翌日、乃亜達は武装女子高生達の動きに警戒しながらもホテルを出て隠れ家探しを始めた。
「ねえノア、これからどうするの?」
イチゴが尋ねる。するとウリエルが言った。
「とりあえずここを離れましょう」
2人は頷くと歩き出す。そしてしばらく歩くとカサネから電話がかかってきた。
『皆聞こえる?』
「ああ、どうした?」
『例の武装女子高生達が動き出したわ』
「・・・!」
3人が驚く中、カサネは続ける。
『どうやら私達を捜す為に仲間を呼んだみたい、今こっちに向かってるわ』
「何人だ?」
『4人よ』
「そうか・・・」
乃亜は考える。
(どうする?逃げるか戦うか・・・)
するとカサネが言った。
『ノア、私達は貴方に従うわ。だから貴方が決めて』
「・・・分かった」
乃亜は頷くとスマホを操作して地図アプリを開くととある場所を確認するが、仮にDAの武装女子高生達に尾行されれば全ておじゃんだ。
ならば取るべき手段は自ずと絞られる。
「カサネは足を確保してくれ。俺とウリエル、イチゴで迎え撃つ」
『了解』
カサネはそう言うと通話を切る。そして乃亜はスマホを仕舞うとウリエル達に言った。
「俺達はこれから例の武装女子高生達を迎え撃つ」
3人は頷く。そして彼女達が到着するのを待った。
それから暫くして、武装女子高生達がやって来た。4人の内3人はベージュ色の制服を纏って消音器を装着した[クリス ベクター]を構えている。
残る1人はダーティブロンドの長髪をラベンダー色のリボンでポニーテールに纏め赤い制服を着た、恐らく分隊のリーダーと思われる少女。彼女も拳銃を持っているようだ。
(・・・さて、どうするか)
4人を見て乃亜は考える。するとイチゴが言った。
「ノア、どうする?」
「・・・そうだな」
乃亜は考える。そして言った。
「イチゴとウリエルは彼女達を撹乱してくれ」
「分かった!」
イチゴが頷く。
「任せて!」
ウリエルも答える。すると乃亜は言った。
「俺はあのリーダー格の相手をする」
その言葉に2人は驚くがすぐに納得すると行動を開始する。
まず最初に動いたのはウリエルだ。彼女はFN P90を構えて発砲した。銃声と共に弾丸が飛び出し、リーダー格の少女に向かって飛んでいく。
「!?」
突然の攻撃に驚いた少女は咄嗟に回避行動を取る。そしてしぐさま拳銃を撃ち反撃するも。するとウリエルはそれを回避しつつニヤリと笑って言った。
「残念、外れよ」
次の瞬間、リーダー格の少女の背後で爆発が起きる。それはイチゴが仕掛けたトラップだった。
爆風で少女が吹き飛ぶと残りの3人が駆けつけて来る。そして彼女達は銃を構えながら乃亜達を取り囲むように展開した。
「・・・」
乃亜達は無言で相手を見る。すると赤い制服を着た少女が口を開いた。
「お前達だな、私達の邪魔をする奴らとは?」
「・・・だったら何だ?」
乃亜が言うと彼女は笑う。そして言った。
「恨みはないがこれも任務だ、消えてもらう」
そう言うと彼女は銃を構えると発砲した。だが全員にその弾丸が躱される。
「無理ね、貴方達じゃ私達には勝てないわ」
ウリエルはそう言うと再び発砲する。すると今度はリーダー格の少女ではなく、他の3人が動いた。
「!」
3人は一斉に散開すると乃亜達を囲むように展開する。そして彼女達は銃を構えた。
しかしそれは柱の陰からMP5SD2を構え飛び出したイチゴによって阻まれる。
「!?」
驚く少女達。だがイチゴは冷静にMP5SD2を発砲する。放たれた弾丸が少女の肩や足に命中すると彼女は倒れた。
(・・・やるな)
乃亜は内心で感心する。そして残りの3人もウリエルとイチゴによって無力化されたのだった。
「・・・」
武装女子高生達は無言で倒れる仲間達を見つめる。そんな彼女達を見て乃亜は言った。
「降伏するなら命だけは保障するけど?」
「・・・誰が」
赤い制服を着た少女が起き上がると乃亜を睨む。
「そう、なら仕方ないな」
乃亜はそう言うとホルスターからPC M627を取り出す。そして銃口を向けると少女に向かって発砲した。だが少女は回避行動を取る。
乃亜の弾丸を躱した少女もすかさずグロック21で乃亜に反撃を行う。
ガキンッ!!
