ウマ娘群像劇 作:バカうんちマン@裏垢女子
しかし学生の休日というものはやることがない。
部活かアルバイトをでもしていればこの時間は忙しいはずなのだが、あいにくと自分はどっちもしていないので貴重な休日を動画サイトでただただ意味の分からない動画をみることで消費してしまっている。
「なんやねんこれ」
ただよくわからないゲームによく知らない音楽を流した動画を見るだけで1時間は経過していた。
「…………」
しかし1時間がたったとかたってないとかはあまり関係なかったりする。なぜなら1時間たってこんな時間の浪費の仕方をやめられるやつはそもそも1時間も浪費しないからだ。
このまま無駄に時間を浪費し続けるのはまずいと思いながらもどうにも何かをしようとも思わない。そんな空虚な時間を破るようにインターホンが鳴る。
「だれやねんこんな時間に」
こんな時間とはいうが既に午後3時だ。のそのそとカメラの前まで行くとなにやら見覚えのある葦毛の少女が写っていた。
「おう、ウチや。暇やから遊びに来たで」
「どなたですか? カメラに写ってませんけど」
「ウチや言うてるやろ! あとカメラと目おうてんねん!」
「ウチやさんなんて知りませんけど。あとカメラには……あ! なんかちっこいのが写ってるわ!」
「お前ほんまにシバくぞ! ええからはよ開けんかい!」
「わかったわかった、今開けるから」
よくある漫才のような会話を一通り終えたところでカメラの前の少女が「いいかげんにしろ」といったような口ぶりで怒鳴るので笑いながら玄関の扉を開けいった。
「邪魔すんで」
「邪魔すんねんやったら帰ってんか」
「あいよ~……ってやかましいわ!」
玄関を開けて家の中に招き入れるとこれまたお約束のような流れになる。
「いやぁ~でもなんか落ち着くわこのノリ。こっちでアンタ以外に通じひんもんなこのネタ」
「そんな通じひんもんなん?」
「通じひんなんてもんやないで、オグリなんかほんまに帰ろうとするからな」
「そら帰ったときのツッコミ待ちのボケやろ」
「え、そうなん!?」
「そらそうよ、オグリちゃんかわいそうに」
「うわぁ~やってもたー……ってんなわけあるかい!」
家に入って数秒でそんなやりとりをしながら先ほどまでくつろいでいた部屋についた。
「相変わらず散らかってんな」
「男の一人暮らしなんてこんなもんよ」
「そんなもんなん?」
「せやせや、こんなもんや」
実際自分の部屋は散らかっているほうだが彼女がほかを知らないのでことなきを得ることができた。
「ふーん……ウチが掃除したろか?」
「ええって、タマに掃除させたらろくなことにならへんから」
「そんなことないやろ」
「いやいやあるから! てかあったから! お前昔俺の部屋掃除して物出すだけ出して漫画読んどった!」
「いやあれは漫画が悪いわ。引きがよすぎて次の巻に手が伸びてまう。編集がええ仕事しとるわ」
「話そらすなや!」
「まあ掃除の話は置いとってさ、なんかしよや」
「おいとってって……お前が始めてんけどな?」
「別にええやんか」
なにもいいことはないのだがどちらにしろその場の雰囲気で始まった話なのでとやかく言うつもりもない。
「なんかしよや言うけどな、なんもすることないで」
「なんかあるやろ。てか休日に家にいてんからなんかしとったんちゃうん?」
「なんもしてへんけど……」
「なんもしてへんことないやろ、もう昼の3時やで」
「いやほんまになんもしてへんかったわ。しいて言うならしょうもない動画一生みとった」
「お前寂しなかったんかそれで……」
「それ言うたらアカンやろ!」
「すまん! 堪忍や!」
タマモクロスがあまりにも失礼なことを言うので思い切りツッコんでしまった。しかし彼女はにひひと笑い、ちっとも悪びれずに両手を合わせて謝った。
「でもお前もお前やで、昼の3時に急に遊びに来てるんやから相当暇やろ」
