「・・・」
アジトに戻った後、乃亜はガブリエルに手当てを受けた。
「これで大丈夫ですよ」
ガブリエルはそう言うと救急箱の蓋を閉じた。すると乃亜が頭に巻かれた包帯に軽く触れながら口を開く。
「・・・ありがとう、助かったよ」
「お礼はいりませんよ」
そんな会話をしているとアジトに待機していた仲間達が集まってきた。どうやら心配させてしまったらしい。
そしてその中でセイバーが何か言いたそうにしている事に気付く。
「・・・どうした?」
「マスター・・・その、すみませんでした」
そう言って頭を下げるセイバー。乃亜は不思議そうに首を傾げるとセイバーに尋ねた。
「?何がだ?」
「あの時、私が油断したせいでマスターが怪我を・・・」
どうやら自分が怪我をした事に責任を感じているらしい。だがそんな事はお構い無しと言わんばかりに乃亜は言った。
「・・・気にするな」
するとセイバーは少し驚いた表情を浮かべると言った。
「・・・怒らないのですか?」
「怒る必要は無いだろ?それにあれは俺が油断してただけだし」
乃亜はそう言うとセイバーの頭を優しく撫でる。すると彼女は嬉しそうに目を細めた。
「えへへ~」
するとセイバーは乃亜に抱き着くとそのまま頬擦りをする。そんな2人の様子を仲間達は微笑ましそうに見ていた。
それからしばらくして、ガブリエルが思い出したように言った。
「そう言えばノアさん」
「・・・ん?」
首を傾げる乃亜にガブリエルは言う。それは先程の出来事についてだ。
「あの廃車場ですが・・・ノアさんが持ち帰ったパソコンの情報だとやっぱりクロだったようです」
「・・・やっぱりか」
乃亜は納得したように頷いた。少し考え込んだ後に立ち上がると仲間達に言う。
「悪いけど俺は少し休むよ・・・何かあったら起こしてくれ」
そう言うと乃亜は就寝スペースと化している4階へと向かった。そして乃亜は寝袋に入る。
「・・・」
そしてそのまましばしの仮眠につく。
1時間後・・・
「ノア、レイナが呼んでいる」
ジュリウスが乃亜を起こしに4階に上がってきた。どうやらレイナが何か情報を探り当てたらしい。
「分かった、すぐに行く」
そう言うと乃亜は寝袋から出て4階から3階へ降りる。そして小部屋へと向かうと、そこには既にレイナを始め仲間達全員が待っていた。
「来た」
乃亜の姿を見るとレイナはそう言う。乃亜は軽く手を挙げて挨拶するとパソコンに向かう彼女の左隣に立った。
「それで?何か分かったのか?」
そう尋ねると、彼女はパソコンを操作して画面を乃亜に見せる。それは何かのリストだった。
「・・・これは?」
「ノアがあの廃車場で見つけたパソコンに入ってたデータ・・・あそこで降ろされてた商品みたい」
そう言って彼女が指差したのはリストの一番上にある項目だった。
「商品?これが?」
乃亜が尋ねるとレイナは頷く。そして説明を始めた。
「このリストに載ってる商品は全部武器・・・どれも強力で日本では違法なのばっかり」
そう言って彼女は別の画面を開くと、そこには様々な種類の銃の写真が表示されていた。中には戦争映画でしか見た事が無いような大型の重火器まで写っている。
「・・・」
乃亜は画面を見ながら考え込む。するとレイナが説明を続けた。
「このリストに載ってる武器の殆どは、あの廃車場で降ろされてた商品みたい」
そう言って彼女は別の画像を見せる。そこには先程のリストに載っていた銃の写真と、それを使ったと思われる犯罪現場の写真があった。
「・・・なるほどな」
乃亜は納得したように頷く。つまりあのスクラップ置き場で取引されていたのは全て違法な銃器という事だ。そしてそれを取り扱っていた組織が今回の事件の黒幕という事だろう。
するとここでイチゴがもっともな疑問を投げかける。
「でもあいつら、これだけの銃をどうやって日本に?」
「確かに・・・これだけの量を密輸するのは簡単ではありませんよ」
イチゴの問いに同調するかのようにガブリエルも頷くが、その問いに答えたのは乃亜だった。
