2人が待ち合わせ場所の広場へ到着すると、既にウリエルとジュリウスがベンチに座り待っていた。ジュリウスは何やらスマホを弄っているが2人が来るのを見つけるとスマホをジャケットのポケットにしまう。
そんなジュリウスに乃亜が声を掛ける。
「待たせちゃったか?」
「いや、大丈夫だ」
2人の会話を聞きながらガブリエルは小さく微笑むと空を見上げる。時刻は午後4時を回っていた。
「さて・・・そろそろ帰るか?」
乃亜の言葉に3人は頷き、4人は錦糸町駅へ。そして改札を抜けると千束から貰った割引券で電車に乗り帰路に就いた。
「今日は楽しかったです」
ガブリエルは電車に揺られながら呟くようにそう言うとウリエルが笑いながら続ける言う。
「私も、今日はありがとう、ノア」
「それは良かった」
2人の言葉に乃亜も小さく笑うのだった。
喫茶リコリコで乃亜達が千束達と会った翌日。ネットの情報網はレイナとオーレアが目を光らせている中、乃亜の姿はアジトのキッチンにあった。
「よし、上手く出来た・・・!」
乃亜はそう言うと目の前に置かれた皿に盛られた物を見て、彼にしては珍しく小さくガッツポーズをする。
そこにあるのは見事な黄金色に焼き上がったマドレーヌ。もちろん乃亜の手作りだ。今日もまた隠れ家を空けるかもと思いウリエル達の小腹を満たせるようにとの配慮である。
「ただ、見た目だけでちゃんと中まで出来てるか・・・?」
皆に変な物を食べさせる訳にも行かないと、乃亜が1つ試食にマドレーヌを1個口に入れようとする・・・が、何やら視線を感じ彼はそちらに目を向けた。
「・・・何してるんだ?ウリエル、ガブリエル」
乃亜の視線の先にはキッチンの入口から顔を半分だけ出してこちらの様子を伺っているウリエルとガブリエルの姿がある。2人は少し恥ずかしそうな表情を浮かべながら言った。
「その・・・いい匂いがしたので、つい・・・」
「ごめんなさい、ノア・・・」
2人の言葉に乃亜はため息を吐くとマドレーヌを1つ手に取る。そして2人に尋ねた。
「食べるか?」
するとウリエルとガブリエルは目を輝かせながらキッチンに入ってくる。そして彼女達はテーブルに着くとそれぞれマドレーヌを手に取った。
そんな2人の様子を見て乃亜は小さく笑うと言った。
「先に断っておくけど、味の保証はできないぞ?」
「・・・大丈夫です!」
2人は同時に言うとそのまま口に運ぶ。そしてマドレーヌを口に入れた瞬間、彼女達は目を見開いた。
「美味しい・・・!」
「はい・・・!すっごく美味しいです!!」
2人はそう言いながら次々とマドレーヌを口に運んで行く。乃亜も小さく笑いながら言った。
「それは良かった」
そして乃亜は皿に盛りつけられているマドレーヌの内1つを手に取ると口に運んだ。確かに2人の言う通り納得出来る出来栄えだ、生焼けという事も無い。
「これなら出しても大丈夫そうだな・・・」
乃亜はそう呟きながらマドレーヌを味わう。
その後はマドレーヌを冷蔵庫に入れて皆にも食べてもらうようにするだけだが、その時乃亜のスマホにメールが届いた。
「ん・・・?」
乃亜はスマホの画面に目を向ける。するとそこにはオーレアからのメールが届いていた。
内容は品川コンテナ埠頭で暴力団による大麻の取引が行われるとの事。
乃亜はメール内容を確認するとオーレアに『了解した』と返信し、スマホをポケットにしまう。
そして彼は小さく息を吐いた。
「ノア、何かあったの?」
ウリエルの言葉に乃亜は小さく笑いながら答える。
「ああ・・・ちょっとな」
「・・・大丈夫なんですか?」
ガブリエルの言葉に乃亜は頷くと言った。
「心配ないさ」
そんな彼の答えに2人は小さく笑うのだった。
そして日が傾き月が顔を出し始めた時間帯、麻薬取引の時間が近づいてきた。
乃亜はコンテナ埠頭の近くにある廃ビルから双眼鏡で取引現場の様子を確認する。
「レイナ、状況は?」
《麻薬の売人と取引相手の暴力団員が集まってきてる》
乃亜が尋ねるとレイナが答えた。そして彼は再び双眼鏡を覗き込むと、そこには暴力団員と麻薬密売人が何やら話をしている様子が見える。
《気を付けてね》
「分かってる、ありがとう」
