「彩菜。貴女そんな格好して出かけるの?」
「うん」
黒いパーカーに赤いミニスカートを履いたDIOは今真莉へ呼ばれた場所に行こうと家を出ようとしたところを母親である藤沢雪が不思議そうに訪ねてきた。
―――――どうせ。この女も大したことはない。母親のくせに娘のSOSに気づけなかった親の風上にも置けぬ奴よ。
「彩菜。そう言えば先生褒めてお電話してくださったのよ。入院してたのに皆が学習してるところをスラスラ解けて偉いって」
「よしてよ。お母さん。ただ私は勉強しただけ。じゃあね」
「え、えぇ」
出ていく娘を見送り雪も流石に違和感を覚えていた。
あの子あんなに大人っぽかったかな……と。
――――――
―――――ここか。
DIOが呼ばれた場所は廃工場だった。
古臭い匂いが鼻腔を刺激する。
「こんな寂れた廃工場に呼び出すなんて……。お洒落のセンスくらい磨きなさいな。真莉」
「煩いわよクソ女……」
真っ暗な工場だが吸血鬼のDIOには、目を揺らしこちらを見つめる真莉の姿を完全に捉えていた。
「アンタを殺すにはこの場所がちょうどいい……。せっかく追い込んでやったのに調子づきやがって!気に食わないのよ!」
フン。とDIOは鼻で笑う。
「それで
「なっ!。工場の匂いで完全に消したのに……!。嗅覚化け物か!」
吸血鬼なら違う匂いを識別するなどなんて事ない。
「アンタ……本当に彩菜なの?。何でそんな自信に満ちあふれている……。何でそんな強気なの!」
「過去の藤沢彩菜を殺したからに他ならない」
「……そう。でもね私だって後に引けないのよ!。ここであんたを殺す!」
真莉はチャッカマンを取り出し火を着けようとしたが……出火口が凍りつき火が着かなかった。
「なっ!」
「貧弱貧弱ゥ。そんなチンケな策で私に勝てると本気で思ったか」
ザ・ワールドを発動させ真莉に近づき着火マンの出火口を凍らせたわけだが当然、スタンドも吸血鬼も知らない真莉にそんな事が分かるわけもなく凄く混乱していた。
「あんた本当に化け物なの!?」
「ご想像にお任せするわ」
―――――これじゃ!。お父さんの敵を取れない!。
「くっ……!うぅぅぅぅ!」
膝を付き真莉は泣き始めた。
「何だ泣き落としか」
「そんなんじゃない!。私は……お父さんの敵を討ちたかった!お前を自殺に追い込んで!」
「中々物騒な話だ。何故この私を目の敵にする」
「……あんたの父が私のお父さんから優秀な部下をヘッドハンティングしていった……。そして工場は回らなくなり父は首を吊ったのよ!。私も借金して自殺した奴の娘だと暴行を受けたりもした!……そんな中のうのうと楽しそうに暮らすアンタが許せなかったのよ!」
「ほう。真莉一つ教えてやる。お前の復讐は全く持ってお門違いも甚だしい。何故私に復讐する?。狙うなら私の父を狙え。それにお前の復讐はあまりにも幼稚だ。力がないなりに策を弄したのだろうが甘すぎる。やるならちゃんとやれるようなプランにしろ」
結城真莉はこれまで虐めて来ていた藤沢彩菜にとんでもない恐怖を覚えていた。
今の彼女は一体何を言った?。
甘すぎるだのやるならちゃんとやれるようにしろだの……目の前の人間は人の形をした悪魔なのだろうか……。
真莉が震えだす。
「わ、たしはアンタが……こ、わい!」
「なら私を敵に回さない事だ。お前の目標協力してやってもいい」
DIOは意地悪な笑みを浮かべるが何処か妖しく美しい。
「
「あぁ……」
震えが止まらない。
「どうした?。肉体で分からせてやるか?」
「あ、謝る……あ、やまります。今までごめんなさい……。そして私に協力してください……!」
「ほう……。いい目だ」
真莉の目には『漆黒の意思』が宿っていた。
まるで全ての感情を養分にし吸い取るような……例えるならば彼女は黒い薔薇の花を心に咲かせているのだ。
「無益な争いは終わり。今ここに私とお前の同盟が実現したわけだ。私にとっても父の存在は煩わしい……」
「ありがとう……。けど何故彩菜にとっても煩わしいわけ?」
「会社を乗っ取るのに邪魔だからだ」
「や、野心の塊ね……」
千鶴と同じく真莉は引き攣りながら笑う。
「ま、利害の一致って奴だ。これから宜しく真莉」
「こちらこそ彩菜……」
両者は(真莉は恐る恐る)、互いに握手した。
こうしてDIOは自分の魂が転生した彩菜が虐められる前よりも確実にクラスでの権力を高めて行くのであった。
もうあんな小さなクラスでの争いに興味はない、あれだけ見せつけても歯向かって来る者がいたら叩き潰す。
速く巨額の富を動かす経営者にならなければ……。