イノセントDays   作:てんぞー

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エキシビジョンB-2

 ―――たとえばそこに剣があったとする。

 

 大体の剣は細く、そして長い。片手で握り、振るい、そして西洋剣であれば叩いて斬る武器だ。東洋剣であれば押して、引いて、斬る。どちらも一定の技術が要求される事だ。そして西洋剣での扱いを東洋剣へと適応する事も、その逆も出来る。何故ならつるぎは剣、という大きなジャンルの内にあるから。形状が離れようとも、熟練した技巧があれば少し形が変わっていても東洋剣の技を西洋剣で再現することは十分に可能だ。それは少々難しいかもしれないが、不可能ではない。だが今度はそれを斧に適応してみたらどうだろうか。可能だろうか? 難しい、だがまだ形状が近い分、不可能ではない。

 

 ならもっと種別を離れて、槍に変えてみる。こうなると不可能になってくる。長さが、重さが、何より必要とされる技術が完全に違う。ジャンルが違いすぎて、同じことをやるのは不可能だ。故に剣に必要な修練、そして槍に必要な修練は全く違う。それは勿論他の武具でも同じことだ。斧には斧の修練を、弓には弓の修練を。銃には銃の修練を。そうやってそれぞれ適切な修行や鍛錬というものが存在している。

 

 ―――それを馬鹿馬鹿しいと評価した爺が昔、存在した。

 

『奥義だとかなんだとか言って、結局やってる事は同じじゃねぇか。避けられないとか、防御できないとか、何でもぶった切るとか。つまりはそういうことが出来ればいいんだろ? だったらどの武器を持ってもやる事は一緒じゃねぇか。ジャンルが違うから技が使えねぇとか阿呆だろ。結局は同じ結果求めてるんだから同じ事やりゃあいいじゃねぇか』

 

 とんでもない暴論、正しく阿呆の妄言だ。そう言って実践できるのであればどれだけ楽だったのだろうか。そんな事が可能ならそもそも武器の習熟や修練、訓練、鍛錬、修行、慣れ、そんな事が必要なくなる。流派という存在そのものを脅かす理論だ。ありえるありえない以前に認める訳にはいかなかったが、

 

 その爺は阿呆だった。

 

『必要なのは才能じゃなくて素質よ。基礎とコツ。変なクセや慣れじゃねぇ、器用にこなせるだけの素質だよ。まあ、変なクセつけずガキの頃からしつけてりゃあできるんじゃねぇの。やべぇ、孫が生まれたばっかだし実験しよ。お爺ちゃん今行くよ―――!』

 

 そして、

 

 それを実践した孫は、実践したからこそ、阿呆だった。

 

 

                           ◆

 

 

 ―――人生何が役に立つかホント解らないなあ!

 

 男なら何よりも浪漫を突き進みつつも実用性を取れ、とどっかの糞爺が言っていた。近代化されて行く社会の中で体を鍛えていてもなれるのはアスリートかスタントマンぐらい。武術を習ってもそれが金に結びつくことはあまりない。だからこそ、覚えるべきだと糞爺は主張していた。人生何が起きるかは解らない。だからこそ覚え、手札を増やしておくべきだと。そうすることによって出来る事が、選択肢が増えて行くのだ、と。

 

「その結果がこれだと思うと笑えるなぁ……!」

 

 大剣形態のバルディッシュとバルニフィカス、それらを両手で握り、跳躍する。跳躍した瞬間、先程まで立っていた場所に背丈を超える巨大な剣が突き刺さっているのを認識する。魔法名は忘れたが、確かドゥームブリンガーの上位版であった筈だ。内容もシンプルに巨大な剣を一度に複数叩きつけるだけだったはずだ。夜天の書や紫天の書の様に大量のスキルカードをストックしておけるデバイス持ちとは非常に相性が良い系統の魔法でもある。何故ならこういう魔法は複数所持している場合、同時多重展開で一度に数百という数を叩き込むことが出来るからだ。

 

 前を見る。

 