「・・・車だ」
『車?』
乃亜の言葉にイチゴとガブリエルが首を傾げる。するとレイナはパソコンを操作して再度情報の解析を開始した。その間に乃亜が説明する。
「奴らは銃を密輸する際に日本国外で1度銃をバラし、日本に輸送される車に仕込む。そして日本に車が運ばれた後に取り出してまた組み立てる・・・」
乃亜の言葉にガブリエルとイチゴは納得したように頷く。するとレイナがパソコンを操作しながら言った。
「ノア、これ」
そう言って彼女は1つの画像を乃亜に見せる。それはスクラップ置き場で見かけた車の写真だ。そしてそこには先程見たリストと同じ武器の数々が載せられていた。
「これは・・・?」
不思議そうに尋ねる乃亜にレイナは答える。
「・・・この車は表向きには普通の中古車として売られてるけど、日本に運ばれる時には中身は完全に銃でいっぱいになってる」
その言葉は乃亜の推測が正解である事を裏付けていた。
「つまり奴らは日本で銃を組み立てて悪党相手に商売・・・俺の推測は正解って訳か」
乃亜の言葉にレイナは頷く。そして彼女は言った。
「ノア、奴らを潰す?」
レイナの言葉に乃亜は考え込む。だが答えはすぐに出た。
「ああ、どの道潰すのが早いか遅いかの違いだけだしな」
乃亜の言葉にガブリエルとイチゴは同意する。するとレイナが口を開いた。
「なら、私達も協力する」
そう言って彼女は仲間達を見回す。すると皆一様に頷いていた。どうやら皆も同じ考えらしい。
「ホント・・・皆、俺にはもったいない程だよ」
乃亜はそう言うと仲間達に向かって頭を下げた。するとレイナが口を開く。
「そんな事ない・・・私達は皆ノアについて行くって決めてる仲間だから」
彼女の言葉に他の仲間達も同意するように頷く。その様子に乃亜は思わず笑みをこぼした。そして彼は力強く言う。
「よし!じゃあ早速だけど作戦会議といこうか!」
こうして乃亜達による密輸組織の襲撃作戦がスタートしたのだった。
時間が殆どの人が寝静まった深夜帯、レイナが組織のパソコンからデータを吸い出したお陰で密輸商売の本拠地が判明した。
東京都内の山奥にある寂れた解体工場で、日本に輸入された分解済みの銃が仕込まれている車を運ぶ為に道路は当然の事、線路も繋がっている。
つまり密輸した銃を運び出すにはうってつけの場所だった。
「ここが奴らのアジトか・・・」
乃亜はそう言うと、目の前の古びた建物を見上げる。一見するとただの廃工場にしか見えないが、中では違法な武器が大量に保管されているのだろう。
その証拠に建物の周りには武装した男達の姿が見える。恐らく見張りだろう。だが彼等はまだこちらに気付いていないようだ。
「・・・よし」
乃亜は小さく呟くと仲間達に視線を向ける。
今回連れてきた仲間は廃車場で同行したジュリウス、セイバー、マイに加え、この密輸事件に最初に関わったイチゴ、カサネ、ウリエルも連れている。皆準備万端といった様子で頷いた。加え今回は監視と偵察兼用の意味合いで3機のドローンが上空より目を光らせている。ドローンを飛ばしているのはレイナだ。
「ノア、分かっていると思うが今のお前は怪我人だ。無茶はしてくれるなよ?」
ジュリウスは乃亜にそう言うと、ホルスターからサプレッサー付SIG 1911スコーピオンを取り出す。そして仲間達も銃や剣などの武器を構えた。
「分かってるよ」
そう言って乃亜は笑みを浮かべると工場の敷地内へと足を踏み入れた。それに続き他のメンバーも続く。
今回の作戦としては乃亜ともう1人が皆に先んじて工場内へ入り、警報装置を止めた後に一気に制圧するというものだった。
「ノア、無茶はしないでよ?」
イチゴの言葉に乃亜は頷く。そしてそのまま工場の入り口まで行くと、そこで一旦立ち止まり振り返った。
「皆・・・行くぞ!」
その言葉と共に乃亜ともう1人が駆け出す。そしてそのまま一気に敷地内へと侵入した。
