東方外来録 博麗の神主の幻想入り    作:ロッド

17 / 79
17

小雨の降る中、レイは人里で調べことをしていると、通り掛かった阿求に声をかけられた。数分間の立ち話をしていたが、稗田家の屋敷に誘われたのである。

 

(……状況がわからない。)

 

レイは屋敷にある幻想郷縁起を読み進めながら、状況を把握しようとしていた。阿求は隣で書き物をしているらしく、集中している。

 

(阿求さんの使用人?の人達は、笑みを浮かべてるし…ナニコレ?)

 

それを考えているレイ。隣で書き物をしている阿求は、何気に退屈していた。

 

(……何か面白くない…レイさん…屋敷に来てから、2時間近く読書してるし…それで、誘ったのは私だけど…そろそろ、終わるし。)

 

書き物を終えた阿求は、読書中のレイの邪魔をしないように部屋を出て、茶菓子の準備を命じた。

 

(さて、何か会話しないと…どんな話なら?)

 

部屋に戻ってくると、レイは読書を終えているが、瞑想をしているようだ。阿求が部屋にいるのに気づいていない。本は本棚に戻されているため、問題ないのだが…

 

「レイさん…お茶の準備ができましたが、どうしますか?」

 

「…ごめんなさい。瞑想してたみたいで…お願いします。」

 

阿求にお茶を出してもらうと、お茶を飲んで一息つく。暫く静かな時間が流れていく。お茶を飲み終えたレイと阿求は、何を話せばいいのかわからないでいた。

 

(……どうすればいいの!?)

 

(何を話せば……)

 

雨が止んだようで、晴れ間が出てきた。阿求はレイに、人里を散歩しないかと誘うと、頷いたのである。

 

 

屋敷を出た阿求とレイは、水溜まりに気を付けながら歩いていく。すると、真横から馬車が走ってきて、阿求に迫っていた。咄嗟に阿求の手を掴んで抱き締めると、馬車は通り過ぎていった。

 

「……大丈夫?」

 

「あ…ありがとう。」

 

「怪我がなくて、よかった…」

 

レイは離れると、阿求は手を掴んできた。少し、震えている。

 

「少し…怖いので、手を握ってもいいですか?」

 

「良いよ…阿求さん。」

 

阿求の手を一旦離して、手を繋ぎ直す。近くにあった茶屋に入り、抹茶を注文する。

 

「レイさんは幻想郷に来て…慣れましたか?そろそろ、1カ月になりますよね。」

 

「うーん。まだかな…静かな場所だけど、退屈はしないかな。」

 

「レイさんは珍しいですね。」

 

「珍しい?」

 

「他の外から来た人達は、退屈だと言ってましたから。」

 

抹茶を飲んでいるレイは、興味深く阿求の話を聞いている。レイは幻想郷の外からではあるが、別の幻想郷から来た人間であるため、他の外来人に関する話は興味が湧く。

 

「そう言えば…レイさんは幻想郷の異変に関する情報を調べてるけど、興味があるの?」

 

鋭い質問にレイは、どう言えばいいかを考えながら…

 

「そうだね。妖怪や妖精の存在は、外の人達からしたら、迷信だからかな。僕からしたら…そういった存在は貴重じゃないかな?人間からしたら…危険な存在かもしれないけど、人間を食べないと生きていけない妖怪だと、仕方ないと思っちゃうかな。」

 

(レイさんの考え方は…妖怪側とは言わないけど、妖怪を庇護する考え方。幻想郷に来る以前に妖怪や妖精の存在を知っていたのかしら?)

 

レイの考え方に、阿求は観察するように見ている。暫くして、抹茶を飲み終えた二人は人里内を散歩しながら会話を続ける。

 

 

夕方になり、阿求の屋敷まで送るレイ。

 

「今日はありがとう。」

 

「いろいろと話せて、楽しかったですよ。」

 

「それじゃあ、帰るね。」

 

レイさんは博麗神社に帰っていった。阿求は部屋に入ると、床に座り書き物を片付けた。

 

(今日は楽しかったな…)

 

読書をするのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。