私の大切な妹に何してるの!! 作:便利屋68のアルバイト事務員
前回のシエルのハグについてなのですが、なんで鯖折りするレベルのベアハッグで一致するんですかね⋯⋯?
今までの行動のせい? それはそう。
投稿しない間にセイアちゃん実装されちゃった⋯⋯。もちろん引きました。アスナは引けませんでした。ネルパイも引けませんでした。ビッグシスターことでっけぇ妹は天井しました。マジで許さねぇからなアロナァ!!!
第8話 悪魔のような天使の囁き
「──やあ、シエル。こんな夜更けにどうしたんだい?」
もうすぐ午後10時になる頃、聖園シエルは百合園セイアの部屋へと訪れていた。
もちろん事前に連絡は入れていたし、セイアの質問だって社交辞令のようなもの。
「ちょっと、お話したい事があってね」
「こんな時間に二人きりでかい?」
「うーん⋯⋯少なくとも、ナギちゃんとミカちゃんには聞かせられない話かな」
「⋯⋯わかっているとも。ただ、その⋯⋯私も初めてだ。優しくしてくれると嬉しい」
「できる限り優しくするつもりだよ。傷跡が残ったら
しばらく誤解を招きそうな話をしていると、突如としてドアが破壊され、一人の生徒が駆け込んでくる。
顔をガスマスクで覆い、大きめのコートの上から防弾チョッキを装着した生徒。
シエルを相手にするには不足も不足だが、セイアを襲撃するには十分な装備だ。
「歓迎するよ、アリウス分校の生徒ちゃん。私は聖園シエル。建設的な話し合いをしたいな」
問答無用の発砲。距離が近いこともあり、弾丸は外れることなくシエルの体に命中する──
「⋯⋯で? 弾薬は使い切った? 暗器や毒の類は? 言っておくけど、既に逃げ道は塞がれてるよ?」
──が、当然のように無傷。それどころか、この極短い間に退路を塞いだとすら宣う。
襲撃者はチラ、と廊下や窓に目をやる。
先へと続くはずの廊下は、外の景色が見えるはずの窓は、不自然に発光する壁のような物で塞がれていた。
まるで魔法のような不可解な現象。瞠目しそうになるのを堪え、逸らした視線をシエルへ戻す。
「退路は絶たれたか⋯⋯だが──」
「アハ。一応言っておくけど、私の隙を見てセイアちゃんを狙うってのは無理だと思うよ?」
しかし、視線を戻した先にシエルは居らず、耳元で囁かれたその言葉に硬直してしまう。
硬直したのはほんの一瞬。すぐさま対処しようとするも、全身を柔らかい何か──シエルの翼──で包まれ、動きを止められてしまう。
「はい、チェックメイト。抵抗は無意味だってわかった? じゃあ、お話しよっか──
「⋯⋯」
──数日後、トリニティ総合学園合宿棟。
シャーレの先生と共に、シエルは補習授業部の監督生として後輩に教鞭を執っていた。
数日の間に何があったのか不思議に思うかもしれない。端的に言えば、原作通り補習授業部が設立され、シエルは先生の補佐として監督生に指名されたのだ。もちろん幼馴染で、現ティーパーティー代理ホストの桐藤ナギサの采配である。
「コハルちゃん。手が止まってるみたいだけど、どこか分からないところがあった?」
「えっ? えと、大丈夫⋯⋯です」
「あ、そう? ちなみに、今コハルちゃんが見返してるところは使わないよ?」
「え⋯⋯っ?」
「この問題で使うのはこっちページの──」
「あっ、えっ、あ⋯⋯」
「1つずつ覚えていこうね」
「⋯⋯はい」
教鞭を執っていると言っても、その相手は基本的にコハルのみだ。
今回集められた補習授業部のメンバーの中で、唯一の1年生であるコハル。彼女は人見知りの激しい気質と見栄っ張りな性格が災いし、他者に頼るという行為が出来ないでいた。
もちろん他のメンバーから疎まれている訳ではなく、コハル自身が変に遠慮をしたり、1人でできると見栄(あるいは虚勢)を張ったりしただけだ。
とはいえ、(裏の思惑もあるものの)1人でできないから補習授業部に入れられたのも事実。1人でも合格点に達しなければ全員退学という条件において、コハルのあり方は致命的な足枷になっていた。
そのため、シエルはコハルを他のメンバーから隔離。2年生組は先生に任せ、タイマンでの専属教師をすることを計画した。
「これは、えっと⋯⋯」
「この問題は──」