工場外の見張りに気付かれる事もなく乃亜ともう1人、カサネが工場屋根の天窓から工場内を覗く。
「敵は・・・少なくとも15人。恐らく組織の従業員ね」
カサネの報告に乃亜は頷き天窓から下を見下ろした。そこには武装した男達の姿がある。彼等は突然の侵入者である2人に気付く事なく談笑していた。
「よし、俺が先に行く」
乃亜の言葉にカサネが頷くのを確認すると、乃亜は天窓から飛び降りた。そしてそのまま工場の床に着地する。
カサネも後から飛び降りると、彼女は素早く工場内の男達に駆け寄りその喉元をナイフで切り裂いた。
「な、何だ!?」
突然の奇襲に慌てふためき乃亜達に銃口を向ける男達。だがそんな状態ではまともに照準する事など出来ず男達が発砲する前に乃亜のサプレッサー付きワルサーP99から放たれた弾丸が男達の頭に命中、次々に絶命させていく。
これで工場内の隅にいる男2人は始末した、後は警報装置を止めればジュリウス達が突入出来る。その警報装置は2ヵ所に設置されており北と南のシャッターゲート脇に1基ずつ設置されている
「俺は北側をやる。カサネは南側の警報装置を頼む」
乃亜はそう言うと工場の奥へと駆け出した。
「了解」
カサネは短く返事をすると乃亜とは逆の方向へ駆け出した。そして彼女はそのまま工場内を駆ける。途中何人か武装した男達がいたが、カサネに気付く事なく乃亜に向かって発砲しようとしたところを背後からナイフで切り裂かれ絶命していった。
やがて南側のシャッターゲート前に到着すると偵察情報通りゲートの左脇に警報装置があった。
「・・・」
カサネは無言でナイフを装置に突き立てる。装置から火花が散り無用の長物と成り下がった。
「・・・」
彼女はそのまま無言でその場を後にする。乃亜の援護に向かう為だ。
その頃、乃亜は北側ゲートの警報装置付近にいる男を始末した所だ。ワルサーP99から放たれる9mm弾が容赦なく男の頭を撃ち抜く。警報装置周辺には乃亜以外には誰もいなくなり、乃亜は廃車場の時と同じ手順で警報装置を無力化する。
「よし、警報装置解除、カサネ、そっちは?」
トランシーバーによる無線で工場南側にいるカサネに確認を取ると、彼女は短く答えた。
《こっちも警報装置を壊した》
その報告に乃亜は頷く。
「よし、じゃあジュリウス達に連絡する」
乃亜はそう言うとトランシーバーで仲間達に連絡を取った。するとすぐに応答がある。
《ノアか?こっちは配置についた、いつでも行けるぞ》
ジュリウスの言葉に乃亜は頷いた。そして彼は指示を飛ばす。
「よし、じゃあ皆は合図の後に突入してくれ。俺の銃声が合図だ」
乃亜の指示に仲間達が返事をすると、すぐにカサネも合流した。彼女は無言で頷く。
ここで乃亜はP99をホルスターに仕舞うと、今度は別のホルスターからS&W PC M627を取り出す。これを出したという事は隠密行動を取る必要が無くなった事を示す。
「・・・始めるぞ」
乃亜はそう言うと棚の裏から飛び出した。
「な、何だ!?」
突然の人影に男達は驚愕するが、乃亜は構わず彼等に向かって発砲した。M627から放たれた357マグナム弾は男達を容赦なく撃ち抜いていく。
「がっ!」
「ぐっ!?」
短い断末魔と共に次々と倒れていく男達。乃亜はそのまま工場の奥へと駆ける。すると彼に気付いた何人かの男が銃口を向けた。だが乃亜だけに気を取られすぎた、乃亜の後に続くカサネがH&K VP9を取り出し躊躇いなく発砲する。
「がっ!」
「ぐふっ!?」
1発1発の威力は低くとも、9mm弾の嵐の前に男達は次々に倒れていった。そして乃亜とカサネはそのまま工場内を進む。
男達は銃声が聞こえた事で急いで警報装置を作動させようとするが既に乃亜とカサネにより装置は無力化されている。
「くそっ!何なんだこいつらは!」
工場の従業員達は次々と倒れていく仲間達を見て悪態をつく。だがそんな彼等の背後から突然大きな物音が。
乃亜のM627の発砲音を聞き付けたジュリウス達が突入してきたのだ。