乃亜はそう言うとスマホの通信を切り、隣にいる相方に目配せする。
今回乃亜の行動のサポートとして組んだのはゼロツーだ。
「じゃあボクが先に行って様子を見てくるよ」
「ああ、頼んだ」
乃亜が言うとゼロツーは頷き、そのまま廃ビルから飛び降りた。
「さて・・・」
乃亜は双眼鏡で取引現場の様子を確認する。するとそこにはレイナの言っていた通り暴力団員と麻薬密売人の姿があった。
2人の会話内容までは聞こえないが、麻薬の受け渡しが始まろうとしている事は分かる。
「・・・行くか」
乃亜はそう呟くと立ち上がり廃ビルから降りる階段へ足を向けた。
階段を降り、廃ビルから少し離れた場所に移動すると乃亜は腰のホルスターからワルサーP99とS&W PC M627を抜く。
右手にM627、左手にP99の
乃亜は銃を構えながらゆっくりと取引現場に向かって歩き出した。
そして彼は周囲を警戒しながら進む。すると突然銃声が聞こえてくる。
一瞬ゼロツーがやったのかと乃亜は思ったが、銃声は1発だけじゃなく2発、3発と続く。
大きく周囲に響くような銃声・・・恐らくマグナム弾の銃声だろう。
ゼロツーが扱うのはベレッタ 92 FS Inox。これは9mmパラベラム弾を使用する為ゼロツーが発砲したとは考えにくくなる。
どの道派手に銃声を鳴らされた為に隠密行動が意味を成さなくなった乃亜はP99をホルスターに戻し、S&W M627を構えながら埠頭内の倉庫に向かって走り出した。
再び銃声が聞こえてきた為、倉庫の壁の裏に一旦隠れ周囲を確認。
鳴った銃声は4発、先の分と合わせ計7発の銃声が鳴った後、周囲の状況を確認し終え倉庫へ入る。
中には人間の死体が7体転がっている、恐らく麻薬の売人とその取引相手である暴力団員だろう。乃亜は周囲を警戒しながら倉庫の中を進み、物陰に隠れながら取引現場を伺う。
「・・・」
乃亜は周囲を警戒しつつ静かに倉庫内を進む。
「ようやく会えたぞ」
突然声が聞こえ、乃亜はM627を声のする方へ向ける。
そこは倉庫2階の金網の足場が掛かっている箇所、そこに声の主は立っていた。
「お前は・・・!」
声の主の姿に乃亜は目を見開く。
DAの上級戦闘員である証の女子高生風の赤い制服を着て、ダーティブロンドの長髪をラベンダー色のリボンでポニーテールに纏めている。
そして瞳もリボンと同じような紫色。
見覚えのある姿がそこにあり乃亜は口を開いた。
「九条 若葉・・・!」
「ああ、また会えたな」
乃亜の言葉に九条は不敵に笑いながらそう答える。
そしてその彼女の腕の中には喉元にナイフを突き付けられているゼロツーの姿があった。
「ノア、ごめん・・・」
ゼロツーは力無く呟く。乃亜は小さく舌打ちするとM627を構えながら言った。
「何のつもりだ?九条」
乃亜の言葉に若葉は不敵に笑いながら答える。
「勿論、貴様を抹殺する為だ・・・!」
そう言い放ち、若葉は右手に持つ拳銃を乃亜へと向ける。
しかしその拳銃は以前使っていたグロック21ではない。そしてその拳銃は特徴的である為に乃亜はすぐ分かった。
「M686 プラスの3-5-7マグナムシリーズか?」
乃亜が言うと若葉は不敵に笑う。
「ご名答、よく分かったな」
そう言いつつ、まるで見せびらかすかのように右手に持つ[S&W M686 PLUS 3-5-7 マグナムシリーズ 5バレル]*1をヒラヒラと振る。
「いい銃だ、これなら
しかしその言葉に、今度は乃亜が嘲笑うかのような微笑を浮かべ、それに若葉が不満気に問う。
「何が可笑しい?」
「悪いな、あれが事故だって?あれはお前の慢心が招いた必然だろ?」
「何!?」
乃亜の言葉に若葉は怒りの表情を浮かべる。乃亜は小さく笑うと言った。
「お前の銃の腕は一級品だ、それは認める。だけどな、そんな腕を持っていながらお前は慢心しすぎた。だからあんな事が起こるんだ」
乃亜の言葉に若葉の怒りはさらに増すが、そんな事はお構いなしに乃亜は言葉を続ける。
「銃に合わせて癖を矯正するんじゃなく、自分に合った銃に変える。確かにその方が癖の矯正より訓練の時間は少なくて済むだろうな」
それでもまだ言い足りないようで、一呼吸置き「でも」と言って更に言葉を続ける。
