その吸血鬼は少女の身体に魂を宿した。
―――――ここは何処だ……?。私は……空条承太郎に破れ死に至った筈だ……。
その男、ディオ・ブランドーは……病院の一室で目を覚ましていた。
目を開き自分が今置かれた異様な事態に意識が一気に覚醒する。
「……いったいどういう事だ。これは……!」
太陽が彼を照らしてるのに彼の身は溶けない。
それどころか金髪だった髪は黒くなり英国人の屈強な男性の体から日本人の少女の身体へと変わっていたのである。
「
暦を確認すると今は2012年の秋のようだ。
だがそれにしては何かこの世界は奇妙な気がする。
まるでこの世界には石仮面や波紋やスタンド等のせっぱつまる殺気を感じ得ないのだ。
……つまり違う世界なのかと一つの疑問がDIOの頭を過ぎった。
「ザ・ワールドよ。いるか」
試しにザ・ワールドの名を呼ぶと背後に黄色い自分のスタンドが出てきた。
―――――我がスタンドの有無は確認は出来た。次にやることは……。
近くにあった果物ナイフでDIOは少女となった自分の右腕に少し傷を付けた。
当然血が流れるが、血は数秒の間に止まり傷も修復していた。
思わず高笑いしたくなるが病院でそれをしたら心療内科に移されそうなので必死に堪えた。
―――――フハハハハハ!。何と言う事だ!このDIO吸血鬼の能力を持ちながらにして太陽を克服してみせたぞ!。
嬉しさ極まり、バスケットに乗ったリンゴを二つ潰しゆっくりと味わう……。
勝ったわけでも無いが勝利の美酒のような旨さだ。
しかし深まった疑問もないわけではない。
これほどだけ力を持ち少女の身体に魂が転生した理由だ。
そもそも何故この少女は入院していたのだ。
少女の記憶がないのでDIOに知る由はないし、そもそもDIOが転生した時点で吸血鬼の能力で少女の入院したであろう病や怪我は消え去った。
「原因の特定のしようがないな……。しかしこいつの身体は私が転生した影響で今日にでも退院可能……。こいつの書物に答えがあるかもしれん」
「彩菜ちゃん……!。傷が治ったの!?」
カルテを落としながらパクパクと餌を求める鯉のように口を開け一人の看護師がやってきた。
エジプトで目を覚ました時に日本語の勉強はしたから何を言ってるかは分かる。
この少女は彩菜と言うらしい。
「はい。お薬が効いたみたいで」
「……そんなすぐ効く筈はないんだけどね。先生を読んでくるわ」
看護師は病室から出ていく。
「あやな……か」
日本人は英国人と違い平仮名と漢字で色んな組み合わせがあるからどんな漢字かは分からないがとりあえず少女の名前は分かった。
その後医師が来てDIOは藤沢彩菜と言う少女が交通事故に会いここに運ばれたと知った。
何でも信号待ちしてるところで躓き車に撥ねられたらしい。
彩菜曰く「誰かに押された」と証言し警察も調べたようだがその証拠は得られず、警察は彼女が躓き撥ねられたのと立証した。
―――――交通事故とは……この女相当トロいのか……。あるいは……。
程なくし彩菜の母が来てDIOは母と一緒に家へ帰宅する。
「ここが貴女の自室よ。事故のショックでちょっと記憶が混迷してると聞いたわ。早く治しなさいね」
「ありがとうお母さん」
「夕飯まで好きにしてるといいわ」
「はい」
あまり娘に興味が無さそうな親でDIOに取っては好都合だ。
彩菜の部屋を散策し彼女が書いたと目される日記やノートをいくつか見つけた。
DIOは座りながらそれらに目を通し、藤沢彩菜に何が起こったのかを知った。