私の大切な妹に何してるの!! 作:便利屋68のアルバイト事務員
あと新型コロナになったりブルアカのアニメ見たりetc⋯⋯。
作者的に、アニメブルアカは日常パート、ギャグパート、考察のために見るくらいがちょうどいいかなと思いました。
──連邦生徒会長が突然の失踪。
その一報は、瞬く間にキヴォトス中に広まった。
以前から兆候はあった。連邦生徒会の動きが以前より遅いだとか、未然に防がれていたような犯罪が増えただとか。
シエルにも予感めいたものはあった。
確信にこそ至らなかったものの、何かあったと感じさせるには十分すぎる程の違和感はあったのだ。
例えば──SRT特殊学園という学園の一部生徒を、トリニティで受け入れるように要請が来たり。
例えば──うるさいくらいに毎日来ていた連絡が、ある日を境にぱったりと止んだり。
こうして事が起きてしまえば、パズルのピースがハマるように情報が繋がっていく。
不謹慎とは思いつつ、点と点が線で繋がった時の快感を得るほど、スッキリとした納得感。
それを得たのが、4月の頭のことだった。
それを意味するのは⋯⋯そう。留学期間の終了である。
目を閉じて振り返れば、様々な出来事*1が瞼に浮かぶ。およそ半年間に作られた、様々な思い出の数々。
──自宅付近の不良やスケバンが、全て舎弟となった留学直後の夏。
──アビドスへと赴き、謎の巨大機械と戦った後、借金を立て替えた晩夏。
──便利屋
──風紀委員やアビドス生、正実、その他一部生徒の練度を底上げするため、合同訓練合宿を行った冬休み。
──ミレニアムのエンジニア部協力の元、傘下企業と共に開発と実験に明け暮れた春休み。
あと合間合間に経営したクレープのキッチンカー。
「充実した留学期間だったよ⋯⋯」
「⋯⋯聞いている限りですと、ロクに授業を受けていないように思えますが?」
「それは大丈夫。課題は出してたし、テストもほぼ満点取ったから」
「⋯⋯そうですか」
頭痛がするかのように頭へ手を当てるナギサ。──否。ようにではなく、実際に現在進行形で頭痛がしているのだろう。
眉間に皺を寄せ、顔を歪めるその姿は、まさに頭痛に苦しむ少女そのものだ。
「あははっ☆ ゲヘナなんかに行って、シエルちゃんが何か得るものなんてあるわけないじゃんね?」
「銃は買ったし、お友達も増えたよ。あと債権」
「それはいつもの事じゃん。どうせアビドスの子たちも、何かさせたくて借金立て替えただけでしょ? シエルちゃん、恩を売りつけるの得意だもんね」
「気づいた頃には、もう蜘蛛の糸でがんじがらめにされてますからね。ジョロウグモもびっくりですよ」
幼い頃から振り回し振り回されの仲である故に、分かりきった評価でもある。さもありなんと言ったところか。
「双子の姉と幼馴染だっていうのに、酷い評価だと思わない? セイアちゃん」
「自業自得だろう? そう評価されるにふさわしいだけの事を、君は十分以上にやらかしてるじゃないか」
「ふふっ、少々からかいすぎましたか? とはいえ、シエルさんのおかげで助かったこともありますからね」
「私は反対だったんだけど、パテル派のトップはシエルちゃんだからねー⋯⋯。まあ、一応有意義な
冬休みに行われた訓練合宿。前述の通り、アビドス、トリニティ、ゲヘナの三校合同で行われたその催しは、端的に言って大成功だったと言える。
公認の治安維持組織という共通点を持つ風紀委員会と正義実現委員会の情報交換に始まり、かねてより懸念事項だった一般生徒の練度の底上げ。アビドスや便利屋等の、少数精鋭グループを見本とした小隊の編成。他にも枚挙にいとまがないメリットが多くあった。
面白いところだと、ゲヘナ嫌いに定評のあるミカと便利屋社長のアルが、意外に仲良くなった点だろうか。
仲良くなったと言うとミカは否定するだろうが、驚くべきことにミカとアルは意外なほど馬が合ったのだ。留学期間において、シエルが最も驚愕した出来事でもある。
尚、ミレニアムにも声はかけたが、研究者肌の生徒が多い校風もあり、不参加だった。
「エデン条約の調印式を控えている今、ゲヘナとトリニティの仲を深める出来事があるのは良いことですからね」
「
「私としては、ミカがゲヘナ生と仲良くなったという事実が、一番の驚きだけどね」
「私も留学期間中最大の驚きだったよ」
「私も聞いた時は耳を疑いました。まさかミカさんが仲良くできるゲヘナ生がいたなんて⋯⋯と」
「みんな酷い! 私泣いちゃうよ!?」