「あっ、そっか! じゃあこれをここに代入して──できた!」
「はい、正解。よく出来ました」
「えへへ⋯⋯ハッ!」
慣れてきたのか、頭を撫でられたコハルが素を見せ始める。
恥ずかしそうに顔を隠す姿が、何とも
「さ、次に行こうか」
「⋯⋯はい。はぁ、まだこんなにある⋯⋯」
「無理そう?」
「それは、その⋯⋯はい」
「そっか。じゃあ諦めちゃう?」
「うぅ⋯⋯」
「諦められないよね? コハルちゃんは責任感が強いし、自分が諦めてみんな巻き込んで退学⋯⋯なんて、ツルギちゃん達に顔向けできないもんね?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯うん」
暗い表情で、コハルが首肯する。
正直に言ってしまえば、諦めたい。難しい勉強なんてできないと投げ出してしまいたい。それがコハルの本心。
シエルは言葉を選んで責任感が強いと表現したが、自分が足を引っ張るのを恐れているというのが正しい。
昔から勉学には苦手意識を持っていたし、自分の要領が悪いというのも自覚している。しかし、それでも正義実現委員会の所属として、尊敬する先輩達に恥じない為に、コハルは弱音を吐く訳にはいかなかった。
「でも、良いよ。諦めても」
──しかし、悪魔というのは甘言を弄するものである。*1
「⋯⋯え?」
「諦めても良いよ。私はそれを否定しないし、責めもしない」
「で、でも⋯⋯」
「ただし」
「っ?」
「私はコハルちゃんが諦めたり、弱音を吐いたりする度に1枚ずつ着ているものを剥ぎ取っていくから」
「エッチなのは駄目! 禁止!!」
コハルは、何がなんでも諦める訳にはいかなくなった。
そもそも、コハルの着ている服は他の生徒に比べて少ない。手袋もしていないし、ミカのようなケープを着ているわけでもなければ、ヒフミのようなタイツや、ハスミのようなガーターベルトもつけていない。さらに言えば、最近転校してきたアズサの方が厚着をしている。
靴下、下着、肌着、スカート、黒セーラー、帽子。合計8つである。
校風故か厚着をしている生徒が多いトリニティにおいて、コハルは薄着の部類に入る。
意図的なのか、肌着らしき左の肩紐と肩が露出しているあたり、他の生徒と比べて扇情的とすら言える。
「やだなぁ、コハルちゃんが諦めなければ良いだけだよ? 諦めることは、脱ぎたいと思ってるって捉えるからね? それとも──」
「な、何⋯⋯?」
「──コハルちゃんは、実は肌を見せたいえっちな子なのかな?」
シエルの囁きが、コハルの耳をくすぐった。
諦める=露出癖。露出癖=エッチ。即ち、諦める=エッチ。
コハルの中でエッチの三段論法が成立した。
「え、エッチなのは駄目⋯⋯!」
「本当に? 実は諦めたいんじゃない?」
「ち、違うから! 私はエッチじゃないから!」
シエルの手がコハルのタイにかかる。
白魚のように細くしなやかな指。ピンク色のタイをスルリと抜き取り、丁寧に畳んで机の端に置く。
見えているのに抵抗できない。ダメだと分かっているのに、心の底では脱がされるのを期待してしまっている自分がいる。
「⋯⋯コハルちゃんのえっち♡」
「──!?」
「でも、罰だけじゃやる気も出ないよね。だからご褒美も考えなきゃ」
「ご、ご褒美⋯⋯?」
ニヤリ、そんな音がしそうな笑みをシエルが浮かべる。
机を挟んで対面にいたシエルはコハルの後ろに回り、そして両手を前に回して抱擁した。手は腹部に置かれ、丹田の辺りを優しく撫で回している。
(⋯⋯こ、これって!? だ、ダメダメ! そんな事ダメ! ダメ、なのに⋯⋯!)
「コハルちゃんが合格点取れたら、コハルちゃんがして欲しいことしてあげるね? 人には言えなかったけどやってみたかったこととか、1人では出来なかったこととか⋯⋯」
「な、なんでも⋯⋯?」
「まあ、私に出来ることならね。例えば⋯⋯
コハルが顔を真っ赤にして黙り込む。
しかし、唾液を飲み込むように喉が動いたあたり、満更でもないらしい。
これ以降、コハルの学習効率が飛躍的に向上したことを記載しておくが、彼女の名誉のためにも何を望んだのかは考えないであげて欲しい。
コハルにエ駄死が言わせたかっただけです。