互いが撃ち合っていた時だ、少女のグロック21から金属音が聞こえてきたのは。
乃亜が激しく動き回りならが撃つのに対し、少女は乃亜を捉える為に銃を真っすぐ構えず腰の位置で拳銃を構え撃っていた。
その時の発砲時、少女は反動を肘を曲げて逃がしていたがその撃ちは自動拳銃のグロック21とは相性が悪かった。
自動拳銃は発砲の反動を利用し排莢と次弾の装填を行う。
その為反動を逃がす必要はないのだが少女は早撃ちの為に銃を腰の位置で構え反動を肘を曲げ吸収していた。
するとどうなるか? 答えは単純、拳銃の排莢が正常に機能せずスライドが空薬莢を噛んでしまうのだ。
そして空薬莢を噛んだスライドは次弾の装填が出来ず、銃は発砲できない。
乃亜はその瞬間を見逃さなかった。生憎と乃亜のM627も弾切れで撃てない状態だが空薬莢を噛んで装弾不良を起こした彼女に比べればマシだろう。
一気に少女との距離を詰め、鳩尾に拳を叩き込む。
「かはっ!」
少女は口から空気を吐き出すが乃亜は容赦などせず、少女の左腕を掴むと見事な一本背負い投げを決め、少女をコンクリートの床に叩き付ける。
「ぐっ!」
少女は痛みで声を上げ、投げられた時に少女の手から滑り落ちたグロック21が落下の衝撃でようやく空薬莢を吐き、その薬莢が少女の下へ転がってくる。
コンクリートに叩き付けられた痛みと鳩尾を殴られた時の痛みで表情を歪めながらも少女は乃亜を睨むが、乃亜はそんな少女の前でPC M627のリロードを1発ずつ手動で行う程の余裕を見せる。
「リーダー・・・」
ベージュ色の制服を着た少女3人の内1人が心配するように呟くが、撃たれた痛みで身体を思うように動かせない中ウリエルとイチゴにより他2人と同様に背中に両手を回され手錠を掛け拘束される。
「・・・」
赤い制服を着た少女は無言で乃亜を睨む。だがその瞳はどこか弱々しいものだった。
「・・・投降しろ、お前達の負けだ」
乃亜がリロードを終えそう言うと彼女は悔しそうに歯噛みする。
「・・・」
暫く沈黙が続いたが、やがて彼女は口を開いた。
「・・・殺せ」
「・・・」
乃亜は無言で彼女の両手を背中に回し、手錠を掛け拘束する。
「・・・」
赤い制服を着た少女は無言で乃亜を見つめる。そして言った。
「私は負け任務に失敗したんだ、生きる価値なんて無い」
「・・・」
乃亜は何も言わない。2人の間に静寂が訪れるがやがて乃亜が口を開く。
「断る」
「!?」
乃亜の言葉に少女は驚く。他の武装女子高生達もだ。
「・・・なぜだ?」
少女が尋ねる。すると乃亜は答えた。
「お前達には聞きたいことが山ほどある」
「・・・」
少女は何も言わない。すると乃亜は言った。
「まずは名前だな、何て呼べば?」
「・・・若葉、
少女・・・若葉は答えると他の武装女子高生達も名乗り始める。そして彼女達の自己紹介が終わると今度は乃亜が質問を始めた。
「お前達の目的は何だ?」
「・・・言えない」
(まあ、そうだよな)
予想通りの答えに苦笑する乃亜だが続けて尋ねる。
「じゃあ次の質問だ、お前達はDAか?」
乃亜の質問に若葉は答えない。するとウリエルが言った。
「答えなさい、貴女達はDAの回し者なんでしょ?」
「・・・そうだ」
若葉が答えるとイチゴが怒ったように言う。
「やっぱり!じゃあ何で私達を狙うの!?」
「・・・」
再び黙る若葉に乃亜は言った。
「教えてくれ、お前達は何で俺達を狙う?」
「・・・言えない」
若葉の答えに乃亜は溜息を吐く。
するとイチゴが怒ったように言う。
「いい加減にして!貴女達は何がしたいの!?」
「・・・」
若葉はやはり答えない。その態度に堪忍袋の緒が切れたかイチゴがグロック19を若葉に発砲しようとするが乃亜がそれを制止させながら言った。
「もう良いよイチゴ、お前達は俺達の捕虜だ。だから殺しはしない」
「でも!」
食い下がるイチゴに乃亜は諭すように言った。
「イチゴ、俺達は殺し合いがしたいんじゃない」
「・・・分かった」
イチゴは渋々といった感じでグロック19を下ろすと若葉に言った。
「アンタ達は私達の捕虜、だから殺さないけど情報だけは吐いてもらうからね!」
「・・・」
若葉は何も言わない。
「じゃあ質問ね、アンタ達はDAなの?」
ウリエルが尋ねる。しかし若葉は答えない。