 体よりも大きな剣が雨の様に降り注いでくる。一つ一つが大きいため、ブラッディダガー程密集しておらず、間を抜けるぐらいの隙間が存在する。故に跳躍から大剣の柄に着地し、膝を曲げ、そこから全力で上へと向かって跳躍する。体めがけて飛翔して来る大剣が見える。その前にあえて飛行魔法を使わず、逆さまに落下しつつ睨み―――そして接触の瞬間、切っ先をバルニフィカスの切っ先と合わせる。

 

 大剣の動きが止まった瞬間に体を捻る様に回転させ、大剣の腹に着地し、横へ一回転する様に両手の二刀を振り回す。それによって襲い掛かってきた十ほどの刃が砕け散る。そしてステップに耐えきれず足元の大剣が砕け散り、体が再び落下を始める前に―――砕け散った欠片の一つを蹴り、一気に前進する。

 

 正面から直進して来る大剣に向かって体を捻り、回転しながら跳躍する事で回避する。それを狙ったように刃が殺到して来る。が、それを両手の刃を振るう事で砕き、そして砕け散ったそれを足場に片足だけを乗せ、刃を両側に伸ばす様に広げる。

 

「アメリカン・ジェダイスタイルってやつさ」

 

 振り回す。肩の後ろを、腋の下を、胴の前へと投げる様に、踊る様に投げ渡し、体をゆるく回転しながら四方八方から襲い掛かって来る大剣の連打を一枚一枚正面から砕け、そして散らす。砕ける度に増える残骸を足場に、ゆっくり歩くように少しずつ落ちて行く残骸で出来た空の道を歩き、前へと進む。見えてくるのは刃と刃の間の隙間にある詠唱者―――アインスの姿だ。夜天の書を横に浮かべる姿は詠唱待機状態に入っている―――即ち大魔法を放てる状態だ。

 

「―――汝冥途より生者を招く絶叫。冒涜をもって引き込め」

 

「≪サクリファイススペル≫かーらーの―――」

 

 アインスが発動させるよりも早く体を回転させながら≪サクリファイススペル≫を発動させる。バルディッシュがスパークを始めながら魔法が組みあがる。同時に夜天の書を召喚し、それを横に浮かべながらバルディッシュを全力で振るい抜く。

 

「―――ジェットザンバー!」

 

 瞬間、すべての大剣が砕け、空が鉄の残骸に埋もれながらも空が開ける。砕き、減衰させながらも高速の斬撃がアインスへと届く。しかしそれでは十分にアインスを倒すだけの威力は出ない。問題なのは耐える事で成功させた魔法の方だ。そこまでして完成させた魔法であるが故、その規模は解る。何より使用した詠唱がなんのものかを覚えている。

 

「―――亡びの風」

 

 空が曇るのと同時に雷鳴が響き始め、そして足元の大地もまた同時に黒雲に包まれ始める。エルトリアフィールドが青空の美しい世界から一気に黒雲の舞う大地へと変貌する。その間を凄まじい風が収束するのを感じる。上下から風が同時に襲い掛かり相手をすりつぶすフィールド系の攻撃魔法、亡びの風。発動には長時間の詠唱を必要とするが、それを一対一の勝負で使用できる時間にまでカットしたのは間違いなくアインスの力量だろう。

 

「潰れろッ!」

 

「スペルセットか、ら、の、もういっちょ≪サクリファイススペル≫……!」

 

 バルニフィカスが悲鳴を上げる様な音をその内部から叫ぶ。それを無視して刃を振り上げた瞬間、風を突き破って雷鳴がバルニフィカスへと落ちてくる。それを纏ってバルニフィカスが更に輝き、手の中でクル、っと回す様に回転させながらバルニフィカスを振るう。

 

「元祖・雷刃封殺爆滅剣!」

 

 バルニフィカスがはじけるのと同時にバルニフィカスから稲妻が刃の様に伸び、それがアインスへと突き刺さる。その瞬間には既にアインスの周りには魔法陣が、そしてそれが周りの変化した天候へと繋がるのが見えている。魔法と魔法をリンクして、詠唱を大幅にカットしている、と予測した所で―――風が上下から襲い掛かり、体をすり潰しにかかる。

 

「ぐぉっ」

 

