東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
翌日の夜に、紫の家から隙間を通り博麗神社に帰ってくると、霊夢が境内にいて、三日月を見ていたのである。声をかけようにも、雰囲気的に出来る状態ではない。部屋に行こうとしたら、霊夢に気づかれた。
「レイ…おかえりなさい。心配したのよ?」
「ごめんなさい。体調を崩しちゃって…」(霊夢…ごめん。封印だけは隠さないと…)
無言で、包帯に霊力を送ると、封印の痕跡を消して、見えなくさせる…不可視結界を構築した。この結界の効果により、肉眼では封印の痕跡を視ることは、不可能となった。だが、結界の痕跡はバレる可能性がある。
「ご飯どうする?」
「少し眠たいから…明日でいいかな?」
「わかったわ。お休みなさい…」
霊夢が部屋に戻ると、レイは柱に背中をつけて、溜め息をする。紫の家で休息できたのだが、若干疲労が残っていた。
(……寿命は残り6年くらいかな。紫はどうして、僕を生かしたんだ…幻想郷の崩壊は僕が原因なのに…)
流石に冷えてきたのか、部屋に戻ったレイ。すると、脳内に禍々しい声が響き渡った。
『俺様の解放すれば…楽になるぞ。対価として、幻想郷を滅ぼすがな。』
頭痛が発生すると、レイは冷や汗をかいた。あの声を聞いたのである。
(封印が弱まってる…今の僕の力では、封印が不完全だ。精神的な修行もやらないと…この幻想郷にある知識も、必要になる。)
台所で、冷たい水を飲む。頭が冷えてきたのか、冷静になることができたようだ。
(もう寝るかな。)
翌朝、境内の掃除をしていると、ピンク髪の少女…覚り妖怪である古明地さとりが、博麗神社にやって来たのだ。酒瓶を抱えていた。手土産のようだ。
「お久し振りですね…霊夢さん。元気そうで…」
「さとりは引きこもりが、続いてるようね?こいしは頻繁に神社に来てたわよ?」
「そうですか。」
さとりはレイに視線を向けると、目を見開いている。心が読めないようだ。
「さとり…私の心を読んだのなら、あの子が誰か理解したわよね?」
「…………一応は、別の幻想郷から来た霊夢ですか?」
掃除を中断したレイは、さとりの方に近づく。
「僕の名前はレイです。よろしくね…古明地さとりさん。」
心に張った結界の一部を解除すると、さとりは読めるようになった。
「……………それは、興味深い話ですね。」
(性格が違いすぎる…)
掃除を続けながら、いろいろと考えていると、さとりの目付きが少しだけ、鋭くなっていた。
「レイ君の知っている
「そう……だよ。僕は神社の裏手を掃除してくるよ。」
逃げるように、神社の裏手に移動した。霊夢は苦笑するのだが、さとりの機嫌が悪い。引きこもりは事実だが、非常にも機嫌が悪くなっていた。
「………機嫌悪そうね。さとりは…」
「そんなことはありませんよ!」
「そろそろ、掃除終わるから…朝食一緒に食べなさい。良いわよね?」
「ありがとう………ございます。」
朝食を食べ終えた三人は、やることが特にないので、暇になっていた。レイは人里に行くようで、結界を構築して、その場から姿を消した。
「あれは、なんですか!?」
「レイの結界移動術よ。事前に、結界を設置していたら、その場所にある結界に移動する術式よ。その代わり、空は飛べないみたいだけど。」
「だとしても……あれは瞬間移動の類いですよね。」
「暇だわ…」
人里に到着したレイは、過去の妖怪に関する書物を調べるために、鈴奈庵に向かっていた。少しでも、対処ができないか調べるためである。
(少しでも、奴を弱体化できれば…)
鈴奈庵に到着する。中に入ると、阿求もいたようで小鈴と会話していた。
「こんにちは。阿求さん、小鈴さん…」
「いらっしゃいませ!レイ君、どうしたの?」
「本を借りに来たのですか?」
「幻想郷で、発生した異変を調べてるんだ。詳しく記されているから資料本はないかな?」
小鈴は本を探しに奥にいった。待っている間、本棚の本に触れると、直ぐに離した。
(僅かに妖力の気配が…妖魔本か…)
「何か、見つけましたか?レイさん…」
「いや…まだわからないかな。」
笑みを浮かべるのだった。