「失礼な! ウチはさっきまでトレーニングしとったんや」
「あーだから部屋くさなってきてるんか」
「え、嘘!? シャワー浴びてきてんけど……」
「あ、嘘や嘘。冗談やからそんな焦んなや」
「ちょお今のはほんまに焦るて」
「すまんて」
少しデリカシーのない発言をしてしまい本気で焦る彼女を見て即座に謝る。
「ウチも年頃の女の子やねんで。そういうことは言ったったらアカンわ」
「さすがに俺が悪いな。けど年頃の女の子が一人暮らしの男子大学生の家に急に遊びに来るのはどうやねん」
「ウチとアンタの仲やからそこはええがな」
「じゃあさっきのもええがな」
「さっきのはアカンねん! それとこれとは話が別やわ!」
「ちょっとセコいでそれ」
「レディーファーストっちゅうやつやな」
多少というか全く違う気もするが今さらツッコんでも遅い気がするので触れないでおく。
「にしても暇やな~なんかおもろいもんないん?」
「暇て、いままで話とったやん」
「話すだけやったら飽きてまうわ。なんかゲームとかないん?」
「一応あるけど古いやつばっかやで」
「ええねんええねん、初めてやるんやったらおもろいわ。一緒にやろや」
「ええけどそれやったらコンビニいかん? 腹減ってきたからなんか食いながらやりたいわ」
「ええやん! はよいこや!」
そういって家に入ったばかりにも関わらず二人でコンビニへ向かった。
「ちょっと買いすぎたな」
「まあけど食えん量やないやん」
「せやな、余ったら持って帰ってええで」
「それは助かるわ! 最近夜オグリの腹の音やかましいて寝れへんことあるねん」
「そんなひどいんか」
「ひどいなんてもんやないで、たまにベッド揺れとんねん」
「さすがにそれは盛りすぎやろ」
「いやいや、ほんまやて。てかはよゲームやろや」
「せやな」
ソファに座りそんな他愛もない会話をする。
そして床に置いていたゲーム機の電源を入れ、起動するのを待つ。しばらくして古臭い音とともに画質の荒い画面が写りだす。
「うっわめっちゃ懐かしい音やな」
「もう10年前らしいわ」
「嘘やん! 最近まで一緒にやってた記憶あるって!」
「俺もそうやわ。ビビるよな」
「時が経つんは早いなぁ……」
「ほんまになぁ……でもいうて俺がこっち来る前までしょっちゅう遊んどったから1年くらいしかたっとらんで」
「それもそうか。でもなんか懐かしいわ」
「やな、ガキやったころ思い出すわ」
「小学校のころとか毎日アンタの家遊びにいってたな」
「そう、んでお前がコントローラーパクるねん。俺やっとんのに」
「それウチ悪ないからな」
「いや悪いって、あれで苦労してボスまでたどり着いたんにコントローラー取られて一瞬でパーや」
「そんなんアンタが2時間も一人でやっとるからやん」
「そんだけ難しかってんって」
「絶対そんなことないわ、ウチやったら楽勝やわ」
「いったな? じゃあお前今からやれや」
「おぉ、やったるわ!」
「上手いこといかんからって手ぇだすなよ、もう勝てへんからな」
「わかっとるわ!」
昔のことを懐かしんで話をしているとだんだんムキになったタマモクロスがコントローラーを奪うようにとった。
それを横でみながらお菓子の袋を開け、ソファにもたれかかりプレイの様子を眺める。
「なんやこれ! こんなんわからんて!」
「そこ初見殺しやからな」
「無理やん!」
「楽勝なんやろ?」
「ぐぬぬ……」
「はぁ!? 今のよけたやんか!」
「それ当たり判定おかしいんだよな、見た目の倍はあるで」
「ちょお待ってや! 死ぬ死ぬ死ぬ! あ……」
「最初からやな」
「やっとボスまできたで……」
「おーやるやん。見逃しとかないか?」
「あらへんと思うけど……あ、あそこになんかおるわ」
「お、ほんまやな」
「一応見に行って……ってはぁ!? 死んでんけど!」
「まぁそれ罠やしな」