「くっ」

 

「―――ッハァ!」

 

 アインスとほぼ同時に気合の声を叫ぶのと同時に、バリアジャケットの上着部分をはじけ飛ばし、一時的に魔法の干渉を跳ね除ける。その瞬間に夜天の書から柄が伸びる。それを握り、変形させながら抜く。同時に高速でセットしているスキル、魔法カードを再セットする。一瞬で自分のキャラクターカード以外のデッキ構成を変更させる―――アインスやディアーチェ、はやての良くとる手だ。

 

「≪炎熱変換≫≪死中に活≫BS≪サクリファイススペル≫……燃えるぞルシフェリオン!」

 

『Lets Burn Down To The Bone―――』

 

 マフラーが一瞬で燃え上がり、炎で出来たマフラーへと変貌し、前進が突撃形態のルシフォリオンの先端を起点に、燃え上がって炎に包まれる。風に再び押しつぶされる前に、刃の様に突き刺さった雷を魔導で弾き飛ばし、それを利用して再収束させているアインスを見る。先端を向け、炎と共に全力で加速を叩き込む。

 

「本邦初公開次回アプデ追加予定魔法……≪スピキュール≫……!」

 

 スカリエッティから”宣伝してね!”と言われて持ってきたものだが、これが存外つかえた。

 

 迫りくる風に身を少し削られながらも炎を纏ったままアインスに到達する。その手はまっすぐ此方へと向けられており、闇色の障壁が障害物となってルシフェリオンの先端が突き刺さる程度の被害で終わらせている。ガタガタとフレームを震わせながらルシフェリオンが崩壊を始める。だがそれに構う事無くさらに力を込めて押し込み、障壁に亀裂を生み出す。既にアインスの片手には黒い球体が完成している。それは何度も確認しているから知っている魔法―――デアボリック・エミッションだ。油断なく、もう一つの魔法も待機させているアインスの姿を見て、口笛を吹く。

 

「偉く気合入ってるな」

 

「君は笑って楽しんでいることが解るからね―――ただ本気は出してないだろう? だから君の本気が見たくなった、それだけなんだ。こんな事がなければ理由を作れないのは恥ずかしい事だけどね」

 

 ルシフェリオンが爆発して崩壊する。それと同時に障壁が消え、アインスが右手の球体を、デアボリック・エミッションを叩きつけに来る。それを体を回転する事で蹴り上げながら、夜天の書から新たなデバイスを取り出す。それが成功するのと同時に体に突き刺さる感触と共に一気に大地へと向かって叩きつけられるのを感じる。流れのまま体が落ちるのを許すと、見えるのは広がる暗雲から除く無数の雷鳴―――夜天の雷、という専用の魔法だったはずだ。

 

「―――なるほどなるほど」

 

 そりゃあ可愛いな。

 

 決して口に出さないが、そんな事を思いつつ衝撃を体から完全に吐き出しつつ回転し、大地の上へと着地する。既に夜天コピーから取り出したデバイス―――クラールヴィントはその機能として、回復効果を発動させている。まだ≪炎熱変換≫の効力は続いており、体は僅かにだが炎を纏っている。とはいえ、それでも増幅器だったルシフェリオンがなくなったせいで魔法に対抗できる程の力はない。寧ろここで一旦切って捨てた方がいいだろう。

 

 ―――まあ、魔法ショーはここらで十分だろう。

 

「≪サクリファイススペル≫」

 

 クラールヴィントをオーバーロードさせ、回復力を一時的に高める。それが完了するのと同時にクラールヴィントが砕けちる。十分LCを回復させたので出した分の仕事はしたとして感謝しておく。故にさて、と声を零しながら視線を上へと向ける。そこには既に二つのデアボリック・エミッションを展開させたアインスの姿が見える。成程、間違いなく本気だ。そして、可愛らしいとも思う。もっとこういうタイプの女性が増えればいいのにとも思う。

 

「……Very sweet」

 

「?」

 

 呟く程度で言った為、どうせ聞こえていないが、口に出しておくと割とやる気が出る。

 

