかげさまで文武両道のつよつよ個性マンになりましたとさふざけんな。

 

「…なんど聞いても虐待ですよね」

「虐待だ!」

『虐待だね』

「虐待でしかねぇだろうよ」

「修行なんじゃから厳しくて当然じゃろが!」

 

このジジィは自分がヒーローになれなかったから俺になって貰おうと、昔から色々無茶苦茶やってきやがった。

 

先に言った地獄の裏山サバイバル、ジープ(法律スレスレデンジャラス改造済)で追い回す、全裸に大量の風船をくくりつけた状態で飛ばされる。

 

特に酷かったのは、小5の頃に近くで893の抗争が起きた際にこのジジィは俺をその中に放りこみやがった。まじざけんな。

 

「俺もなんで今こうして生きてるのか不思議なくらいだわ」

「そりゃお前に才能があるからじゃろ、ヒーローの」

「じゃ才能発揮しちゃおうかな、標的はくそジジィ」

「待て待て待て待て待って!」

 

ジジィの口をこじ開けようとしたその時、

 

「緋色、雄英に行きなさい」

 

叔母さんが口を開いた。

 

「…叔母さん、なんで?」

「…貴方がヒーローとして活動していくかどうか、例えヒーロー科を卒業したとしても結局決めるのは緋色自身よ」

 

腕を組み仁王立ちする叔母さんは俺の目を見て言葉を続ける。

 

「緋色、貴方はその気になれば何でもできる、でも何かを行う時許しが必要な時もある…分かる?」

「…うん」

「ヒーロー免許を得れば許される事が増える…貴方のやりたい事が出来るようになるかもしれない…ならば、ヒーロー科に行くのは決して悪い事ではないはずよ」

 

叔母さんの言う事も確かにある、ヒーロー免許は言ってしまえば個性使用の許可でもある…あるとないとでは色々変わってくるだろう。

 

「…一晩考えるよ」

「それが良い、それで良い」

 

そう言って叔母さんは多分俺たち家族だから分かるぐらいにちょっとだけ笑った。

 

「それはそれとしてジジィ始末していい?」

「そうね話もこれで終わりだし良いわよ」

「よし!親父!腹くくれ!今日が命日だとよ!」

「刺しまくりますね」

『どこまで破壊されれば人体で無くなるのかデータ取らせてもらおう!』

「…助けて」

 

 

 

 

 

 

そして俺の部屋、隣にはヒミコがいる。

 

「…」

「…今日の月、ぼんやりしてます」

「…してるねー」

 

他愛もない会話、それもそこそこに先の話になる。

 

「…ヒミコ、端的に言うと叔母さんの言うとおりやれる事増やしたいならヒーロー科いってヒーロー免許取るのも有りだと思った」

「…」

「ただヒーロー科って事は他の奴らはマジでヒーローになろうとしてる奴らだから仲良くやってける気がしない」

「…」

「だからさ…ヒミコも一緒に来てくれるなら…行こうと思うんだけど…ダメかな?」

「…いいですよ」

「えっ」

 

意外にあっさりとOKが出たので少し驚いてしまう。

 

「私も多分ヒーローになりたいって人達とは仲良くできません…でも私今高校行ってないですし」

「…まぁヒミコ一個上だしね」

「それに私、ヒイロくんが大好きなので…ヒイロくんが苦しくなった時にすぐに助けてあげたいのです、ヒイロくんが私を連れ去ってくれたあの日みたいに」

「…あの日はだいぶ黒歴史なんだけどね」

 

ヒミコが世界一可愛い笑顔で俺の手を握る。

 

「ヒイロくんと一緒がいいのです♥️」

「…よしっ決まりだ」

 

俺はヒミコの手を握り返し、答えを決めた。

 

 

 

 

「てことで2人で雄英行きます」

「行きます」

「…そう」

「そうか!そうか!ヒイロ!ヒミコ!2人とも頑張れ!雄英の試験は厳しいぞ!父さん4、5回受けたが全部落ちた!筆記で!」

『あ、だったら次回の試験の問題を持って来てあげようか?どうやって?ハッキングだよ』

「父さんは勉強すりゃ良かったし母さんはやめて」

 

 

これから始めるのは、最高のヒーローになる物語なんて綺麗な物じゃない。

 

どこまでも人でなしな俺がこのヒーロー社会で生きていく物語だ。

 

 

 





新頭 緋色 (あらず ひいろ)

誕生日 6月2日

年齢 16歳

身長 187センチ

容姿 色白で女性的な顔をしている。紫色の髪をセミロング程度に伸ばしている。目はつり目気味で下睫毛が濃い。瞳は深く澄んだ緋色で瞳孔の部分が縦に伸びている。眉は少し太め。唇プニプニしてる。

身体は全体的に細めではあるが筋肉はしっかりついている細マッチョ。着痩せするタイプ。
至るところに傷痕があるが胸から腹にかけてはナイフで刺されたような傷痕が妙に多くある。

個性 まだ秘密


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