ミカはモモトークでアルに愚痴を送った。
「私たちの前で愚痴を送るあたり、そこらのパテル派の子より気に入ってるよね」
「前々から思っていたよ。ミカはトリニティより、ゲヘナの方が似合っているんじゃないかとね」
「セイアさん、それは流石に酷くありませんか⋯⋯?」
ミカは更に愚痴を送った。
アルの休日の予定が埋まった瞬間でもある。
「あながち間違いでもないと思うよ。私はトリニティのドロドロした政争より、ゲヘナの野蛮な抗争の方が好きだし」
「なるほど。根は下品なゲヘッパリ*2という訳だ」
「生まれも育ちも高貴なトリカス*3なんだけどね」
「あまりそういった蔑称を使うものではありませんよ。セイアさんといいシエルさんといい、愛が足りていないのではありませんか?」
ユーモアで片付けるにはあまりに過激な会話だったためか、ナギサから仲裁が入った。
ゲヘッパリはもちろん、トリカスなどと呼んだ日には、手に持った銃の引き金が引きっぱなしになることは間違いない。
ここにいるのは、それをジョークとして笑えるトリカス達の筆頭だが。
「ナギサ、君が愛を語るのかい?」
「ナギちゃんがヒフミちゃんに送った愛、今まで望む形で返ってきたことあったかな?」
「くっ、薮蛇でしたか⋯⋯。かくなる上は、ロールケーキをぶち込んで黙らせるしか⋯⋯!」
ナギサは沸点が低かった。煽りの火力が強すぎたとも言う。
たわいもない(?)会話をしていると、チャイムが響いた。空は薄く色を変え始めており、下校時刻が近づいていることを教えてくれる。
「おや、もうこんな時間ですか。話していたらあっという間でしたね」
「私は一足先に帰るとするよ。ごちそうさま、美味しかったよ。ナギサ」
「お粗末さまでした。お口にあったようでなによりです」
「後は私たちがやっておきますので、皆様はご帰宅ください」
「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」
侍女係の生徒に片付けを任せ、シエル達は帰路に着いた。
「シエルさん、ミカさん。それではまた明日」
「また明日ね。ナギちゃん」
「うん、また明日ー」
途中まで一緒だったナギサとも別れ、ミカとシエルは二人だけとなった。
無言の時間が続いた後、おもむろにシエルが口を開く。
「──ねぇ、ミカちゃん。
「⋯⋯ぼちぼち、かな。やっぱり色々あるみたいなんだよね」
「⋯⋯そっか。まあ、好きにやりなよ。私が許可するし、多少の不都合は跳ね除けてあげるからさ」
主語のない抽象的な会話が続く。
言葉をそのまま受け取るならば、何かしらの仕事に関する会話にしか聞こえない。
しかし、事情を知るもの同士の会話ならば、その内容は一変する。
誰に聞かれても不都合な内容故の、主語と目的語を省いた抽象的な会話だ。
「⋯⋯ねぇ。何回目か分からないけどさ、シエルちゃんは良いの?」
「何度でも言うけど、ミカちゃんの好きにしていいよ。請われれば手を貸すし、許可も出すし、必要なら全部壊してあげる」
「⋯⋯もう。そんなこと言ってると、私調子に乗っちゃうよ? めんどくさいよ?」
「今更でしょ。17年一緒にいるんだよ? ミカちゃんがどれだけ面倒な女の子で、調子に乗りやすくて、メンヘラ気質でお姫様願望のある重い女かなんて、誰よりもわかってるよ」
「ねえ、そこまで言わなくても良くない? 泣いちゃうよ? ねえ、年甲斐もなく、恥も外聞も捨ててみっともなく泣き叫ぶよ? ねえねえ」
「ねぇね?」
「キレるよ? ねえ、怒るじゃなくてキレるよ??」
ミカは激怒した。必ずや、かのキヴォトス最強の姉を殴らねばならぬと決意した。
ミカには政治がわからぬ。ミカは、蝶よ花よと愛でられて育ったお姫様である。
少女漫画のヒロインのようなトキメキには、人一倍敏感であった。
端的に換言すれば、全肯定からの酷い暴言という落差にキレかけていた。むしろ、半ばキレ気味である。半ギレだ。
「良いよ。お姉ちゃんさ、実力見せて欲しいな? ほら、おいで。──抱いてあげるよ」
ミカは邪悪な姉に殴りかかった。
突き出された拳はあっさりとかわされ、言葉の通り力強いハグで返された。この間約0.5秒である。
願望丸出しの文章を執筆して失礼。拙者、高校生らしいバカみたいな普通の会話をして欲しい侍。義によって助太刀致す!!
時系列的には、ブルアカのプロローグくらいです。シャーレの先生がキヴォトスに着任したくらい。