「アンタが変なこというから引っかかってもうたやん!」
「アドバイスしたっただけやん」
「いやボスが普通に強いねん!」
「いままでとレベルが明らかちゃうよな」
「あかんって! 急に今までと動きのキレがちゃうねんて!」
「へたくそやん」
「うっさいねん! ……あー! 死んでもうた!」
「あーあ、最初からや」
「外野でやーやー言うからや! いっぺん静かにせぇ!」
「いたっ痛い! お前手ぇ出すないうたがな!」
「手やない、尻尾でシバいとるだけや」
「せやからそういうのを手ぇ出すいうねん! 痛い! ほんまに痛い!」
「大げさやのーてかあれやわ、座ってる場所が悪いわ」
ひとしきり尻尾で殴って少しはいら立ちが収まり再度コントローラーを握りなおしたかと思えばおもむろに脚をこじ開けさせ、その間に座る。
「お前なにしてんねん」
「何って、座りなおしただけやけど」
「何でここやねん」
「昔っからゲームするときはここやったやん」
「それは昔の話やろ! 今もうでっかなって邪魔……なことないわ、チビのまんまやったわ」
「…………」
「いででで! 耳でシバくな耳で!」
「因果応報や」
「器用な奴やなほんまに。ゲームへったくそやけど……いたいいたい! すまんて! 太ももつねらんでくれ」
「次なんか言うたら拳いくからな」
本当に座る位置が悪かったのか座りなおした瞬間に人が変わったように上手くなり始めた。
「おっしゃ! いけるいける!」
「おぉ~ほんまに上手なっとるやんか」
「やから言うたやん! 座る場所わるかってんって!」
「そんな変わることないやろ」
「実際変わっとるがな! ……やった! 倒したで!」
「おぉ~まあ俺のほうが上手いけどな」
「そんないうならやってみいや」
そういってタマモクロスはコントローラーを押し付けてくる。
「まぁみとけや、格の違い見せたるわ」
「いうたな? 下手やったらなんか奢ってや」
「ええよ、絶対にありえへんし」
「口先はええからはよやれや」
「わかったわかった」
そうしてゲームを始める、確かに難しい部類ではあるが一度クリアしているし何よりやりこんでいるので難なく進めた。
「は? めっちゃ上手いやん」
「だから上手い言うてたがなやりこんどんねん」
「前やってるん見た時全然できとらんかったやん!」
「何年前の話やねんそれ」
「まだ中学行く前ちゃうかな」
「そんな時間たっとったら変わるにきまっとる、誰かさんとちがってな」
「…………」
「いっでぇ! お前殴ったらアカンって! 拳はまずいやろ!」
「伸びしたら手当たってもうたわ、すまんなチビでちょうど顔面に手いってまうねん」
「いったぁ……あ、死んでもうてるし!」
「あーウチの勝ちやなこれは」
「それはセコいってさすがに」
「事故やからしゃーないわ」
「ほんまに達者な口やな。まぁええわ、なんか奢ったるわ」
「ありがとさん!」
「でもまた今度な、もう遅いからお前帰らなあかんやろ」
時計に目をやりながらそういうと、予想外の言葉が返ってきた。
「え、ウチ今日泊っていくけど」
「はぁ!? なんでぇ!?」
「いや外泊許可とってきてるし今日オグリ遠征でおらんし」
「そういう話ちゃうねん! 急に言うなっちゅうてんねん!」
「あれ? いうとらんかったっけ?」
「言うてへんわ! もぉ~めんどくさいってぇ~」
「……迷惑やったか?」
「いやもっと早く言えや。布団出さなあかんし泊まるんやったら晩飯買いに行かなあかんやんか」
「そんなんウチが手伝ったるやんか」
「もっとはよう言うてくれたらさっきいけたやんか……」
「男なんやからちっちゃいこときにしたらあかんで!」
「そういうことちゃうやん……晩飯買いに行くから準備せぇ」
「りょーかい! あ、さっきウチの勝ちやったから晩飯代はおごりで頼むわな!」
「がめつすぎるってぇ!」
地の文を書くのは苦手です。