(まあ、そうだよな)
乃亜がそう思っているとイチゴが再びグロック19を構えようとするので再び制止する。すると今度はウリエルが言った。
「それじゃあ質問を変えるわ、貴女達の目的は何?どうして私達を狙うの?」
「・・・言えない」
「いや、言える」
しかし乃亜が若葉の言葉を否定する。すると若葉が乃亜を睨みつけながら言った。
「貴様、何を!」
「お前達はDAに命令されて俺達を狙うんだろ?」
「・・・っ!」
若葉の表情が変わる。どうやら図星だったようだ。
どうやらこの若葉という赤い制服の少女、確かにメンバーを纏める素質はありそうだがやや感情的になりやすい所があるみたいだ。
「・・・」
若葉は乃亜を睨みつける。だが当の乃亜はどこ吹く風だ。
「図星か、まあそうだろうな」
「・・・黙れ」
(こいつ、意外と負けず嫌いな所があるみたいだな)
そんな事を考えつつ乃亜は話を続ける。
「お前達が俺達を狙う理由は何だ?」
「・・・言えない」
どうやらまだ意地を張るつもりらしい。するとウリエルが言った。
「貴女に拒否権は無いわ、さあ言いなさい」
ウリエルが命令するが若葉は黙ったままだ。
「・・・」
乃亜はその態度を見て溜息を吐く。再度問い詰めようとするがここで乃亜のスマホが鳴る。
この状況で乃亜の番号にかけてくるのは外で行動中のカサネしかいない。
乃亜は若葉達に「少し待ってろ」と言うとスマホを取り出し通話ボタンを押す。するとカサネの声が聞こえた。
《ノア、今大丈夫?》
「ああ大丈夫だ、そっちはどうだ?」
《今着いた所よ、それと急いで、武装女子高生の増援が向かってる、赤が1人と紺が4人よ》
「分かった、すぐ行く」
乃亜は通話を切ると尋問を続けるウリエルとイチゴに言った。
「時間切れだ、撤収するぞ」
「ええ、分かったわ」
ウリエルが頷き、イチゴも渋々といった様子で頷く。
「そうだ九条、お前にアドバイスがある」
しかし乃亜が突然立ち止まり、若葉に言う。
「?」
「・・・お前はDAに訓練されて来たんだろうけど、自分に合う銃を選ばないのは問題だぞ?」
「・・・」
若葉は何も言わない。乃亜は言った。
「お前のグロック21、
「・・・それがどうした」
若葉が答えると乃亜は真剣な表情で言った。
「それはお前の癖が原因だ。素早く撃つ為に腰の位置で構えたとはいえ反動を肘を曲げて逃がしていた、けどお前が使ってたグロックは
若葉は何も言わない。乃亜は続ける。
「お前は、どっちかと言えば
「リボルバー・・・?」
乃亜は頷く。そして言った。
「もし、お前がもう1度銃を握る機会があればグロックから別の銃に乗り換えるといい」
若葉は黙って話を聞いている。
乃亜は言いたい事を言い終え再び歩き出す。ウリエルとイチゴもそれに続く。
そして最後に振り返ると若葉に言った。
「じゃあな九条、また会う機会があれば会おう」
そう言うと今度こそ歩き去るのだった。
「・・・待て!」
乃亜達が立ち去ろうとした時、若葉が叫ぶ。
「?」
「・・・何だ?」
「まだ何かあるの?」
乃亜とウリエルとイチゴは立ち止まると振り返る。すると若葉が言った。
「貴様の名前を教えろ」
「・・・」
乃亜は暫く黙っていたがやがて答えた。
「ノアだ、
「・・・そうか。覚えておくぞ、その名前」
乃亜は今度こそ若葉達から背を向け歩き去るのだった。
乃亜達は廃倉庫を出た後、すぐにカサネと合流した。
「ノア、大丈夫だった?」
心配そうに尋ねるカサネにウリエルが言う。
「ええ、問題は無かったわ」
3人はカサネが調達してきた車に乗り、運転は乃亜が代わる。
「それでノア、尋問の結果は?」
カサネが乃亜に尋ねる。すると乃亜は答えた。
「ああ、DAの回し者だったよ」
「やっぱりね」
ウリエルが納得したように言うとイチゴが言った。
「ねえ、そのDAって何なの?私達を狙う理由って・・・」
そんなイチゴの質問に乃亜が答える。
「レイナから聞いた話だと、連中は犯罪者を殺して回り、犯罪その物をなかった事にしてるらしい」
「犯罪をなかった事に・・・?」
乃亜の言葉にイチゴが驚いたような表情を浮かべ言葉を続ける。
「それって、警察の仕事なんじゃ・・・」
「・・・いや」
乃亜は首を横に振ると続ける。
「連中は警察にも影響力を持ってるらしい、だから警察も手が出せないんだ」
