ヒーローアカデミア・人でなしの唄   作:ホネ星人

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人でなし・受験する

 

「はい受験当日ですと」

「ですね」

 

雄英高校ヒーロー科受験日当日、俺とヒミコは会場にいた。

 

「たっく…くそジジィ、俺がヒーロー科受けるって知った途端に裏山行かせやがって」

「死ぬかと思いました」

「ヒミコは死ぬ気で守ったけどさ…帰ったらジジィはシメる」

 

あの後、ジジィの裏山サバイバルにヒミコと一緒にぶちこまれたり、受験勉強したりヒミコの一年遅れの受験の為の手続きしたりでバタバタしていたら1年はあっという間で。

 

「早いもんだなー」

 

そう呟きながら俺達は試験場に向かった。

 

 

 

 

 

 

「自己採点は問題無し」

「大丈夫だと思うけど不安です」

 

筆記試験を終え、次は遂に実技試験。どちらかと言えばこちらを重視する形にはなるだろう。

 

「学力あっても動けなきゃな」

 

そして実技試験の説明が始まった。…名前は知らないがみょうにテンションの高い金髪トサカサングラスのおっさんの説明によると、時間内にエリア内にいる仮想ヴィランを行動不能にしてポイントを稼ぐというルールとの事。

 

ポイントは1から3ポイント。ただ配られた資料には4タイプの仮想敵が記されているなと思ったところで。

 

「質問よろしいでしょうか!?プリントには4種のヴィランが記載されています!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!」

 

なんかガタイのいい眼鏡君がトサカのおっさんに質問しだす。内容は俺が気になった所について…ついでにブツブツ言ってた生徒に注意をしていた。

 

それでトサカのおっさんの説明では4タイプ目はいわゆるお邪魔仮想ヴィラン、ポイントは0…もし大したことないようならスルーが妥当だろう。

 

…説明が終わり、実技試験の会場へと皆が移動し始める。

 

「ヒミコヒミコ、ちょっといい?」

「なんです?早く行かないと遅れちゃう」

 

そんな中ヒミコを呼び止め耳元で囁く。

 

「この試験、多分ロボの仮想ヴィラン倒して終わりじゃない…それと同じぐらい重要視されてる要素がある」

「それってなに?」

「おそらく…試験中にケガして動けなくなった他の受験生を助けたりする、なんていかにもヒーロー的な行動も見られている」

 

ただ仮想ヴィラン倒すだけで終わらせるなら、わざわざヒーローはいらない…戦車やら拳銃でも同じ事は出来る。なによりここはさっきの眼鏡君の言う通り日本最高峰のヒーロー科の入試、そこを見ずに落とす訳がない。

 

「言うなれば…救助ポイントがある、てことでヒミコはそれも意識してやってみて」

「はーい、ヒイロくんは?」

「俺?もちろん」

 

多分今の俺はとても悪い笑顔をしているのだろう。

 

「仮想ヴィラン、Massacre(みな殺し)♥️」

 

 

 

スタート地点、俺は軽く準備運動をしながら開始の時を待っていた。

 

「いっちにーさんしーごーろーしーはっと」

 

ついでに他の受験生達を観察する。目を閉じ精神統一する奴、俺と同じく準備運動する奴、緊張してガチガチの奴…色々いる。

 

(…ま、特に気になる奴はいないと)

『ハイスタート!』

 

その気の抜けた声と共に俺は駆け出していた。

 

『どうしたどうした!1人はもう飛び出してんぞ走れ走れ!』

 

そして他の受験生達もすぐに走りだしてきたが…

 

「残念だけど遅いよ」

 

俺はエリア内にたどり着き、一度足を止める。

 

「範囲・半径5メートル、対象・仮想ヴィラン」

 

言葉と共に俺を中心に半径5メートル、緋色の円が現れる。その中には数体の仮想敵がいる。

 

"気界近刀"(きかいきんとう)

 

ザザザザンッ!

 

次の瞬間、円の中にいた全ての仮想ヴィランが3等分に輪切りになった。

 

「とっ…残りパーセンテージは、85ってところか…」

『ブッコロス!』

 

ギィンッ!

