東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
真夜中にレイは博麗神社の裏手にある森で、修行をしていた。修行と言っても、空を飛ぶのではなく、霊力での身体能力を鍛える修行である。
木登りしたり、木から木に素早く飛び移ったりと、移動している。結界の精度を高める修行もした。
(空も、飛べないとダメだけど…イメージが…)
夜が明けてきて、レイは修行を終えると、着替えをして部屋に戻る。右腕の封印を確認するが、険しい表情になる。
(………封印が弱まってる。でも、結界に異常はない。紫とパチュリーの強化も、消えていない…)
何かが足りないと感じたレイだが、何が足りないのかさえ、わからないのである。
(焦ってもダメだ。封印を強化して…強くならないと…奴を…消せない…)
霊夢が起きるまで、結界内で瞑想をしている。すると、あの禍々しい声が語りかけてきた。
『小僧…良く頑張るな!俺様の力が欲しければ、何時でも言いな…協力するぜ!精神が安定していれば、俺様の力を使っても、封印が破壊されることはないぜ!出来るもんならな!』
(うるさい…僕に話し掛けるな…消えろ!)
レイの体から霊力が発生して、禍々しい声が消えたが、結界が消えてしまい霊夢が目を覚まして、部屋に入ってきた。
「レイ…大丈夫!?何かあったの?」
「修行で、瞑想をしてたんだけど…たまに、無意識で、霊力…出しちゃうんだ。寝てたのに…ごめんね。」
「…………わかったわ。無理しないように…」(嫌な予感を感じたけど…気のせいよね。)
無理矢理考えないようにして、部屋から出ていくと、レイは霊力の出しすぎで、冷や汗をかく。体に負担が来たようだ。
(…………力が入らない。でも、休んでいる暇はない。)
暫くして、動けるようになったレイ。少し、怠さは残っているが、無理矢理体を動かして立ち上がる。
(………動かないと。)
レイは境内に向かうと、魔理沙が朝から来ていたようで、霊夢と会話していた。
「魔理沙さん…おはようございます。」
「レイ……体調悪そうだな?」
「そうですか?ちょっと、修行で無理しちゃいました。」
「無理は良くないぜ!」
縁側に移動して、床に座ると少しだけ楽になったようだ。霊夢は人里に用事があるらしいので、魔理沙と一緒に留守番することに。
(……少し、きついかな。体も重い…)
レイは表情には出していないが、魔理沙にはバレているようで、霊夢がいなくなったのを確認すると、近づいてきた。
「さて、霊夢がいないから聞かせてもらうが…何か…私らに隠してるだろ?霊夢は勘が良いからな。気づかれていると思うが…」
「……何の…ことですか?体調が悪いのは、間違っていません。」
レイが言い訳をするが、魔理沙には誤魔化されない。すると、右腕に触れられる瞬間、咄嗟にジャンプして、後ろに下がった。
「その右腕…何かあるんだろう?」
「……ちょっとした…古傷だよ。前の幻想郷にいたときに…だから、見せたくないかな。」
レイは金属の針を4本懐から取り出すと、魔理沙に殺気を放ち、警戒をしている。
「殺気を放つまでなのか?警戒を解いてくれだぜ。」
「だったら、やめてください。右腕の古傷を見られたくないので…無理に見ようとするなら…殺します。」
今のレイは本気で、魔理沙を殺す気でいる。右腕の封印を見られたくないため、手段は選ばない。なので、警告している。
(レイは本気だな…古傷が本当かは知らないが、右腕に秘密を抱えていると、考えた方がいいな。)
「悪かったぜ…もう、探ろうとしないと約束するぜ…」(私はな…)
「……わかりました。」
殺気をやめて、警戒を解いたレイは針をしまった。そして、お茶と茶菓子の準備をしに、台所に向かったのだった。