「ただ単に銃を変えればハイお終いって訳じゃない、今度はその銃の癖を理解する必要がある」
乃亜はそう言うと若葉に向けていたM627の銃口を下ろし、更に若葉に向かって言った。
「それに・・・お前は1つ、大きく誤解をしてる事がある」
「誤解だと・・・?」
乃亜の言葉に若葉が聞き返すと、乃亜は頷く。
「簡単だ・・・お前に俺は殺せない」
乃亜はそう告げるとまるで自分から的になるかのように大きく腕を広げる、それに対し乃亜の言葉に若葉はついに怒りを爆発させた。
「貴様、私をなめているのかッ!!」
そう叫ぶと若葉は乃亜に向けたままのM686の引き金を引いた。
・・・が、弾丸が発射されるどころか発砲時の火薬の炸裂音すらしない。
「な、何・・・!?」
若葉は驚きの声を上げる。それでもM686を乃亜に撃とうと続けて引き金を引くが、やはり発砲音はせず、ただカチカチと撃鉄が動く音だけが響く。
「な、何故だ・・・!?」
若葉はM686の銃口を乃亜から外し、何度も引き金を引くがやはり銃声も炸裂音も鳴らない。
そしてその瞬間、若葉の腕に拘束されていたゼロツーへの意識が薄れた。その一瞬をゼロツーは見逃さなかった。
「はぁッ!!」
ゼロツーが大きく右足を振り上げ、若葉の顎に強烈な蹴りを喰らわせる。
「がはッ!?」
その一撃に思わずゼロツーを解放せざるを得なくなった若葉は後ろによろめき、追撃と言わんばかりに左足を上げ回し蹴りを若葉の顔に食らわせる。
「ぐあッ!?」
若葉は足場から落下しコンクリートの床に背中を叩きつけられる、
そしてゼロツーは若葉の拘束から解放されると足場から飛び降り乃亜のそばへ着地。乃亜はそんな彼女に小さく頷きながらM627の銃口を若葉に向ける。
「ぐっ・・・!」
「7発だ」
「何・・・?」
乃亜の言葉に若葉は訝しげに聞き返す。すると乃亜は言った。
「
「・・・ッ!?」
その言葉に若葉は驚愕すると同時に理解した、何故自分の銃が撃てなかったのかを・・・。
その答えは簡単だった。M686のシリンダーに弾丸が入っていなかったのだ。つまり弾切れである。
乃亜はM627の銃口を若葉に向けながら言う。
「
乃亜はそう言うとM627の銃口を若葉の額に向けた。
「お前は銃さえ変えれば俺に勝てると踏んだ、違うか?」
「・・・」
乃亜の問いに若葉は答えない。しかしそれは無言の肯定だった。それを見て乃亜は小さくため息を吐くと口を開いた。
「お前の敗因はその慢心だ、俺に勝てると思い込んでたその傲慢さがこの結果を招いたんだ」
乃亜の言葉に若葉は悔しそうに歯噛みする。そんな彼女に乃亜はM627の銃口を下ろしながら言った。
「お前に勝ち目はない・・・諦めろ」
乃亜の言葉に若葉は「くっ・・・」と呟く。そしてそのまま乃亜達に背を向けると倉庫の出入り口に向かって駆け出した。
「逃すか!」
ゼロツーがそう叫び、若葉を追おうとするが乃亜はそれを制止しM627をホルスターに戻しながら言う。
「・・・いや、いい」
「え・・・?」
その言葉にゼロツーは思わず立ち止まり聞き返す。すると彼は言った。
「もう勝負はついたんだ、これ以上追う必要はないよ」
そう言って乃亜は小さく笑う。
「ここを離れるぞ、すぐに警察かDAの増援が来るはずだ」
「・・・分かったよ、ノアが言うなら・・・」
ゼロツーは小さく頷きながら乃亜に付いて行く。そしてそのまま2人は廃ビルを後にし帰路についたのだった。
2nd ED:花の塔/さユり
Crossover Database
ジュリウス・ヴィスコンティ/【
ミア・カルンシュタイン/【
カサネ・ランドール/【
天翔 優利/【出会って5秒でバトル】
ゼロツー[Code:002]/【ダーリン・イン・ザ・フランキス】
イチゴ[Code:015]/【ダーリン・イン・ザ・フランキス】
マキナ・中島/【マクロス
レイナ・プラウラー/【マクロス
ウリエル/【モンスターストライク】
ガブリエル/【モンスターストライク】
セイバー[沖田 総司]/【帝都聖杯奇譚
マイ=ナツメ/【
RO635/【ドールズフロントライン】
E-123 オメガ/【ソニック・ザ・ヘッジホッグ】