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【魔法名】友達ができる魔法 国内正規品
少女と喋るスマホは今日も呑気です。
真面目な視線でPCとにらめっこする少女、ごろごろと寝転がるスマホ。
思わず目を疑ってしまうような光景です。
「ふふっふ、ついに見つけたわよ」
「どうしたんですか、そんな悲しき悪役みたいな声を出して」
今日も喋るスマホことシリィはきれっきれです。
「ついに非売品を買う方法を見つけたわ」
「なんですか、強盗でもする魔法ですか」
「ちがうわよッ」
そうやって、少女が見せてきたのは一つのアプリ。
「えっと、“友達ができる魔法”」
「これがあれば、もう一人で協力プレイをする必要も無くなるわっ」
悲しきぼっちの定め。
ソシャゲの報酬に協力プレイがあるため、機器を二台で通信する羽目になる定めです。
「普通は友達とやればいいのでは」
「馬鹿ね、友達は非売品なのよっ」
「ああそうでした、そうでした」
何かを納得するようなシリィ。
「────主って友達いませんでしたね」
「うっ!!」
少女の視界は真っ暗になります。
倒れる少女。ばったりと、ゆっくり、スローモーションで床と一緒になります。
事実はマリアナ海溝よりも深く人を傷つける、そんな事を学ぶシリィでした。
◇◆◇
【少女の家の庭】
ほどよい気温。冬とは言いにくい風が吹き付けるなか、スマホは回ります。
「そこら辺の猫にでも試しますか」
そこにいたのは、少女をほったらかして魔法の練習をするシリィ。
少女のことはともかく、魔術の内容は気になったので、外に出てきたという訳です。
「シリィ……、主をほっといて魔法練習とはいい度胸ね」
ゾンビもびっくりな、深く黒い声を出す、少女。
宙に浮くスマホは、窓サッシにへばりつく少女を見ます。
「主って蘇生魔法使えたんですね」
「別に死んでないわよっ」
ギャーギャーと文句を垂れながら、少女は庭に出てきます。
しかたないので、スマホは少女の周りをぐるぐる回ります。
「何がしたいのよ」
「いや、早く魔法使ってくれません?」
このスマホをたたき割りたくなる衝動に駆られますが、少女はギリギリのところで踏みとどまります。
液晶を補修する代金は、安くはないのです。
「ああ、言われなくてもおっ────
猫に魔法がかかります。
極彩色のベールが猫を包み、
キラキラが消えた後には、
少女をキリッとした目でみる野良猫がいました。
「今更だけど、これ人間じゃなくても大丈夫なの」
「大丈夫ですよ。どうせ格安の洗脳魔法の一種ですし」
「むしろ、人間じゃなくて良かった」
「まあ主の技量だと人間にはかからないのでどのみちです」
どのみちではありません。
そういう大事なことはあらかじめ伝えて欲しいと思う少女でした。
◇◆◇
猫に話しかけるは少女。
「えっと、い、いい天気ですにゃっ」
「天気の話題から入るのが主らしいですね」
適当な猫語には触れてやらないのがシリィの優しさでした。
ですがそんな優しさは少女には通じないようで、顔を真っ赤にして怒ります。
「う、うるさいわね『そうですね』────えっ」
少女とスマホの視線は、ねこに向きます。
「ねえ、ねえ、見て会話を返してくれたっ」
「どこに喜んでいるんですか」
魔法をかけたのはアンタだろ、というシリィの視線。
そもそも友達が返事をしてくれるということに脳がバグっている少女。
「でも、普通は喜ばない?」
「いいえ普通は喜びません」
今日のシリィは辛辣です。
いつもの三倍ぐらい辛口なのは、作者が性格を思い出せないからに違いありません。
「いいもんっ! 私にはこの子がいるからっ!!」
あまりの強火に少女の心はまたも闇に閉ざされてしまいました。
洗脳した猫を友達というには、やはり無理があると思います。
そんなシリィの視線もものともせず、一人だけの世界を作り出した少女は、ねこと話し続けます。
「そうだ、おはよう」
『そうですね』
「今日はどんなモノを食べたの?」
『爽ですね』
「好きな人とかいる?」
『ソウですね』
「凄い会話が楽しいっ」
一人楽しそうに盛り上がる少女。
「いい加減、気づきませんかねェ」
“そうですね”で全てを返されていることを告げるべきか、でも主楽しそうだよなぁ、という気持ちに板挟みになるシリィでした。
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