「・・・そんな組織が私達を狙う理由って何かしら?」
そんなカサネの疑問に乃亜は答えた。
「俺の勝手な憶測だけど俺達を殺す事によって自分達の存在を隠す為じゃないかな」
「私達を殺す事で自分達の存在を隠す?」
イチゴが首を傾げる。乃亜は頷くと言った。
「ああ、連中が犯罪をなかった事にしてるなら警察も手が出せないし、逆に警察が動いたら自分達の存在が表沙汰になるしな」
「でも私達が独自に動いてた事はDAも想定外で、結果私達はDAの構成員である彼女達の存在を知った。だから彼女達に私達の抹殺を命令した、ってとこ?」
ウリエルが言うと乃亜は頷く。
「まあ、あくまで推測だけどな」
「でも、その推測は当たっていると思うわ」
カサネが言うと乃亜も頷いた。
「ああ、俺もそう思うよ」
そのまま乃亜の運転する車は東京を離れていった。
東京を離れて2時間後。尾行を警戒してルートを変えたりと寄り道を続け、乃亜達はとある廃ビルに到着した。
「ここは?」
イチゴが尋ねる。するとカサネが言った。
「私達の日本での隠れ家よ」
「隠れ家?」
イチゴが首を傾げる。カサネは頷くと乃亜が彼女に合わせるように口を開く。
「ああ、カサネが探してくれた」
「ええ、東京から少し離れた所にこんな廃ビルがあるのよ」
そう言ってカサネはビルの中に入って行く。乃亜とウリエルとイチゴも後に続く。
地上7階に地下1階、電気は今も通っている。
1~5階まで通じる貨物リフトもあり屋上からは東京湾、工場地帯等が眺望出来る。
「良い場所ね」
乃亜達は屋上へ上がり、ウリエルが周囲を見渡しながら呟く。乃亜も頷くと言った。
「ああ、そうだな」
そして乃亜がウリエル、イチゴ、カサネに振り返る。
「ここで少し休暇といこう」
「休暇?」
イチゴが首を傾げる。乃亜は頷いた。
「ああ、アメリカにいる皆がこっちに来るまでには少し時間がかかるから」
「だからその間は休暇って事ね」
カサネが言うと乃亜は頷く。そして言った。
「ああ、今のうちに休んでおこう」
3人は頷くと早速屋上の床にレジャーシートを敷いて寝転ぶと持ってきたお菓子やジュースを食べ始める。
「私達が組織からのお尋ね者って状況じゃなければもっと良かったんだけどね」
ウリエルが言うと乃亜は頷く。
「まあな、でも今はこの隠れ家でゆっくりしようぜ」
そんなやり取りをしているとカサネが思い出したかのように言った。
「そう言えばノア、貴方DAの構成員と戦ったんでしょ?どうだった?」
「どうって言われてもな・・・」
乃亜は考え込むように顎に手を当てると言った。
「・・・強かったよ。伊達に犯罪者を殺す為に訓練されてはないな、特にあの九条って奴はそうだ」
「あの赤い制服の?」
ウリエルが尋ねる。乃亜は頷いた。
「ああ、まだ粗削りって感じだけどあいつの早撃ちは俺が知る限りじゃ一番だ」
「そう、貴方がそこまで言うなんてね。やっぱり強いのね」
カサネが言うと乃亜は頷く。そして言った。
「ああ、今回はあいつの癖に銃が合ってなかったってだけ。じゃなきゃヤバかったよ、その証拠にほら」
そう言って乃亜は自分が着る赤いジャケットを脱いで背中部分を見せる。
そこには弾丸が掠ったか破けた跡があった。
「これは・・・」
「掠ったの・・・?」
ウリエルとカサネが驚く。乃亜は頷くと言った。
「ああ、あいつの早撃ちにやられた跡だ」
「でも、ノアならこれぐらい避けられるんじゃ?」
イチゴが尋ねる。乃亜は首を横に振った。
「いや、避けきれなかった」
するとウリエルが言う。
「ノアの動きに付いて来れるなんてね・・・やっぱり訓練されてるだけの事はあるわね」
「ああ、あいつは絶対に強くなるよ」
ウリエルの言葉に乃亜が同意する。
「そうね、私達だって負けてられないわ」
「うん、私達ももっと訓練して強くならないと」
カサネとイチゴもウリエルに同意する。
「そうだな。だけど今はしっかり休もう」
乃亜がそう言うとカサネとイチゴは頷き、ウリエルも頷く。
そして4人は暫くの間、この隠れ家で休息をとるのだった。
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レイナ・プラウラー/【マクロス
ウリエル/【モンスターストライク】
ガブリエル/【モンスターストライク】