「な、何だ!?」
突然の事態に男達は慌てふためくが時既に遅し。彼等の背後から現れたジュリウス達は持っている銃を容赦なく発砲、あっという間に工場内は阿鼻叫喚の地獄絵図と化す。
乃亜の仲間達、とりわけ廃車場で乃亜に同行していたセイバーとマイは敵に対し憎しみに近い怒りを抱いていた。特にセイバーは乃亜が怪我を負った事に対して強い責任を感じていた。だから彼女は普段以上に容赦がない。
「お前達は・・・絶対に許さない!」
セイバーはそう言うと抜刀し、1人の男の首を斬り飛ばした。そしてそのまま返す刀でもう1人の男の胴体を袈裟斬りにする。
「ぐふっ!」
胴体から血を噴き出しながら倒れる男。だがセイバーはその男には目もくれず次の獲物へと襲いかかった。
「ひっ、来るな!来るなぁっ!」
男は恐怖の表情を浮かべながら銃を乱射する。しかしそんな攻撃がセイバーに通用する筈もなく彼女は銃弾を回避しつつ間合いを詰めると一閃で男を絶命させた。
一方マイも朱槍を振るい次々と敵を倒していく。
「はあっ!」
マイの朱槍が弧を描き敵の首を刎ねる。その度に血飛沫が飛び散り辺りを赤く染めていった。
「くっ、くそぉっ!!」
男達はなんとか反撃しようとするが、そんな暇など与えないとばかりにセイバーとマイが次々と男達を切り刻んでいく。
そんな2人の戦いぶりを見ながら乃亜は静かに工場内を進んでいた。彼の周囲には既に何人もの屍が転がっている。だが彼は気にも留めず先へ進んでいった。
そして辿り着いたのは工場のオフィスらしき区画。乃亜は迷わずドアのカギをM627で撃って壊しドアを蹴破る。
「な、何だ!?」
突然の事態に驚きの声を上げるオフィス内にいたスキンヘッドの男。見れば黒スーツにネクタイと彼が1番身なりが整っている。
「お前がここのボスか?」
乃亜の言葉にスキンヘッドの男は乃亜を睨みながら言った。
「だったら何だって言うんだ?」
そう言うや否や懐から拳銃を取り出すと発砲してくる男。だがその程度の攻撃では乃亜は止められない。
素早く回避するとすぐさまM627の銃口を男に向け撃つ。
「がっ!」
銃弾は男の右肩を撃ち抜き、男は激痛に顔を歪めた。だがそれでも諦めずに逃げようとする男に対し乃亜は追撃をかける。
「がっ!ぐぁっ!」
何発も撃ち込まれる弾丸に男は倒れ伏し、それでも尚右手にある拳銃を向けようとするが乃亜はその銃を撃って弾き飛ばす。
「くそっ!何なんだてめえは!?」
男は乃亜に向かって叫ぶが、彼は何も答えない。ただ無言でM627の銃口を男の頭部に突きつけるだけだ。
「ひっ!」
男が恐怖に引き攣った表情を浮かべると、乃亜は静かに引き金を引いた。乾いた銃声と共に男の身体がビクンッと跳ね上がる。そしてそのまま動かなくなると完全に絶命した事を示した。
「・・・終わったか」
乃亜は小さく呟くとM627をホルスターに収めた。オフィスの外の方も静かになった事から方が付いたようだ。
「ノア、終わったの?」
乃亜がオフィスから出ると、そこには彼を待っていた仲間達がいた。皆怪我もなく無事なようだ。
「ああ」
乃亜は短く答えると周囲を見渡す。工場内の死体の数は20人近くあり、その中にはあのスキンヘッドの男も含まれていた。
そんな死体の山を見て乃亜は小さく呟く。
「・・・これが俺の選択の結果だ」
彼はそう言うと目を伏せた。そんな彼に仲間達は静かに寄り添うのだった・・・。
ED:トリカゴ/戸松 遥、市ノ瀬 加那、山下 七海、早見 沙織、石上 静香
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ミア・カルンシュタイン/【
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天翔 優利/【出会って5秒でバトル】
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