 夜天の書コピーから次のデバイスを取り出す。出てくるのは鞘に包まれた一本の刀―――オリヴィエ経由で少々仲の良くなったミカヤ・シェベルのデバイス、晴嵐だ。これを含めれば使い捨てデバイスは残り四個。別に全部なくなった所で自分が不利になる事は一切ないが、それでもそれでは恰好がつかない。もう一度さて、と声を零す、鞘に入ったままの晴嵐を振り回してみる。手の中で回転させ、投げ、逆側でキャッチする様に振り回して遊び―――左手でキャッチする。

 

「スキル再セット……ふぅ」

 

 待ってくれているのだろうか、そう思って視線を上へと向ければ発動待機のデアボリック・エミッションが四個に増えていた。ガチじゃねぇか、という言葉を噛んで、呑み込んでおいて、男ならここで笑みを浮かべるべきだと、そう思って笑みを浮かべる。本気が所望ならば良し、クラウスもまったく同じことを思ったかもしれないが、

 

 女に誘われたら騙されてでも乗るのが男というものだ。

 

 故に、

 

「―――俺を本気にさせたな?」

 

 跳躍するのと同時に来る。

 

「闇に沈め―――デアボリック・エミッション!」

 

 超巨大化してきた闇色の球体が雷鳴を吸収しながら降り注ぐ。普通に受ければそのまま動きを止められて死ぬまでデアボリック・エミッションの連打を食らわせられるオチとなるのだろうが、その心配をする必要はない。

 

 本気にさせた、と言ったのだ。

 

「覇王断空”剣”」

 

 居合の要領で刃をデアボリック・エミッションの死点へと叩き込む。

 

 突き刺さり、切り裂いた中心点からデアボリック・エミッションが破裂、霧散して行く。

 

 どっかの糞爺は言っていた。

 

 ”結局やる事は一緒なんだから武器が違っていても別にできるだろう”と。

 

「んな簡単な話じゃねぇけどな!」

 

 三つの球体が視界全体に広がるのが見える。面制圧で押しつぶす方針―――切り抜け方―――破壊し、最小限の犠牲で突破することがベストだと判断する。

 

「≪サクリファイススペル≫―――覇王断空剣」

 

 晴嵐と引き換えにデアボリック・エミッションが一つ消滅し、そして同時に残った二つの威力が大きく削がれる。残った鞘を足場に、全力で蹴ってアインスへと向かって跳躍する―――ただの飛行よりも筋力の混ざった跳躍の方が瞬間的な加速は早い。故にデアボリック・エミッションが広がり切る前にその間に潜り込むことが成功し、

 

「ナハトヴァール」

 

 右腕に盾とパイルバンカーが融合したようなデバイスが出現し、装着される。それを右のデアボリック・エミッションへと叩きつけ、衝撃を”面”に与える。それによってデアボリック・エミッションが僅かに歪み、へこみ、破裂しかける。その瞬間にセットしておいた魔法を発動させつつナハトヴァールをパージしつつ投擲する。

 

「≪ソニックムーヴ≫≪フラッシュムーヴ≫≪スプライト≫」

 

 三種類の加速、移動用魔法の連打。跳躍からのトップスピードを維持したままの三連加速。加速魔法は直線にのみ、同じものを連続して使う事は出来ないという制限が存在するが―――夜天の書等で複数の加速魔法があればこのような運用ができる。

 

「夜天の雷―――!?」

 

「こいつでラストだ、セイクリッド・ハート&アスティオン」

 

 夜天の書から飛び出した二体の人形が頭の上へと着地し、綺麗にハイタッチを決めてからしがみつく。

 

 下で破裂し炸裂する球体の音が聞こえつつも、目の前で発生するのは閃光の爆発―――周りの暗雲内で発生していた雷鳴を収束させる事によって発生させる魔法攻撃。予めそれを読んでいたため、飛び出す前方の位置に到着するのと同じタイミングで出現する様に投げていた。そして予想通り、ナハトヴァールにアインスの一撃はぶつかり、

 

「覇王断空キィ―――ック!」

 