 

『!?』

 

後ろから片腕を失った仮想ヴィランが残りの腕で攻撃してきたがそんなもん受けてやる理由はない。

 

"気装天鎧"(きそうてんがい)…からの」

 

仮想ヴィランの腕を阻む緋色の半透明な防壁越しに俺は手を銃の形に、いわゆるガンフィンガーにして向ける。

 

"気壊閃"(きかいせん)、バーンッ♪」

 

バチュンッ

 

人差し指から放たれた緋色の光弾は防壁をすり抜け、そのまま仮想ヴィランの頭部を貫いた。

 

「残り83ぐらい?やっぱ気界近刀はこういうギリ範囲内の奴を仕留めきれないのが欠点だな」

 

そう言いながら俺は目に力を込める、すると緋色のオーラが目に宿る。

 

("気遠盤上"(きえんばんじょう)、エリア内の残り仮想敵の位置…把握っと)

「そんじゃこっからは乱暴に行きますか」

 

そのまま目から全身にオーラが広がり身体を包み込む。

 

"気刻"(きこく)

 

ここからが本番だ。

 

~~~

 

「おいおいアイツ早すぎんだろ!」

 

この試験、俺には楽勝だと思ってた。こんなの個性ブッパすりゃ簡単にポイント稼げる…と。

 

「マジでどんな個性なんだアイツ!?なんでも出来すぎだろ!」

 

だけどそんな余裕はエリアに入ってすぐに消し飛んだ。まず目に入って来たのはアイツの周りの仮想ヴィランがバラバラに切り刻まれ残骸となった光景。

 

そして生き残りの仮想ヴィランの攻撃をバリアで防いでそこから指からビーム?を出していた、それからほんの少しの間を置いて突然そいつの身体が赤、いや緋色のオーラに包まれて…

 

「そしてこの無双状態かよ!」

 

今、そいつはエリア中を飛び回り片っ端から仮想ヴィランを殴り壊していた。

 

「ちくしょう!なんとか残ってんのも1ポイントの奴ばっかよ!」

 

俺は電気を放ちなんとかポイントを稼いではいるが…はっきり言って差がありすぎる。

 

「このままじゃ落ちちゃうじゃんかよー!!」

 

俺、上鳴電気はそう嘆きながらもエリアを走るのだった…

 

~~~

 

「ふぅ…これで大体80ポイントくらいかな」

(残りパーセンテージ45でこれなら上出来か…)

 

一度個性を解除し、一息入れる。

 

(しっかしさすがに全部持ってくのは無理だったか)

 

思った以上に他の受験生達のレベルが高い、最高峰に挑むだけあると言うことか。

 

なんて考えていると突然エリア全体を地響きが襲った、そして目の前に現れたのは。

 

「あーこいつが0ポイントの?確かにこんだけデカけりゃ邪魔にもなるか」

 

ビルよりも大きく重厚な仮想ヴィランだった。

 

「コレが出てくるならそろそろ終了かな…じゃ、最後の見せ場といきますか」

 

俺は両手を合わせる。

 

「残りは…帰るだけなら10パーあれば良し」

 

ゆっくりと開いた手の間には光り輝く小さな緋色の光弾。

 

"気羅煌星"(きらきらぼし)

 

それを0ポイント仮想ヴィランへと投げる、光弾は真っ直ぐ飛んでいき、仮想ヴィランに着弾する。

 

 

そしてエリア全体を緋色の光が覆った。

 

 

「…やっぱこの技どこで使おう」

 

光が消えた後には上半身の部分が消えた0ポイント仮想ヴィランが力なく佇んでいた。

 

『終了ー!!』

 

それと共に試験の終了が告げられた。

 

 

 

 

 

「帰宅ぅ…頭ボーっとする…」

「お疲れ様ヒイロくん♥️」

「んー…」

 

試験も終わらせ早々に帰宅した俺は自室でヒミコに膝枕をしてもらっていた。

 

「ヒミコもお疲れ…大丈夫そ…?」

「どうでしょう…まぁ多分大丈夫じゃないですか?」

「そっかー…」

 

俺は殆ど閉じた目でヒミコを見上げる。

 

「…ヒミコ、大好き…」

「私も大好きです♥️」

 

それだけ言って俺の意識は暗転した。

 

 

~~~

 

「…寝ちゃいましたね」

 

私のお膝の上で綺麗な寝顔を無防備に見せているヒイロをゆっくりと近くにあった枕に移動させて私は立ち上がる。

 

「…もし私がダメだった時、きっとヒイロくんは合格してても蹴っちゃいますね」

 

初めて会ったあの日、告白してくれたあの日、連れ去ってくれたあの日の事を思えばヒイロくんは簡単に自分の人生を投げ捨ててしまう。

 

「おやすみなさいヒイロくん」

 

私を誰よりも愛してくれる誰よりも危うい私の大切な人の部屋を出て、私は自分の部屋へと戻る。

 

…合格してるといいな。

 

 

 

 

 

 

「緋色ぉぉぉぉ!!!試験どうじゃったぁぁぁぁ!!!合格確実じゃろうなぁぁぁぁ!!!」

「(文字に起こす事が出来ない程の罵詈雑言)!!!」

 

私はその大切な人の怒声ですぐにナイフ片手に回れ右をした。

 

 

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