東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
小雨の降る中、レイは人里で調べことをしていると、通り掛かった阿求に声をかけられた。数分間の立ち話をしていたが、稗田家の屋敷に誘われたのである。
(……状況がわからない。)
レイは屋敷にある幻想郷縁起を読み進めながら、状況を把握しようとしていた。阿求は隣で書き物をしているらしく、集中している。
(阿求さんの使用人?の人達は、笑みを浮かべてるし…ナニコレ?)
それを考えているレイ。隣で書き物をしている阿求は、何気に退屈していた。
(……何か面白くない…レイさん…屋敷に来てから、2時間近く読書してるし…それで、誘ったのは私だけど…そろそろ、終わるし。)
書き物を終えた阿求は、読書中のレイの邪魔をしないように部屋を出て、茶菓子の準備を命じた。
(さて、何か会話しないと…どんな話なら?)
部屋に戻ってくると、レイは読書を終えているが、瞑想をしているようだ。阿求が部屋にいるのに気づいていない。本は本棚に戻されているため、問題ないのだが…
「レイさん…お茶の準備ができましたが、どうしますか?」
「…ごめんなさい。瞑想してたみたいで…お願いします。」
阿求にお茶を出してもらうと、お茶を飲んで一息つく。暫く静かな時間が流れていく。お茶を飲み終えたレイと阿求は、何を話せばいいのかわからないでいた。
(……どうすればいいの!?)
(何を話せば……)
雨が止んだようで、晴れ間が出てきた。阿求はレイに、人里を散歩しないかと誘うと、頷いたのである。
屋敷を出た阿求とレイは、水溜まりに気を付けながら歩いていく。すると、真横から馬車が走ってきて、阿求に迫っていた。咄嗟に阿求の手を掴んで抱き締めると、馬車は通り過ぎていった。
「……大丈夫?」
「あ…ありがとう。」
「怪我がなくて、よかった…」
レイは離れると、阿求は手を掴んできた。少し、震えている。
「少し…怖いので、手を握ってもいいですか?」
「良いよ…阿求さん。」
阿求の手を一旦離して、手を繋ぎ直す。近くにあった茶屋に入り、抹茶を注文する。
「レイさんは幻想郷に来て…慣れましたか?そろそろ、1カ月になりますよね。」
「うーん。まだかな…静かな場所だけど、退屈はしないかな。」
「レイさんは珍しいですね。」
「珍しい?」
「他の外から来た人達は、退屈だと言ってましたから。」
抹茶を飲んでいるレイは、興味深く阿求の話を聞いている。レイは幻想郷の外からではあるが、別の幻想郷から来た人間であるため、他の外来人に関する話は興味が湧く。
「そう言えば…レイさんは幻想郷の異変に関する情報を調べてるけど、興味があるの?」
鋭い質問にレイは、どう言えばいいかを考えながら…
「そうだね。妖怪や妖精の存在は、外の人達からしたら、迷信だからかな。僕からしたら…そういった存在は貴重じゃないかな?人間からしたら…危険な存在かもしれないけど、人間を食べないと生きていけない妖怪だと、仕方ないと思っちゃうかな。」
(レイさんの考え方は…妖怪側とは言わないけど、妖怪を庇護する考え方。幻想郷に来る以前に妖怪や妖精の存在を知っていたのかしら?)
レイの考え方に、阿求は観察するように見ている。暫くして、抹茶を飲み終えた二人は人里内を散歩しながら会話を続ける。
夕方になり、阿求の屋敷まで送るレイ。
「今日はありがとう。」
「いろいろと話せて、楽しかったですよ。」
「それじゃあ、帰るね。」
レイさんは博麗神社に帰っていった。阿求は部屋に入ると、床に座り書き物を片付けた。
(今日は楽しかったな…)
読書をするのだった。