東方外来録 博麗の神主の幻想入り    作:ロッド

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プロローグ


プロローグ

 

紅白服を羽織っている少年は、大地が荒れ、人間や妖怪が存在しなくなった幻想郷に後悔の念を浮かべていた。

 

「僕がもっと強ければ…」

 

「貴方は悪くないわよ…霊夢。」

 

「紫…ごめん。幻想郷が…」

 

紫は霊夢を抱き締めて、重要な話をする。

 

「霊夢は脱出して逃げなさい。幻想郷はもうすぐ消滅します。」

 

「そんな!?僕も一緒に…」

 

「ごめんね…霊夢。」

 

紫は霊夢をスキマで脱出させると、周りの結界を消し、幻想郷は消滅した。

 

 

 

八雲紫の式、八雲藍は結界の点検をしていると、上空にに突如、スキマが出現して少年が落ちてきた。

 

「スキマ!?それよりも…」

 

藍は落ちてきた少年を助け、すぐに傷などの確認をする。

 

「傷は無さそうだな。気を失っているだけか。」

 

藍は少年の着ている服装に気づく。

 

「紅白の!?まさかな?」

 

点検を一時中断して、紫がいる博麗神社に、少年を抱えたまま向かった。

 

 

藍が博麗神社に向かっている頃。紫は霊夢とお茶を飲みながら、日向ぼっこをしていた。

 

「今日も平和ね。お茶菓子も美味しいし。」

 

「外の世界にあるお菓子よ。洋菓子だから霊夢に合うか心配だったわ。」

 

「御賽銭が無いから、お茶菓子は滅多に買えないのよね。はぁ…」

 

お茶菓子を食べ終えて、残りのお茶を飲み干す。

 

「今日も依頼などがないから暇なのよね。」

 

「なら、修行をしたらどうなの?霊夢。」

 

「え―!修行は今日はしないわ。」

 

「今日もでしょ?何で怠け癖が付いちゃったのかしら?」

 

紫はお茶を飲み干す。すると、結界の点検をしていたはずの藍が、少年を抱えて戻ってきた。藍の表情から紫は、少年に近づいて服装に注目している。

 

「紅白…藍。この人間はどうしたの?」

 

「それが、結界の点検中に上空にスキマが…」

 

「そんな!?」

 

藍の報告を聞いて、少し考えたあとで、藍に指示を出す。

 

「少年から話を聞かないと駄目のようね。」

 

「紫。まさかと思うんだけど…」

 

霊夢が少年を見て、紫に聞く。紫は霊夢の発言に頷いて、少年を見ながら言った。

 

「この人間は、別の幻想郷から来た可能性があるわ。スキマから落ちてきたなら…別世界の私の能力で間違いないでしょう。」

 

「やっぱり、紫様。この少年は…」

 

「博麗神社の…いえ。博麗大結界を守護する者。」

 

藍は少年を神社の一室に寝かせると、少年は目覚めないが、苦しそうにしながら言った。

 

「ごめん…みんな…僕が…」

 

霊夢は少年の手を握る。紫と藍は、少年の看病を霊夢に任せて、部屋を出て行った。

 

 

少年は幻想郷にいた頃の夢を見ていた。まだ、人間や妖怪、神などが存在していた幻想郷の夢。

 

「霊夢!遊びに来たぜ!」

 

「ちょっと、魔理沙!速すぎるわよ!霊夢…ごめんね。騒がしかったかしら?」

 

「大丈夫だよ。アリス。お茶出すね。魔理沙はアリスに迷惑かけたら駄目だよ。」

 

「わかってるぜ。そうだ!お土産に茸をあげるぜ。」

 

「大丈夫なの?」

 

夢の中の少年は、笑みを浮かべながら、魔理沙とアリスにお茶を出している。まだ、幻想郷が崩壊する以前は、仲間達と楽しい日常だった。

 

だが、その日常は突然に終わる。

 

「魔理沙、アリス。僕が囮になるから2人は逃げて!」

 

「悪いが霊夢。お前が死んだら幻想郷は崩壊するぜ。なら、私とアリスで時間を稼いでいるうちに、戦力を集めるんだ。」

 

「そうよ。霊夢…私達のことは心配しないで。」

 

 

アリスと魔理沙は、少年から離れて消えていった。

 

「霊夢。貴方だけでも、生きなさい。」

 

「そんな…みんな…僕が…」

 

紫は少年を逃がし、幻想郷の崩壊の場面で、闇に染まった。

 

 

 

少年は夢から覚めると、見覚えのある感じがしていた。だが、その可能性を否定したい気持ちもあった。

 

段々と眠気が消え、自分自身の状況を確認する。

 

(確か…幻想郷は崩壊して…紫のスキマで…でも、この部屋は…)

 

身体を起こすと、部屋を再度確認する。

 

「やっぱり、この部屋は…」

 

「博麗神社にある一室よ。貴方には、見覚えがあるんじゃないの?」

 

少年は声のする方に視線を向ける。

 

「博麗の…」

 

「やっぱり、わかるのね。私の事が。」

 

「僕を助けてくれたのは、君なの?」

 

霊夢は首を横に振る。少年は霊夢の真上の天井に殺気を放ちながら、言った。

 

「隠れててもわかります。僕の話を聞きたいのなら、出てきてくれませんか?」

 

天井にスキマが出現して、紫と藍が降りてきた。少年は二人を見て、殺気は止めたが、警戒している。

 

「貴女方は…」

 

「私達が隠れていることに気づくとわね。自己紹介をしておこうかしら。」

 

紫は妖しげな笑みを浮かべながら、名を名乗る。

 

「私は幻想郷の妖怪賢者、八雲紫よ。その警戒を解いてもらえないかしら?私の敵は、幻想郷に手を出す者のみ。」

 

紫が少年に近づいてきたので、少年は懐から数本の針を取り出して、紫との距離をとる。

 

「僕を助け、神社まで運んだ目的はなんですか?」

 

「目的はない。只の気紛れ。強いて言うなら、私の目の前で死なれるのは、目覚めが悪いからな。」

 

少年の質問に藍が答えた。

 

「こ、来ないで!」

 

針を握り締めたまま後ろに下がる。霊夢は少年の目的に気づいて、ゆっくりと近づく。

 

「あんた、死のうとしてるでしょ?」

 

「……何で!?」

 

「あんたは、別の幻想郷から来たんでしょ?しかも、私が博麗神社の巫女だと気づいてる。どう?私の答えは間違ってる?」

 

少年は針を落として、涙を流し始める。

 

「巫女の言う通り、僕は貴女方とは違う…別の幻想郷から来ました。僕の名前は、博麗霊夢です。此処では、レイと呼んでください。」

 

「私と同じ名前…レイのいた幻想郷はどうなったの?」

 

「幻想郷は…崩壊しました。生き残りは…僕だけです。」

 

レイは顔を下に向け、涙を堪えようとしているが、堪えられない。

 

「紫。レイを神社に…」

 

「良いわよ。霊夢の好きにしなさい。レイ。貴方を幻想郷に迎え入れます。詳しい話は、後日…良いわね?」

 

レイは小さく頷いて紫を見た。

 

「ありがとう…ございます…」

 

その後、レイは博麗神社に住むことが決まった。

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