 ナハトヴァール越しにアインスに蹴りを叩き込む。その体が吹き飛ぶのを見るのと同時に、全身に負荷がかかるのを感じる。笑みを浮かべながら自分の周りに銀色の槍が無数と出現するのを察知する。技を放った硬直から少々避けにくい―――。

 

「セット―――」

 

「グングニル―――≪フルドライブ・モード≫!」

 

 銀色の槍が色を黄金へと変えて体に突き刺さる。痛みはないが、衝撃はある。絶大なダメージが発生するのを感知しつつも、それでLCは尽きない。それをアインスは目視している。故に既に次の攻撃に入ろうとしている。今までとは違い威力よりも速度重視―――必中させるつもりで魔法を放ってくるだろう。おそらく次の一撃を喰らえば沈むと確信しているから。

 

 故に、

 

「夜天の書ってのはこういう風にも使えるんだな、これが!」

 

 夜天の書のページがちぎれ、それが周囲にひらひらと舞い―――一枚だけ、足元に存在する。

 

 それを蹴って体を飛ばす。

 

「なっ―――」

 

「ハッハァ―――!!」

 

 辺りに大量に散った夜天の書のページを足場に、それを連続で蹴り、加速しながら三次元的に、規則性ゼロの動きをもってアインスへと迫る。奇抜すぎる動きに一瞬、アインスが動きを止めるのが見える。故にそれこそが勝機、チャンス、

 

「≪フルドライブ・モード≫―――天月・霞」

 

 ミカヤが使う居合の奥義、それをすれ違いざまに拳で叩き込み、アインスの体を仰け反らせる。そのまま回転蹴りの要領で体を加速させつつ、

 

「覇王流破城槌」

 

 アインスが反対側へと飛んで行く。その動きを足先を服にひっかけて引っ張り戻す事で否定しながら、

 

「使うぜ―――」

 

 夜天の雷を受けて吹き飛び、砕けたナハトヴァールのパイルバンカー部分、それを鈍器の様に握りしめ、

 

「飛龍一閃!」

 

 アインスの体を頭上から叩き、それが落ちる事を蹴りあげる事で否定する。予想外の硬さに舌を巻くが、よく考えれば相手は此方の攻撃の大半を障壁でガードしているのだから即死判定でも出さなければ死ににくいのは当たり前だ。

 

 故にボロボロのパイルバンカーを捨て、拳を構える。

 

「本気にさせて後悔したか?」

 

「いや、悪くない。また挑戦させてもらうよ」

 

 敗北を悟ったアインスの声を前に遠慮する事は何もない。

 

「一撃一殺、AS―――≪ベオウルフ≫!」

 

 拳がアインスへと叩き込まれ―――その姿が跡形もなく砕け散って消え去る。

 

 その瞬間にエルトリアステージを覆っていた暗雲が消える。青空が再び世界に戻り、雷鳴もその轟きを停止し、そして世界に平和が戻る。飛行を止めて着地すれば、頭の上からへろへろ姿のぬいぐるみの様な、人形の様なデバイス―――アスティオンとセイクリッド・ハートが降りて来る。この二つが行っていたのはフルドライブ・モードにおける反動ダメージの軽減だ。いわゆる奥の手、というものだが、

 

 とりあえずは拳を振り上げ、そして視線が観客へと向いているものであると仮定する。

 

「―――ご来場のお客様、次回アプデでは今試合で使用された魔法やスキル以外にも、スキル枠が五から十へと拡張されるアプデや、デバイス、アバターカスタマイズに関連するアプデが用意されています。是非今後ともブレイブデュエルのご利用を―――!」

 

 本気になっても、

 

 勝っても、

 

 一社員である事実に変わりはないのだ。




 本気になっても宣伝は忘れない阿呆。

Q.つまりどういうこと?
A.武器が違っても別に奥義は出せる

 拳専用の奥義を弓矢でやったり、剣の奥義をハンマーでやったり、そういう変態。ステは普通に八~九らへんぐらいだけど、技術ステだけ二十とか二十五。基礎と技術の塊。他の人の技を見て出来るというのはオリヴィエみたいに覚えた、ではなく別の武器で出来るからこっちでも同じようにやって同じ結果を出せる、という事。

 つまり阿呆。

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